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2006.11.23

【芝居】「シュナイダー」elePHANTMoon

アタシは初見です。自然に感じる言葉選びや役者のたたずまいの前半が好きです。90分、26日まで王子小劇場。

かなり田舎の道路沿いの喫茶店。近くには自殺の名所な森があって、所在なさげな来訪者がいたりする。喫茶店の店長の女、いつの間にか居る男。女の夫は行方がわからなくなって随分経つ。彼女の幼なじみや、頭が上がらない男や謎めいた女やら…

作り込まれた舞台装置。質感も奥行も何もかもきっちり。自然に感じられる会話はどちらかというと映像に近い感じです。スムーズに流れる引っかかりが少ないのはもちろんいいことなのだけど、序盤では身体に染み込んでこない感じもします。反面、過剰なほど「抑えこんだ」という感じのあからさまな演技をしているキャラクタは特異で印象的ではありますが、少々戯画的に過ぎる気もします。大きな問題ではありません。

後半、缶ビールを開ける四人のシーンが好きです。ずいぶんとがさつな人間のように描写しながら、そこに居ない人を四人が想っていることが伝わってくるこのシーンは秀逸です。おのおののもてあます感情をきちんと言葉にする努力がされていて丁寧につくられています。「感情をあれもこれも言葉にする」ということ自体は決してリアルではなくて芝居臭さだとアタシは思いますが、それがいい意味でハマっている感じがします。「寂しい」ということを口にした瞬間、それまでに押さえ込んでいた気持ちが一気に広がるのです。

終盤は、舞台の世界全体に抑え込まれていた想いというか悪意が一気に暴発する、まさかな展開。確かに見応えはあるのですが、アタシが好きかというとちょっと勿体ない感じ。終幕のあの造型は芝居を完全に嘘の世界にしています。もちろん嘘は構わないのだけど、そこまではもっとリアル寄りで作られてきましたから、違和感はあります。もっと観客の想像力に頼ってしまってもいいのではないかと思うのです。

実は、いくつも良くわからないところがあります。手紙の中身は誰が誰に当てたモノなのかとか、彼らの関係は実際の所どうなっていたのかとか、序幕のシーンは後続するシーンのどれだけ前に起こったことなのかとか、いくつもいくつもヒントは提示されてるのだけど、明確には示されない感じがします。その場で起こったことは少しやり過ぎなぐらいに提示するのに、関係とか過去に起きたことはその香りしか見せないというアンバランスは感じます。

舞台としては初舞台という坂倉奈津子が実に良いのです。抑え気味ながらさまざまな感情がきちんと伝わる会心。浮気相手というヒール役、渡辺美弥子は舞台世界で少し浮いたポジションに感じられますが、役ゆえかもしれません。振り幅が大きくて、印象に残ります。

elePHANTMoon「シュナイダー」
2006.11.22 - 11.26 王子小劇場
作・演出 マキタカズオミ
出演 坂倉奈津子 永山智啓 酒巻誉洋 竹岡真悟 鱒田エンキチ 玉江仁一 尾本貴史 石橋征太郎 墨井鯨子 渡辺美弥子(電動夏子安置システム)

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