【芝居】「万華鏡の季節」メトロポリスプロジェクト19
2007.1.21 13:00
二人芝居300本を作ることで、「街の姿が立ち上がる」ことを目論む企画。今年はやる気満々のようで、Vol.18とVol.19を交互上演する二本立てで更に夏・秋にも予定。vol.19は20分ほどを5本、100分。ストアハウスでの公演は終了。
◆ネットゲームの世界、初心者と紹介し手ほどきした男のパーティー。初心者は独り立ちしたいと言い出して「しばしの別れ」(111話)。◆美容クリニック、整形したいと言ってる女の友人と医者。ブラックジャックの整形を巡る話から「ブラックジャックによろしく」(112話)。◆新橋駅前SL広場。車を回すまで酔っ払いを見てて欲しいと云われた通りすがりの男と外国人の女。日本や日本語についての話になって「SHINBASHI」(113話)。恋愛指南で有名なエッセイストの女と預けられた犬。海外赴任する彼氏からプロポーズされるが姑との同居と云われ迷い「ダビンチ2」(114話)。◆ネットゲーム。長いことパーティーを組んでいる二人。リーダーの下した決断が失敗しチーム壊滅の危機、副官が指揮を奪取しようとして「明日に向かって撃て」(115話)。
いつものように簡素なつくりの二人芝居。111話と115話では初めてネットゲームの中での会話、というフォーマットを導入。ネットゲームについての字幕での説明が少々長すぎはしないかという気はしますが、それも織り込み済みなのでしょう。また、「街を立ち上げる」というのとは違うのではないかという気もしますが、すでに街を出て海外を書いたりもしてるので、今さら文句いっても仕方ないわけですが。
とはいえ、ゲームの世界にしたことで、シンプルな自立心とか勇気といったものを、ごくストレートに描くことができるのは利点かもしれません。「人生を賭けて決断していくものだ」なんてことをかっこうよく言わせたりもしながら、「それはゲームの中だからで、現実にはそんなことはしない」と続けるあたりが巧い。
112話は右側面の顔しか見せないまま顔の向きを固定した医者、というのが何かのオチにつながるかと思いきや、少なくとも下手側では特にオチもなく。整形しなくても綺麗なのにという友人の思いから始まって、ブラックジャック、手塚治虫に持って行き、「手塚治虫自身を救うブラックジャック」が居なかったことを残念に想う作家の気持ち。たしかに。
113話は笑いも多くて見やすいフォーマット。酔いつぶれている男を登場させて、舞台上にはつまり3人。台詞がないしこれっぽっちも動きませんが、ので二人芝居には違いありませんが、初めてな気がします。「ら抜き言葉を、外国人がわざわざ習う」とか、現実に使われる日本語のちょっとした違和感を外国人の目を通してみせるフォーマット。新橋SL広場での街頭インタビューが多いことをとりあげて、「日本の標準」と言い切ってしまうのも、ホントは違うのだけどよくわかる感覚。
114話は人間の言葉が判る(が、彼の言葉は人間には通じない)犬を設定。結果的にプロポーズ申し込まれた女の自室での独り言を描いているわけでアタシの好きなタイプの芝居ではあります。コミカルさも多く、これは結構使えるフォーマットではないかと想います。時間の関係でvol.19から観ることになったので、vol.18とvol.19の間にゆるやかな繋がりがあるこの話は大した問題ではないとはいえ、すこし残念だったりします。
20分ほどの二人芝居というのは、結構使い道があるわけで、劇団である10x50kingdom自身もワークショップに使っているほか、ネット上で無料公開(どんな場合に上演許可が必要で、その手続きの方法と、無許可上演にはそれなりの措置をとることをが明記されています。)もしています。単独でも結構面白い話があるわけで、それこそ高校演劇とかでも使えそうなものも結構あってもっと紹介されてもいい気がします。今回のやつだと、113話、114話と、vol.19での106話、108話、110話あたりはそう思うのです。
10x50 KINGDOM「万華鏡の季節〜メトロポリスプロジェクト19」
2007.1.18 - 1.21 ストアハウス
作・演出 じんのひろあき
出演 岡本広毅 工良良輔 東所美希 竹橋道子 塚本拓弥 野中希 蓬莱大介
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