【芝居】「赤木五兄弟」モダンスイマーズ
2006.8.27 19:00
蓬莱竜太の男臭さ世界がてんこ盛り。公演は終了。80分。
父母が事故で死んだあと、いい歳なのに家を出ずに兄弟五人で大工仕事で暮らしている男たち。気にくわない近所のせいで飼い犬が死んだり、母親が違う一人にあれこれあったり。
アタシは意外に観てるようで観てない劇団。デンキ島(松田リカ編)や作家の外部作品(第32進海丸)という数少ないサンプルからは、熱くて粗暴に見えるけれど進むべき方向には真剣で一所懸命な人物たちを描く作家の姿が見えてきます。
今作も、太めなズボンで建築の現場に行く(そんな場面はないけど)兄弟の姿が目に浮かびます。中卒で仕事をさせられたために、親のしていた仕事以外の世界を知らないという設定は、一所懸命なのに何処か空回りしてしまったり、第三者からは笑ってしまうような勘違いを描くのです。
昔だったら「学がない」という一言で片付けてしまうところなのだけど、構造計算「だけ」で柱を減らしてしまう現場監督の危うさが見えたりと、その世界を突き詰めた職人の強さにも作家は目を配ります。
兄弟のうち腹違いの一人(で、毛並が違う)の悩みや、彼への複雑な他の兄弟たちの想い、そこから派生する父母の死因の謎を物語は横目で見ながらも深くは踏み込まず、兄弟たちの居る場面の空気を作ることにこそ、今作での作家の興味がある気がします。そしてその意味で今作は確実に成功していて、(当日パンフによれば)作家が企んでいるシリーズ化のベースを作っているのです。
モダンスイマーズ「赤城五兄弟」
2006.8.22 - 8.27 THEATER/TOPS
作・演出 蓬莱竜太
出演 古山憲太郎 津村知与支 小椋毅 西條義将 恩田隆一(ONEOR8)
| 固定リンク
「演劇・芝居」カテゴリの記事
- 【芝居】「ハッピーターン」劇団チリ(2024.09.29)
- 【芝居】「昼だけど前夜祭」劇団チリ(2024.09.16)
- 【芝居】「朝日のような夕日をつれて 2024」サードステージ(2024.09.08)
- 【芝居】「雑種 小夜の月」あやめ十八番(2024.09.01)
- 【芝居】「ミセスフィクションズのファッションウイーク」Mrs.fictions(2024.08.30)
コメント