【芝居】「食」メタリック農家
2006.11.8 19:30
今まではテルプシコールやOFFOFFシアターの規模だったメタリック農家の新作。食べること、想い続けることを軸にした静かな童話。座る芝居多く、これからご覧になるなら、なるべく最前列を(初日時点では)。120分、12日まで王子小劇場。
東北の田舎。久しぶりに帰って婆さんが話し始めた昔噺…
雪深い村はかつて、冬の間は外界と断絶し食料も時給するしかなかった。地主が土地を持ち、屠畜は専任者が行う序列。村にはペチャラと呼ばれる妖怪というか化け物が居て、家畜のように力仕事を担っていた。
ある冬、原因不明に命を落とす者が続き、村を存続させるために村の地主が取った道は…
全体の骨格の切なさ、特に終幕の凄さは巧いなあと思うのです。 想いが集約する終幕は、気持ちをふるわせられます。 わりと分かりやすく底割れするなあと思っていても意外性のある深みがあります。
が、それはたまたまアタシが座った椅子2列(座布団込み3列)目下手端からは頭の隙間から芝居が見えたから、ではあります。座位の芝居が多く、ともかく見えないシーンが多いのです。今さら大改造は出来ないでしょうから、下手側の幾つかのシーンを見えるようにするだけ、例えば立つとか少し上にするだけでも格段によくなると思うのです。
役者の声量の調節や段取り、言葉の選び方もバランスを欠く感じがします。それが何に起因するかはわかりません。笑いが殆どない静かさゆえに誤魔化しがきかず厳しく見えてしまうのも不利なのです。また、メインとなる二人に二役、意味があることは十分理解できますが、序盤の流れはかなり役者に無理をさせているようにも感じます。
が、描こうとしている世界というか、断片はわりとアタシの好みではあるのです。肉にまつわる話は差別や輸入に関する現在のアタシたちに重なります。村を水槽に例える見えかたも。それゆえに、芝居が見えない、聞こえないというテクニカルに乗り越えられることが越えられなかったのは劇場の規模が大きく、座席の作り方に慣れてなかったからという気がしてなりません。
竹井亮介は圧倒的に安定していて揺るぎない安心。岩田裕耳は声を生かして対等に。石川ユリコは幾つかの聞こえないシーンが勿体無い。古市海見子、大川祐佳里は脇を固めます。 日を追うにつれて改善されているという話も聞きますので、ほんとはもう一度見たい..
メタリック農家「食」
2006.11.8 - 11.12 王子小劇場
作・演出 葛木英
出演 伊藤一将 石川ユリコ(拙者ムニエル) 三科喜代(ブルドッキングヘッドロック)
中島徹 古市海見子 岩田裕耳 竹井亮介(親族代表) 大川祐佳里
辻沢綾香 島田千穂 本田久恵 大内涼子 猿田モンキー 浦壁詔一 高見大和
| 固定リンク
「演劇・芝居」カテゴリの記事
- 【芝居】「ザ・ヒューマンズ ─人間たち」新国立劇場(2025.07.08)
- 【芝居】「いつだって窓際であたしたち」ロロ(2025.07.07)
- 【芝居】「骨と肉」JACROW(2025.07.05)
- 【芝居】「夏の日の陽炎」麦の会(2025.07.03)
- 【芝居】「ふぁいやホーム 淑」ボタタナエラー(2025.07.04)
コメント
見る場所によって、は同感。私の場合は座高が高いのに椅子席の真ん中だったため、後ろの人が観えなかったそうで(終演後、前の男の人が邪魔で見えなかった、という文句が聞えた・・・)、申し訳ない思いと、座布団席の人背中が足に当たるので低く出来なかったという、言い訳が苦しい。。芝居的には結構好きなタイプだったので満足でした。それをうまく伝えられないのが申し訳ない、感じでした。参考のためにTBさせて頂きます。毎回すいません。
投稿: ドラ | 2006.11.13 08:41
ドラさま、コメントありがとございます。
二日目以降はすこしずつ改善はされていたようですが、じゃまになっちゃうだろうなぁ、というのは確かに感じました。だから2列目に座ったんですが、その前に座席作られちゃったのでした(T T)
投稿: かわひ_ | 2006.11.21 01:23