【芝居】「蝶のやうな私の郷愁(改訂版)」燐光群+グッドフェローズ
2006.8.5 19:00
二十世紀の孤独と題した三連作を上演する企画。第一段は松田正隆の戯曲を鈴木裕美演出で坂手洋二と占部房子の二人芝居は濃密な70分。10日までSPACE雑遊(こけら落とし)。
夫婦の暮らすアパート、台風の近づく夜。近所の工事などとりとめのない話をしていると、突然の停電...
当日パンフで述べられているように、「淡々と会話しているように見えて、句読点の前と後では」気持ちがまるでかわってしまうような松田戯曲は相当に手ごわいのです。淡々とすればするほど、アタシがテンションを維持するのは難しく、物語の行方を見失ってしまいがちになるのでついつい、足が遠のいてしまうのです。
今作は、そんな苦手なアタシにとってもみやすく、濃密に二人との時間を共有できた気がします。時間が短めで、全体にテンポがいいということはあるかもしれません。 どこまでが戯曲の指定か、どこからが演出の裁量かはわかりませんが、序盤にはすこしコミカルに夫婦の微妙な距離を描き、停電になってからも単に静かに淡々と描くだけではなく時折り出される変化球のおかげで、テンションが維持できるのです。
夫婦は当然知っている二人の間のさまざまは、当然観客は知るよしもありません。それが徐々に明かされるプロセスはスリリングなのです。雨漏りのようにぽつりぽつりと示される点描が、大きな流れをつくるのは松田戯曲にたいするアタシの印象そのものですが、今作もその流れ。
ネタばれになるので詳しくは書けませんが、終幕の美しさはとてもサプライズかつ印象的で、そこに絵のようにはまる占部房子の表情が実にいいのです。
燐光群+グッドフェローズ 「蝶のやうな私の郷愁」(組曲 二十世紀の孤独 vol.1
2006.8.1 - 8.10 SPACE 雑遊
作 松田正隆 演出 鈴木裕美
出演 占部房子 坂手洋二
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