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2007.01.31

のだめ、アニメ。

mixiの方に書いたですが、ぼちぼち賛同いただけたりしたので、調子に乗って転載しちゃおう。手抜きとも云いますが。

ドラマ版の「のだめ」というのは、大変なモノを作ってしまったのだなぁと思うのです。

ジャニタレ主役で(ストーリーを変えてまで)やろうとしたTBSが作者の逆鱗に触れて失敗し、半年後にフジテレビが作ったドラマ版は音楽に関してはクラシックへの敬意が隅々まで行き渡り、漫画的なギャグはCGまで使ってきっちり笑わせ、ラブストーリーとか家族の話というところは人間がやるドラマはさすがに強くて。

結果として、あんなに印象的なものが出来てしまったんじゃないかしら。

で、深夜枠とはいえアニメ版。 ちゃんと忠実、絵柄もいいし、テンポも声優もちゃんとしてる。

でも、あまりにドラマの役者が凄すぎた。絵柄の向こうに上野樹里、玉木宏などなど見えてしまう。

でも、一番良くないのはオープニングやエンディングをポップスにしてしまったことじゃないかと思うのです。ドラマにはあったのに、そこに敬意がないことが見えてしまう。そういうやり方はないのじゃないのか、SME。

週末。

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2007.01.29

【芝居】「銀髪」ひょっとこ乱舞

200701281800

ひょっとこ乱舞2004年作品の(チラシによれば、リベンジ)再演。休憩10分含む170分。吉祥寺シアターでの公演は終了。

世間が通称の「小泉」元号に慣れたころ。わざわざ依頼してエレベーター閉じ込まれや痴漢被害や拉致モドキをする人々をターゲットにしたパニックビジネスをする若者たち。潰れたラーメン屋のアルバイトたちが始めた会社(踝コンドル=クルコン)は、銀髪の男が才覚を発揮し、ネットでリアルの一人追い回すをようなネットの動き、フラッシュ・モブがムーブメントになった流れにも合致し、本格的に違法スレスレのビジネスが廻り始める。
対抗する被害者も連携しはじめたころ、企画された巨大なイベント。行為を見せたがるカップルと見たがる人々が鳥合に集まり緊張が高まる。が、クルコン内部も分裂していて…

ネットのビジネスを脱法スレスレで大きくするベンチャーの姿(ホリエモンよりは大分スマートだけど)、ネットコミュニティの無責任な面白がりで被害受けるということを物語のベースにしながら、産むこと育てることへの想いが幾重にも重なっていく骨太。最近見始めたアタシには見せたいシーン優先で物語が後手に回るのが彼らの弱点だと感じていたのですが、此処には、語りたい物語、少なくとも想いがあると感じるのです。

子供が欲しいこと、何かを残したいと思うこと、それがインモラルな方法だったとしても突き動かされる彼ら。あるいはそれが面倒だと思う人々もいたり、それがメディアに載せるコンテンツに過ぎないと思っている現在ありかたが混然として示される感じ。女の所に通う男の台詞、「了解したらそれはセックスしたことになるのだから」というあたりの感覚の鋭さが好きです。

看板役者、チョウソンハに圧倒的に力があるのは彼らの強み。確かに圧倒的な存在感と動き。彼に刃向かえる男優を客演の実力派二人(板倉チヒロ・倉田大輔)を招き、がっぷりと組むことでスリリングな仕上がり。

三つのキャスター(車輪)を持つ三角形の台車以外には装置のない舞台はスピード感のあるシーンでは効果的。役者の多さも二つほどあるダンスにパワーを与えます。

反面、この時間の長さはもう少し頑張れる気もします。たしかに削れるエピソードは皆無だし、密度は高いのだけど、会話のシーンはもっとシンプルでも通じる気がするのは素人考え、でしょうか。

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2007.01.28

【芝居】「7の椅子3」

2007.1.28 14:00

短編3本のオムニバス。シリアスな話にもセンスいい笑いを潜りこませて楽しませる力。劇場MOMOでの公演は終了。110分。

キャバクラの店長が大金を持って行方をくらませた。仲のいいキャバ嬢が実はロッカーに匿っているが、店長が言うにはマネージャーの奴隷のような人生だといい「右の心臓」。
借金のカタに臓器を売るはずだった女を逃がしたとして、チンピラに責め立てられる男女。彼女にも借金があって今回の仕事で借金が棒引きになるはずだったのだが、代わりにどちらかの臓器でもいいと劇薬を渡され…「ある決断が必要とする正確な時間を」。
10年ぶりに帰ってきた格闘家の兄は全身整形と性転換で女になって帰ってきた。身体の弱くなった父には話せないと、妹弟はとっさに嘘をつく…「Lying,Lied,Lie again」。

「右の〜」は普段気が弱くてマネージャーのいいなりの店長には、鏡の向こう側に彼の望みを叶えてくれるもう一人が居る」というサスペンスSFの仕立て。細かな笑いを取り混ぜながらもタイトな作りで息をつかせぬ感じ。一人が二人に分裂しているという設定を殊更凝った演出にしなくてもちゃんと見せるセンス良さ。

「ある決断〜」は、毒薬を自分に憧れた昔なじみの後輩に呑ませられる、呑ませるのキリキリとした選択を、「時間が戻る時計」という小道具一つで繰り返して見せるこれもSF仕立て。繰り返しを飽きさせないように二回目をギュッと圧縮してるのが見やすいのです。バーテンは時計の持ち主というキーでありながら、完全におかしな感じの道化がおかしくて楽しませます。

「Lying…」は三谷幸喜かと思わせる、「嘘が嘘をよぶ」典型的なドタバタコメディ。格闘家からどう整形しても彼女にはならんだろうという大きな嘘を冒頭で客に納得させてしまっているので、嘘が嘘を呼んでも、それが少々強引でも気にならないのです。

全体を通して、井口千穂のコメディエンヌ的飛び道具が炸裂。役者いずれもがそういうセンスある感じなので、安心して見ていられるのは間違いないのですが、今作においては役柄もあって、彼女は突出しています。

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【芝居】「私はだれでしょう」こまつ座

2007.1.27 18:30

二度の初日延期を経て上演中の井上ひさしの新作。終戦直後のNHKの一室、ラジオが中心にある時代、人を繋ぐメディアの中の人々の話は、確かにこれも日本の一つの「ラジオ・デイズ」。休憩15分を挟んで3時間20分。2月25日まで、紀伊國屋サザンシアター。

終戦の直後、占領下の日本。日本放送協会の脚本班分室と放送用語調査室の間借りしてる一室。始まったばかりの「尋ね人」という番組は戦争で生き別れた人の投書を紹介することで聴取率90%。メディアはGHQの監督下にあり、全ての番組は許可がなければ放送されない環境。ここを訪ねて来た男は記憶を失い自分が誰かを捜して欲しいとやってきた。

井上ひさしと戦争がリンクすると強い主張やイデオロギーは出てきますし主張もあります。自分が誰かわからない男を登場させて、「自分がどうあるべきか」を考えるべきなのだといい、市井の人々の努力と想いが積み重なっていって大きな力になるのだ、とか。

物語は決してハッピーエンドというわけではありません。検閲にかかわる厳しい現実は拘留者まで生み出してしまいます。が、これが暗い話にはならないのは、役者たちの力だ、と思うのです。

初日がずいぶん遅れたとはいえ、思ったよりは芝居としてはちゃんと成立しています。が、仕上げるだけで精一杯な感じもしていて、冗長に感じます。ここから、もっとそぎ落として、ぎゅっと濃縮した芝居になるといいなぁと思うのですが。

浅野ゆう子はテレビの人という印象が強い女優ですが、落ち着いた役をきっちり。梅沢昌代は少々くどい感じはあるものの、小気味よく物語全体のリズムになるにはこれぐらいあったほうがいいのかも。川平慈英は役者としてもこの中では異質ですが、役もかなり現実離れした部分を一気に背負っています。確かに彼にしかできないような役で、重くなりがちな芝居を軽やかにしているのです。

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2007.01.27

【芝居】「monde」mom

2007.1.27 14:00+14:40

大久保亜美・山本ゆいの二人のユニットの公演。アタシは初見です。28日までギャラリールデコ6。

血まみれ的彼女の20分のショー「コラージュ」。女の部屋と訪れる男と幽霊の会話「カラメル」。

二本の芝居の通し券構成なのだけど、どの回を組み合わせてもいいのは、変則的なタイムテーブルとあわさって、いわゆる観劇コマに苦しんでいる身には優しい構成。間が詰まっていて効率もよく、この自由度の高さは特筆もの。ダブルバージョンとかダブルキャストをやるなら、こういう構成にしてくれると嬉しいなぁと。1時間ほどの短編だから出来るというのも事実ですが。

スタイルは随分違うし、やりたいことが異なってしまったからの2作品構成なのだけど、彼女たちが感じている感情を全面に押し出して作っているということは同じだと思うのです。(で、そんな芝居はアタシの好み、だと。毎度しつこいですが(^_^;)) 「コラージュ」は華やかでガーリッシュな女のポップなショー的なもの(「子供の領分」的な( 1, 2)) から始まり、衣装もメイクも投げ捨てて、出ない電話をかけつづける後半が切ない。ほぼ素肌に透明なレインコート、胸元に下げた赤いハートが終盤効果的。自分の身体を世界地図になぞって語るシーンの、言葉の意味自体は不明なのに、「彼女がそう感じるという事実」をすんなり納得させられてしまう力があります。キュッと締まった感じ。

「カラメル」は、女の部屋、訪れる男、男には見えない幽霊。幽霊と女の語りは結果として女の内面の苦悩に食い込む効果。男が甘えてくる場面では、女の俯瞰する視線になってる気がして面白いのです。
悩み自体は芝居としちゃありがちな気もしますが、幽霊のポジションのありかたは気がきいています。中盤あたりに、もすこしメリハリがあるといい気がするのですが、昼飯食べそこなって集中力を削いだあたしだけ、って気もします。

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2007.01.25

【芝居】「原形質・印象」ピンズ・ログ

2007.1.24 19:30

ほぼ年に一回のペースで三回目の公演は、作家の12年弱前の作品の改訂再演。前二本との作風はかなり違いますが、作家の視点感じる60分。28日までOFFOFFシアター。

どこか海にほど近いところ。猫とウミネコとナメクジが会話してる。ウミネコは叶わぬ夢を喋ったがために一族の会議に呼び出されてて気が重く、ナメクジは子供が出来ないことを悩んでいる。人の来ないそんな場所に、突然現れた若い人間は悪態をつきながら、物見遊山の廃墟の場所を聞き…

当日パンフで作家が書いている通り、人が集う濃密な空間をそれこそドロドロと描いた前二作とは大分ちがう物語(なんせナメクジ、だ)。作家も心得たもので、挨拶に童話の話を書いたりして、クッションを張ってあります。

静かに進む会話、派手なものはありません。想いや知識を説明するための独白の割合が多く、確かに若い脚本だという感じ。物語の雰囲気と併せて、詩を語ってるような感じもあります。

勢いでも泣きでもないこれはエラく難しい題材を選んだがために、役者の実力がアカラサマにでてしまうのです。そういう意味で手強いこの舞台、12年を経た作家が今のユニットの色とはかなり違うこの話を、なぜ今、再演しようと考えたのだろう、と思うのです。作家自身の何か、周囲の何かがリンクしたのかな、とか。いえ、余計なお世話なのですが。

生まれ、生き(て、へこたれたり)、居なくなっていくことを、ミクロな視点に着座しながら、全体を俯瞰しようとしている物語なのではないかと、アタシは勝手に思ったりするのですが。

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2007.01.23

ネットプリントにワクワクする。

ITモノが好きな癖に、同じぐらいプリンタとかプリントアウトが大好きなのです。昔はオフ会といっちゃあ名簿作って配ってみたり、デジカメ印刷して回覧してみたりしてました。最近だと趣味用名刺とか、劇場アンケート用の名前住所ラベルとか(このあたりはそのうち、またネタに)。

未だ使ってないけど、そんなアタシをワクワクさせるのがセブンイレブンにある新型マルチコピー。普通のコピーやFAX送信、デジカメプリントの機能ももちろん楽しいのだけど、「ネットプリント」というのが、アタシの気持ちを掴んで離しません。自宅のPCからブラウザでファイル(Word,Excel,JPEG,TIff,PDF)を登録すると、予約番号が発行されて、その番号をセブンイレブン店頭で打ち込むだけでハードコピーが手に入るというサービス。もちろんプリンタ代わりにもなるけど、FAXの代わりにもなるし、なんか凄くないか、これ。そのうち遊び倒そう。

で、週末。

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2007.01.22

【芝居】「あらかじめ失われた広場」メトロポリスプロジェクト18

200701211600

300本二人芝居企画のvol.18。20分ほどを5本。全体で約110分。ストアハウスでの公演は終了。

◆道端で目を見てぴったりの言葉をプレゼントする商売の男と、強制されてもいないのに空き缶広いのボランティアをする女子高生。目を見るが、ここに存在しないよう。彼女は授業中の肉体を残して幽体離脱してきたという「まばゆさがここにある、捨てたものではない」(106話)。◆骨折姿の男の家に突然来た男、刑事だといい、昨日の事故の治療をした医者が殺人されたと告げて「夜の訪問者」(107話)。◆一人暮らしのバツイチの女の部屋、飼われている犬。女は彼氏からの突然のプロポーズに戸惑い、独り言のように犬に相談する。週末婚を提案されて「ダビンチ」(108話)。◆医者の殺人事件を調べる刑事は困り果てて揺り椅子に座る女子高生に相談を持ちかける。明晰に事件を解決し「霊安室の遺体」(109話)。◆市役所の「すぐやる課」の男と友人。役所の中庭で災害用土嚢を作る作業。ギックリ腰で倒れて動けなくなる二人の頭上で飛び回る「スズメバチ」(110話)

106話は見た目はイマドキの女子高生なんだけど、幽体離脱で生まれた時間をボランティア、というのが確かに「まばゆくて」いい話になっています。これ好きだなぁ。109話はこの女子高生を使って、「ケータイ刑事」を彷彿とさせる感じに。もっとも、謎解きの部分が刑事と女子高生の二人だけの会話で進むことになってしまって、そんなに面白くなかったりするのはこの形式を取る以上は仕方のないことだったりするのですが。107話はその事件の導入的な役割を持っているのと、「警察が市民の情報をホントに沢山握ってる」ことの恐怖が見え隠れ。

108話はvol19の114話とリンクしますが、一人語りの一つの形式にできて応用範囲が広そう。

110話はぎっくり腰で動けない二人が大汗かいてる、動けないのにドタバタ風味のコメディとして普通に面白くて。「すぐやる課の職員」が、この「なんでもすぐやること」にただならぬ情熱を持っている、ということは過去のメトロポリスプロジェクトの話の中でも語られていてスパイスになってるのですが、それを知らなくてもぎっくり腰から気合いだけで復活してしまうというイキオイの面白さ。

今年はやる気満々のようで、5月にvol.20+21、9月にvol.22+23+再演2本という予定とのこと。今回は二本立てを5ステージずつ、わずか5日間でコマ不足に悩みましたが、次回5月は2週末、9月は一ヶ月近くの公演とのことで、ちょっと嬉しい。

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【芝居】「万華鏡の季節」メトロポリスプロジェクト19

2007.1.21 13:00

二人芝居300本を作ることで、「街の姿が立ち上がる」ことを目論む企画。今年はやる気満々のようで、Vol.18とVol.19を交互上演する二本立てで更に夏・秋にも予定。vol.19は20分ほどを5本、100分。ストアハウスでの公演は終了。

◆ネットゲームの世界、初心者と紹介し手ほどきした男のパーティー。初心者は独り立ちしたいと言い出して「しばしの別れ」(111話)。◆美容クリニック、整形したいと言ってる女の友人と医者。ブラックジャックの整形を巡る話から「ブラックジャックによろしく」(112話)。◆新橋駅前SL広場。車を回すまで酔っ払いを見てて欲しいと云われた通りすがりの男と外国人の女。日本や日本語についての話になって「SHINBASHI」(113話)。恋愛指南で有名なエッセイストの女と預けられた犬。海外赴任する彼氏からプロポーズされるが姑との同居と云われ迷い「ダビンチ2」(114話)。◆ネットゲーム。長いことパーティーを組んでいる二人。リーダーの下した決断が失敗しチーム壊滅の危機、副官が指揮を奪取しようとして「明日に向かって撃て」(115話)。

いつものように簡素なつくりの二人芝居。111話と115話では初めてネットゲームの中での会話、というフォーマットを導入。ネットゲームについての字幕での説明が少々長すぎはしないかという気はしますが、それも織り込み済みなのでしょう。また、「街を立ち上げる」というのとは違うのではないかという気もしますが、すでに街を出て海外を書いたりもしてるので、今さら文句いっても仕方ないわけですが。

とはいえ、ゲームの世界にしたことで、シンプルな自立心とか勇気といったものを、ごくストレートに描くことができるのは利点かもしれません。「人生を賭けて決断していくものだ」なんてことをかっこうよく言わせたりもしながら、「それはゲームの中だからで、現実にはそんなことはしない」と続けるあたりが巧い。

112話は右側面の顔しか見せないまま顔の向きを固定した医者、というのが何かのオチにつながるかと思いきや、少なくとも下手側では特にオチもなく。整形しなくても綺麗なのにという友人の思いから始まって、ブラックジャック、手塚治虫に持って行き、「手塚治虫自身を救うブラックジャック」が居なかったことを残念に想う作家の気持ち。たしかに。

113話は笑いも多くて見やすいフォーマット。酔いつぶれている男を登場させて、舞台上にはつまり3人。台詞がないしこれっぽっちも動きませんが、ので二人芝居には違いありませんが、初めてな気がします。「ら抜き言葉を、外国人がわざわざ習う」とか、現実に使われる日本語のちょっとした違和感を外国人の目を通してみせるフォーマット。新橋SL広場での街頭インタビューが多いことをとりあげて、「日本の標準」と言い切ってしまうのも、ホントは違うのだけどよくわかる感覚。

114話は人間の言葉が判る(が、彼の言葉は人間には通じない)犬を設定。結果的にプロポーズ申し込まれた女の自室での独り言を描いているわけでアタシの好きなタイプの芝居ではあります。コミカルさも多く、これは結構使えるフォーマットではないかと想います。時間の関係でvol.19から観ることになったので、vol.18とvol.19の間にゆるやかな繋がりがあるこの話は大した問題ではないとはいえ、すこし残念だったりします。

20分ほどの二人芝居というのは、結構使い道があるわけで、劇団である10x50kingdom自身もワークショップに使っているほか、ネット上で無料公開(どんな場合に上演許可が必要で、その手続きの方法と、無許可上演にはそれなりの措置をとることをが明記されています。)もしています。単独でも結構面白い話があるわけで、それこそ高校演劇とかでも使えそうなものも結構あってもっと紹介されてもいい気がします。今回のやつだと、113話、114話と、vol.19での106話、108話、110話あたりはそう思うのです。

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2007.01.21

【芝居】「甘い丘」KAKUTA

2007.1.20 19:00

同年代の群像劇、という作家の得意技とは少し違う新しい路線。笑いは少なめですがブレが少なくて安定している感じではあり、誰にでも勧められる強みがあります。120分、28日までシアタートラム。

ケミカル(またはゴム)サンダルの工場、山の中で携帯電話すらままならない。ワケアリの工員、女性が多く。
面接に訪れたのは、出所したばかりという若い女と、身なりのしっかりした主婦だという女。

大人の、色んなことを背負った女性たち。がさつだし、決して良くはない環境で働く人々。劇中で外から来た女がうっかり「落ちるところまで落ちる」と言った言葉を云うのだけど、それを笑い飛ばすようなバイタリティのある住人たち。アオハルポーズが近い感じはしますが、もっと深刻で全体に笑いは少なめに感じます。そんな人々を四季を通して描く構成。

作家の、ひいては劇団の強みは、いままでは身の丈に近い感覚、とでもいうものだと思うのです。久しぶりの新作は、おそらく作家の実体験にはないような環境が舞台。少し背伸び、少し地に足がついていない感じは残ります。が、酷い状況にあってもバイタリティに溢れる人々に向ける視線はやはり優しくて。

工場の中の仮眠室のような設えの場所、事務所、キャットクォークなどが組み合わさり、高さのあるシアタートラムをスカスカにしない見事な装置。下手側の方が見やすい感じではあります。舞台の上の方に工場の外、という設定の場所があるのだけどここは席によっては少し見づらい。

ネタバレかも。

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2007.01.20

【芝居】「ひかりごけ」三条会

2007.1.20 14:30

迫力のある独特な世界なのにテキストをいじらない方法が印象的。三条会では再演重ねる人気演目らしいですが、アタシは劇団初見。60分。21日までザ・スズナリ。

食人の罪で裁かれた実在の男を描いた同名の小説の舞台。山の手事情社による上演でアタシは初めてしりました。極限の状況における食人という究極の選択肢と、ある意味思考停止した糾弾の無邪気さが印象に残るストーリーでした。

教室を模した机、椅子。国語の時間の音読のように「読む」ところから始まる舞台は、やがて役が憑依してまわるように、役が変わったり一役二人になったりと変化していきます。役者の肉体に強く依存したつくりで迫力があります。

「ニセS高原」での「頭おかしい感(誉め言葉ですが)」の笑いは、この題材ではさすがに現れず。学校を模したり、台詞の背後で別の役者が見せる動きに明示されたメッセージを受けとれなかったために、物語と演出が分離してしまったような印象をうけます。後から思えば、無邪気に同調するという「社会」を作る現場が学校だ、という選びかた、という気もしないでもないのですが。

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著作権保護期間の延長に反対です。

去年の年末にボランティアお手伝いした「著作権保護期間の延長を考える国民会議・第一回シンポジウム」にはかなり刺激を受けました。

アタシは「著作権保護期間の延長に反対」です。青空文庫署名の活動をしています。アタシも紙持ち歩こうかなと。名前書いていただければ、きっちり送りますとも。

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2007.01.18

【芝居】「煙の先」贅(ぜい)

2007.1.16 20:00

イキウメ・ハイバイ・七里ヶ浜オールスターズ・殿様ランチというそうそうたる面々が結集するユニットの旗揚げ公演。上演時間は45分から100分ほどとアナウンスされます(16日夜は100分ほど。まあ、こんなものでしょう)。21日までルデコ5。当日券入場は開演5分前で500円差が付きますので、可能なら予約を。

地方都市。花屋で万引きした女を店長は結局見逃すが、彼女が選んだのが高価に取引される花であることから、転売を目的とした計画的な万引きではないかと疑う。店員の男はそれでも彼女の事を信じ、救いたいと考えて...

初日の感想を目にして大爆笑編と思いこんで当日券。想像していたよりはずっと、きっちり作り込まれた印象があります。物語を物語として(しかもそれは殆ど当日パンフに書いてある)上演されている印象。確かにアドリブっぽいところも多いにもかかわらず、役者の間の呼吸が絶妙にちゃんとかみ合っているというのは安心してみていられる感じがするのです。

二日目でのアタシの印象は、笑い少なめなのです。終演後にアナウンスされた劇場内での簡単なパーティは二日目にもありましたが、そこで聞いた感じでは確かに抑えめにしていたよう。それでも、物語も役者もしっかり力があることを認識できる舞台ではあります。が、それは舞台を見慣れているから、という感じもします。おそらく脚本は、ホントのアドリブも、フェイクのアドリブもさまざまに仕掛けられているのではないかと想像します。

少々笑い声大きめ、しかもツボがアタシにはわからない感じの観客(いわゆる、ゲラ、な客)が居てアタシには違和感があったのです。それを観客そのものはいじらずに、しっかりと御してしまうあたり、巧いなぁと思うのです。

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2007.01.16

16日〜17日にメンテナンス

1月16日15:00から1月17日15:00の間、コメントやトラックバックの受付が出来なくなります。閲覧は通常通り可能です。今回からはメンテナンス中はコメント出来ないとの表示が出るようになったようです。

12月頭の53時間メンテを中断しメンテ前の状態をだましだまし使ってきたココログの、バージョンアップ再挑戦。予定していた項目の半分程度に減らして、少しずつバージョンナップをすることに決めたようです。いわゆる「中のひと」がんばって。

今週来週はホントに話題作揃いなので、コマ不足にも拍車がかかります。

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2007.01.15

【芝居】「ともだちのともだち」RONNIE ROCKET 49ers nano

2007.1.14 19:30

RONNIE ROCKETを母体としながら、49年生まれ俳優達のユニット。下高井戸の「不思議地底窟・青の奇蹟」での公演は終了。90分。

引越したばかりのアパート。手伝いに来てくれた友達の友達。間に入る友人が遅れて気まずい感じ。
家電量販店。クレームオヤジから預かった携帯電話にかかって来た謎の電話。その番号からかかってきたら酷い目に遭うという都市伝説だったり…

云われてみれば、mixiを全面的にフィーチャーした芝居は初めてな気がします。「友達の友達」という知り合いなんだか何だか分からないが、しかし匿名よりは少し近い関係を明示した仕組みに、都市伝説の生まれる素地を見い出した着想の凄さ。そして、それを爆笑やらホラー風やらあって濃密に見せるのです。

部屋の中と職場の間を段ボール箱の移動だけで作り上げてしまうのもミニマルな感じで芝居らしいのです。殆どホラー映画な展開も、笑いに転嫁するように気楽に見られるラインナップになっているのです。

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【芝居】「TRASHMASTERSOUL」TRASHMASTERS

2007.1.14 14:00

アタシは初見です。駅前劇場の規模からは考えられない装置に驚きます。180分。22日まで。

近い未来。所得格差、在日外国人などが拡大。ホームレスが集中する地域で暮らす男たちは戸籍の売買を企むが失敗に終わる。…

大きく3つのパート。約10年ずつの間をあけ、ジェットコースターのようにめまぐるしく変わる経済状況を描きながら、まったく違う場所を舞台に出現させています。幕間の時間がやけに説明臭く長いのには少々辟易するものの、これだけのことをやってのけるのは、ホントにびっくりします。こういう驚きだって芝居の醍醐味。

外国人、少子化など現在の日本が先送りにしてきた問題を全部のみこんで、新たな(良く似た)歴史を芝居の中に未来の話として構築しています。結果、時間が長かったり、転換が大変だったりするのは、見てる側は大変なのですが。(本多劇場なら何の問題もないし、出来る気がする)

政治や格差の問題を枠組みにしながら、二幕目には女たちの恨みがましい光景、というのを同じぐらい重要に取り上げられています。が、アタシにはどうしても、これが女性たち自身の物語にはまったく見えないのです。作家には夕刊スポーツ紙の小説のように、オトコの側の物語にしか興味がない気がしてなりません。(いや、色っぽいことは好きですとも。断じて)。

好みじゃない部分があるとは言え、舞台にこういう濃密さで社会を描き出すという視線は、面白いと思うのです。格差社会を描いた芝居は去年から数あれど、この長編を描ききったいうのはホントに凄いのです。あと何回かは見てみたいと思わせる迫力があるのです。当日パンフはA5サイズ、冊子の形態をしています。判型はともかく、パルコ劇場なら1000円は取ろうという仕上がりを無料で配布してる心意気は買います。

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2007.01.14

【芝居】「僕を愛ちて。」鹿殺し

2007.1.13 19:30

路上パフォーマンス、関西からの移住、ライブ形式の舞台など話題にこと欠かない劇団の一年ぶり劇場本公演(本公演はアタシ初見)。昼ギャザやトークショー、イベントを織り交ぜながら22日までシアターグリーン・Box in Boxシアター、そのあと大阪、神戸。120分。

釧路の村、丹頂鶴が生息するところのボロ小屋に住む男。隣の実家には父と弟が住むが、母親の死をきっかけに、見つけた女と一緒に今の場所に住んでいる。丹頂鶴を保護する仕事とは云うが、ほとんどを女にさせ、実家から金を盗ませて暮らしている。盗んで来た中にあったカセットテープには弟の誕生の時の録音があるが、自分のものはなく、愛されていないと思って..

兄はほとんどニート、なんだかんだと理由を付けては働かない。働かなくても金は要るので同居する女に金を盗ませたりするという、かなりシビアな話。家族についてを丁寧に描く話なのです。パフォーマンス集団らしくダンスもパワフルだし、赤い衣装の「何か」も迫力があります。オリジナル、ロックな音楽もパワーがあります。

三日目時点では、どこかちぐはぐな印象があります。それぞれの味が喧嘩してしまって、それぞれに力があるのに、アタシが泣き所のところが沢山ある話なのに、迫ってこないという感じがするのが残念なのです。たぶんこれは、長い公演期間で馴染んでいけるものだという予感はあります。後半を観たい気もしますが、来週再来週のコマの厳しさよ。

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2007.01.13

【芝居】「パレード・フロム・H〜 2007」JAM BAL JAN JAN パイレート

200701131400

JBJJ版ハメルンの笛吹き男、と題した再演作。アタシは初見。吉祥寺シアターで14日昼まで、僅か3ステージ。105分。

ハメルンの笛吹き男、クローン羊・ドリーをモチーフにした軸の物語に、様々にコミカルさ。断片をコラージュしている感じで、作家の中では繋がっていても、観客はなかなかその繋がりを実感出来ない感じはします。もっとも、それは今作には限らない話で、物語を追っかけようとしないのが吉。

吉祥寺シアターのタッパの高さを生かした装置や、演出の美しさは、今までになくパワーアップ。段取りも多いのだけど不安がない仕上がりも合わせて、実に美しい舞台になっています。終盤近くのパレードのシーンの美しさは特筆もので、この空間と照明の賜物。 あるいは序盤の羊たちの衣装の可愛らしさ、ピーチと名付けられた(台詞は少々やさぐれた)破れ衣装と短いダンスの美しさ。

二つのモチーフの間にうっすらと感じとれる繋がりは、生死の匂い。クローン羊と、消えた子供たちと。作家はそれを様々に描くけれど、何かの解釈を示してはいないし、その気もない気がします。が、それが問題ではない気もします。

ボヤキや突っ込みの言葉が実に面白いのだけれど、言葉が伝わらないことが相対的に大きな問題になってしまっている気はします。ホントに惜しい。この芝居のテキストの味を表現出来る役者はそう多くない気もしますが、スーツ男や主婦たちのシーンだけでも抜き出したテキストを色んな役者で見てみたいと心底思うのです。テキストの断片だけでも、どっかで読めるようになってるといいなあと思う、のだけど。

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【芝居】「ロープ」NODA MAP(2回目)

2007.1.12 19:00

去年末に一回目。かなり否定的に感じ取りました。年をまたいでの二回目は、アタシが慣れたのか、演出か何かが変わったのかはわかりませんが、少しやわらかな感じになっているようにも思います。ヘヴィな題材をそのまま載せている、という印象は変わりませんが。

客席の笑いが少ないというのもあまりかわりません。それよりは、芝居では通常行われないほどに、イデオロギーを強く主張しているのだと感じます。今のこの国の立ち方や振る舞いに危なさを感じ取って、こういう風にストレートに表現「せずにはおれない」という、作家の強い憤りを感じるのです。

噂で聞くと、作家はそもそもプロレスが嫌いなのだと云います。その枠組みを使いながら、もっとも嫌悪すべき題材を妥協なく書き上げているのです。

初めて見たときは延々と続く実況とあまりにも悲惨なシーン「だけ」が強烈に印象に残ってしまったのです。が、少しは落ち着いてみられた今回は、悲惨なシーンを軸としながらも終幕近くの僅かな光明のシーン、あるいは、「外側で眺めて」いるだけで物見遊山になっている観客という名のアタシ自身、「伝えるという大義名分で何をしても許されると思っている」マスコミなど、刃先をあちこちに向けている感じがするのです。そして、アタシ自身もその刃の先に居るということに気づいてしまって、戦慄するのです。

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2007.01.09

そういえば前厄なのでした。

まあ、いい歳なわけで、来年はともかく今年はなんかしたほうがいいのかどうなのかと思ったりもします。たとえば三大師を全部行っちゃえとか思ったりもするけど、それはそれで誉められたもんじゃないのかなぁとも。行ったことないところに行くのは楽しいから、佐野・西新井にも行ってみるのはいいものかもしれません。厄年ってのは何か大きな変化があるってことだともいいますから、アタシに何か起こるのか、何か行動を起こさなきゃいけないのか。さて。

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【芝居】「法王庁の避妊法」ハイリンド

2007.1.8 15:00

自転車キンクリートの代表作をスタンダードに上演。もしこの演目をご覧になったことがなければ、ぜひ。130分。16日まで「劇」小劇場。

ぶれを許さない、ゆるぎない戯曲っていうのは確かにあるもので、今作はそんな芝居だということは言えます。その上で、それを丁寧にスタンダードに作ることで、値段や劇場の規模といった、クラスを超えるような仕上がりを感じさせます。

自転車キンクリートSTOREでの初演を始め何回か( 1, 2, 3) 見ているアタシにとっては、しかし、戯曲の力があることをなまじ知ってしまっているがために、この舞台でも何回もアタシが流した涙が「ハイリンドの舞台」でなければならないか、というと少し自信がなかったりします。もちろん、ちゃんと作らなければ、些細なことでも台無しになりかねないポイントがいくつもある芝居をちゃんと乗りこなしているのは間違いありません。

大森美紀子がまさかの多産妊婦の役。気丈さと明るさを見せるこの役は云われてみれば納得の。不妊の患者を演じた、はざまみゆきは笑いも涙もとりまぜて、存在感を見せつけます。

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2007.01.07

【芝居】「江波戸さんちのにぎやかな正月」危婦人

2007.1.7 18:00

去年のアタシ的イチオシ劇団の一つ、危婦人の新作。お正月らしく賑々しく楽しく、家族の話でもありちょっとほろりとしたりも。誰でも楽しめる110分。9日まで駅前劇場。

江波戸(えばと)家の年末と正月。母親が亡くなって初めて迎える正月。三姉妹と父親、親戚と近所の人々。従兄弟の兄は毎年行っている登山に今年は行かず、仕事を辞めた弟は可愛い彼女を連れてくる。近所では不審者出没が話題になる。そんな騒がしい中、叔母が持ってきたのは..

母親が死んでしまって魂が抜けたようになってる父親。娘達は元気だけれども母親の穴は大きい。病気だったという設定でもあり、看病や家族のことで滅私してしまう長女が全体の軸。隣の夫婦や父母の馴れ初めの情熱的な小芝居、忘れられない人への想いを複数見せながらきっちり濃いホームドラマ。

服飾にこだわりのある彼女らしく、着物に乗せる気持ちのシーンが素敵。恋も最近してない感じのしっかりものの長女が、着物をまとい廻り、ちょっと落語風に見せるところがアタシ的な泣きどころ。

駅前劇場に張り出しの舞台、中央から客席入り口までを花道。前半分には枡席(畳敷き座布団席。場所によって見切れあり、オリジナルお菓子+お茶のおみやげ付き)、後ろ半分が指定席。枡席なら下手側奥に台所もあるので、そちらを。マジックスパイスとのコラボや充実の物販など、開演前から賑やかな感じなのです。その場にいるだけで楽しい気持ちになるのは、年末年始暗めの芝居も多い中貴重なのです

05年の連続4回のカフェ公演(未見)をもとにした舞台。うさぎのデイジーを語り部にすることで、この芝居が初見でも簡単に世界に入っていけるようにしています。当日パンフに年表を載せ、その時間軸の位置を見せるというのはシリーズモノを作るのには巧い方法。こういう細やかさが彼女たちの魅力なのです。マジメで重い芝居が嫌いなワケじゃありませんが、正月だもの。客が求める物語ってのも確かにあるはずで、それに彼女たちはしっかり応えてくれるのです。

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【芝居】「くらい」散歩道楽

2007.1.7 14:00

再演企画を完遂した散歩道楽の久しぶりの新作。屈折した青春ドラマ風でもあり見応えあります。100分。10日までサンモールスタジオ。

冴えない小さな地下の漫画喫茶、大晦日のあと正月の朝方。他に行く所もなく居る人々。外国訛りの怪しい男や、ビデオの音がうるさくて苦情受ける男、身内が探しに来ても頑として帰らない女やほぼ住んでる女。小さな恨みは衝動的に事件を引き起こし、静かで小さな店内は…

正月早朝なのに冴えない場所に居る人々。まるでグランド・ホテル形式のようにそれぞれに起こる小さな事件はやがて台風のように一気に熱狂を生み出します。何が起こるか分からない危なさ加減と、屈折した若者たちの「棲み家」でのホンの数時間の出来事が鮮やかなのです。まさか居なくならないだろうという人物があっさり消えてしまうなど物語は自在に、軽やかなのです。

いい話のテイストはしっかり盛り込みながら、作家の底意地悪く人を見る視点は、それぞれの人物のキャラクタにデフォルメされながら結実しています。

オープニングすぐに出てくる「おもてなしダンスユニット〜ダンサーインザダークス」が正月らしく賑やかで楽しい。物語の根幹は若手が担う構成なのだけど、少々突飛なキャラクタであることを差し引いても書き込まれている感じで見応えがあります。キムユスの怪しげな感じ。植木まなぶのキレキャラ。郷志郎の繊細さ。松下ロボの薄目がち表情にちょっと惚れてしまうのです、正月早々。

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【芝居】「素振り」渡辺源四郎商店

2007.1.6 19:00

畑澤聖悟の作品を三本連続上演する王子小劇場のシリーズ、のトリ。毛色は違うけれどたっぷりとした見応え。80分。7日昼まで王子小劇場。

三つの物語。断片にして入り交じりながら上演。

  • バットの素振りをする男、マネージャ風の女。すぐへこたれる男を鼓舞しながらいろんな探り合いをしたりして。
  • 朝、寝間着姿で木刀を振る家族。姉・妹・弟・妹の婿。慌ただしさある中だが、会話をする。姉と妹の確執が..
  • 女二人。コントのような短編をいくつか。強い訛りの会話だったり、椅子で縛られて取り調べだったり、部屋に閉じこもる子供を説得する家族だったり。
  • ねたばれかも

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    2007.01.06

    【芝居】「アロハの国より愛をこめて」carinto

    200701061500

    女優二人の二人芝居のユニット、カリントの二回目。ワンドリンク付。60分。7日まで乃木坂・コレド。

    女性ウクレレデュオのcarintoが公演の為にハワイにやって来た。7年目を迎え二人の間には微妙な溝が出来ていたが、公演一日目でその不協和音は決定的となった。招聘先のオーナーは、ハワイらしくのんびりとして二人で曲を作って欲しいというが…

    もともとは友達だけど、長い時間の中でできた溝がやがて仲違い。それぞれには背景となる理由があって、それを互いに知ることで仲直り、歌う、という構成。

    歌がなかなか良くて、アルコールも手伝っていい気持ち。仲直りの象徴として歌を最後に持ってくるのですが、説明なしにコンサートで終わらせるのは、二人のそれまでの苦悩が一気に晴れてはいないわけで、物語が見たいアタシとしては食い足りなさも感じます。

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    【芝居】「朧の森に棲む鬼」松竹

    2007.1.5 18:00

    新感「染」と題しての演舞場公演。完成度は高いのですが、あたしは少しひっかかります。210分。27日まで、新橋演舞場。

    争う二つの国。落ち武者狩りをしていた同郷の二人。口が達者だが腕っ節はからきしの兄貴分と、喧嘩は誰にも負けないがすこし頭の鈍い弟分。森の中で出会った森の魔物。王の座が欲しくないかと囁かれ、兄が手にした「オボロの剣(舌のように動く剣だという)」は森の中を歩いていた武将に勝ってしまう。二人は街に降り、その武将の妻や帝に会い、手柄を立てて取り入っていく。

    息もつかせぬようなスピーディな展開。悪役の染五郎も格好良く。物語にもちゃんと力があって、笑いもある。装置も凄い。完成度は高いのです。リピートする気持ちも、ハマル気持ちもよくわかるのです。悪魔に命を売った男の悲惨な末路を手抜かりなく描ききります。

    市川染五郎はカッコイイし鬼気迫るのだけれど、色気というより乾いた感じ。秋山菜津子は物語をこの舞台で背負える数少ない女性。阿部サダヲの哀しみとリズムを崩す感じが楽しい。真木よう子は別人類のように顔が小さくて印象的だが声は課題。古田新太は一歩引いた感じだけれども少ないシーンも圧倒的な存在感。

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    2007.01.05

    【芝居】「バズノーツのマクベスPPR」バヅノーツ

    200701041930

    ずいぶん前に旗揚げしながら、5年目にして第一回公演。110分。7日までアゴラ劇場。

    基本的にはマクベスのテキストからエッセンスを取り出しています。ポイントは演出にあって、舞台外側に紙の束がつり下げられています。役者は自分で、あるいは他の役者が紙を一枚千切り、そこに書かれている役を演じるという趣向。

    舞台の外の物音に怯えてみせたり、舞台として設えた平台が撤去されていったりといった演出を通して、役者が役を演じている(=平台上に居る)状態と、素の(=平台の外側に居る)状態の両方を見せ、更に素の状態が客席(=観客)と同じ高さであることを繰り返し見せていきます。マクベスが人生が舞台上の出来事であると言ったのと同様の構造を、もう一段、舞台と客席の間に作りだしていくのです。物語もほんの少し手を加えてあって、王殺しの連鎖を強調するために終幕に創作を追加しているようです。

    正直な話、マクベスの物語を知らないと、ちょっと厳しい気はします。当日パンフにはごく簡単なあらすじの記載があって、親切だとは思います。が、断片の切り取り方がストーリーよりも上記のような構造を見せることに主眼があり、断片の会話が実は重要なのでもう少し細かい解説が欲しいところ。

    役者の動きを見ているという意味では巧いなぁと思うし、切り取られたダイアログもいい感じではあるのですが、何かが起きそうなことを期待させる「ニオイ」がぷんぷんしていて、その期待感が大きすぎるのか、アタシは全体が少し長く感じたり、もっと破壊的なパワーの何かが起こると勝手に期待したところはあります。が、物語を構造に反映させる作業を実に丁寧にやっているなぁと思うのです。

    (1/7追記)◆ 実はもう一つフェイクがあって、クレジットされてる役者は23名なのに、お詫びの紙がはさまっていて、役者が4名しか出演していません。トークショーでの作家の説明によれば、多くの役を少ない役者が「するざるを得ない」状況を作り出しているように見せるための、最初からのフェイクなのだといいます。そういわれてよく見れば当日パンフでの今後の予定での、フェイクの役者たちの劇場名がけっこう無茶苦茶だったりします。

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    2007.01.04

    【芝居】「新年工場見学会2007」五反田団

    2007.1.3 19:00

    五反田団が毎年お正月に開催しているイベント。既に工場ではありませんが、工場だった建物・アトリエヘリコプターで、4日まで。3日の時間は150分ほどでしたが、この日のコンサートがたっぷりあったからでしょう。今年から二階になり、寒さはなくなっています。これからご覧になるなら、椅子の段がある側が正面です。

    「能のニセモノ」と題して三つと、間に挟まるライブの構成。母親に怒られて買い物に渋谷に出かけた娘が同級生に会い、蝦を見る「蝦渋谷」。正月にドライブに出かけた男二人が酒を呑み検問に「酒車」。世界のスターが居酒屋で飲んでいるといつのまにか「黒田節講」。3日のライブは打楽器奏者の女性三人・オムトンのライブ。(他の日はテルミン演奏のミニライブ)

    もちろんホンモノの能なワケはありません。口語劇の内容を能のフォーマットに載せるという、口語劇が一回りしてどっかに行ってしまった感じ。じゃあ、それが面白くないかというと、ちゃんと面白い。大爆笑編になっています。ちょっとした小さな作り話を楽しめるように見せるという、ある意味、能の根幹の機能を会得してる感じはします。(いや、あたしゃ能はほとんど見たこと無いので大嘘かもしれません。

    「蝦渋谷」「酒車」は、そんな会話劇になっています。めでたい感じもあって、正月らしい感じ。「黒田節講」は少し毛色が違って、少し長くて感動すらさせてしまう感じに仕上がっています。どこが見所か、最初に解説してしまうしストーリーもパンフに全部書いてある、というやり方で観客を全て共犯に仕立てるのはさすがに巧いのです。

    「酒車」の作・演は岩井秀人(ハイバイ)、五反田団とこういう感じのコラボになるとは、ちょっと思いませんでした。

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    2007.01.03

    チラシの整理2007・年始版

    そういえば、年末にチラシ整理をしたのでした。IT的には全部スキャンして日付順に並べるのがいいのでしょうが、スキャナ持ってないのと、チラシの紙の質感が好きなので、そうはしてません。これからある芝居のチラシを全て持ち歩くという方もいますが、分量が大変なことになるので断念。

    あたしは以下のような方法でチラシを使います。シアターガイドなどの情報誌は購入していますが、特集に重点を置くようになってきており公演の網羅性が相対的に低下していると感じています。そのためアタシにとってはチラシの方が信頼できるようになってきています。

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    2007.01.02

    気がつけば新年

    ちょっと寝込んだりしている間に、いつのまにか年も替わり。でも、2日間にして復活。ほとんど「呑」まず食わずだった48時間。これに懲りて、賞味期限切れの保存食、一掃廃棄しました。(←今までは割と大丈夫だったらしい)。もっとも、そのあとラストスパートのようにゴハン炊いたり、魚焼いたりして楽しんでるわけですが。

    去年は芝居、やはり多すぎました。減らすだの増やすだの意図的にはやりたくないですが、もっといろんな遊び世の中にはあるはずだよなぁと思うのも、毎年の恒例。

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    2006私的ベストテン

    年間で10本選ぶというのは相当に無茶な企画ですが、まあ、これも季節モノということで。去年の観劇一覧はこちら。芝居は265本でした。

    一覧表からざっと見て選んでたりするので、基本的には物語を重視する傾向にはありますが、ほとんど覚えていない芝居でも一瞬の凄さに魅せられたものを選んだりしています。同一団体からは一本、アタシが初めて観た演目を選ぶことにしてます。後から眺めると後半に集中してる気もしますが、これは毎年の傾向です。

    "wolderland"の年末回顧特集に載せていただいた分と大きく違わなかったのは一安心(何に?)

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