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2007.01.28

【芝居】「私はだれでしょう」こまつ座

2007.1.27 18:30

二度の初日延期を経て上演中の井上ひさしの新作。終戦直後のNHKの一室、ラジオが中心にある時代、人を繋ぐメディアの中の人々の話は、確かにこれも日本の一つの「ラジオ・デイズ」。休憩15分を挟んで3時間20分。2月25日まで、紀伊國屋サザンシアター。

終戦の直後、占領下の日本。日本放送協会の脚本班分室と放送用語調査室の間借りしてる一室。始まったばかりの「尋ね人」という番組は戦争で生き別れた人の投書を紹介することで聴取率90%。メディアはGHQの監督下にあり、全ての番組は許可がなければ放送されない環境。ここを訪ねて来た男は記憶を失い自分が誰かを捜して欲しいとやってきた。

井上ひさしと戦争がリンクすると強い主張やイデオロギーは出てきますし主張もあります。自分が誰かわからない男を登場させて、「自分がどうあるべきか」を考えるべきなのだといい、市井の人々の努力と想いが積み重なっていって大きな力になるのだ、とか。

物語は決してハッピーエンドというわけではありません。検閲にかかわる厳しい現実は拘留者まで生み出してしまいます。が、これが暗い話にはならないのは、役者たちの力だ、と思うのです。

初日がずいぶん遅れたとはいえ、思ったよりは芝居としてはちゃんと成立しています。が、仕上げるだけで精一杯な感じもしていて、冗長に感じます。ここから、もっとそぎ落として、ぎゅっと濃縮した芝居になるといいなぁと思うのですが。

浅野ゆう子はテレビの人という印象が強い女優ですが、落ち着いた役をきっちり。梅沢昌代は少々くどい感じはあるものの、小気味よく物語全体のリズムになるにはこれぐらいあったほうがいいのかも。川平慈英は役者としてもこの中では異質ですが、役もかなり現実離れした部分を一気に背負っています。確かに彼にしかできないような役で、重くなりがちな芝居を軽やかにしているのです。

こまつ座「私はだれでしょう
2007.1.22(14日から延期) - 2.25 紀伊國屋サザンシアター
作 井上ひさし  演出 栗山民也
出演 佐々木蔵之介 浅野ゆう子 川平慈英 北村有起哉 梅沢昌代 前田亜季 大鷹明良
ピアノ演奏・朴 勝哲

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