【芝居】「銀髪」ひょっとこ乱舞
200701281800
ひょっとこ乱舞2004年作品の(チラシによれば、リベンジ)再演。休憩10分含む170分。吉祥寺シアターでの公演は終了。
世間が通称の「小泉」元号に慣れたころ。わざわざ依頼してエレベーター閉じ込まれや痴漢被害や拉致モドキをする人々をターゲットにしたパニックビジネスをする若者たち。潰れたラーメン屋のアルバイトたちが始めた会社(踝コンドル=クルコン)は、銀髪の男が才覚を発揮し、ネットでリアルの一人追い回すをようなネットの動き、フラッシュ・モブがムーブメントになった流れにも合致し、本格的に違法スレスレのビジネスが廻り始める。
対抗する被害者も連携しはじめたころ、企画された巨大なイベント。行為を見せたがるカップルと見たがる人々が鳥合に集まり緊張が高まる。が、クルコン内部も分裂していて…
ネットのビジネスを脱法スレスレで大きくするベンチャーの姿(ホリエモンよりは大分スマートだけど)、ネットコミュニティの無責任な面白がりで被害受けるということを物語のベースにしながら、産むこと育てることへの想いが幾重にも重なっていく骨太。最近見始めたアタシには見せたいシーン優先で物語が後手に回るのが彼らの弱点だと感じていたのですが、此処には、語りたい物語、少なくとも想いがあると感じるのです。
子供が欲しいこと、何かを残したいと思うこと、それがインモラルな方法だったとしても突き動かされる彼ら。あるいはそれが面倒だと思う人々もいたり、それがメディアに載せるコンテンツに過ぎないと思っている現在ありかたが混然として示される感じ。女の所に通う男の台詞、「了解したらそれはセックスしたことになるのだから」というあたりの感覚の鋭さが好きです。
看板役者、チョウソンハに圧倒的に力があるのは彼らの強み。確かに圧倒的な存在感と動き。彼に刃向かえる男優を客演の実力派二人(板倉チヒロ・倉田大輔)を招き、がっぷりと組むことでスリリングな仕上がり。三つのキャスター(車輪)を持つ三角形の台車以外には装置のない舞台はスピード感のあるシーンでは効果的。役者の多さも二つほどあるダンスにパワーを与えます。
反面、この時間の長さはもう少し頑張れる気もします。たしかに削れるエピソードは皆無だし、密度は高いのだけど、会話のシーンはもっとシンプルでも通じる気がするのは素人考え、でしょうか。
ひょっとこ乱舞「銀髪」
2007.1.24 - 1.28 吉祥寺シアター
作・演出 広田淳一
出演 チョウソンハ 伊東沙保 橋本仁 中村早香 西光カイ 笠井里美 加茂みかん 金子優子 高橋恵 草野たかこ 松下仁 泉光典 根岸絵美 香西南里 長谷川せい 木引優子 遠藤友香理(劇団ひろぽん) 小杉美香(チャリT企画) 橋爪玲奈 泉谷康介 小寺悠介 猪股直樹 森田義朗 菅原達也 山森信太郎 小野野球 コスゲヒロシ 大湯純一(東京タンバリン) 倉田大輔(国民デパリ) 横山大地(地下空港) 板倉チヒロ(クロムモリブデン) 広田淳一
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