【芝居】「ラフカット2006」
2006.11.23 14:00
オーディションで選ばれた役者ばかりで短編四本を上演する毎年の企画。休憩込み155分。26日までスペースゼロ。
四本の芝居。
◆「円盤屋ジョニー」。南の島のリゾート、離れ離れになった彼女を待つ男が連れてこられた客の居ないディスコ。明らかにヤクザ風の一団もやってきて…
◆「わるいこと」。公園のゴミ拾いをするネットボランティア。気に障ることを言う奴とか、下心いっぱいの奴とか。車椅子の男に気を留めた芸能人の男、ふとした「いいこと」が…
◆「やさしい悪魔」。テニススクール。人気の美形コーチの取り巻きのような生徒たち。一方、物がなくなるような事件も頻発して…
◆「笑う恐竜」。恐竜の化石が発掘されて施設になったらしい場所。ご多分に漏れず、財政苦しくて、援助を検討しているNPO法人の視察団がやって来る。ろくな実績も設備もないが、想いのある学芸員はいて…
円盤屋、堤脚本にありがちな黒人キャラクタ。何回も見てる気がします。信じることと裏切られることの話ではあるのだけど、そこに主軸があるかどうかが今ひとつわからないのです。
わるいこと、屈折した愛情の芝居。良いことしようとするとカチリと入るスイッチという仕掛けは悪くありません。ボランティアってのは良いことなのだろうけど、そこに居るのは人間で欲望も下心もあるってのは、自分も含めて思い当たったりするのは駄目人間なアタシ。
やさしい悪魔、女の嫌なところを克明に描くのは作家の得意技。そういう嫌な状況を提示するというところまでが舞台の全てで物語がそこにあるようにはあまり感じられませんが、状況を執拗に描くこのやりかたはアリという気もします。心情の動きを突飛な動きに見せるという手法が結構面白くて、「自慢を聴いたら素振りする」っていうシーンがおかしい。「黒木香の笛」ってのを思い出したりしますが、ずいぶん古いAVの下品なネタですねそうですね。
笑う恐竜、信じることの重要さを描く芝居。ずいぶんとストレートなメッセージを根幹に据えていますが、くだらない(ほめ言葉)ギミックが結構てんこ盛りにしてあります。結果、30分程度の芝居の中でもっともちゃんと芝居になっててほぼ一人勝ちという気も。ほぼ出オチに近い年嵩の役者が居たりしますが、終幕でのオチが効いてて結果オーライ。
今年に関していえば、4本目の太田善也のものが一番芝居として成立してた気がします。3本目の高井浩子のものは嫌な気持ちにされる度合いは大した物ですが、ここから始まる何かを見たい。ラフカットにおける堤泰之という人は全部の演出だったりもするのだけれど、一本混じる作家作品は、どこかバランスに欠けてしまう気がしてしまうのが多い気がします。演出専念でもいいのじゃないかなと思ったりもするんですが、余計なお世話ですね。
ラフカット2006
2006.11.22 - 11.26 全労済ホール/スペースゼロ
作 堤泰之 大野敏哉 高井浩子 太田善也 演出 堤泰之
出演 雷時雨 奥野知子 片沼友希 久保文子 須藤智彦 田村通隆 寺越隆喜 長野耕士 吉元哲郎
赤川哲也 池田朋之 劇団Deep Blue 岩寺真志 カネダ淳 塩田倫 志村裕子 田仲祐希 田村圭生 山﨑広美
阿部美寿穗 桔川友嘉 斉藤佑介 佐々木仁 佐々木隆志 田端玲実 友倉由美子 更紗 横山莉枝子 平塚真由
飯野さくら 坂本憲亮 嶋田美智 武田力 谷口正雄 千葉裕介 津留崎夏子 中島広隆 東島淳一郎 廣田美知男 元尾裕介 山本珠乃
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