【芝居】「少年ラヂオ(公開ゲネ)」キャラメルボックス
2006.11.24 19:00
福岡・神戸と来て明日が東京初日のキャラメルボックスのクリスマスツアー、久々のオリジナル新作。ブロガー向け公開ゲネの企画。アタシは初めて乗りました。来月25日まで、サンシャイン劇場。
大正末期。震災の後の東京。屋敷から出してもらえないお嬢様は、ある手紙を受け取って街に飛び出してしまう。金を持ってない彼女を追いかけて執事も追いかけるが上野の街でスリに遭ってしまう。そのスリからスリ返す少年・ラヂオ。奉公している弟を引き取るため、稼ぐために。お嬢様が会った男は彼女に会ったことがあるが、彼女は知らない。震災で記憶を失っている...
大正末期固有の軽さというか元気良さ、軽快な音楽の選び方、スリの少年という設定の面白さ。もの凄く面白くなる材料がただでさえ多い時代を舞台にしているのです。が、ゲネのせいかもしれませんが、しっくりこない感じは残ります。
実力のあるベテランを脇に配し、若手を物語の真ん中に据えるキャスティング。人を育てるという劇団のポリシーゆえだということはわかります。が、脇に廻った役者の凄さが際だってしまうのは、残酷なことです。東京ではもの凄いステージ数ですから、それをこなしていくうちに大化けするような手応えはあると思うのです。
実は兄弟の話が作家の最もコアなのだというのがわかったのは上演後のインタビューでの作家の言葉。約束を裏切ってしまったことの深い後悔の念の凄みがある台詞。
あたし自身にはどうしても違和感が二つ。一つは尺貫法とメートル法が混在してる台詞の組み立て。ほんとに些細なことですからどうでもいいことではあります。二つめはどうしても取り戻さなければいけない書類、というのの理由付けをするために戦争とか平和な時代とかを持ち出さなければいけなかったことなのです。終演後のインタビューで聞いてみれば、唯一庶民が戦争に反対した時代だという裏打ちはありつつも、その世界平和をことさら訴えたいというわけでなはいようです。
坂口理恵の凄みが本当にすごい。実力のある女優だというのは定評ですが、どんなシーンでも引っ張ってしまう確かさがあります。岡田さつきはちょっと可愛らしい役。
終演後、ロビーで参加者を集めて作家が質問を受ける趣向。
- 参考にした本は
- 大正という時代を選んだ理由は
- コテツはどう見ても女性(女優)ですが男にしたのは理由がありますか
- 二回目の新人作家との共同脚本ですが、その時代を描くというのはハードルが高すぎないか
- キャスティングで苦労したことは
- 言わせたい台詞とか訴えたいこと、は何ですか。
- 東京の地名が地方公演ではわからなくないですか
- 大金の500円、という感じで物価感覚がわかりにくい気がしますが、何か説明した方が良くないですか
- 他にラヂオに盗ませたかったものとかありますか
- 戦争とか平和とかを持ち出した(作劇上の)理由はわかりますが、それが違和感を生んではいませんか
演劇集団キャラメルボックス2006クリスマスツアー「少年ラヂオ」
2006.11.2 - 11.5 西鉄ホール
2006.11.10 - 11.20 新神戸オリエンタル劇場
2006.11.25 - 12.25 サンシャイン劇場
作 成井豊+隈部雅則 演出 成井豊+白井直
出演 岡田達也 大内厚雄 菅野良一 坂口理恵 岡田さつき 岡内美喜子 畑中智行 温井摩耶 三浦剛 左東広之 青山千洋 實川貴美子
阿部丈二(/多田直人) 阿部祐介(/小多田直樹) 渡邊安理(/小林千恵)
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コメント
そうそう、福岡で観たときもそんな感じがしました。
とっても、楽しいエピソードが満載なのに、こなす前に次に進んじゃうバタバタ感がなんとも勿体ない感じ。
畑中くんは、頑張ってるのだけど、もっとこう何かはじけないといけないんじゃないかってところ。
しかし、坂口さんは、凄いですね。
神戸で変わるかなぁと期待したのですが。
後1ヶ月でどうなるか、楽しみです。
投稿: Buchi | 2006.11.25 09:52
あれ?写真では捜せないのだが...映らない体質?(笑)
投稿: Joy | 2006.11.26 02:26
コメントありがとございます
Buchiさま:
エピソード満載で消化仕切れるかどうかがポイントですよね。ちょっとヒネた感じが畑中さんの魅力だったりするので、単にはじければいい、ってものでもないところが難しいことをやってるわけですが。
Joyさま:
会社をサボった人は顔を伏せてー、に合わせて顔を伏せたわけではないのだけど、多分一番奥におります。はい。
投稿: かわひ_ | 2006.11.28 08:40