【芝居】「ソウル市民1919」青年団
2006.12.17 16:00
ソウル市民から10年後を描く三部作の二本目。90分。
10年後。三・一独立運動の起きた日の朝。商家に巡業の相撲取りが来る日。外では現地人が集まっていたりして、少し騒がしいが、何が起きているかは彼らは知らない。徐々に使用人たちも姿を消して..
あまり空気は変わってないような感じは受けるけれども確実に進んだ時間というのも事実で。日本人と朝鮮人と二分ハッキリ二分されているオリジナルに比べると、時間が経ている今作は事態はもっとややこしいのです。ここで生まれた人がいたりします。
日本人と朝鮮人の支配構造は自然に受け入れても、日本に嫁いで地主と小作人の差が日本人の中あることが受け入れられずに出戻ってきた娘。人種の問題だと言われていることが、じつは経済的な階級の落差に帰着していることをごくシンプルに、明確に見せるシーンで印象的です。意識したかどうかはわかりませんが、女たちが興味深げに力士の腹に触れるのも、同じ人間を何か違うモノでも見るかのように見る視線という意味で根っこは同じところにある気がしてなりません。
オリジナルではなかった音楽がふんだんに。当日パンフで作家が語るように賑やかな中に見えてくる怖さを見せる効果は抜群に効いています。 無邪気で楽しげな歌を歌う人々の終幕のシーンは、普通の人々に植民地が根付いていることを、見た目と背景の落差で見せていて、空恐ろしさを感じさせ印象に残ります。
青年団「ソウル市民」
2006.12.6 - 12.17 吉祥寺シアター
作・演出 平田オリザ
出演 山内健司 天明留理子 大塚洋 根本江理子 辻美奈子 小河原康二 永井秀樹 太田宏 田原礼子 高橋縁 ひらたよーこ 申瑞季 篠塚祥司(客演) 根上彩 たむらみずほ 島田曜蔵 秋山建一 佐藤誠 月村丹生 木崎友紀子 長野海 二反田幸平 堀夏子
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