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2007.04.09

【芝居】「アリスの愛はどこにある」G-up

200704081400

プロデュース形式の公演を行うG-upの公演。130分。新宿FACE(聞けば、元・リキッドルームだとか)公演は終了。

21歳の誕生日を迎えた女。絵本作家の恋は仕事終わらずなかなか来られない。姉に預けて送られたプレゼントは彼女だけの為に書かれた絵本だった。
気がつくと謎めいたウサギ男がいて、物語からこぼれ落ちた人物の代役を女に頼み強引につれていき、その物語世界での役割を果たしたら戻っていいという。女に言い寄る浮気性男とそれに尽くす女、何もかも、恋愛すら禁止する女王もいて…

広さのわりに低めの天井、四面囲みの客席。舞台も広く、文字どおり走り回っての熱演。ここのプロデュースは役者を力業で大量投入することが多くてその意味では見応えがあります。反面、どこか平坦というか長く感じるところはあるのです。また、まるでコントのように入れられた音はやり過ぎな印象もあります。観客を信用していないか、あるいは舞台じゃない何かのプロデューサ向けに作ってるというか。

正直に云うと、北側後方に坐ったアタシは、後半はあまりの暑さに気を失いかけながら見ていました(今日は暖かかったからかもしれません)。席間には余裕があるし、それほど暑くはならない気もするのですがかなり厳しく。客席に持ち込めないのにドリンク付きというのも意味を量りかねますが、終演後でも同じチケットが使えるので、結果的に助かりました。

ハッピーエンドなんか嫌いな女が物語世界を不幸にしてしまう「役割」を果たすところから、その否定に進む終幕は鮮やかです。アリスと母親、父親の影を構造として見せるのも素敵です。アリス自体を読んだことはないのだけど、不幸だと嘆きシニカルになってしまうという描き方をしているといえば、遊◎機械全自動シアターの「独りの国のアリス」(1995)、「クラブオブアリス」(2002)あたりが思い浮かびます。そうか、年齢を重ねてしまうとアリスでなくなってしまうという印象か。本作においては、ハッピーエンドに落とし込むように作られていて、物語は確かな力を持っていて、役者も魅力的なのと相まって安心できるわけですが。

楠見薫は楽々とこなしてるぐらいで勿体ない感じ。桑原裕子はすこしひがみっぽい役をやらせると抜群にいいのだけど、大人っぽさもかいま見えて。田中あつこはイノセントな感じが印象的。新谷真弓はおかしな動きとかわいらしさが同居する不思議な感じ。

G-up「写楽考」
2007.4.4 - 4.8 新宿FACE
作 ほさかよう 演出 板垣恭一
出演 楠見薫 新谷真弓(NYLON100℃) 高木稟 小林健一(動物電気) 桑原裕子(KAKUTA) 森岡弘一郎 辰巳智秋(ブラジル) 瀧川英次(七里ガ浜オールスターズ) 多根周作(ハイリンド) 中谷千絵(天然工房) 桜子 小宮山実花 田中あつこ(バジリコ・F・バジオ) 櫻井麻樹 山村秀勝 熊野善啓(チャリT企画) 竹岡常吉(PMC野郎) 矢田一路 弓削智久

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