【芝居】「ピンポン、のような(プレビュー)」時間堂
2007.4.25 20:00
2003年初演、主宰帰国後の第一作の再演。約90分、30日まで王子小劇場。
由緒正しきひなびた温泉旅館、幽霊が評判。卓球台のある場所は娯楽室ではなく目立たないバックヤードのような場所。次々と現れる女性同士の旅行者、友達を裏切って来たカップルが賑やかにする。作家は二ヶ月もここに居るのにまったく筆が進まない。彼にも秘密、編集者にも秘密なのに..
非日常、出会わない筈の人が出会う空間として設定したのは旅館。バックヤードとすることで実家のような緩い空間を併せ持つ不思議な雰囲気があります。天井近くに花があるのは、建て増しを繰り返した旅館の中の袋小路、半地下のような場所という感じで空間としての面白さは芝居が始まる前から。
女性3人のカシマシイ会話(今だと、グータンヌーボですか。昔深夜にやってた自転車キンクリートの3人が川べりで喋るだけっていう番組が好きだったのだけど)、あるいは過剰にいちゃつくカップル。そこに繋がりを持たせて豹変を描いたりしてシーンのおもしろさが続く前半。
正直な話、自分をどこの視座に置いて見たらいいのかを想いあぐねるのです。見てるものは華やかだし楽しいのだけど、客観より誰かの視線で見たいのに入り込めない感じ。書けない作家、その視点が芝居を俯瞰している構造にはなっていると思うのです。それならば作家の視点から見ている感じがもっと欲しい、と思ってしまうのです。劇中にも出てくる「情景の連続」という風に感じてしまうのです。
有名になったのに書けない作家、図々しい大ファンの女が書いた愚にも付かない小説は、全てがダメだと切り捨てながらも、今の自分には決して書けないイキオイという、単なる若さとは違うが戻れない何かに嫉妬する、というあたりがアタシは好き。男がピンポン球のように行き来してる感じもあからさまにはされないけど、ちょっと面白いのです。
役者は相当に魅力的です。雨森スウの歌の凄さにはちょっとびっくりします。足立由夏のテンションはじける瞬間に魅力、境宏子は役ゆえに笑顔が少ないのはちょっと寂しい。
時間堂「ピンポン、のような」
2007.4.26 - 4.30 王子小劇場
作・演出 黒澤世莉
出演 足立由夏(InnocentSphere) 雨森スウ 河合咲 こいけけいこ(リュカ.) 境宏子(リュカ.) 清水那保(DULL-COLORED POP) 原田紀行(reset-N) 中田顕史郎
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