【芝居】「きみをあらいながせ」COLLOL
2007.3.9 20:00
原作の断片のコラージュにオリジナルの小さなシーンを挟んだCOLLOLのスタイルを「銀河鉄道の夜」で。80分強、13日まで王子小劇場。昼公演も含め連日トークショーを設定(30分ほどか)。
銀河鉄道の夜(青空文庫)から、各シーンを抜き出し。順番を変えたり繰り返しなどしながらも、主要な部分のテキストは拾ってある感じがします。その合間に友達二人で花火を眺めるシチュエーションの会話のバリエーションをいくつか。
テキストはわりとまんべんなく拾ってあるとはいえ、物語を追うということは難しい気がします。これからご覧になるのならば、青空文庫ででもざっと読んでおくと楽しめると思います。
「銀鉄」のテキストの中で力点があるのは「家」(家で待つ母親に牛乳が届いてないことを気づいて取りに出かける)にあります。オーソドックスな病床に伏せってるものや、PCに向かってるとか、逆に元気いっぱいな感じだったりと、ジョバンニと母親の会話をテキストにはあまり手を加えずにいくつものバリエーションに展開します。トークショーによれば、田口アヤコがこの物語を母親との話と解釈していたり、自分の母親を亡くしたことなどに起因してるのだそうで、いわれてみれば、ここに力点を感じます。
アタシがいいと思うのは、加えられたテキストのシーン。花火を眺めるというシチュエーションで、男×男、女×女、男×女などいくつものバリエーションになっていきます。ひとつひとつには大した物語があるわけではなく、ゆるい感じの「空気感」が作られるだけなのですが、過去2回も含めて、この空気感がアタシは好きなのです。もっとも、これだけでは物語が形成できるわけはなく、テキストを持ってくるということになっているのかもしれません。このテキストを聞き続けたいと思ったとしても、やはり物語がアタシは必要なので痛し痒しではあります。
個人的には芝居の優劣に関係なく、短いシーンを芝居で「繰り返すこと」という意味はよくわかりませんし、どちらかというと苦手です。作演によれば、繰り返すことによって観客の中に蓄積していく何かがあふれ出す瞬間を作りたいようです。繰り返されるシーンに何かの思い入れや、関連する感情があれば、このあふれ出す瞬間を作り出すことができるのかもしれません。
全体はほぼ素舞台。対面構造にしているおかげで客席も影がないのはメリット。中央にそびえ立つ装置は、劇作上必要なものなのでしょうが、真横に坐ると形状が見えないので、これからご覧になるのならば、少しずれたあたりを。
COLLOL「きみをあらいながせ〜宮澤賢治作「銀河鉄道の夜」より」
2007.3.9 - 3.13 王子小劇場
作・演出 田口アヤコ 原作 宮澤賢治
出演 大倉マヤ(マヤ印) 谷口真衣 木山はるか 八ツ田裕美
朝比奈佑介 吉田ミサイル(吉田ミサイルの世界) 笹岡幸司(進戯団 夢命クラシックス)
田口アヤコ 甲斐博和(徒花*)
大木裕之
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