【芝居】「ぬけがら」横浜未来演劇人シアター
2007.2.10 14:00
舞台芸術家を育成しようというプロジェクトの旗揚げ。文学座が2005年に上演した岸田國士戯曲賞の「ぬけがら」を140分で。溢れる想いを緻密に見せながらも、エンタメ的に楽しかったりして、時間の長さを感じさせないのはさすが。12日まで相鉄本多劇場。これからご覧になるならばやや上手側の方が見やすいかも知れません。(下手側の見えづらい席は潰してありますが)。
母親が亡くなった数日後。認知症気味の父親と息子。浮気がきっかけで仕事を失った息子に愛想を尽かし、妻は離婚届へのハンコを迫る。蝉の鳴き声がうるさい夏の日、父親が若返って..
ハチャメチャSF的なあり得ない枠組みを物語の外側に持ちながら、若返っていく過程がまるで退行療法のように想いが深化していきます。観客も同じようにその時間の流れの逆行に身体を任せながら、取り込まれていくのです。記憶は残りながら姿と考え方だけは若返っていくというのはある意味タイムスリップものなのだけど、それがずらりと並んで示されることで、まるで四次元から三次元の世界を覗いているような不思議な感覚にとらわれます。
父親の姿を主軸なのは間違いないのだけど、アタシ的なツボは、妻と浮気相手の対峙するシーン。ことさら声を荒げたりはしないのだけど、ものすごい火花が散ってるようなスリリング。ノースリーブにするというだけで、こんなにも色気を見せることが出来るというのがこんなにも効果的に。おもねる感じだったり、憤慨する感じだったりと変化自在で楽しめます。
老若男女を問わず、舞台を見慣れない人でも楽しめること請け合い。なんせ前売りなら2000円です。 横浜で立ち上げられた舞台事業、さまざまな企みがあるようですが、最初がこのクオリティ。楽しみなのです。
横浜未来演劇人シアター「ぬけがら」
2007.2.8 - 2.12 相鉄本多劇場
作 佃典彦 演出 寺十吾(tsumazuki no ishi)
出演 岩本幸子(イキウメ) 小林正和 高村圭 山口雅義
今井勝法 五十嵐恵美 櫻井麻樹 嶋崎諭 中野麻衣 永井若葉(ハイバイ) 浜田貴也 望月大成 安田亞希子 吉村公佑
| 固定リンク
「演劇・芝居」カテゴリの記事
- 【芝居】「オーロラのコメッツとアトミックハーツ」沸騰100g(2024.11.11)
- 【芝居】「蛍の棲む水2024」経帷子(2024.11.11)
- 【芝居】「ノーと言えない」超時空劇団 異次元中毒(2024.11.09)
- 【芝居】「座敷オトコ」蒼天の猫標識(2024.11.09)
- 【芝居】「百万年ピクニック」月灯り(2024.11.02)
コメント