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2006.09.30

【芝居】「表へどうぞ」むっちりみえっぱり

2006.9.29 19:30

女性ばかり、脱力系で気まぐれな「むっちりみえっぱり」の新作。90分弱。10月1日までアトリエヘリコプター。これからご覧になるならば、低い位置での芝居も多いのでなるべく前の方を。(左右はあまり差がありません)。

某ランド帰りの近所の人々。実は結構遠い島のハレの日の夕方。年下恋やらステージママやら、ラッコ飼育やら、BGMに我慢ならない気持ちやら…。

面白い芝居というのは人それぞれなのだけれどま、この劇団の面白さは味のキツい珍味のような癖があります。学芸会のような見かけとは裏腹に、相当なしたたかさを、アタシは感じるのです。

静かな芝居のような会話。ぐだぐだしてるような会話。でもよく聞けば、実は一番アタシが感じる日常の会話に近いフォーマットな気がします。(チェルよりも、です。あたしにとっては)。もっとも、彼女たちの興味はそこには多分なくて、自然にこの形を作っているのでしょう。後半はその舞台設定を、終幕に向けていろいろ組み立てていきます。いやぁ、くだらない+面白い(誰にでも、とはいえません。)

いろいろ点描されるシーンがそれぞれに面白いのです。来なかった年下男をなじる女、その一人語りのあたりがアタシは好きです。一人でテーマパークに行くのがどれだけのこと、年齢のギャップを感じる会話。
あるいは、中盤ではblogとかネットのこと。駄目なwebページの代表格が効果的だと思ってるというズレを笑いに繋げるのは難しすぎるのだけど、ちゃんと。
あるいは、歩いてくる女を細かく演出するスタッフ。こんな細やかな調査と演出が...

誰にでも薦められるということはありません。初日の客席は知り合いも多いように感じますが、ちゃんと客席が埋まる確かなちから。もし、ひと味違う芝居をごらんになりたければ、ぜひ。

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2006.09.28

感謝の宛先。

私のような、すちゃらか会社員の劇評にもなってないようなサイトでも、ときおり「無料で見てみませんか」というお誘いを頂くことが出てきました。ええ、例によってコマ不足で伺うことが出来ないことも多いし、後半の日付にしか伺えなくて宣伝のお手伝いと云うことも出来ずに心苦しいこともあるのですが。

で、招待いただくメールやDMで、制作なり呼んでくださった方の名前が無い場合があるのは戸惑いを感じます。「XX劇団制作部」みたいなクレジットだけで。あるいは名前だけで、制作なのか役者なのか作演なのかがわからないのもちょっと寂しいのです。

もちろんちゃんと予約は通るし、問題ないと云えば問題ないのですが。こちらにしてみれば、終演後にご挨拶や、可能なら感想を申し上げたいと思っても、誰に云ったらいいのやら。「ああ、あそこでいろんな人に挨拶してるあの人かなぁ、受付で後ろに立ってた彼かなぁ」とか。思いあぐねた挙げ句何も言わずに帰ってきたりして。

もっとも、あまりに次の予定がせっぱ詰まっててご挨拶できないこともあるので偉そうなことも云えないし、芝居の内容がちょっと厳しくて、顔会わせづらいなぁ、ということが無いわけではないのですが。

招待じゃなくて、公演のご案内いただく場合も、名前があると嬉しいなぁと、個人的には思うんですが、人とひとの繋がりを期待しすぎなのでしょうかね、あたし。どうですかね。

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2006.09.26

週末は見られないかな..

急に用事が出来てしまって、週末二日間がつぶれてしまう感じ。余波で今日も会社休みにしたのですが、ちょっと間が開いて後は週末。さすがにこれは優先すべきだからね、芝居はごめん、の週末。(いや、目移りするぐらい目白押しなんです。今週も)。

みたかったもの列挙..うーん

  • むっちりみえっぱり@アトリエヘリコプター( 1) 。やる気無いのかと思ってたら、急に公演ペースが速まってる、女性ばかり脱力微妙系(とアタシが勝手に呼んでる)。
  • 渡辺源四郎商店@アゴラ。( 1, 2) 畑澤聖悟を、もはや「元・弘前劇場の」と頭に付けなくてもわかる人には浸透しているのです。「なべげん」という略称も、なんか口馴染みがよくて。弘前劇場時代の上演作からの再演。女優二人は続投。ああっ。みたい。
  • インパラプレパラート@王子小劇場。( 1) なかなかにしたたかで、根強い支持があたしのまわり界隈(小さい界隈だな、アタシとは)では多いのです。もちょっと慣れたい気満々なのだけど、なかなか見られないのが残念無念。
  • ちからわざ@TOPS。( 1) 一歩間違えばおかしいとすら思う、神経質と臆病が同居する繊細な物語。なんと2004年以来の公演。

■青年団若手公演(World's End9)@春風舎。■オリガトプラスティコ@本多。■新・夏の魔球@スペースゼロ、ランニングシアターダッシュの若い役者のための名作を、プロデュース公演として。

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2006.09.25

【芝居】「ジャンボリー」げんこつ団

2006.9.24 19:00

女性ばかりで親父から若者、女性も男性も自在に表現しながら毒のあるコント風短編を40本ぐらい120分で。OFF OFFシアターでの公演は終了。

オレンジ色の肌の人々、日常に見えてあちこちが違う世界。会社も神様も男女の営みも、くしゃみすると起こることも、何もかも、ほんの少しだけ。ある日、大発明「マモーラ」を狙う悪党がその機械を発動する。危機一髪のところで天才研究者が発明した行為、が、更に脅威は外からやってきて...

約20本を費やしてある世界の日常を描きます。会社、家庭、あれこれ。最初こそ訳が分かりませんが、徐々にその世界に慣らされるのです。
が、実はそれはここではないもう一つの地球の光景。その星はなくなり、現実(に近い気がする)地球が後半の舞台。より病んでいる感じはありますが。全体が一つの宇宙を作り上げるのは巧い。

前半では「爽やかにほほえむ凶悪犯」とか「日常の数分の間にUFOに連れ去られていろいろあって、そのまま日常に戻ってくる」とか「相手を脅迫したり制止したりするために自分に銃を向ける」というネタが世界を構築するのによく効いてます。後半では「相手のことがわかりすぎる世界」とか、「頑張れって云うな」とか、「この会社のカラーに合わないんだよなぁ、友好度up音付き」「スピリチュアルテニス」がかなり笑える感じです。いえね、見てない人にはなんのことやら、というネタなのですが。

まったくオヤジとしては、後半に色っぽさもあるのも嬉しいのです。映像のグレードも高くなって見やすく。ここ数本では、パワフルなダンスが混じったりしていて、いろんな楽しさがあるのです。

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2006.09.24

【芝居】「スタンレーの魔女」スペースノイド

200609241400

松本零士原作、海軍の落ちこぼれ爆撃機乗りたちの物語を舞台化、男くさい9人芝居に。90分、10月1日までシアターグリーン、ビックツリー(メイン)ホール。

最前線ほど近い日本海軍の滑走路脇。落ちこぼれと云われなかなか出撃させられない爆撃機の乗組員たち。スタンレー山脈には魔女が居る、という洋書を携えて出撃を待つ操縦士。
ある日、攻撃が壊滅的な結果を受け、機体の多くを失った。待機していた乗組員たちは、壊れた機体を寄せ集めた爆撃機で攻撃に出ようと考え…

太平洋戦争を舞台にしたいわゆる戦争もの。アタシに多少苦手なタイプの舞台ですが、いわゆる「兵士の休息」ものタイプなのでそれほどでもありません。

男ばかりですが、殊更かっこよさを強調することなく静かに芝居を進めます。

仲間であることを丁寧に描くためかどうか、 馬鹿馬鹿しいじゃれあいのような日常を描くシーンは笑わせかたはそうしつこくはなくていいさじ加減だと思いますが、淡々と進む感じは時間的に少々長く感じたりもします。

チラシはおろか、Webにも当日パンフ(フルカラーだ)にすら出演者の記載がないのはあまり嬉しくありません。終幕で映像はでますが、コレだけでは足りないと思います。いつも同じ出演者なら問題になりませんが、客演も居る状況では、失礼ではないかとすら思うのですが..。 キャストが直前まで確定しなかったのだろうと想像しますが、座席案内図をひとりひとりに配るぐらいですから、その片隅に入っていたらな、と思うのです。

2006.10.6 追記: トラックバックに入っている、高野しのぶさんより、出演者情報頂きました。感謝。

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2006.09.23

【芝居】「38℃」パラドックス定数

2006.9.22 19:00

現実の事件を枠組みにしながら逞しい想像力を働かせながら現場を描くパラドックス定数の新作。三人の医師と男たちの緊迫する会話が凄い90分、オススメ。24日まで、渋谷スペースEDGE。

いろんな仕掛けをしてあって、実はネタバレしないで書くのはほぼ無理だったりもします。まあ、出来る範囲で。以下ネタバレ可能性あり、です。

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2006.09.22

【芝居】「いえ、これは実験です」東京ネジ

2006.9.22 14:00 「東京ネジ」の前身、「劇団ネジ」の作品の再演だとか。105分、24日までOFFOFFシアター。

四人の兄弟と若い母親。騒がしく活気ある家。近所のおばさんは再婚しろとお節介焼きだが母親は夫がいつか必ず戻ってくると言ってきかない。ある日、そのおばさんが、緑亀を殖やすための秘密を教えにやってきて…

バタバタと賑やかに始まり、やがて少し異質なファンタジーへ。 想いと現実と妄想が入り交じる感じで、アタシは遊◎機械全自動シアターのような感じを受けました。

そういう意味では、フォーマットも題材も微妙に古い感じはあるのですが、二十代後半の彼女たちの高校生の頃のホンだと聞けば合点もいきます。

茶の間のセットにやけに多い緑。ちゃぶ台の下にはなぜか土がみえていたりしています。物語の要請でもあるのだけれど、日常に見える中で垣間見える綻びにも見えて効果的。

注意深くネタバレを避けて書いたつもりですし、台詞の配分もそうなっています。が、実際のところ結構早い段階で構造は見えてしまう気もします。それでもこの芝居に力があるのは、ネタのサプライズだけで勝負をしていないシタタかさ故、だと思うのです。

はっきり言っていい歳をした役者を相当若い役にしてみたりしますが、それはそれとして結構楽しめます。 父親が居ないということ、母親の手が回らないということの寂しさに起因する幼い想いと、母親自身が信じ続けてきた妄想の結実する終幕が見事。

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2006.09.20

【芝居】「スペインの母A」散歩道楽

2006.9.20 20:00

再演ばかりを連続公演する企画の5ヶ月目。25人(キャンセル待ちで+5人ぐらいか)の小さな空間、3+1ステージのみ、40分。23日までDie Katze。

午前1時のカフェレストラン。四角いテーブルを囲む四人の独身女。三十代三人、ハタチ過ぎ一人。合コン帰り、カシマしく会話を…

会場はサンモールスタジオの隣のビルにあるカフェレストラン。看板猫と猫あれこれのある店。ドリンクとフード付きで見ることが出来て、終演後も追加オーダーが可能なのです。そんな場所で、レストラン店内を舞台にした芝居。

作家は男性なのですが女性の世界で何が起きているかを注意深く観察し、シーンをきちんと作るのです。アタシも男なので、ホントは何が起きているかは知る由も有りません。が、まあ、ありそうな想像(妄想かも)に近い気はします。

三十(後半)女と若者を配することで鮮やかにコントラスト。特に若者が席を外してからの三人のだらけた会話が絶妙に笑わせて、暖めます。

が、そのなかから見え始めるのは単なる仲良しではない微妙な距離感。それぞれの対角線が近づいたり、離れたり。この関係を何気ない日常の会話からきちんと紡げる作家の確かなちから。終盤にある、「アタシ酷いこと〜」という台詞がずしんと気持ちに響きますし、実は彼女が主役なのだなぁと思います。

狭い空間で真ん中にしつらえたテーブル。結果として顔をほとんど見ることが出来ない役者が出るのは仕方ないのです。たとえ、その背中になってしまった女優が目当てだったとしても(泣)。もっとも、青山円形なら腹もたちましょうが、この小さな空間ならば、まるで食事に行ったレストランの隣の席の会話のようで楽しめます。また他の3人の繊細な表情を間近で見られるのもメリットなのです。

これまでの連続公演に比べるとかなり絞られる人数しか見られないのは勿体ない。コンパクトな芝居ですから、何処でも上演出来るので、ぜひ、あちこちで上演してほしいなぁと思うのです。

短くするためかどうか、作家自ら芝居の頭で設定を説明するのは、手法としては一歩間違えればひどくださいやりかたなのです。が、実は喋りが絶妙だったり、きちんとバランスよく客を配置していくのもなかなかなのです。

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ラストラップ。

えー。三十代最後の一年を走り始めました。うあ。うわ。いいかげんこれでいいのかと思うのですが。プライベートも仕事も。まあ、元気に暮らしていけているというのは、実は何よりだなぁと思ったりするのですが。

会社で過ごした一日、自分用パソコンの調子が悪くて、意を決して再インストールを始めたら他の仕事を並行しながらとはいえ、ほぼ一日がかりの大仕事。決められたドメイン参加の設定やら、暗号化ドライバやら、この10年でITは、実は悪い方向に進化してるんじゃないかと思うほど、意味のわからない設定がてんこもり。しかもその設定のドキュメントがあちこちのwebに分散してる。インストールっていう単純作業はキライじゃないですけど、ね。

今週休みのつもりだったけど、予定を調整。金曜日だけ休みにして。土曜日は友人の結婚式。今月から友人結婚パーティの三ヶ月間の始まりです。そんな週末。

  • 散歩道楽@Die Katze。( 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8) 再演企画もあと3つ。シリーズの中では最もミニマルな空間。25名限定で、3日間はさすがに無理と見えて一日の追加公演。それにしても少なすぎ。女四人の会話劇、うあ好物。◆水曜夜
  • パラドックス定数@渋谷SpaceEDGE。( 1, 2 3 ) 男優ばかり、こんなに凄いのに、パブリがほんとに少ない「パラ定」の新作。前回からわずか半年足らずでの公演、意欲満々に見えるのですが。みかねた観劇人がチラシ撒いてたりするのも独特で、語りたくなる芝居を期待して。◆金曜夜予定。
  • げんこつ団@駅前劇場。( 1, 2, 3, 4, 5) パブリが少ないと言えば、ここも笑い盛りだくさん、女優ばかりとパラ定のまったく正反対のような特性なのだけど、パブリの少なさは似てるというのが不思議で。
  • スペースノイド@シアターグリーン BIG TREEシアター。(未見)松本零士の原作の、戦場を舞台にした極限状況下の人間芝居、とか。どうでもいいけど、チラシにもwebにも出演者名が無いのはいったい...。つか、ダブルキャストって話もあるようなんですがシングルキャストになった模様です(9/22追記)...
  • 東京ネジ@OFF OFFシアター。( 1, 2, 3) 盛岡から出てきた劇団なのだけど、盛岡時代から上演されている原点となった作品だとか。うあ、たのしみ。本チラシの一部に誤りがあるとかで、夜公演の時間が平日・休日で入れ替わっているよう。劇団サイトのご確認を。

うあ、あふれる。 ■ポタライブ@吉祥寺。町を歩く芝居、いよいよ今シーズン8本でファイナルとか。 ■女体道場@大正産まれ、projectサマカトポロジーの企画公演として上演された芝居の、劇団公演。 ■キャラメルボックス若手公演@ザ・ポケット、成井豊がまったくからまない初めての試み。DISCOVER VOYAGE題しての企画公演。前売りもほぼ完売らしく。 ■ヨーロッパ企画@スズナリ。 ■初級教室@シアターVアカサカ。

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2006.09.18

【芝居】「Maggie」スロウライダー

2006.9.17 19:30

しっかりと世界を作りだす力。静かで派手さはありませんが、なかなか魅せるのです。90分、18日まで駅前劇場。

バイト先の同僚から告白されたけども、あんまり好きじゃなかったからバイトに行きづらくて。家を追い出されて昔の先輩の家に。
西瓜糖を煮つめて生活をすべて賄う世界を書いた本を携えて…

リチャード ブローティガンの「西瓜糖の日々」(amazon) という小説にインスパイアされたと当日パンフにあります。西瓜を煮詰めた材料で建材・燃料・衣料を担い、 アイデスと、<忘れられた世界>という二つからなる世界を描いたらしい物語。この物語を世界の一つとして描き、この本を読んでいる自分が居る世界(それは日本の九州のどこかの町)を外側に描く構成。

辛いこと(まあ、そう大した悩みではないのだけど)でバイトに行かず、実家も追い出されたために一つの物語の世界に逃げ込んでしまう男。昔の先輩を頼って九州まで居候しにきて。その妹に対して抱く恋心。物語の世界での主役が自分だと投影し、彼女をそのヒロインとして妄想しつつ。

が、その物語の主役となるこの(=九州の)世界での人物は自分ではなく、実は自分のポジションがその敵役だとだと気づくのです。自分の人生は自分が主役なのは間違いないけれど、それが思うとおりにならないのは世の常。それはよくある話だけど、若い頃にたいていの人が経験するはずのほろ苦さ。

この「主役が交代する」瞬間が実に鮮やかなのです。いろいろ足掻くのだけど結果負けてしまうまでのおそらく数分しかないシーンはスリリングです。単に辛い話にはしないで、終幕で多少の妥協はしながらも前向きに見せるのも、あたしは好きなパターンです。

どこかの一軒家のようなベースに、全く別の真っ赤な壁のセットを組みあわせた舞台美術も秀逸。女優二人がアタシの目当てでしたが、松浦和香子は等身大で美しく。笹野鈴々音は見た目の特徴にとらわれない「普通の」役がかえって珍しい。これ以外でも、役者の誰にも破綻が無く、ちゃんと演じきるのも大した物だと思うのです。

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2006.09.17

【芝居】「UNDER GROUND」庭劇団ペニノ

2006.9.17 14:00

シアターガイドによれば「驚きの舞台美術でインスタレーション的な世界」を描くペニノの新作。80分、20日までザ・スズナリ。

うす暗い地下室らしい手術室。看護師だけで外科手術するらしい状況。医師っぽい格好をした人がいたりするが…

上手側にジャズバンド、台詞は殆どなく、たまにある会話も殆ど聞こえないのです。気合いの入った医療用具とか美術もかなり雰囲気があります。物語を追っかけようとするとそれを拒絶するような感じもあります。シアターガイドのパブリ文を見て追っかけで理解するアタシなのです。

確かにインスタレーション的で、ストーリーを伝えるよりもシーンを印象づける方に興味がある気がします。設定と雰囲気を作る所に興味の殆どがあるというか。彼ら自身が「実験的」と言ってるぐらいですから、癖はあるわけで。

この見せた世界に浸ることが観客の立ち位置で、そこに面白さを感じるかどうかが評価の分かれ目だと思うのです。

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【芝居】「プライベート・ライヴズ」パルコプロデュース

2006.9.16 19:00

1930年発表、ノエル・カワードの手による英国戯曲を、飯島早苗(*)の手による脚本、山田和也の演出による上演。150分(休憩20分込み)。24日まで青山円形劇場。

ベランダ越しに隣り合う二組のハネムーンカップル。甘い夜になるはずだったが、離婚して別れた二人が別の相手と再婚しての夜に偶然隣り合ってしまったのだった。罵倒し合いながらも、相手を今でも愛していることを気づいた二人は、ふたたび手を取り合って逃亡するのだった。逃避行の末たどり着いた部屋に二人。愛し合うがやはり罵倒しあわずには居られない。そこに逃げられた相手二人がやってきて..

濃厚に愛し合う二人、罵倒し合う二人、相手を思いやるようでいて表面的な愛に過ぎない二人など、さまざまに組み合わされるシーン。ストーリーは愛し続け合う二人の話とでも要約できるほどシンプル。役者の演技する力や、普段見られないような表情、暴れるような演技を性格で安全に行う力。役者の力によるところが大きいのです。

それを支えているのは、ごく普通の日本語の会話をきちんと書き出すことができる脚本家の確かな力なのです。原文はイギリスらしい、面倒くさい台詞回しに溢れているのでしょう。裏に隠された意味や遊びをひもとく過程が書かれた脚本家のblogはスリリングな仕事をかいま見せます。また、フランス人のメイドが喋る片言の英語のひどさは、偏見に満ちあふれてて、時代を感じさせますが。

演出そのものは面白いシーンをちゃんと面白く見せる力はもちろんあります。が、演出が円形の舞台を制圧できていない、とアタシは感じるのです。青山円形でハマるパターンの多い「演出席が何処にあるかあからさまにわかる演出」の域を出ません。「南国プールの熱い砂」が初演から 再演にかけてこの円形を確実に克服したのは記憶に新しいところです。「南国〜」は完全円形ではありませんから、完全円形の今作と対等に比べるわけにはいきませんが、それでも。 あたしにしては珍しく早い段階で押さえた前売りはEブロックだったのですが、あきらかに「ステージ背面」の芝居。ソファーを固定してしまえばこうなることは容易に予想が付くのに、それを円形そのままやってしまうことが、観客からはどう見えるかと言うことが認識できていない、と思うのです。決して安くはないチケットですし、料金は均一ですから、これは文句を言ってもいい、とあたしは思うのですが。どうですかね。

1930年代という時代に照らしてみれば、相当にファンキーで刺激だらけの戯曲だったのだろうと思うのです。物語の軸となる「飛んでる」カップルが居るのはもちろんなのだけど、終幕近くの罵倒と睦まじい二組のシーンは、時代の持っているルールというか原則が音を立てて崩れていくようなショックだったと思うのです。今の時代から見れば古き良き、を感じさせてもしまうのですが、古くさくはないのです。

愛し合ってしまわずには居られない者同士、傷つけ合うのはわかっていても、そうするざるを得ない切実さこそがメインの二人を突き動かすのです。イギリスっぽくおしゃれにはできていますが、このベースとなる気持ちは日本で言えば「つかこうへい」な感じすらします。偶然にも隣の劇場は蒲田行進曲ですが。

もう一つ苦言を呈するならば、公式サイトやシアターガイドなどのキャスト表が4人しか載っていないというのはどうしたことでしょうか。出番が少ないとはいえ、役者は5人ですし、blogなどには結構書いてあるのですが、あとから決定したモノとはいえ、公式サイトを直すということがなぜ出来ないのかなぁと感じるのです。

とはいえ、かなり笑いに溢れていて楽みました。愛情をめぐる話というのはやはり楽しいのです。長めの休憩時間も舞台のしつらえを変えるための時間だと思えば、これは見てて結構楽しいのです。

パルコ劇場公式blog

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2006.09.16

【芝居】「獏のゆりかご」シス・カンパニー

2006.9.16 14:00

NODA_MAP系の制作を行うシス・カンパニーはここ数年プロデュース形式の演劇公演を行なっていますが、初めてのオリジナル脚本での上演。グリングの青木豪の作演は手堅く、楽しめます。100分、29日まで紀伊國屋ホール。

観客数の減少から廃園すら検討されている小さな動物園の一角、事務所前の広場。
バツイチ子持ちの女に心寄せる40を随分過ぎた副園長やら、バイトの女と付き合う男やら。クレーマの女、餌を勝手にまく男やら、常連客もくせ者揃い。
人気者のバクの誕生日イベントの準備をしている飼育員たちの所に、バツイチ女の知り合いのカメラマンが尋ねてくる。

四十過ぎの恋心を軸にしたコメディな仕上がり。結婚できない、離婚などそれぜれの事情。加えて三十ぐらいの若い世代や、結婚している女を配して対比で見やすい芝居に仕上げているのです。

動物の特徴的な生態をとりあげて、そう生きることができたら、という憧れを語るというのはそう珍しい感じではありませんが、「独りで立って生きていく」ことを結果として選んできた女性の生きざまを端的にみせていい感じ、なのです。

実は、あたしは杉田かおる、という女優が好きなのです。小さい頃とか金八センセイあたりはそうでもないのですが、中年になってからのあれこれを含めて、なぜか愛おしい。まあ、普通の感覚じゃないことは意識しつつ(^^;;)。その彼女をナマで見られることのうれしさってのは確かにあって。

芸能人というタイプの役者を使っていることもありますが、正直な話チケット代は少々高い印象。それでも、客席が荒れるほどのスターではない、多少地味な役者の良質は芝居を一ヶ月近くロングランさせるというのはいい試みだし、もっと増えていいことなのだと思うのです。

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【芝居】「山犬」鹿殺し

2006.9.15 19:30

関西から上京し、共同生活と路上ライブを続けながら公演を打つ鹿殺し。アタシは初見です。オルタナティブと銘打ち、デザイン・音響の李の原作を丸尾丸一郎が作演しての企画公演。120分。18日(昼に追加公演あり)までザムザ阿佐谷。

10年ぶりの同窓会で再開した三人。卒業の時に埋めたタイムカプセルを掘り出そうと手紙を揃って受け取るが、差出人の記憶が薄い…

ほぼ素舞台。普段のザムザよりは舞台を持ち上げています。劇場にはないはずの奈落を作っているのです。巻き込まれ型なホラーな味付けで始まる序盤から多くの笑いを挟みながら、少し切ない味付けに。途中で目的地が変わってしまったような変節点を感じはしますし、物語に溢れる独創性とも思いませんが、終わってみればなかなかの見応えなのです。

並行して描かれる二つの話。無邪気な悪意とでもいうような幼い感覚は時に暴力的ですらあります。気持ち悪いシーンもあります。が、その奥には想う気持ちを留めているのです。

ホラー映画はあまり見ないアタシですらわかる、あからさまに大音響に頼るやり方は、映画的ではありますが、芝居に対しては効果を減じている気がするのはアタシだけですかそうですか。

ちゃんと組み立てる芝居、「上京、共同生活」のような劇団を語るストーリーを使ったプロモのやり方など相当に戦略的だと思うのです。が、奥底の気持ちは素直なものと感じるのが意外でもあり。

観客に対するホスピタリティは確かにしっかりしていると思います。制作にも(全体を統括するチーフ名がないのは気になりますが)ちゃんと浸透していてしっかりしています。前売りのチケットに抽選でプレゼントしたりグッズ売ったり、トークショーをしたり。ちゃんと「劇団のお客様」を掴む努力が見えるのは、観客としては嬉しいのです。

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2006.09.14

【芝居】「猿の惑星は地球」クロムモリブデン

2006.9.13 19:30

関西の劇団、「CrMo(クロ・モリ)」の東京拠点化の第一回。断片と印象で繋ぐ表現は、彼ららしい一本。もし早めに客席に座れたら、当日パンフ(フルカラー、気合い十分)の中央、上端の折り目左右に解説されてるあたりをざっと読んで(約1分)から。90分、17日までザ・ポケット(木曜は昼ギャザ公演のみ)。そのあと大阪。

「SARU」という、死なない身体+刀の形をした携帯を持ち、高度に爛熟した文化を持つ生物がメインになる星。一方、NINGENという、すこしの傷ですぐ死んでしまう野蛮な生物も少しながら居る。
深刻なネタ不足に悩む放送作家が他人の夢をネタとして購入するが、それはタブーに触れるのネタだったが、それに惹かれて探そうとする人々。一方、100年のコールドスリープから覚めて見た世界は。

映画「猿の惑星」のラスト、「実は地球だった」というとても重要なシーンが、DVDのパッケージ(amazon)になってるというネタバレに着想したタイトルと、その雰囲気受け継ぎつつもまったく違う物語を紡ぐ力。 もっとも、正直な話、(少なくとも二日目、J列上手側は)凄い役者たちの芝居が、距離の為に客席を制圧し損なった、という印象があります。ひとつながりのストーリーを紡いでみせるというタイプの芝居とは違って、見せられるのは断片。が、その奥底の切なさが作家の力点だと感じるのです。これを「ダンス的」と言ってしまうこともできましょうが、彼の世界よりも、こちらの方があたしの好みではあります。

過去の王子や、次回のサンモールスタジオ、あるいは青山円形(で観たい)ならばもっと魅力的になった気がするのです。もっとフラットで音響や照明、役者のグルーヴに包まれるような空間で見たい。それゆえに、ポケットという(舞台と客席が明確に分離した)空間は今作に関して言えばかなり厳しい試練だと思うのです。

あたしが観ている数作に比べると、役者数も段違いに多いのです。クロモリ・ネイティブ(カッコイイ男の俳優+可愛い女優)、若者、パワフルな役者などのバランスが変調して、均衡をとりあぐねてている気もするのですが、観る場所や、ほんの些細なバランスが芝居を大化けさせる素材がホントに沢山。終盤、ドラマ撮影のシーンあたりからの加速は実にいいのです。

携帯を実に自由な小道具として使っているのが実にいいのです。ある時は武器であり、ある時はコミュニケーション、あるときは現金を送り、のように。お財布ケータイに見られるように現実的でもあり、物語を止めずに軽快に進めるのに効果的です。「スキミング」(=磁気カードを財布の外からスキャンして情報を読み取る)ってのは今現在では言葉としてあまり定着してる気がしないのだけど、どうだろう。

ヌルイ笑いに隠されているけれど、死ぬことと生きること、それに惹かれる気持ちの切なさが芝居の根底に歩きがします。手に入らないがために切望することというのがあって。この「切なさ」こそが、彼らの持ち味だとおもうのです。

板倉チヒロが舞台にリズムを作り物語を運びます。木村陽子(ex. MOTHER)改め木村美月の自在なパワフル。金沢涼恵の理性的な役もちょっといい。

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2006.09.12

空気を読む。

かつてアマチュア無線てのをヌルく趣味としてたのだけど、どの入門書にも、「電波出す前にはよくワッチしろ」って書いてあったのですね。同じ周波数(ま、チャンネルですな)で重なって電波出すと混信するからなんですが、それ以外にも、そのあたりがどんな雰囲気なのか掴んでから始めなさい、ってことだったと思うのですね。 

当時はまだネットなんてのは無かったのですが、当時にしてみれば、バーチャルとリアルの間の差ってのがそれだったのですねぇ。niftyになっても、mixiになっても、実は現実世界でも、「その世界での空気読め」ってことか。リアルとは違う力学で動いてる世界ってのはありますよねぇ、確かに。その境界線上を軽やかに行けたらいいんですが。

週末は連休だけど、芝居デトックスな日を一日作って、まあそこそこの数で。ご案内いただいたところが多めのラインナップになりそうです。

  • プライベートライヴス(パルコ)@青山円形。いよいよ触れる飯島早苗脚本。嬉しいなぁ。楽しみだなぁ。◆土曜夜
  • クロムモリブデン@ポケット。( 1, 2, 3) 大阪中心で活躍してきたのだけど、いよいよ劇団ごと東京進出。その第一弾となる期待作。男優は格好良く、女優は美しくて、楽しみたのしみ。◆できれば..水曜夜に
  • 鹿殺しオルタナティブス@ザムザ阿佐谷(未見)。関西から拠点を移したといえばここも。残念ながら未見なのだけど、移転二年目の次なる活動の一つとしての、本公演とは違う別の魅力とか。
  • 庭劇団ペニノ@スズナリ。( 1) 前回初見、なんて表現したらいいかわからなかった前回は特別公演だったらしいので、また見届けるために。◆あわよくば金曜か土曜あたりに..
  • ダムダム弾団@萬スタジオ(未見)。ゴミの捨てられる島のその変化の物語、らしい。

スロウライダー@駅前劇場(1)、この前見たのはなんか凄かった。役者達もかなりのラインナップで。 ■プレイメイト@THEATER/TOPS、作家・川上徹也と役者・近江谷太朗のユニット、なんと最終公演だとか。ちょっと長めだから来週に回せる...のか。旗揚げを再演。■@OFF OFF( 1)怪優・植田裕一のユニット。一人ライブとの混合上演。■獏のゆりかご(シスカンパニー)@紀伊國屋ホール。■新感線@グローブ座。

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2006.09.11

【芝居】「陥人(どぽんど)」カムカムミニキーナ+ネルケプランニング

2006.9.10 18:00

シェイクスピアのいくつもの物語を折り込みながら、悪意の物語を描くカムカムミニキーナの初演をリニューアル、多彩な役者を揃えたプロデュース公演。東京グローブ座での公演は終了。150分。

嵐で沈んだ船の借金のカタに心臓近くの肉を奪い損なった商人は海に沈み、奇妙な生物と魔女に出会う。復讐心に燃える男はベニスに戻り、街の人々を次々罠にかける。イカサマで味を覚えさせ博打にハメ、出世心をで人を煽り蹴落とさせ、妻への愛情を猜疑心で満たし…

「ヴェニスの商人」を中心に、「マクベス」「オセロー」「テンペスト」「夏の夜の夢」などいくつものシェイクスピアの物語、しかも疑い悪意に溢れる人間を描いたエッセンスを濃く、たっぷり。

膨大な話を盛り沢山に仕込み、笑いのシーンもいっぱい。確かに見やすくて、予習しなくてもちゃんと追える話運び。役者それぞれに見せ場を作れるのもプロデュース公演らしいのです。

反面、アタシには時間が長く感じたのも事実。見てて楽しい序盤や勧善懲悪の終盤近くはともかく、シェイクスピアの盛り込んだ話を説明し、アリバイを作るための中盤は笑いを作るわけにもいかず少しダレ気味に感じます。

圧倒的なのはやはり小手伸也(初演も彼だった)という役者なのです。序盤で飛び道具のように客席を沸かせ、要所を押さえ、終盤で哀しく美しいシーンを作ります。客席に降りるシーンを狙って、千秋楽夜の回で客席から紙袋を手渡されるほど、リピートした観客から愛された役(者)なのだろうと思います。

TEAM NACS未見でジャニーズにも疎いアタシは客席が沸く役者が世間ではどんなポジションなのかは、よくわかりません。でもちゃんと見せる力。山田まりあは突っ走り、町田カナ(渡仏前最後?)の魔女は美しく妖しく。

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【芝居】「顔に自信がある」柿喰う客

2006.9.10 14:00

突っ走るエンタメ系は見応え十分だけど今作に限れば題材が微妙すぎる気も(初見)。120分。11日までシアターモリエール。

周辺の国と関係は悪い国・ジャポン。隣国は南北に分裂し、南はエンターテイメントの文化侵略で、北は軍事力と拉致でジャポン国に圧力をかけ続けている。洗脳により性的暴行を行う教団が暗躍し…

日本と韓国、北朝鮮、中国の問題、たとえば元首の参拝や拉致、イリュージョニストや韓流タレントやミサイルなどをちりばめ、誰が見ても現実を舞台に選んでいることがわかります。加えてこの夏を騒がせたあの教団を縦糸にして話が進みます。

当日券キャンセル待ちを出すほど人気の劇団らしく、こんな微妙な題材を扱いつつも作りは徹底してエンタメで、さまざまなシーンをスピーディーに繋ぎ、笑いも沢山盛り込んでいます。ほとんどの役者が客に向き合って喋るスタイルは最近のストレートプレイでは珍しい気もしますが、テレビ番組的な作りともいえ、この作風には合っている気もします。

魅力的な役者たち、見目麗しい女優も、しっかり笑いを取れる役者も沢山。脱線してもちゃんと物語を進める力も、まるでアドリブのように作りこまれた(だろう)笑いのシーンも手慣れた感じがします。

反面、この題材をここまで無造作に(と、あたしは思う。)扱っていることには違和感を感じずにはいられません。 アタシとは違う意見を確信犯として作るなら(嫌だけど)それは意見ですから、それはそれとしてアリだとは思うのですが。

しかし。悪意がないのは分かりますが、面白ければどうでもいいのかというか。マスコミであれば記録されるし観客数も段違いですから、ここまで無造作には出来ないのですが、今作は見られないことを前提に作っているヌルさを感じます。これを誰が見てもいい、と思って作ってるのかなぁ。これをメディアに記録して売るなら大した度胸だとは思うのですが。

物語の枠組みにこれを選ぶことで、客席を現在進行の共犯意識に巻き込むことは出来るでしょう。それをラブ&ピースという解決にしてしまうのも、それ自体が間違ってはいない。のだけど。

白状すれば、芝居の最中はかなり笑ったし楽しいとすら思いました。が、終演してトークショーを聞いて、劇場を出て、携帯でこれを打ち始め、歩いて新大久保のマクドナルドでこれを書き足してるときの、この違和感。なまじ面白くみせられているがために、この気持ちの持っていきようはどうしたら、と自問自答してしまうのです。

圧倒的に力があるのはわかります。たまたまこういう題材をこう使っているものに会ってしまっただけなのでしょう。もう何回か見たいな、とは思わせる出来なのはまちがいないのです。

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2006.09.10

【芝居】「それは満開の蝶」メトロポリスプロジェクトvol.17

2006.9.9 19:30

300本の二人芝居を通して街の姿を描くプロジェクトの17回公演(101話〜105話)。100分。今回からスタートした、より抜き再演企画(Re-metro←見られないけど)と交互上演で10日までストアハウス。

放課後の教室での漫画と会話#101「速読教室・夜間の部」。老人介護セミナーに来た女性とたまたま隣の男、家族がそうという訳ではなく仕事だったり、それなのに切実だったり#102「有吉慎太郎」。元カノの部屋に居る男、彼女は毎朝テレビで、あっちの世界に染まり#103「お天気お姉さん」。マンションの一室、ローン組めない男が即金で買って改造した部屋には#104「23区のノアの方舟」。すぐやる課、課長は親族の一大事だが、行こうとする部下を押しとどめて#105「失踪」。

間が開き気味な公演は一年ぶり。年齢が上の女優を迎えてるのも初めての試みか。文法というか役者の文脈のギャップは感じますが、広がりは出来た気がします。

アタシは#103が大好きなのです。ピンクのカーテンの部屋、出演者になった元カノとの会話。イケイケで横暴で可愛いままで…なんてのは枠組みに過ぎません。(いや、ここまでの色っぽさは好きだが)「皆が求めている」という実体の無い旗のもとに勝手に捜査して勝手に犯人を決めて、逃げ道のための警察OBとか引っ張り出すテレビという横暴と、それを批判しながら見てるという視聴者は視聴率という賛成票を投じてることになるという危なさ、怖さ。(やめなきゃ)

#104は、告発 というわけではないのです。むしろそこが滅びつつある生き物たちの最後の一線という視点は新鮮。金の使い道はひとそれぞれなのだけど、こういう価値観が存在することは普通知らない世界なのです。

物語というよりは、今の日本の現実がデフォルメされつつもキチンと描かれているのです。それは必ずしも大笑いしたり大泣きしたりは出来ないのだけど、起こってる現実の「ヤバさ(悪い意味の)」を感じとる力は作家の強みだなあと思うのです。

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2006.09.09

【芝居】「俺たち仲良し!」マーク義理人情

2006.9.9 14:30

男四人のマーク義理人情は脚本ではなく稽古場から立ち上げるテンションが持ち味。75分。10日まで王子小劇場。

ネクタイ姿の男四人が集まったのは古い井戸。その中に隠したタイムカプセルを開けるために集まったが、そのなかにあった四人共通のものは…

他への客演ではちゃんと普通の芝居をやってたりもするのだけど、稽古場からの立ち上げと役者のテンションで成り立つような舞台がマー義理の持ち味。その意味では期待通りではあります。

会話だけで、四人が共通に持っている過去を説明でなく浮かび上がらせようとしているために、えらくシンプルな話なのに時間はやたらにかかります。それも含めて楽しめるかが評価の別れ目になる気がします。

小学校の頃の憧れの女の子への想いの屈折し暴走するリリカルさがアタシは結構好きなのだけど、さすがにこれだけでは持たないと見えて、いくつか他のことも混ぜつつしています。が、それは断片の印象が拭えません。

テンションはともかく、このリリカルさを、物語に乗せて見せて欲しいなあ、とアタシなんかは思うのですが。

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2006.09.08

【ドラマ】下北サンデーズ#9(最終回)

2006.9.7 21:00 テレビ朝日系

スズナリ公演も無事に終わり、招聘されたヌーベル演劇祭。わずか1ステージとはいえ、下北沢の頂点となる劇場はサンデーズにとっての夢のステージが手の届くところに。早々に上がった台本は、「下北ソングス」。彼らのセルフポートレイトとなるような、自身の姿を投影した作品だった。
が、劇団をマネージしていた大手プロダクションの意向により、主演となる筈の里中ゆいかは連続テレビドラマに大抜擢。たった一日のステージがその制作発表に重なる。制作のアキコは直談判するが、スズナリ→本多の流れを作ったのは、裏で動いたそのプロダクションの力であることを知り、またゆいか自身のためにもなると思い、主宰と相談の上、里中ゆいかの退団を決める。納得しなかったゆいかだが、「牛乳おじさん」の言葉もあり、メジャーの世界に飛び込んでみることを決める。
主演は元女優のアキコが替わって立つことにし稽古の日々。ゆいかは、ドラマの撮影の日々だが、細切れで演出もろくにつかず、編集でなんとかしようとする監督のやりかたにどうにもなじめない。いよいよ公演の当日。場当たりの途中でアキコが倒れる。実は極度のあがり症でとても舞台に立てる状態ではなくなってしまう。そのピンチを知り、撮影現場での監督のやりかたとの衝突もあって、里中ゆいかはメジャーの道を引き返し、下北沢に走る。

スターになり得る素質のある小劇場女優、が、舞台とドラマの作り方の溝。普通に考えればメジャーの道を走るのが幸福な筈なのに、あえて、ビンボーで冴えない下北沢での生活に戻る姿。ラーメン屋のバンドマンたちと「牛乳おじさん」の過去の確執も、彼女をきっかけに再会する人々。未来が見えるようになったサンデーズという戻る場所のあることの幸せ、そして再び走り出せることの幸せを予感させて、本多劇場での開幕のシーンでドラマは終わります。

小劇場の作り手の現場も、ましてやメジャーなドラマ撮影の現場など知るよしもありません。ドラマの後半で流れていたのは「インディーズ」と「メジャー」というのがあるという世界。この世界を知らないアタシにとっては、そういうカテゴリが歴然とある、なんてのは脳天気にも少々古くさいとすら感じてしまうのだけど、音楽や俳優達の世界にとっては、それは現在のリアルなのでしょう。それがいつまで続くのか、永遠のものなのかはよくわかりませんが。

最終回らしく河原雅彦脚本、堤幸彦演出の組み合わせ。謎のクロマニヨンラーメン、会見日のゆいかの無茶、「踊りながらレインボーブリッジを封鎖する」ネタ、など遊び心も満載。一回分減らしたためか、少々落ち着かないといえばそうだけど、展開はスピーディーで楽しめます。本多劇場といわれているのは、外階段(ケラ+ホンモノの本多さんのシーンね)はホンモノですが、客席はまったく別の劇場(IMAホールか、検索かけてみると)。でも大きさといい、雰囲気は出ています。あんなに椅子よくないけどね。この本多劇場に過去の出演者やあれこれの辻褄を合わせるように作り込んでるような気もします。だからエキストラをほぼ一日拘束したのかと邪推しつつも。

遊び心で押してもよかったんじゃないかと思うのですね。それでもちゃんと面白くなりそうなように、核の部分は普通の若者の青春ドラマなのだから。カルト的でも十分大丈夫じゃないかと、後からなら何とも言えるわけですが。制作を演じた山口紗弥加という女優が実にコミカルも涙もいいのです。NODA MAP「オイル」に出てたそうなんだけど、うーん、記憶が。最後の上戸彩の「未熟」の表情も最後にもってくるだけあってさすがなもんです。あたしは割と満足しています。DVDボックスは10話分でやってほしいけど、多分10話分撮影もしてないんだろうなぁ..

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2006.09.05

涼しいんだか暑いんだか

それに冷房が重なると微妙に体調崩し気味。朝は調子いいのに、オフィスに居ると、とか。これでも睡眠は気持ちよくとれるようになってきてるので楽は楽なんですが。

オフィスと言えば、迷惑電話最近多くないですか。アタシだけですか。とみに増えてるのが「逆ギレ・リダイアル系」ってやつなんだけど、意図がわからないよなぁ。これで何かが成功するとは思えないんだけど、迷惑かけて追い込んで面会の約束だけでも取り付けるって手法かそうか。

  • メトロポリスプロジェクト @ストアハウス( 1, 2, 3, 4) 。短編二人芝居300本を通して街を作る企画、101本目からの次章。で、若手を使った再演企画も同時に。コマが、コマが。
  • 東京タンバリン @三鷹芸市芸術文化センター星のホール( 1, 2, 3, 4)。 ホールを完全に二つに分離、別々の芝居を同時に上演する(で、両方のストーリーを見るためには別々に二回見なくちゃいけない)企画。双数姉妹・円形で似た企画があった気もしますが、これがコマ不足に拍車をかけています。(←見過ぎです)
  • マーク義理人情@王子小劇場( 1, 2, 3) あちこちの劇団客演で独特の存在感を見せる”ブゲイ系”の役者達の本拠では、テンション強めの馬鹿芝居に見えるのだけど、やけに繊細な気持ちが入ってたりして。
  • 柿喰う客@モリエール(未見)。いえね、「顔に自信がある」というタイトルと、ほとんど配られてないチラシのセンスがやけにいい(女優が、というのは言わない約束)
  • 桃唄309@中野ポケット (1, 2, 3)。 先月、京都のTOKYO SCAPEで見た一本 なのだけど、テンポと優しさの手触りが不思議なおすすめ。

プライベードライヴス(パルコ)@青山円形、は飯島早苗脚本に触れたい(来週予定)。 ■各駅停車@OFF OFF(未見)、安城市に同名の劇団があって、そっちはwebがあるのになぁ。 ■猫☆魂@駅前劇場(1)、ドラマ下北サンデースではほぼ常連の「犬魂」なる劇団のオリジナル。出演者も重なってたりして。 ■大人計画フェスティバル@旧西落合中学校、学園祭形式の楽しげなイベント。だけど、これはさすがに大人気で断念。 ■陥人(どぽんど)@東京グローブ座。カムカムミニキーナとネルケプランニングの共同。小劇場系もやけに充実、TEAM NACSな人もいたりして。 ■あなざーわーくす@とりあえず。居酒屋での公演とか。

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2006.09.04

【芝居】「直線」青年団リンク・二騎の会

2006.9.3 18:30

宮森さつきの三人会話劇を演出・多田淳之介の手により五人の役者で。80分、6日までアトリエ春風舎。

マンションの前、偶然らしく出会う男女、招かれ部屋に。地下鉄駅の大きな事件(テロ的な)で死んだ被害者を巡る人だが、実行犯により近い人も混じりつつ。

かつての友人を懐かしむ人々なのだけど、その距離には差があるのです。作家が書いた三人芝居は、その距離感の落差に着目している気がします。皆がてんでバラバラ、信仰やアレコレ、交わらない直線(平行)のベクトル。

それを受けた演出はこの芝居を五人の役者(男1、女2×2)に展開して仕上げたようです。芝居を観た時点ではあたしは、この意図を消化しきれなかったのです。それは初めて拝見した演出家がさまざまな実験をすることが多い、ということを知らなかったからなのですが。日曜夜のトークショーによれば、二人の女性が、まるでコピーのように二人に増えて、感情も記憶も発想も共有している、というルールなのだといいます。なるほど、そういう風に芝居は出来ています。が、これが物語と相乗効果を生んでいるかというと、そこまではいってません。

演出は演出として、さまざまな手法を実験することが必要だと言うことは理解はしているつもりです。結構面白いし。役者の力が十分な青年団ならばこそ、この実験が結果を生みます。が、物語そのものに注目して見て見たいなぁ、とも思うのは、わがままですかね、やっぱり。

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2006.09.03

【芝居】「トリアージ」双数姉妹

2006.9.3 14:30

双数姉妹の新作は、気がつけば笑いも沢山のメタミュージカル。扱ってる題材の深刻さに真摯だとは思いますが、評価は別れるかもしれません。10日までTHEATER/TOPS。カーテンコール込み120分。

暗く埃っぽい場所、倒壊の可能性もある危険な場所。救護の手が行き届かず、倒れている人々を全ては助けられない。
この場所はモズク島というアジアっぽい国の日本人の資本の入ったレストラン。ホテルなどと込みの開発を目論んでいる。支配人は日本人で現地の言葉が判らないし、殆どの従業員は日本語がわからない。従業員の一人が通訳している。ある日、会社の融資がかかった重要な接待客が訪れる。堅物で通っていたが、従業員の一人に心奪われる。…

途上国、資本投下、買春、現地人(外国人)との恋心、現地人との断絶、テロなど、扱われている問題は根深く、今も現在進行である問題。軽々しく扱えるような問題ではないのだけど、作家は、人の想いとそれを圧倒する経済、という軸で物語を編み上げるのです。 あの手この手でエンタメとして仕上げようとしていて、あたしはこれを評価したいと思うのですが、この微妙な問題ゆえに細かなこと一つでも評価がひっくり返ってしまいそうに思うのです。

シンプルに心情を吐露しようとしてか、まさかのミュージカル風の仕立て。あたし自身はさこの照れ臭さに耐えられないことが多いのです。作家も同様に感じたかどうかは知りませんが、今作では救助員の二人をメタの視点に置く場面をつくることで、アタシにはいい感じ。そんな視点を作りながらも、そこに拘泥せずに見やすくする装置にしてるのはスマートでカッコイイ。

吉田麻起子は現地の可愛いらしく素朴な少女、にちゃんとハマり、中年男が道を誤る物語に説得力。今林久弥の通訳できる現地人の重奏する想いは深く重い役をしっかりと。

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【芝居】「ココメジ漂中」チコ・ラ・コッペ

2006.9.2 20:00

元P.E.C.T.の松本美香と、山崎ルキノという二人の女優が中心になった、やりたいことやってみるユニットの最初のライブ。関内のカフェレストラン・Lazybonesでの公演は終了。60分。

日本ではないどこかの街、飲食店のオープニングパーティの前日。久し振りに再会した二人の女。一人は店のオーナー、もう一人はオーナーとかつて日本の寿司屋でバイトしていた仲間。このパーティのためにやってきた。互いの近況を報告から、彼女たちのお喋りは止まらない...

二人のだらだらな口語会話の間に、少しコミカルな音楽。音楽のパートは心情吐露をよりストレートにする役割を持たされているようです。かつての寿司屋バイトのあとに働いたデザイン事務所の話とか、今はパン工場で働いているとか、安定しきった同棲男への愚痴とか、あるいは寿司職人との恋破れてこの国に一人で来るザルをえなかったとか、彼からの気持ち悪いプレゼントとか。過去をそれぞれに振り返り、笑い合い、流してしまう会話。さらに、子供の頃の夢に想いを馳せ、これからの自分たち「やってみよう」と踏み出す次の一歩。

カフェレストランでの演目らしく舞台も飲食店。食べながら呑みながらだらだらと見られるのはメリット。(あたしのように目測を誤って早まって呑みすぎてしまうことに注意すれば:-) 口語のだらだらとした会話、どこまで書き込まれたものか、どこまでが役者に任されたものかはわかりませんが、たしかに彼女たちの演じるキャラクタにはよくあってる自然な言葉だと思います。

反面、そのリアルさが仇となって、どこまでこのだらだらが続くかわかりにくく、単調さを感じてしまうところも(いや、酒のせいかもしれないけど)。音楽をはさんでパートを分けるというのは、正しい選択かも知れません。

千秋楽最終回では、タイトルの「ココメジ」に付いての言及がほとんどなく。説明の台詞、どっかで飛んでしまったようで。それはそれで、まあ話の大筋に影響はないわけですが。

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2006.09.02

【芝居】「サド侯爵夫人」Ort-d.d

2006.9.2 15:00

30歳未満の役者によるプロジェクト公演。ダブルキャスト公演のBキャスト。110分。3日までアトリエ・センティア。

基本的には三島由紀夫のサド侯爵夫人なのでしょう。まるでリングのような四角く少しの照明だけのシンプルな舞台。走り回る若い役者たちの勢い。コの字型に客席が囲んでいて、どの方向からもちゃんと見えるように気は配っていますが、いかんせんやはり正面からの方が良さそうです。(予約しなかった自分が悪いのですが)

美しく、迫力満点な近さが魅力。侯爵の顛末を語り、悪徳と貞淑という人間の二面を二人の夫人に模して語る一幕目の前半が圧巻。

反面、動静あるのになぜかテンションが同じに感じる不思議。当日キャンセル待ちで入れたのだけど、暑くて気を失ってしまうのはあたしの体調管理の問題、ですね。もし次があれば、もいっかいリベンジで拝見したいと思います。

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2006.09.01

【ドラマ】下北サンデーズ#8

2006.8.31 21:00 テレビ朝日系

八神が起こした自殺未遂、家族の無関心に腹が立つが、サンデーズを家族と言い切った八神の想いに答えられなかったことに打ちのめされる劇団員たち。公演を中止しようとするが、主宰は八神はそれでは喜ばないといい、改めて新作での公演を強い意志で決める。が、公演まではわずか10日。日常を離れ、里中ゆいかの実家の旅館で合宿しながらの稽古に入る。
主宰が思いついた、「猿の群れから人間に進化していくものたち」の葛藤の芝居は、芝居を離れようとする彼ら自身の姿にも重なっていた。ゆいかの大学の一行と偽って合宿を始めたものの、奇妙な稽古風景でそれはすぐにばれるが、なんとか芝居は完成する。
果たして、すずなり初日。前売り完売の盛況の中、織り込まれた人間ドラマの芝居に客席は絶賛するが、客席で見ていた八神は自分の居る場所はもうここにはないとカーテンコールを待たず席を立つ..が。

今クールのドラマ全体に視聴率は平均すれば低めだとは聞きますが、今シリーズは当初10回の予定が9回へ変更。残りはあと1回。スズナリ、本多と、あり得ないステップアップは、まあそれはそれとして。

「売れていくという進化」は必ずしも幸せばかりではなく、傷つけることもあるという外の世界。天国は遠くにあるワケじゃなくて、戻ってくる場所は、すぐ近くにあったはずのココ。いったんは飛び出していったとしても、戻ってこられる場所があって。そのときに「ただいま」と云ってくれれば、受け入れる側だって素直に喜べるのに。

自殺未遂した劇団員と劇団、芝居なんか認めない実家と娘、売れかけたバンドとその人気ボーカル。猿のコミュニティから進化して独立していく人間、という劇中劇の姿が、この小さなドラマシリーズの中今まで積み重ねて来た登場人物たちの過去や現在に幾重にも重なる醍醐味、いよいよ物語の刈り取りです。

芸能人の姿がかいま見えたり、赤茶毛センセイの謎、牛乳オジサンの過去もより鮮明に。

が、それでもやはり話は一つの収束点に向かって、ただひたすら真っ直ぐに進むために、どうにも遊びに余裕がない感じになっています。いくつもの遊びらしいものはあるんだけど、それよりも主題が気になってしょうがないというか。全体では好きなドラマなんだけどなぁ。劇中劇も臭いっちゃあくさいけど、あたしはキライじゃない。佐々木蔵之介の劇中劇での役はちょっといい。少しふ抜けた上戸綾の笑顔は今回が一番いい気がします。

いよいよご本尊、本多一夫本人まで登場、そういえばナイロン100℃の映像で出たこともありました。なんかね、カッコイイ男なんだ、これが。さすがにスズナリロビーはホンモノかなと思うのだけどどうだろう。 そういえばドラマの方はエキストラを募集...って来週の最終回分を月曜日に撮るってことか..

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