【芝居】「俺の屍(かばね)を越えていけ(プレビュー)」王子小劇場プロデュース
200612192000
王子小劇場が年末年始を通して上演する三本建て企画の第一弾。若い役者がこれをちゃんと作る安定した舞台は、会社員にこそ見て欲しい。90分。初日20日→千秋楽24日まで王子小劇場。木曜・金曜夜が薄いとも聞きます。
地方のラジオ(+テレビ)局。経営立ち行かなくなり、呼ばれた社長は、360度評価と称して入社間もない若手に密室会議で首を切る一人の管理職を選べと命じる。呼ばれた若手、ディレクター、アナウンサー、エンジニア、営業たちは…
会社員としての居場所、世話になった先輩のヒトとしての繋がりを描く戯曲。2003年初演で、今現在に照らしてみると、「理不尽な首切りを告発できない社員」とか「会社にいなければならないと若手が思う」のはリアリティが薄い気もします。が、これはホンの数年前の日本の会社の見え方だと思うのです。
序盤を引っ張るのは報道部のシニカルな台詞と間の巧さ。五年目のふたりの男の間の距離は序盤、ディレクターが早口すぎたりと、かみ合わない感じがありますが、後半2/3でがっちり組み合います。開場からずっと舞台に居続ける若いディレクターは観客の視点なのですが、実にいい表情の(営業から売れ残ると言われたり)瞬間があります。今年の芝居で飛躍を見せた役者。営業と二人のシーン、「まわされる」という言葉が刺さる感じがします。
5年目ディレクターの「やりたいことがいっぱいある」、という台詞は若くて眩しいのです。そういえば忘れてた感覚。唯一の局の顔であるアナウンサーは若い役者です。きちんと美しいのですが、もっとカッチリしていて、ここぞで崩れて欲しい気もします。
何かのしこりを残す終盤は苦いのです。先輩の言葉、身を切る辛さ。表情を見せないという方法で表現していますが、効果的。終幕があっけないのは少し勿体ない気も。
役名 | 弘前劇場 2003.2-3 (弘前・仙台・東京・横浜) | 渡辺源四郎商店開店準備 2005.11 (青森・東京) | 青年団若手自主企画vo.26 (短編リーディング) 2005.11 (東京) | 王子小劇場P 2006.12 (東京) |
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本荘(5年目制作) | 佐藤誠 | ← | 古舘寛治 | 原田紀行 |
東根(5年目営業) | 山田竜大 | 萱森由介 | 永井秀樹 | 森下亮 |
北上(2年目技術) | 谷川翔吾 | 高坂明生 | 増田理 | 玉置玲央 |
郡山(4年目放送) | 濱野有希 | 森内美由紀 | 天明留理子 | 葛木英 |
松島(3年目報道) | 石橋彩子 | 工藤由佳子 | 川隅奈保子 | 黒岩三佳 |
三沢(2年目制作) | 斉藤蘭 | 工藤静香 | 根本江理子 | こいけけいこ |
王子小劇場プロデュース「俺の屍を越えていけ」(王子トリビュート 001)
2006.12.20 - 12.24 王子小劇場
作 畑澤聖悟(渡辺源四郎商店) 演出 黒澤世莉(時間堂)
出演 葛木英(メタリック農家) 黒岩三佳(あひるなんちゃら) こいけけいこ(リュカ.) 玉置玲央(柿喰う客) 原田紀行(reset-N) 森下亮(クロムモリブデン)
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