【芝居】「ナイス・エイジ」ナイロン100℃
2006.12.09 18:30
ナイロンのタイムスリップもの6年ぶり再演。そういえば長いのだった、という220分(休憩15分込み)。24日まで世田谷パブリックシアター。
かつては金持ちだったが今は貧乏暮らしで家族も崩壊している一家、廻(めぐり)家。引っ越し早々に大家夫妻がやってきて、難癖をつけて退去してほしいという。実はそのボロアパートは時間移動装置を備えていて、大家夫妻は違法の時間旅行者たちを取り締まるパトロールだった。一家の主はその事実を知らないまま1964年に飛ぶが夢だと信じてむちゃくちゃな言動を繰り返す..
自分とそのルーツの過去を辿ること、あるいは(劇中にもあるとおり、時間旅行の目的のほとんどがそれという)娘の会う死亡事故を阻止するための時間旅行。過去のどうしても突き刺さって取れない骨をゆっくり抜き取るような感覚。過去がめちゃくちゃに改ざんされて手の施しようがなくなって全人類の記憶をリセット、という全体の流れではあるのだけど、娘もあるいは特攻隊のオジサンも結局の所は何も変わらず、もとの歴史のままなのです。記憶のリセットという投げ出したような結末の割にはその直前にいくつかある良さげなシーンに味があります。大家夫婦がベッドに並んでいるシーンなんか妙に素敵です。
ナイロン本公演とはいいながら、中核役者の何人かを外部客演で欠き、新たな客演を招いての再演。芸人役など初演役者が透け見えてしまうことや、堅さがある感じ、本多劇場に比べて微妙にスカスカになりがちな世田谷パブリックシアターの戸惑いなど、初日な感じではあります。(初演みた割には覚えてないわけですが)物語世界は堅固で、それを空間まで広げ切ることは、十分にイケそうな予感はします。
ナイロン100℃「ナイス・エイジ」
2006.12.9 - 12.24 世田谷パブリックシアター
作・演出 ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演 峯村リエ 大倉孝二 みのすけ 松永玲子 長田奈麻 新谷真弓 安澤千草 廣川三憲 藤田秀世 喜安浩平 大山鎬則 吉増裕士 杉山薫 植木夏十 皆戸麻衣 柚木幹斗
佐藤誓
志賀廣太郎(青年団) 原金太郎 坂田聡 池谷のぶえ 加藤啓(拙者ムニエル) 松野有里巳
立石凉子(演劇集団円)
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