【芝居】「ドラマ進化論β版」北京蝶々
2007.4.28 19:30
早稲田劇研現役のアンサンブル、北京蝶々の新作。5月末公演のβ版と題して。この季節に織り込まれる劇研紹介パンフも嬉しい。60分。29日まで、早稲田大学大隈講堂裏劇研アトリエ。
デジタル放送の実験で視聴者からの双方向アンケートで次回のストーリーを決めるドラマ。全10回の9回目の放映直前だが、脚本の上がりがどうしても遅くなり9回はまだ撮影が9割しか上がっていない。主役の女優と仇役の女優の好感度が逆転し、物語は最初の意図とはかなり違ってきている。局の人、がやってきて、大人の事情でストーリー変更を命ずる。窓の外には新東京タワー反対のデモ隊があふれる。彼らは「多数派」を名乗り、アジビラの主張は見事にバラバラで…
放送のというよりは、放送局から仕事を貰うドラマ制作会社の現場のリアリティは正直よくわかりません。絞り出すように書き、作り続けて疲弊しきった現場。それをたまに来ては大人の事情の勝手なことを云う「局のひと」。出演者たち。
β版として骨子を上演、アンケート結果で作り替えて5月末に本公演とする企画。始まってすぐわかるのですが、それと同じ手法で連続ドラマを作るという物語世界を構築。勿論、このワンアイディアを思いついて、それを公演形態にしてしまうあたりで、かなり成功してる気はします。もちろんそれだけではありません。
格差というのを意識しているのは前回と同じ、若い彼らが感じているであろう視点。ドラマのターゲットとしていると劇中で喋るのだけど、制作会社と放送局、二人の女優の事務所事情など、さまざまな差を意識して描いている感じがします。
云いたい人全ての意見を吸い上げられるというのはネットが普及した最近の特性。昔ならそれを参考にして方向を決めていたものを、それが絶対のモノだとして盲目的にそのまま形にしてしまおうという危うさ。そこには判断とか、さじ加減という意識がないわけで、それはクリエーションの現場ではないのです。ネットもロングテールもweb2.0も大好きなあたしですが、その危うさはよくわかります。
現行の東京タワーと新しい東京タワーを対比させるというのはちょっと面白い視点。この視点で書かれた物語はアタシはこれが初めてです。終幕の一シーンは美しいのです。
問題点があるとすれば、このβ版を見た観客がストーリーを知ってるが為に本公演が楽しめないということにならないといいのですが、そこは戦略に長けた彼らのこと、本公演も期待してしまうのです。
北京蝶々「ドラマ進化論(ベータ版)」
2007.4.27 - 4.29 早稲田大学大隈講堂裏 劇研アトリエ
作・演出 大塩哲史
出演 赤津光生 帯金ゆかり 鈴木麻美 三浦英幸 森田祐吏 垣内勇輝 田渕彰展 白井妙美 松崎美由希 山田祐輔
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