【芝居】「チェックポイント黒点島」燐光群
2006.11.11 1400
東シナ海に突如現れた岩を巡る話を描く漫画家の物語は自由で奔放です。130分。12月3日までザ・スズナリ。そのあと、名古屋、浜松、大阪、福岡。
東シナ海に突如現れた岩。近くで太陽黒点を船で観測していた日本人の学者夫婦が発見したが経済水域を狙う近隣国の争いが混迷。妻は国境検問所だけの独立した存在を主張し…
という漫画を未完のままにしている漫画家。ヨーロッパに旅立ち行方のわからなくなった弟がいて…
国境などの境目にあって唯一行き来出来る場所、検問所(チェックポイント)をキーワードにして、様々に隔てられた人々が出会う「点」を細かな断片にして描きます。国家とか国境などのきな臭いところは極力戯画的に漫画の中に封じこめ、その単位であるはずの「ひと」に注力した描きかた。燐光群だからイデオロギーある芝居だと構えていると、そこはあっさり飛び越えて、想いをベースにしたウェットな語り口の話。
断片とはいえ、様々なモチーフをこれでもかと詰め込みすぎた感じがしないでもありません。一家惨殺や大学の封鎖、拉致などさまざまに取り込んだ意図はわかりますが、少々混乱するアタシです。
熱い中で周囲より少しだけ温度が低いとか、行き来できる点とか、「黒点」という発想は面白いのです。ベルリンの検問所に発想したチェックポイント・チャーリーという小屋一つのセットも潔く。屋根裏といい、「天皇と接吻」といい、作家はこういう小屋モチーフが好きなのだなあと思ったり。
終幕、あるいはオチはまさかのひっくり返し。いや、そうなれば確かに争いはなくなると思うのですが。
劇場のザ・スズナリは25周年ー。当日パンフに挟まる記念ちらしはセンス良く素敵。ロビーを埋めつくす過去上演作品のチラシの膨大さと多彩さは必見です。
燐光群「チェックポイント黒点島」
2006.11.4 - 12.3 ザ・スズナリ
2006.12.6 - 12.10 名古屋市西文化小劇場
2006.12.11 浜松市福祉交流センター
2006.12.13 - 12.19 精華小劇場
2006.12.21- 12.22 イムズホール 作・演出 坂手洋二
出演 竹下景子 渡辺美佐子
中山マリ 鴨川てんし 川中健次郎 猪熊恒和 大西孝洋 江口恵美
¥ 樋尾麻衣子 内海常葉 裴優宇 久保島隆 小金井篤 桐畑理佳
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