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2007.04.30

【芝居】「大自然」カムカムミニキーナ

2007.4.30 13:00

カムカムミニキーナの新作、客演を取りそろえての公演。公演は終了。120分。

山の奥にバスでやってきた男、新任の教師。が校舎も何もなく、School Of Nature(SON)と呼ばれるその学校は、テンションの高い二人の教師とダンプと呼ばれる一人の生徒が居るだけだった。

清水宏と今奈良孝行を軸とするテンションの高いアドリブ風(アドリブではないと推測しますが)の学校の風景と、それから数年後と思われる、その学校を伝説に感じる人々の話は松村武を軸とし、両方を成清正紀演ずる新任教師が結ぶというスタイル。狐のかぶり物がそこかしこに登場し化かされている雰囲気を感じさせます。

高いテンションの方は清水宏節という言葉がぴったりする感じ。あたしがカムカムを見るのは随分久し振りですから、最近の様子はわかりませんが、この部分は、カムカムの色という感じではないと思います。松村さんの軸のほうは、大量の台詞を叙情的に聞かせるスタイルで、アタシの知っているカムカムはこちらの感じに近いのです。どうしてもこのあたりのスタイルは野田秀樹の影響を受け続けている感じがして、音楽も台詞回しもそう感じるのです。野田秀樹戯曲の魅力は高いテンションと叙情性の両立と、それを支える物語なのではないかと個人的には思うのですが、その作演の興味の主体は叙情性の方が勝っている、という印象なのです。

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【芝居】「抜かりない奴らに、ジレンマ。」電動夏子安置システム

2007.4.29 19:00

アタシは初見です。作り込んでいる感じはします。150分。30日まで萬劇場。

死刑判決を受け拘置されている自称予言者は、自分はここから出られるが、少し先の未来が読めないのだという。
拘置所前の差し入れ屋。再婚でこの店にやってきた女は未来が見えてしまう。その能力ゆえに周囲は振り回され..

ネタバレかも

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2007.04.29

「大人が笑って泣けるヒーローもの」

TEAM 発砲B-ZINの解散公演、「ジューゴ」の東京公演が26日に千秋楽を迎えました。

「大の大人が笑って泣けるヒーロー物」というコンセプトは明快でポップな感じの作品が多いのが特徴でした。一歩間違えばオタクネタだけのオンパレードになりかねないところを、絶妙なバランスで、ウェルメイドな雰囲気に仕立てていて、実は誰でも楽しめる人情芝居になっているものも多かったのです。

役者それぞれが目一杯楽しんでいる感じは劇団ホームページでの活動や、今公演で発売されているDVT「15歳」を見るとよくわかります。そのパワーがプラスに働いて今の彼らがいるだと思うのです。

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【芝居】「ドラマ進化論β版」北京蝶々

2007.4.28 19:30

早稲田劇研現役のアンサンブル、北京蝶々の新作。5月末公演のβ版と題して。この季節に織り込まれる劇研紹介パンフも嬉しい。60分。29日まで、早稲田大学大隈講堂裏劇研アトリエ。

デジタル放送の実験で視聴者からの双方向アンケートで次回のストーリーを決めるドラマ。全10回の9回目の放映直前だが、脚本の上がりがどうしても遅くなり9回はまだ撮影が9割しか上がっていない。主役の女優と仇役の女優の好感度が逆転し、物語は最初の意図とはかなり違ってきている。局の人、がやってきて、大人の事情でストーリー変更を命ずる。窓の外には新東京タワー反対のデモ隊があふれる。彼らは「多数派」を名乗り、アジビラの主張は見事にバラバラで…

放送のというよりは、放送局から仕事を貰うドラマ制作会社の現場のリアリティは正直よくわかりません。絞り出すように書き、作り続けて疲弊しきった現場。それをたまに来ては大人の事情の勝手なことを云う「局のひと」。出演者たち。

β版として骨子を上演、アンケート結果で作り替えて5月末に本公演とする企画。始まってすぐわかるのですが、それと同じ手法で連続ドラマを作るという物語世界を構築。勿論、このワンアイディアを思いついて、それを公演形態にしてしまうあたりで、かなり成功してる気はします。もちろんそれだけではありません。

格差というのを意識しているのは前回と同じ、若い彼らが感じているであろう視点。ドラマのターゲットとしていると劇中で喋るのだけど、制作会社と放送局、二人の女優の事務所事情など、さまざまな差を意識して描いている感じがします。

云いたい人全ての意見を吸い上げられるというのはネットが普及した最近の特性。昔ならそれを参考にして方向を決めていたものを、それが絶対のモノだとして盲目的にそのまま形にしてしまおうという危うさ。そこには判断とか、さじ加減という意識がないわけで、それはクリエーションの現場ではないのです。ネットもロングテールもweb2.0も大好きなあたしですが、その危うさはよくわかります。

現行の東京タワー新しい東京タワーを対比させるというのはちょっと面白い視点。この視点で書かれた物語はアタシはこれが初めてです。終幕の一シーンは美しいのです。

問題点があるとすれば、このβ版を見た観客がストーリーを知ってるが為に本公演が楽しめないということにならないといいのですが、そこは戦略に長けた彼らのこと、本公演も期待してしまうのです。

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2007.04.28

【芝居】「愛人気質族」The Redcarpets

2007.4.28 14:00

天然スパイラルの金房実加の企画ユニットの旗揚げ。女性ばかりでというフォーマットもちょっと似た感じで。110分、30日までアドリブ小劇場。

女の暮らす部屋に大学サークル時代のチームメイトが集まる。あれから時間が経って、不倫していたり、結婚して子供が出来ていたり、恋愛に今一つのめり込めなかったりとそれぞれに。別の日、部屋主の妹が連れてきた友人は信じられないぐらいのモテ体質なのにとりたてて美人ということもなく…

大きく分けて二つのパートで構成され、交互に進みます。 女子四人+αで繋ぐ、多分骨子の方は物語というよりは辛い恋愛してる女の情景を並べたり、いろんな考え方の女を並べて見せるショーケース的な感じ。女四人でだらだら喋るというフォーマットは、アタシが大好きなパターンなのですが、物語が立ち上がってこないのはもどかしい。

細部は実に面白いのです。「自分のために肉じゃがを作ること」「100%可愛い女はそれを自覚していて、相手をする自分は疲れる」という討論を延々したり、「モテ体質なのに、堅い女」とかの前半が好き。後半で子供の重い話を持ってくるのは切実さは理解できるけれど、ちょっと失速な感じも。終幕、デートに出かける妻と話をする部屋主の息詰まる感じと、それをちょっとビターな感じに終幕させるあたりは好きなのですが。

千葉おもちゃを女性らしく書いてる芝居はあまり見かけた感じがしませんが、女性らしく可愛らしく。

もう一つのパートは、テレビ番組を模した「愛人講座」。お笑いに近い作りだけれども、破壊力があって、客席を掴んで離さないのです。アナウンサー役と、愛人歴20年なる女の二人で進むのだけど、この愛人講師(空ゆきこ)が抜群。「愛人たるモノ」から始まり「不倫男の種類」などを説得力を持って見せる確かな力なのだけど、それを笑いに持っていくのは役者の瞬発力。

メインの話は表面で起きていることしか描かれないのだけど、愛人講座はそれを作家の突っ込み目線 で解説してみたり、女たちに同情が寄せられそうなところを、「不倫はそもそも外れた行為」だとばっさりやってしまうのも巧いなぁと思うのです。

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【芝居】「まつさをな」キャラメルボックス

2007.4.27 19:00

真っ青で美しいチラシが印象的。時代劇なのにアコースティックシアターの手触りがアタシは大好きです。GWも含め客席は空き気味と聞きます。ちゃんとしたクオリティ、当日券でもぜひ。5月6日までサンシャイン劇場、そのあと福岡、神戸。120分。

旅一座、目隠しをして立ち回り女剣士として舞台に立つ女。そんな女を養女に迎えたいと小田原藩の家老から使いが来る。娘を亡くした夫婦が、あまりにそっくりな彼女をどうしてもと呼び寄せる。やってきた家は外国船の到来を予期し、台場を置き大砲を据えることに心血を注ぎ金を使いすぎて保守派と呼ばれる人々から狙われている。
ある日改革派の武士が斬られる。左腕に怪我を負わせたものの、犯人は逃げおおせてしまう。が、女はその鋭い直感で怪しい男に気づいてしまう...

アタシ、実はキャラメルボックスの時代劇が少しばかり苦手で、熱い男達の疾走する話という、えらくざっくりした括りで、みんな一緒に見えてしまうなぁ、なんて思ってたりするのです。いや、もちろん楽しむのですが。 が、本作は少しテイストが違います。初めて女性を主役に据えた時代劇は、アコースティックシアターのような緩やかさ、時代の持つ厚みから生まれる力強さの手触りが実にいいバランスなのです。

政略結婚が日常で女の結婚が自分の意志ではどうにもならかったり、武士と芸人、あるいは武士同士の石高の違いといった、格差や身分制度といったものを人々の背景に置き、その中で懸命にもがく若者達。あるいは 黒船来訪前夜にそれを真剣に対応しようとする志と抵抗抵抗勢力を時代の背景に置いた物語の道具立ては、やけに社会派っぽい感じはします。時代劇というフォーマットのおかげで、格差や意識持ちようの差が鮮やかに見えてくるのです。

なんてことを感じながらも、あくまでもエンタテインメント。笑いと泣きをテンポ良くおりまぜていく感覚はやはり時代劇というよりは現代劇の感じ。むしろアコースティックシアターよりも前の、若い頃の彼らの作品に近いのかもしれません。

まったく違うところから武家という世界に飛び込み、懸命にそこの住人であろうとする娘を演じた温井摩耶は、落ち着いて見える佇まいとは裏腹に甲高い声を多用した一杯一杯感が、コミカルと一途を併せ持つこの役によくあっています。演技かと思えばさにあらず、カーテンコールでもそのままイッパイな感じが親しみ。

粟根まこと・坂口理恵を配した「父親たちの世代」を、必要以上に軽やかな笑いをベースにした造形にしたのは違和感がないわけではないのだけど、裏切りだの斬り合いだので殺伐としがちな後半にもそれを崩さないことでリズムを与えているのも事実で。

筒井俊作の演じた旅芸人の親方は若い役者なのにこの深み、オッと思わせます。實川貴美子の演じた武家の娘も時代枠組みの中での女のあり方を丁寧に描いていて、時代の基準線を引いてる感じが、この役者の佇まいによくあっています。

チラシに限らず、当日パンフも舞台も青が実に美しいのです。新しい時代の息吹とか、先を見通すマナコの強さとか、熱い想いというよりは「先を」という感じをよくあらわしているなぁ、とアタシは思うのです。

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2007.04.26

【芝居】「ピンポン、のような(プレビュー)」時間堂

2007.4.25 20:00

2003年初演、主宰帰国後の第一作の再演。約90分、30日まで王子小劇場。

由緒正しきひなびた温泉旅館、幽霊が評判。卓球台のある場所は娯楽室ではなく目立たないバックヤードのような場所。次々と現れる女性同士の旅行者、友達を裏切って来たカップルが賑やかにする。作家は二ヶ月もここに居るのにまったく筆が進まない。彼にも秘密、編集者にも秘密なのに..

非日常、出会わない筈の人が出会う空間として設定したのは旅館。バックヤードとすることで実家のような緩い空間を併せ持つ不思議な雰囲気があります。天井近くに花があるのは、建て増しを繰り返した旅館の中の袋小路、半地下のような場所という感じで空間としての面白さは芝居が始まる前から。

女性3人のカシマシイ会話(今だと、グータンヌーボですか。昔深夜にやってた自転車キンクリートの3人が川べりで喋るだけっていう番組が好きだったのだけど)、あるいは過剰にいちゃつくカップル。そこに繋がりを持たせて豹変を描いたりしてシーンのおもしろさが続く前半。

正直な話、自分をどこの視座に置いて見たらいいのかを想いあぐねるのです。見てるものは華やかだし楽しいのだけど、客観より誰かの視線で見たいのに入り込めない感じ。書けない作家、その視点が芝居を俯瞰している構造にはなっていると思うのです。それならば作家の視点から見ている感じがもっと欲しい、と思ってしまうのです。劇中にも出てくる「情景の連続」という風に感じてしまうのです。

有名になったのに書けない作家、図々しい大ファンの女が書いた愚にも付かない小説は、全てがダメだと切り捨てながらも、今の自分には決して書けないイキオイという、単なる若さとは違うが戻れない何かに嫉妬する、というあたりがアタシは好き。男がピンポン球のように行き来してる感じもあからさまにはされないけど、ちょっと面白いのです。

役者は相当に魅力的です。雨森スウの歌の凄さにはちょっとびっくりします。足立由夏のテンションはじける瞬間に魅力、境宏子は役ゆえに笑顔が少ないのはちょっと寂しい。

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2007.04.25

ちゃんとちゃんと。

いえね、細かい伝票とかそういうものをきちんとやっておかないと、一つ一つは小さくても一日で全部が重なってとんでもないことになる、というか自業自得なバタバタになる、という一日。誰にも文句云えないよなぁ。初めてやってることだとはいえ。

それでも連休を心の糧にして。

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2007.04.23

【芝居】「マトリョーシカ地獄」クロムモリブデン

2007.4.22 18:00

溢れる音とイメージ。物語がシンプルな分、強みが引き立つ感じがします。90分、1日までサンモールスタジオ、そのあと大阪@in→dependent theatre 2nd。

万引きで捕まった女と捕まえた店員の男、他に誰も居ない事務所。女は怯え、男は惚れている。重い沈黙の中、それぞれの脳内で..

ネタバレかも。

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【芝居】「回転する夜」モダンスイマーズ

2007.4.22 14:00

バンカラっぽさの見た目の感じとは裏腹に鬱屈して踏み出しあぐねる感じがいい味。90分、THEATER/TOPS。

海辺の田舎町、高台らしい場所に立つ大きな家の部屋ー微熱が続く男の部屋。兄嫁が時折様子を見来る。家庭教師だった彼女が兄の結婚相手として再びこの部屋にやって来た時に何かが狂い始めたと考え、あのときの場面を..

どこかがさつで、バンカラな感じに反して、いい歳したのに、怖くて何にも踏み出せないナイーブさの同居が彼らの魅力。ナイーブさが強めで、バランスが非常にいい気がします。ハッピーエンドに近い終幕なのだけど、仲間たちの挫折が薬味のように苦みを残していて「大人と仕事」ってものを強く印象づけています。

高田聖子が新感線外に出る場合に、最近は笑いには殆ど走らず、影を持って落ちぶれた感のある役が多くなりがちで本作もその例に漏れません。が、彼女がいることで、主人公のナイーブさの原因が仕事だけではない奥行きを持ちます。

時間の離れた二つの場面を行き来するのだけど、あまり凝らずにシンプルに見せていて、混乱は最小限に抑えられるでしょう。違う選択肢を選んだ違う未来の姿を見せる感じは主人公の脳内シミュレーションのようでもあり。もっとも、主人公の知らない事実が明かされたりもするので、そういう意図で書かれたものではないという気もしますが。

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2007.04.22

【芝居】「別れても好きな人」競泳水着

2007.04.21 19:00

早稲田大学の学内劇団の大学内での(たぶん)最終公演は再演作。22日まで早稲田大学新学生会館B203、125分。

夫婦の部屋、妻が置手紙をして出て行く。残された夫、部屋には結婚を控えた妹がなぜか逃げてきて、それを追って婚約者、先生、同級生もやってくる。妹は天性と技巧でモテ技を知っていて、兄は変態気味ではあるけれど、妻のことが好きで。7年前の付き合い始めたころ、とか7年後とか。

前作の結構本格ミステリーからは全く違う、「エロサワ」を標榜する再演作。たしかに下品というよりはあからさまだったり赤裸々だったりするのに、愛情がちゃんと入っていて、それなのにウエットになりすぎず乾いている感じがします。会話のシチュエーション、兄妹の間であまりにあからさまだったり、仕事場でエロな話をしたりとありえないものばかりなのですが、そんなことはどうでもいい気がするのです。

3+1の時間を行き来する構成は、芝居を見慣れていれば大丈夫なのだけど、慣れてないとわけがわからないかもしれません。が、石原都知事の現在と、良純が都知事になった未来や、携帯はあるけど長話はイエデンにかけるとか、時代を意識させるように設定していて、どこの時代かはわかりやすいのです。

愛情の連鎖は、複雑な感じにみせますが、思い続ける気持ちはシンプルなのです。このシンプルな物語を時間を超えながら複雑に見せるのに、訳わからない感じにしないのはたいしたものだなぁと思うのです。

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【芝居】「オズ」ホチキス

2007.4.21 14:00

ホチキスの新作。アタシは初見です。125分。22日まで王子小劇場。

オフィスに早く着いてしまった女、いつの間にか寝てしまったようで、喋れるようになった飼い犬と共に、知らない場所で気が付いた。仕事に戻らなきゃと焦り、魔女に街に向かえば可能性があると言われ…

朝のオフィス、エレベーターに閉じ込められた男女が…

大きく二つの流れの構成。前半の殆どは女とオズの世界を描くのに費やされます。「うちに帰らなきゃ」というより「仕事に行かなきゃ」といい続けるヒロインの姿、その想いを描きたいということはわかります。その想いの強さを観客に受け取らせるのはかなり困難なハードルになるのは、仕事一本槍では生きていないアタシだから、なのかもしれません。

エレベーターの物語とオズの物語は終盤で少し交差します。状況を説明する役割鮮やかさを持って見せるのです。が、そこに「想い」をもっとみせなければ、と思うのです。 対面に作られた客席からは対話を横から見るシーンが多いのだけど、客席端では片方の表情しか見えないのが勿体無い気もします。

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2007.04.20

【芝居】「コンフィダント・絆」パルコ

200704191900

三谷幸喜といえば笑い。と思うのだけど、それとは少し違う雰囲気の新作。休憩15分の二幕、150分。

パリ、エッフェル塔建設途中(三丁目の夕日的な)が窓に見える部屋。画家が四人、共同で借りるアトリエ。モデルに来た女。泊まらない、払う、手を出さないと決まりを作り、それなのに恋心、楽しい日々。なのに
隠して描いていた絵をみた売れてる男は、才能の凄さに嫉妬し、それが手に入らないと知ると…

前半に限らず、笑いがない訳ではありません。が、シットコム的な構築された笑いではなく、「想い」に力点があります。それは人にたいしてだったり、場に対してだったり、絵を描くことに対してだったり、自分に対してだったりするのです。どちらかというと、男の嫉妬や裏切りの過程をきちんと描いているのです。

会社員なアタシは幸いにして、まだ正面切って才能や仕事に望みがないと言われたことはありませんが(自分では毎日、向いてないって思うけど)、自分が知らないだけで、いつか宣告されるのではという気持ちは常にどこかにあって。それをこんなにもストレートに見せられるのは自分が疲れていたなら耐えられない気もします。絆は何処かで繋がっているのでしょうが、こういうキリキリするような緊張感の場所に居たくはないのです。芝居で傍観しているなら、まったくオッケーなのですが。

女性を一人、視点としておいたのはわかりやすかったのです。観客の視座はここにあります。みんなに見られ、そして私はみんなを見ている360度囲まれてる感じをプロセニアムの舞台で感じさせる気がします。

とはいえ、3時間近い舞台は普通に楽しめまます。アタシは初見の堀内敬子は年齢も超えも自在な感じで、しかもほぼ出ずっぱりなのは大したものだし、アタシはすごく楽しい。中井貴一は得意技な感じ、生瀬勝久は笑いとシリアスを自在に行き来するのです。相島一之は人の良さそうな描写が安心。

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2007.04.18

暖かかったり、寒かったり。

冬はあんなに暖かかったのに、もう4月の後半なのに寒いのは、びっくりします。身体壊さないようにしないと、週末に遊べないですからね、GWももうすぐだし。

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2007.04.15

【芝居】「短篇集・不埒」中野劇団

2007.4.15 14:00

京都発の劇団、WebのCMサイトのアニメコントでも知られているらしい劇団の短篇コント集。友人の評判聞いて出掛けたら、当たりという嬉しいパターン。110分。アートボックスホールでの公演は2ステージで終了。

言葉のせいなのかどうなのか、微妙な力の抜け具合(3)とか、徹底したボケ倒し(2)(7)はどこかMONOに近い感じだったり。あるいは助詞助動詞の使い分けを「行く」と言う単語で下ネタに浴びせ倒す(8)も頭良さそうでちょっといいのです。旨く説明できないけど京都という土壌がこれを生むのかなと考えたりもします。

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【芝居】「T.E.S.」(G.O.D)神様プロデュース

2007.4.14 19:00

スタイリッシュが身の上。が、30歳を目前に、どうしていこうという迷いが味わいを持つ130分。15日まで、西荻窪がざぴい。

葬式に集まり、タバコを吸う友達。そのあとの一日、五人のそれぞれ。吃り、金持ちがトラウマ、バルポリ(必見。月曜までの限定とか)なる競技とか、書けない小説家、帰宅した夕方の空気。それぞれが挫折感を感じたとき届いた一通の手紙は...

最初に葬式、5人の翌日を描いて収束していく話。最初は意図がわからないので少々迷います。瞬発力やアドリブ力に強い彼ららしく、前半はオムニバス的です。当日パンフによれば設定だけが書き込まれた台本から、役者たちが作り上げたよう。劇団というシステムの強み。アタシの見た土曜夜は、病院のシーンでのアクシデントをちゃんと収束させる力。徐々に盛り上げる構成は見事です。反面、オープニングのスライド(つかパワポ)が長く続くのに引用(フェイクかも知れないけど)なのはかなり厳しい。作家の言葉が少しでも欲しいと感じてしまうのです。

5人の背景を描き、心に傷を負った彼らをもう一度集めた後半は若いのに10年前という昔を懐かしむような風合い。ここにもスライドがあって、過剰気味な言葉。凹むことが沢山、ソレを前向きに揃えて行くのは、主宰の宣言にも見えるのです。作家のつぶやきのような言葉を示すという意味でどこか鴻上尚史っぽさ感じもしますが、スライドで見せるのには、もう少し短い方が、あたしの感覚に合います。

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【芝居】「錨の矛先」劇団上田

2007.4.14 14:00

ほぼ素舞台で役者の熱気ある舞台。100分強。17日までサンモールスタジオ。

怪我でスーツアクトを下ろされた女、なにもかもうまくいかず沈み込む日々。海の底に沈みこむように見た夢は、女優としての成功。オーディションに受かって行った現場には、特殊メイクがもてはやされているが、実は会話劇に憧れる俳優がいて。映画は怒りを禁じた世界で怒りを内に溜め込んだ人々がいて…

男たちのパワフルが際立つ劇団なのですが、紅一点を大きくフィーチャーしているのは珍しいのです。アタシゃ男ですし、舞台が華やかになりますから勿論アタシは歓迎なのです。

結構真剣にファンタジーというか世界を構築していきます。紅一点の彼女の視点で語られていた物語はしかし、スルリと別の視点に変化します。あまりに目を奪われていたアタシはその乗り換えに少々遅れてしまったので足場を失った感もあります。今演じられているのがどの深さの物語かがわかりにくいのですが、それを意図的にぼやかして階層を繋いでいる気もします。

「イカリ」という言葉を複数の意味で使い分ける当たりのセンス、駄洒落と言えばそうなんだけど、ちゃんと意味が通るように作り込まれているのは正しいのです。

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2007.04.14

【芝居】「ジューゴ」チーム発砲B-ZIN

200704131900

15周年記念にして解散公演。きちんと「笑って泣けるヒーロー物」というコンセプト通り走り切ったのはたいしたものなのです。100分ほど。29日まで本多劇場。そのあと大阪、つくば。

特殊ゴーグルで意識を仮想空間に送り、撃ち合いするアトラクションゲーム。そこで働く妹を連れ戻しに来た兄。突然、空間は大きく揺れ、外部との通信も途絶える。仮面にマント姿の謎のプレイヤーに現実世界に戻るリセットの手立ても奪われ…

脚本が遅いと言われ続けている作家ですが、ここ数本は役者の力も含め安定している気がします。今作、初日時点でもちゃんと大丈夫。

「笑って泣ける」を謳ってきた彼らの集大成。派手なアクションや仕掛けは抑え、シンプルなセットで想いや意志を細かく描く流れ。仮想空間ゲームなどの道具だてや謎の設定などは彼ららしい感じがしますが、アクションやオチの凄さよりは、人間たちの小さな会話や味のある演技に強みがあります。芝居が小さい感じもあって、疾走感には欠ける気もしますが、10年ほど付き合ってきたアタシも彼らも歳とったなあ、ということなのかもしれません。

初日は客も役者も距離を測り兼ねます。ましてや解散公演。しかし、客席はオープニングの劇団の出囃子(あれはなんと呼ぶのだ、オープニングテーマか)で拍手して待ちわびます。役者たちも波を掴むのに少し時間がかかります。徐々に暖まる客席。ちゃんと組み立てられていく想い、役者たちのキャラクタを生かした楽しさもそこかしこに。劇団としての強みをみせたのは西ノ園達大が中央で(やや説明のセリフを)言い淀んだ瞬間。舞台に居たほとんどの役者がそれを拾い、ギャグにし、元の物語に戻す力。彼もその後は何事もなかったかのように繋ぎます。ちゃんと知り尽くしているから、何が起きても怖くないという強固な繋がりなのです。

ややネタバレかも。

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2007.04.11

べつやくメソッド、ひろがる。

先週ネタにしたのですが、世間では(どんな世間かはさておき)流行ってるのですねぇ。この一週間のアクセスのうち、検索ワードで飛んできたのは691件。そのうち「べつやくメソッド」は210件で30%を締めています。うあ。

文章ではなく、簡潔にメッセージや分析を伝える方法として「箇条書き」というのはいい方法なのですが、そこに重みをつけるというのがこの方法の強みなのかなぁと思います。こればっかりじゃ飽きるけど、一枚で「感想」か「主張」を伝える方法としては良くできています。やっぱりCoRichあたりに実装されると面白そうなのですが、ネタというかふざけた感じに走らせがちなところが問題ですね。(あ、アタシの問題か)

たとえば芝居の感想にも使えそうです。(HeartRails Graphを使った例です)...が、WebAPIでやろうとしたら結構大変だぁ。図で貼った方が楽ですねぇ、これきっと。tableタグ手打ち久し振り..

シスカンパニー「写楽考 G-up「アリスの愛はどこにある 乞局「媚励

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ケイタイアクセスが出来るようになりました。

blogサービスとしては相当に遅い方だと思うのですが、やっとこさココログが携帯電話からの閲覧に対応しました。やたらに記事数が少なかったり、トラックバックの表示が出来ない(確かに意味はないんだろうけど)など不満は一杯あるのだけど、出来るようになったことは素直に嬉しいです。

右側の一番下のところ、にQRコードを置いてみました。

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2007.04.09

【芝居】「媚励(ビレ)」乞局

2007.4.8 19:30

喪服割引など気持ち悪い感じ満載の乞局の新作。作家の結婚は、珍しく平和な物語に結実するけど、それは今までの乞局を見てるから。初見ならそれなりに覚悟してからの方がよろしいかと。15日までアゴラ劇場。

財閥が持っていた屋敷。三階建ての二階のピロティ。一階に住む家主の娘たち、長女はヒステリック、三女は昼酒、次女は家を出て仕事。三階は女性限定で貸していて、男を連れこんでいたり。部屋を見に来た女、ホモだと思われている管理人。家を守るための保存会もあるが、復興の時のオコボレを期待して…

ある意味閉塞するコミュニティ。911以降しばらく溢れていた題材ではあるのですが、本作ではちょっと雰囲気が違います。男の管理人が女性だけの入居者の下着の洗濯や、近所から酒をもって訪れる主婦など生々しい気持ち悪さと、そうせずには居られない屈折した気持ちを丁寧に描きます。決して誉められたことでない感情や性癖を冷徹でも笑いでもなく、どこか暖かい目で見ているというのが作家の本領発揮なのです。 この閉鎖された中では平和な日々が流れているのですが、外から見れば明らかにおかしな空間なのです。

覚悟してしまえば、全体的に見やすい舞台です。照明も明るめになっているし、見えないこともそうないし、役者はかなり充実している贅沢な布陣なのに余裕綽々なんてことはなくて、目一杯に試行錯誤している感じがして見応えがあります。セミドキュメントをみているような、というと言い過ぎですが、普通はあり得ない言動を、芝居がかってない感じで作り出すことの難しさにきちんと向き合っている印象があるのです。

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【芝居】「アリスの愛はどこにある」G-up

200704081400

プロデュース形式の公演を行うG-upの公演。130分。新宿FACE(聞けば、元・リキッドルームだとか)公演は終了。

21歳の誕生日を迎えた女。絵本作家の恋は仕事終わらずなかなか来られない。姉に預けて送られたプレゼントは彼女だけの為に書かれた絵本だった。
気がつくと謎めいたウサギ男がいて、物語からこぼれ落ちた人物の代役を女に頼み強引につれていき、その物語世界での役割を果たしたら戻っていいという。女に言い寄る浮気性男とそれに尽くす女、何もかも、恋愛すら禁止する女王もいて…

広さのわりに低めの天井、四面囲みの客席。舞台も広く、文字どおり走り回っての熱演。ここのプロデュースは役者を力業で大量投入することが多くてその意味では見応えがあります。反面、どこか平坦というか長く感じるところはあるのです。また、まるでコントのように入れられた音はやり過ぎな印象もあります。観客を信用していないか、あるいは舞台じゃない何かのプロデューサ向けに作ってるというか。

正直に云うと、北側後方に坐ったアタシは、後半はあまりの暑さに気を失いかけながら見ていました(今日は暖かかったからかもしれません)。席間には余裕があるし、それほど暑くはならない気もするのですがかなり厳しく。客席に持ち込めないのにドリンク付きというのも意味を量りかねますが、終演後でも同じチケットが使えるので、結果的に助かりました。

ハッピーエンドなんか嫌いな女が物語世界を不幸にしてしまう「役割」を果たすところから、その否定に進む終幕は鮮やかです。アリスと母親、父親の影を構造として見せるのも素敵です。アリス自体を読んだことはないのだけど、不幸だと嘆きシニカルになってしまうという描き方をしているといえば、遊◎機械全自動シアターの「独りの国のアリス」(1995)、「クラブオブアリス」(2002)あたりが思い浮かびます。そうか、年齢を重ねてしまうとアリスでなくなってしまうという印象か。本作においては、ハッピーエンドに落とし込むように作られていて、物語は確かな力を持っていて、役者も魅力的なのと相まって安心できるわけですが。

楠見薫は楽々とこなしてるぐらいで勿体ない感じ。桑原裕子はすこしひがみっぽい役をやらせると抜群にいいのだけど、大人っぽさもかいま見えて。田中あつこはイノセントな感じが印象的。新谷真弓はおかしな動きとかわいらしさが同居する不思議な感じ。

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2007.04.08

【芝居】「写楽考」シスカンパニー

2007.4.7 19:00

力強い物語と実力ある役者が強いシスカンパニーの舞台。矢代静一の原作を、鈴木勝秀の演出で初の和もの、という触れ込み。 120分。29日までシアターコクーン。

正体不明の絵師、写楽を語る十返舎と名乗る男の語る物語。売れない絵師たちの長屋。兄弟子の勇助(歌麿)は悩みながらも日々絵の修練に暮れる。 弟弟子の伊之(写楽)はどちらかというと遊びほうけている。年増女に飼われて、赤ん坊を押しつけられ、その末期に居合わせてしまったがために大きく歯車が狂っていく。

役者に何一つ不安がないという安心感。 チケットは安くはないけれどクオリティを保ってくれるのです。 大きな絵を三枚上下させ、舞台奥からと下手側からセットをスピーディーに出し入れする構造。長屋のシーン以外は実にシンプルでほとんど物がない舞台で、研ぎ澄まされたかっこよさがあります。

高橋克美高橋克実が実にいいのです。笑い少なめの舞台の中で、クスリと笑う要所要所の場面を確実にモノにしていて、一本調子になりがちな舞台の緩急がついています。 キムラ緑子の深い業のような色気は狂気をまとっていて、年増女の押しの強さも印象的で気持ちに残ります。

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2007.04.07

【芝居】「チチキトクサクラサク」うさぎ庵

2007.4.7 15:00

青年団リンク・うさぎ庵の新作。95分。9日まで春風舎、その後青森。

深夜の銀座、タクシーが載せたホステスは、突然、シモキタに行って欲しいという。東北自動車道のずっと先の。

舞台奥から道のように広がって手前に伸びる舞台。シンプルに椅子を並べただけでタクシーの車内に見立てて進む話。ホステスと運転手の会話はやがて二人それぞれの物語になり、時間も空間も自在に前後しながら進みます。

運転手の別れた妻と6年会ってない娘、一緒に暮らしている韓国人の女。ホステスの過去の男。チチキトクの報は本当なのか、ないまぜに語られるうちに運転手の物語に感じられるように。

二人の物語を描くうちに何かの化学変化が起きて欲しい気もするのだけど、そうはならなくて、ちと不思議な手触りの独白を聞いているような印象なのです。

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【芝居】「紅の舞う丘」風琴工房

2007.4.6 19:30

80年代に起業した化粧品会社の女性社長と、その会社の物語。女性達の20年前のいくつかの姿を書き分ける作家。面白かったです。11日までスズナリ。120分。

素舞台のような場所、上がってくる二人の女。大手化粧品会社を辞めて会社を起こす気満々の女と、その先輩(だが専業主婦)。仲間達は集まり、研究員を3人、総勢5名(+押しかけ社員1名)でスタートする。肌に悪いものを徹底的に排除し、防腐剤をゼロにするための研究は続けていても、モノにならない。倒産の危機が迫った時に出てきたアイディアは

既に組織のできあがっている会社でしか働いたことのないアタシから見ても、明日をも知れない感じではなくむしろ大企業の1セクションのようで、むしろあり得ない感じを受けてしまったのも事実なのですが、それは大した問題ではない気がします。時代や業種や規模が違うのだからもしかしたらアタシの思いこみかもしれません。お金の問題はありますが、「遺産が」という一言で少々強引でも片付けられてしまえば、客としてはそこを突っ込む理由はありません。

取材を重視する作家らしく、たとえば「薬学と化学の違い」(薬学は治癒が最重要)や、モノを作り売る人々の情熱など、「プロジェクトX」的な力強さがあります。反面、一つのモデルから組み立てず、切り貼りと創作で作られているためにリアルっぽさには欠ける印象もあります。それは悪いことばかりではなくて、ぶっ飛んだキャラクタが出てくる面白さがアタシは好きなのですが。

組織を維持するという点で、作家には主宰の視点も見え隠れします。作る人だけではなく商品を売ってくれる人、売るための方策を考えてくれるひとなど、さまざまな人が、しかし壁を作らずに働いているという小さな組織と情熱への強い愛情を感じます。

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2007.04.02

べつやくメソッド

4月といえばエイプリルフール、Impressが毎年やっている嘘ニュースはかつてのAh!SKIの香りを色濃く残すパロディ版。今年のネタの一つにあったのは「ニュースの本文を円グラフひとつで表すべつやくメソッドの導入」もとのネタは、niftyのコンテンツ、「デイリーポータルZ」の記事なのです。可愛らしいイラストと馬鹿馬鹿しいネタで人気のライターなのです。

で、芝居好きが集まるここで気づいたあなたは、さすがです。

四月になりました。アゴラの支援会員、王子の会員に申し込みで走り出す一年なのです。

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【芝居】「癖」メタリック農家

2007.4.1 19:00

葛木英が主宰するメタ農の新作。物語や語り口がすっきり見やすくなっていて、作家の伝えたいことがダイレクトに感じ取れる気がします。95分。3日まで劇場MOMO。

不倫の末、医者の男の家に居る女。その家に転がりこんで来た女はその幼なじみで、闘いを挑んだり、交換日記したり。

第一期の集大成だという当日パンフの言葉通り、明るくはないけれどきちんと描き込まれたエンタメとして出来ている感じがします。混乱しがちな人称(視点)も整理されていて見やすいのです。 「親友」との交換日記などの女子中学生のアイテムで描かれる姿は舞台上方でお喋りするOLの姿、つまり外部からの評価に左右される姿としてにステロタイプに描き出されます。確かにそれは「オンナ目線」の物語や空気。物語そのものではないのだけれど、女性同士が感じるであろう「面倒くささ」を感じさせるには十分なのです。(いや、アタシにはもちろん実感ないわけですが)

過剰な装置(仕掛け)は彼(女)らの持ち味。凝りすぎてたまにおかしなことになったりもしますが、この振れ幅はやりたいことがあって、そこへ到達する術を探している最中なのだとアタシは信じています。

以下ねたばれ。

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2007.04.01

【芝居】「サボテンの花」キャラメルボックス

2007.4.1 14:00

キャラメル初という音楽劇。120分。シアターアプルでの公演は終了。

小学校の卒業研究として大人たちの反対を押し切って1組が選んだのは「サボテンの超能力」についてだった。自信をなくした担任に変わって定年間近の教頭が課題を推した責任をとって担任を引き受ける。発表会の日、壇上の子供たちはサボテンの特殊な力をプレゼンしようとするが…

近年存在感を増す原作付きのシリーズ。いくつかの書き足しはあるようで、それを更に音楽劇という形式にしています。 何度も出てくる「ナッシング・ベンチャー、ナッシング・ウィン」などいくつかのいい曲はありますが、音楽劇と名乗ってしまったがために歌う曲が多く、物語の流れを寸断してしまう感じがするのはかえって勿体無い気も。

学校や教師たちに強い想いを持つ彼ららしく、学級崩壊という現象には強いバイアスがかかっていたりします。

一方で定年間近の男の熱さや若い教師への歯がゆさなど、キャラメルも年齢を重ねたなあと思わせるところも見えかくれします。物語の要請からか、静かに酒を呑むざるをえない人のありようを正面から物語に肯定的に取り込んだというのはアタシの知る限り初めてで、外部原作のメリットかとも思います。

意識したのかどうか、サボテンの超能力の証拠を見つけられなかった子供たちが「捏造」に走ったのも結果的にはえらくタイムリーな題材。

西川浩幸は年齢を重ねた教頭を好演。安定と確かな力を見せつけます。 渡邊安理は想い続ける静かな力強さが魅力。小学生より幼く見えてしまうのは彼女せいではありませんが、ちと厳しい。 コング桑田は圧倒的に安定した歌なのだけど、毒でもオカマチックでもないという役は、手足を縛られたような感じ。もっとも細かい笑いなど、転んでも只では起きない感がアタシは好き。

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【芝居】「お彼岸の魚」ニットキャップシアター

200703311900

京都の劇団、ニットキャップシアター初の四都市公演。95分、1日までOFFOFFシアター。アタシは初見。

呼び出されて10年ぶりに帰って来た実家の団地、母親の行方は知れず、次々と消える人々。謎のボタンが残っていたりする。消える訳などないのに…

サスペンス仕立てに見える前半なのだけど、そこかしこに見える綻びやおかしな景色。静かな会話劇だと思っていると、微妙に笑いもあったりと一筋縄ではいかない一種の「くさみ」があります。最初は違和感があっても、好きになってしまったらかなりはまってしまうような。

思い出は体験したからこそ自分のものであり、人に譲れないものという一方で記憶の不確かさ加減が緩やかに繋がり、確実に空気を作ります。

あるいは音の世界だけになって研ぎ澄まされ、想像を語るあたりもちょっといいのです。

が、俄然凄いのは終盤。まるでビデオドラッグのように繰り広げられるポップでマンダラ模様のような繰り返し。芝居で過剰な繰り返しをすることにはメリットよりもデメリット(眠くなっちゃうのです)を感じるアタシですが、ポップさや絶妙な長さに抑えられていることなど、アタシにも楽しめる感じが楽しいのです。

長沼久美子が抜群にいい感じ。かわいらしさも確かさも、何より終幕の弾け具合が楽しいのです。

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