【芝居】「ドッペルゲンガーの森」マグネシウムリボン
2006.12.22 19:00
静かで淡々とした不思議な感覚。物語と言うよりはとりとめなさというべきか。100分、23日まで、阿佐ヶ谷アルシェ。
事故で記憶を失った男が妻とともに近郊の故郷に帰る。暖かく迎えた家族だったが、献身的に見える妻は、本当は愛していないのではないかと妹に言われ..
その主人公の男は無対象で、照明で場所が示されるのみ。「なにわバタフライ」での方法に似ています。主役の男を観客に投影するような効果が期待できるかと思いきや、あまりそこに狙いがないような気もします。幼い頃の怪我が大きな傷を顔に残した男は一途に女に迫る。不倫の蟻地獄にはまり込んでいた女はふとしたキッカケで結婚して。男は不器用な男と設定されていて、周りからも浮いていて、女を妻にはするけど、愛しては居ないということになっていて。
何もかもが低い体温な雰囲気。ところどころの人物の造形がやけに凝っていて凄いと思うのだけど、それがそれぞれの役者の個人技になってしまっていて物語りを形成することをそもそも放棄している感じがします。あるいはなれそめの話は憧れの女だけをワンショットで追っているような感じがあって魅力的。が、これも状況説明ではあっても物語になっていないと感じるのです。
いくつかのピースは凄く魅力的なのです。 この近郊の土地の伝承、「なりすまし」という妖怪の伝説があって、山道で迷った者の皮をはいでまとってその人に入れ替わるという話は実に面白いのです。怖い存在であると同時に人が心底辛いとおもって願えば「入れ替わってもらえる」という面もあったりと奥深いアイテムなのです。主役の男がこの「なりすまし」されているという方向かと思うとそれも積極的には示されないのです。
マグネシウムリボン「ドッペルゲンガーの森」
2006.12.20 - 12.23 阿佐ヶ谷アルシェ
作・演出 塚本健一
出演 鶴田マミ 塚本健一 松本健 前田綾香 渡辺のぶ 吉田さとし 久保田勇一(はぶ談戯) 土田直
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