【芝居】「双魚」七里ヶ浜オールスターズ
2006.10.7 19:30
イキウメの前川知大の作で役者としても活躍する瀧川英次の演出で。SFの枠組みとはいいながら、「ひとの関係」をタイトに。オススメ。90分ですが、開演前にアトラクションな次回予告があるので早めに。9日までOFFOFFシアター。
昼も活動できるが病気も老いることから少数派になる「昼の民」と、手術を受けることで老いることがなくなり、多数になったが紫外線が致命となり出生率が著しく低い「夜の民」の二つになった日本。昼の民は自治区に囲われている。ここは昔の事件ゆえに、村八分にされている…
いわゆる差別を扱う物語はたいてい自分たちが暮らす現実の問題と無関係ではいられない気がします。今作が凄いのはSFの枠組みにして現実と違う世界を確実に描き出してるちからだと思うのです。まるで箱庭のようですが、観客にとっては物語から直接の刃を向けられることがないという意味で、芝居に没頭させてくれるのです。
現実よりははるかに救われているのは、昼の民から夜の民に変わる道が用意されていることなのです。コレを生ぬるさと言うこともできましょうが、アタシは嫌いじゃないのです。。
この世界を演出も役者もタイトに作りあげます。役者全員が舞台脇のベンチに座っているスタイルもいいのです。父親を演じる、片岡正二郎(くものすカルテット)が実にいい味、菊川朝子がこの世界の女神たる確かな力。野口雄介の髭なし姿は初めてですが、若い役が良く。大倉マヤと萩原もみじは肉親への想いをきっちりと。
門番と若者のシーンが物語の訴えをきりきりと表します。無邪気な発言で立場の違うモノどうしがどれだけ傷ついてしまうかを丁寧に描きます。
OFF OFFシアターを舞台奥と通常の客席の対面客席とし、真ん中に細長い舞台を作る珍しい構成。かつてヒンドゥ五千回がやったのと似ている気がします。
小さい劇場ではありますが、ごく自然な形で両方の観客に死角を作らず、芝居どっちから見ても面白く見せることが出来ているという気がします。が、それは結構難しいことだというのも事実なのだけど、それをちゃんと克服できているのはさすがだと思うのです。七里ヶ浜オールスターズ「双魚」
2006.10.3 - 10.9 OFF OFFシアター
作 前川知大 演出 瀧川英次
出演 片岡正二郎 大倉マヤ 菊川朝子(Hula-Hooper) 荻原もみぢ(劇団上田) 平原テツ(reset-N) 野口雄介(神様プロデュース) 盛隆二(イキウメ)
大森智治 瀧川英次
日替わりゲスト: 板垣雄介(10/3, 殿様ランチ) 西田シャトナー(10/4) 吉田テツタ(10/5) 多田淳之介(10/6, 東京デスロック) ブラジリィー・アン・山田(10/7, ブラジル) 星耕介(10/8, Oi-SCALE)
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