著作権保護期間の延長に反対です。
去年の年末にボランティアお手伝いした「著作権保護期間の延長を考える国民会議・第一回シンポジウム」にはかなり刺激を受けました。
アタシは「著作権保護期間の延長に反対」です。青空文庫が署名の活動をしています。アタシも紙持ち歩こうかなと。名前書いていただければ、きっちり送りますとも。
このシンポジウム、メディアの露出も多くて、その中で特筆すべきは、ITmedia誌の岡田有花記者の渾身のレポート。あの膨大な時間の発言がこんなにも凝縮したレポートになっているのと、その場のライブ感を感じさせながら、きっちりとレポートになっているという特筆すべきモノなのです。映像があるとはいえ、こういうレポートってとても大切なのです。
平田オリザの発言。演劇と著作権の関係について、こんなに簡潔にわかりやすく説明された例を他に知りません。上演という二次利用が前提になっている演劇や演奏会と、パッケージされた著作物(小説やDVD/CDなどや、音楽配信など)とは自ずからスタンスが違うということがとてもよくわかります。ぜひとも一度は。動画が公開されていて(Windows Mediaが必要)、全体をごらんになるのがいちばんいいのですが、つまみ食いするなら↓
- 第2部 パネルディスカッション・質疑応答(90分) - 13分40秒→18分44秒
- 58分00秒→ 1時間2分00秒 権利制約と途上国からの収奪につながらないかという話。70年になっちゃうなら..という提案。問題の「そば屋発言はその直後に。
表現した人(=著作者)が死んだあとで、何年保護するか、というのが「著作権保護期間」。日本の現行法では50年ですが、これを70年にしようという動きが「著作権保護期間の延長」なのです。保護期間の間は、遺族もしくは著作権の権利を得た「著作権者」が得る利益と独占の権利が得られるのですが、そのために上演・演奏に多額の費用がかかるために断念するということが、実際に起きていると問題提起されています。
米国が先行して延長をしていて、これはディズニーがミッキーマウスの著作権が切れそうになるたびに法律の方を変えて期限を延長しているから、だったりします。ディズニーランドのホスピタリティは大好きだが、あのネズミはどうかと思う。
この席上での、 松本零士のいくつかの発言をとらえて叩く風潮が強いのですが、彼は彼なりの義憤にかられて行動しているという気がしてなりません。金銭の問題と云うよりは、名前を残し、家族を守るためという視点ではあまり差がない気もします。彼は何かの代理で戦っているという感じを強く受けました。彼の主張には頷けないけれども、生で見た彼はさすがにオーラのある人。
でも、本当は彼よりももっとこの場に出てこなければいけないのはクリエイターとは別の、金銭的利益を得る著作権者ではないかと思うのです。でも、彼らは絶対に出てこない。松本零士という一人の人間が目立つからといって、彼だけをたたいてはいけない。発言のいくつかは少々おかしなところもあるのですが、問題はもっと別のところにある気がしてなりません。
現在を切り取るような芝居を観るのが好きなアタシです。芝居は上演されてナンボ。名作といわれるものでも、50年も保護されれば十分ではありませんか。それよりも、もっといろんな舞台で名作が見られると言うことの方が何倍も嬉しいのです。アタシも、多分クリエイターも。
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