【芝居】「バズノーツのマクベスPPR」バヅノーツ
200701041930
ずいぶん前に旗揚げしながら、5年目にして第一回公演。110分。7日までアゴラ劇場。
基本的にはマクベスのテキストからエッセンスを取り出しています。ポイントは演出にあって、舞台外側に紙の束がつり下げられています。役者は自分で、あるいは他の役者が紙を一枚千切り、そこに書かれている役を演じるという趣向。
舞台の外の物音に怯えてみせたり、舞台として設えた平台が撤去されていったりといった演出を通して、役者が役を演じている(=平台上に居る)状態と、素の(=平台の外側に居る)状態の両方を見せ、更に素の状態が客席(=観客)と同じ高さであることを繰り返し見せていきます。マクベスが人生が舞台上の出来事であると言ったのと同様の構造を、もう一段、舞台と客席の間に作りだしていくのです。物語もほんの少し手を加えてあって、王殺しの連鎖を強調するために終幕に創作を追加しているようです。
正直な話、マクベスの物語を知らないと、ちょっと厳しい気はします。当日パンフにはごく簡単なあらすじの記載があって、親切だとは思います。が、断片の切り取り方がストーリーよりも上記のような構造を見せることに主眼があり、断片の会話が実は重要なのでもう少し細かい解説が欲しいところ。
役者の動きを見ているという意味では巧いなぁと思うし、切り取られたダイアログもいい感じではあるのですが、何かが起きそうなことを期待させる「ニオイ」がぷんぷんしていて、その期待感が大きすぎるのか、アタシは全体が少し長く感じたり、もっと破壊的なパワーの何かが起こると勝手に期待したところはあります。が、物語を構造に反映させる作業を実に丁寧にやっているなぁと思うのです。
(1/7追記)◆ 実はもう一つフェイクがあって、クレジットされてる役者は23名なのに、お詫びの紙がはさまっていて、役者が4名しか出演していません。トークショーでの作家の説明によれば、多くの役を少ない役者が「するざるを得ない」状況を作り出しているように見せるための、最初からのフェイクなのだといいます。そういわれてよく見れば当日パンフでの今後の予定での、フェイクの役者たちの劇場名がけっこう無茶苦茶だったりします。
| 固定リンク
「演劇・芝居」カテゴリの記事
- 【芝居】「夜明けのジルバ」トローチ(2025.03.08)
- 【芝居】「ユアちゃんママとバウムクーヘン」iaku(2025.03.01)
- 【芝居】「なにもない空間」劇団チリ(2025.02.27)
- 【芝居】「Come on with the rain」ユニークポイント(2025.02.24)
- 【芝居】「メモリーがいっぱい」ラゾーナ川崎プラザソル(2025.02.12)
コメント