【芝居】「海猫街」桟敷童子
2006.10.29 14:00
アングラっぽいテイスト、題材の選び方ながら迫力とテンポが美しいのです。アタシは初見ですが、濃さにびっくりしました。オススメ。120分。来月12日までベニサン・ピット。
断崖に足場を組み、寄り添うように暮らす集落。海賊の末裔と、海女で暮らしを立てる二つの部族は混じりあうことなく暮らしてきた。 日露戦争に勝利した時代、国策会社の視察団がやって来る。その会社が探す港として選ばれれば、陸の孤島になって寂れていくこの土地の光になると沸き立つ 視察団は、さげすまれていた海女に、海底の探索を依頼する。よりによって、土地で一番荒れる場所に…
見た目には確かにアングラ風。話も貧しい人々のふた昔ぐらい前の題材なのです。笑も殆どなくて、真っ直ぐな感じ。 幾重にも積みかさねられながらも見やすく構成され、テンポがあって120分飽きることはありません。耳に障るような聞き慣れない言葉を幾つか入れながらも、暫く後に意味がわかるようにするなど、細かくつくり込まれています。
土地を思う気持ち、人を思う気持ちが幾重にも押し寄せる終盤は怒涛で荒れ狂う海のシーンが、そのまま気持ちの揺れに伝わるのです。
海上に組んだ桟橋のような住居をベニサンの空間にきっちり作るのです。段差も多く隙間だらけの舞台の上でアクションやってみたり、高さを生かした潜水のシーンなど、見た目にはかなり無茶なシーンが山盛り。観客にしてみれば、物凄い迫力なのです。動きに不安はないのだけど、長丁場の公演期間でもあり、事故がないことをホントに祈ります。
アングラ風な芝居は決して得意ではないアタシですが、例えば維新派がそのスケールの凄さでアタシを魅了するのと同じように、3000円前後の木戸銭でこの「濃ゆい」世界に満足なのです。
視察する会社のやり手会長を演ずる南谷朝子さんが圧倒的な力。軽やかから怖いまでの迫力までの凄い振れ幅で魅了します。他の役者が劣っているということではなく、高い水準で結実しています。
桟敷童子 「海猫街」
2006.10.27 - 11.12 ベニサン・ピット
作 サジキドウジ 演出 東憲司
出演 原口健太郎 池下重大 桑原勝行 小野瀬弥彦 尾崎宇内 鈴木めぐみ 外山博美 川原洋子 山本あさみ もりちえ 松本しゃこ 新井結香 中井理恵 板垣桃子 ヨネクラカオリ(劇団阿佐ヶ谷南南京小僧) 川田涼一 朱源実 南谷朝子
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コメント
かわいさんのお勧めに誘われて観に行きました。初見でしたが、迫力に圧倒されました。2時間が、充分に見ごたえに感じられました。お勧め有難うございます。TBさせて頂きました。
投稿: ドラ | 2006.11.06 09:00
ドラさんコメントありがとございます。
五反田団も桟敷童子もごらんになられたのですね。オススメで見ていただいたようで、
早めに見て感想書いたあたしも嬉しゅうございます。
投稿: かわひ_ | 2006.11.07 00:41
TB先を間違えておりました。すいません。かわいさんの感想を読んで観たくなっても、上演期間が終わっていて中々反応できませんでした。今回の桟敷童子は間に合って良かったです。これからも宜しくお願いします。
投稿: ドラ | 2006.11.07 08:47