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2006.08.31

【芝居】「ハリスさん新聞社」トリのマーク(通称)

2006.8.31 19:30

トリのマークの人気シリーズ、「ギロンと探偵」の新作。いつもの安心感が心地よい60分。平日昼ギャザもありで9月2日まで、にしすがも創造舎。

(犬の)ギロンと探偵、そしていつものモリ(アーティー)君。届けられた手紙はおばあさまが来るとあり。謎の物音、謎の仮面姿の人も来たりして…

彼らのシリーズの中では比較的わかり安いボケまくり、笑いもたくさんの気楽なシリーズ。 「事務所あらし」のくだりや、仮面の人の無言なセリフのボケかたなど絶妙で。

夏の間の親子向けワークショップに登場したらしい(←親子向けだから出られないらしい)、「らんぽくん」なるキャラクタも出てきたりして、少しばかりの冒険もあったり、役者の間合いの勝負も含めて安定。

にしすがも創造舎は、初めての体験のあたし(で10分遅刻)。元・中学校の施設で、稽古場などとしても使われます。教室そのままに、あれこれの玩具、やさしく可愛らしさも。まっ平らで3列ですから、席次第では死角も出来ますが、少なめの人数でもあるし、座る芝居もなく、ギリギリなんとかなっています。子供が見るなら早めに前列確保を。紙芝居のときに勝手がわからずにカーペット上にすわらなかったアタシですが、視線をわずかに遮る物をさりげなく動かすあたりなんぞ、客の視点に想像が及ぶということの根底の強さ。

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2006.08.29

涼しくなってきた

秋というか季節の変わり目。新しい道を歩む人も居てぼちぼちと呑み会があったりして。(や、なくても呑むのだけど(^^;;))。次のステップにすすむという勇気に少し嫉妬しながらも、今やってることだって十分未知数だらけ。古い職場の送別会に参加させて貰えるという人の縁が、また嬉しくて。

芸術の秋だからなのかどうなのか、演劇公演も増量中な今週。行けないところが多くてまた残念で。

  • mblown トリのマーク(通称)@にしすがも創造舎。一ヶ月前に急遽決まった「ギロンと探偵」のシリーズ。可愛らしくコミカルで気楽に。( 1, 2, 3, 4, 5)
  • チコ・ラ・コッペ@Lazybones。夏前に 解散を発表したP.E.C.T.の看板女優と卒業した女優二人の芝居と唄とおしゃべりのライブ、とか。
  • イキウメ@サンモールスタジオ。( 1)オススメ評最近よく聞こえるイキウメの新作。この作家の過去作品の外部作品がだいぶよかったので更に期待を。
  • 二騎の会(青年団リンク)@アトリエ春風舎。青年団演出部に所属する二人、宮森さつきの作、多田淳之介の演出で。トークショーも木曜、日曜夜に。
  • Ort-d.d@アトリエセンティオ。ダブルキャスト公演で、U-30 プロジェクトと銘打って。
  • 双数姉妹@THEATER/TOPS。( 1) 最近は落ち着いた雰囲気になってきてる双数姉妹、タイトルの「トリアージ」は「治療や救出に優先順位をつける」 災害や戦場で見られる場面で使われる言葉とか。

■経済とH@明石スタジオ、経済評論家、佐藤治彦が小劇場好きというのはわりと知られた話ですが、彼の手による公演、実に豪華な俳優陣で。■燐光群@雑遊、三本立て公演のトリ。■「獏のゆりかご」@紀伊國屋ホール、こちらも豪華なシスカンパニー公演。■「ノーバディー」@京都芸術センター、前田司郎のワーク・イン・プログレス公演。

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2006.08.27

【芝居】「赤木五兄弟」モダンスイマーズ

2006.8.27 19:00

蓬莱竜太の男臭さ世界がてんこ盛り。公演は終了。80分。

父母が事故で死んだあと、いい歳なのに家を出ずに兄弟五人で大工仕事で暮らしている男たち。気にくわない近所のせいで飼い犬が死んだり、母親が違う一人にあれこれあったり。

アタシは意外に観てるようで観てない劇団。デンキ島(松田リカ編)や作家の外部作品(第32進海丸)という数少ないサンプルからは、熱くて粗暴に見えるけれど進むべき方向には真剣で一所懸命な人物たちを描く作家の姿が見えてきます。

今作も、太めなズボンで建築の現場に行く(そんな場面はないけど)兄弟の姿が目に浮かびます。中卒で仕事をさせられたために、親のしていた仕事以外の世界を知らないという設定は、一所懸命なのに何処か空回りしてしまったり、第三者からは笑ってしまうような勘違いを描くのです。

昔だったら「学がない」という一言で片付けてしまうところなのだけど、構造計算「だけ」で柱を減らしてしまう現場監督の危うさが見えたりと、その世界を突き詰めた職人の強さにも作家は目を配ります。

兄弟のうち腹違いの一人(で、毛並が違う)の悩みや、彼への複雑な他の兄弟たちの想い、そこから派生する父母の死因の謎を物語は横目で見ながらも深くは踏み込まず、兄弟たちの居る場面の空気を作ることにこそ、今作での作家の興味がある気がします。そしてその意味で今作は確実に成功していて、(当日パンフによれば)作家が企んでいるシリーズ化のベースを作っているのです。

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【芝居】「新世界〜上田展(3)」劇団上田

2006.8.27 14:00

劇団上田が通常の演劇公演とは別に行なっている「パトラクション」(パフォーマンス+アトラクション)公演。アタシ初見です。70分。28日まで麻布die_pratze。

ストーリーらしきものがあるわけではなく、どちらかというとモチーフから点描する、ダンスに近い作り。ワイシャツにサングラスを決め、カッコよさげに。今作では扉、便座、褌姿がモチーフに多用。

笑いを取るつもりかどうか、ネタが「肛門期」(あたしの友人談)でしかもそれがかなり執拗。そこから立ち上がる体の動きはなかなかなのに、逆に勿体無い気がします。

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【芝居】「古典風、他」横濱ドラマリーディングCプロ

2006.8.26 19:00

このドラマリーディング企画のプロデューサであるshelfの矢野靖人の手によるCプロは、元となるテキストに補助線となるもう一本のテキストを組み合わせたとか。45分、27日まで相鉄本多劇場。

伯爵家の跡継ぎ息子が帰宅した深夜、なくなったペーパーナイフをきっかけに会話をした、雇ったばかりの下女。二人の間の密やかな..

複数のエピソードというよりは点描に近いいくつものシーンを積み重ねていて、アタシには芝居を観ただけでは物語を追うことが少々手こずります。補助線となるテキストもあるようですが、元となる物語を知らずに見たあたしにはまた混乱のもと。原作のweb版を青空文庫で見つけて読んでみれば、これが演出の結果と云うよりは、原作からしてバラバラに なっている話なのだと云うことがわかります。

テキストを読めば読んだでそれぞれのシーンは面白いのだけど、全体で見て、これ、どういうことなんだ、って思ってしまうアタシなので、これが芝居に載ったとしても、少々厳しい。

身体や発声に演出の興味がより重いようで、役者が動いているだけでも「魅せる」という要素は強い気がします。今回の3本の中ではリーディングよりも通常の舞台表現にもっとも近い作りになっていて、これをリーディングという冠を付けて上演するのは、腑に落ちない気もします。反面、そう名乗ることでそれゆえに装置とか衣装とかにあまり無茶に拘らないことを前提としたシンプルな公演に出来るというのはメリットなのかも知れません。

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2006.08.26

【芝居】「冬の花火」横濱ドラマリーディングBプロ

2006.8.26 16:00

今回のリーディング企画の中では唯一、戯曲を使ったもの。 太宰、と聞いて思い描きそうな世界。 60分、27日まで相鉄本多劇場。

戦後すぐ、東京に行ったきり結婚していた女が娘を連れて故郷に戻ってくる。田舎を馬鹿にし、父親には疎ましがられながらも、育ててくれた母親は優しく迎えてくれ…

戦争が人の関係に混乱を産む時代。芯となる女は、都会っぽさの優越から、言い寄る男、真摯な暮らしていく気持ちなど様々に揺れ動きますが、それはやがて無情を。

戯曲自体は多分そのままで、その外側に作家自身を配しています。最初に入ってきたあとに、登場人物たちがまるで人形のように入ってきて、物語が立ち上がる瞬間はなかなかスリリングではあります。

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【芝居】「駆込み訴え」横濱ドラマリーディングAプロ

20060.8.26 13:00

一つの作家の三作品のリーディングを三人の演出家が行う相鉄本多劇場の企画公演。2回目は太宰治でAプロはstadioSaltの椎名泉水の「駆込み訴え」。シンプルに美しい45分。27日まで。

ある家に駆け込んできた男。遣えてきた「美しいあの方」を裏切って…

キリストを裏切って「売った」男・ユダがなぜそうするに至ったかを延々と一人語りするテキストには手を加えず、役者4人に振り分け、譜面台と椅子、ほとんど動きなし。リーディングらしい形。加えてキリストのセリフを白い衣装の女優一人に分けています。

頭の方こそ、テキストの堅さや「四人で一人」がわかりにくい感はありますが、そこで加筆に走らなかったのは正解に思います。

女優の方は奔放に動き、見た目に華やか。セリフのほうはどちらかというと発声につたなさを感じないこともないのですが、実務的に支え続けて裏切られるユダとの対比が鮮やかに見えるのは結果的には成功しています。

セットを建てこんだ前回から一転、黒一色。吊られたり貼られたりしている紙はキリストが読むテキストで宙から手にする見せ方は巧い。加えて一味あって、気が利いています。

当日と前売りの価格差が多少あるのと、もし複数ご覧になるならセット券(前売りのみ)が呑み代ぐらいの差があるので圧倒的にお徳です。アタシのように「さすらいの当日券派」(んな大したもんじゃない)は、別演目にも使える「リピート割引」がお茶代程度にはなりますので、お目当て以外もぜひ。

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2006.08.25

【ドラマ】下北サンデーズ#7

2006.8.24 21:00 テレビ朝日系

いよいよスズナリ公演の稽古初日。里中ゆいかのおっかけは相変わらず、他の劇団員もそれぞれに忙しい中集まったが、肝心のホンはおろかタイトルすら決まっていなかった。数日間こそは肉練や発声などやって待っていた劇団員たちだったが、それぞれに歩き始めた仕事の道、稽古場に来る人数も減っていった。直前までホンは上がらず、制作は芸能プロダクションの力を借りて、パルコ劇場クラスで上演されるような名作の上演を決めるが...

テレビドラマってのが、回によってここまで作家の影響を綺麗に受けるものだとは思ってませんでした。作家は#3(触れられたくない看板女優の過去)、#4(劇団総がかかりで上京する母を)の二本の組み合わせと同じ。まっすぐな気持ちを描くのだけど、壮大な無駄遊びは控えめ、率直に言えば笑い少なめ。

作家が書けないけど初日は迫るってのは、まあ小劇場の芝居でもよくある題材で、あたしの友人はこれをSMGO(Show Must Go On)モノと呼び習わし、その安易な多さを嘆くのです。でも、小劇場の現場を描くなら避けて通れない話なのは間違いなくて。座付きの作演一本槍でやってきた劇団が他のホンをやることが、「魂を売る」ことになるのか否か、なんてのも小劇場的。

芝居続けてきて30過ぎて、とかこのチャンスには食いついて、ここで食ってかなきゃという普通の感覚の人々と、そこにファミリアを求める一種「甘い」感覚を持つ人々の深いギャップ、想いでやってきた組織が大きく動く時に立ち会った人々にふりかかるのです。

下北沢の町の中のロケの多い回。それぞれがバラバラになってることを象徴するようなバラバラの街角。でも、現実は携帯電話で話す二人が「劇」小劇場(本多グループなのに、双六にのってない劇場)の角の両側にいる、なんてことを見て楽しむのはリアルに通い慣れた町を知ってる楽しみ。パクチーの炊き出し(ケラ+ナイロン役者二人のシーン)やってる神社はどこだろなぁ。いや、知ったからってどうということはないのだけど。

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2006.08.23

【芝居】「ニコラスマクファーソン」Piper

2006.8.22 19:00

Piperの二作めの再演。話も役者も満腹で満足な90分。東京公演千秋楽は満席。残りは月末、大阪で平日2日間。

外交文書の調印の会場、暗殺されそうな大臣を警備する刑事。よりによって昼行灯なパートナーで。
別の場所に呼ばれたのは、殺し屋ふたり、場所はまったく同じ形の。

1999年、「止まれない12人」「大田王#2」と同じ年の11月の初演。(川下大洋 後藤ひろひと 石丸謙二郎 三上市朗 板尾創路 上野みさ ビル・ロビンソン@青山円形)あたし、見てる筈だし部分部分は覚えてる気もするのだけど、そんなことすっかり忘れての観劇。

しっかりと芝居出来る役者ばかりというのは安心感。コンゲーム風味、ちゃんと笑いも格好良さも兼ね備えるのです。遊び心もそこかしこにあるし、きちんと作り込まれているということが、どこを見てもわかります。

「探すと勝てないゲーム」の最初のシーンが実にかっこいい。バリバリに決めては駄目で、腰を低く、飄々とした感じのさじ加減が実に。

平田敦子という女優は飛び道具なところはありますが、さまざまに変わる表情もコミカルも楽しい。三上市朗は声を聞いてるだけで安心。みのすけはこの陣容の中では情けなさがいい。小須田康人は、この力の抜け具合に苦労したようですが、2.2枚目(友人談)に落ち着いたらしく、カッコイイ。六角慎司は、大変すぎる役をこなしてはいますが、だって、これ初演ではたぶん作家・後藤ひろひとがあそびまくる為の役じゃないのか?彼に合わせて書き換えないのは作家の怠慢か、気づかない演出家ゆえか。

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2006.08.22

夜の虫の声

ミーティングの日付を急遽再調整しなければいけなくなって、ここだってところでお伺いたててみると、そこも同じ理由でミーティング設定できない日。ピンスポットで当ててしまうってのは、ヒキが強いんですか、弱いんですか。

駅から歩く道すがら、雑草のカゲから虫の声。昼は暑いけど、夕方はそれなりに涼しくなってるのかなとも。

  • 横濱リーディング@相鉄本多( 1, 2, 3)。 太宰治の原作を演出家3人がリーディングに仕上げる企画の二回目(だけど、#1。前回は#0)。
  • 燐光群@雑遊。スペースのこけら落としを3本の芝居(1で連続上演の企画。
  • モダンスイマーズ@THEATER/TOPS(1)。今年は第32進海丸の上演も記憶に新しい、蓬莱竜太の劇団。

■幻シンキロウ@王子小劇場、■怪人社@萬スタジオ、■こゆび侍@アルスノーヴァ、■ペンギンプルペイルパイルズ@スズナリ、■劇団上田@麻布die pratze、■机上風景@タイニイアリス。

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2006.08.21

【芝居】「1988年6月30日、あるいはバイエル」ころがす#1

2006.8.20 19:30

劇作家師弟ユニットの師匠サイド。ポタライブを主宰する岸井大輔の手による一人芝居。21日まで王子小劇場。60分。

チラシによれば、12人の人物へ、「1988.6.30に何をしていたか」について一人あたり複数回で10時間に渡るインタビューを構成したのだといいます。質問はスクリーンの文字として表示されますが、アタシの見た日曜夜で後半ズレていたのは、意識したものか、単なるミスか

こちらは客席の前、真ん中にPCと操作者。前の回で懲りたあたしは注意深く最前列上手端寄りを手にいれましたが、他の席ではどうみえたかしらん。「見えないこと」に観客がどれだけ不安を覚えるかをもっと気にしてほしいのです。手がないなら、あひるなんちゃらがやったような、完全自由選択という手もあります。

芝居の趣旨はインタビューからの再構成なのでしょう。 作家にとってこの日を選んだ理由は知るよしもありません。が、何でもないある日の記憶をたぐり寄せる過程はスリリングですし、役者がひとりで、いろいろな口調を自在に操るというアイデアは面白いと思うのです。 ならば、チラシにあるような、背景の説明、あるいはインタビューされる側の属性をもう少し示した方が観客に探させる動機をつけられるんじゃないかと思うのです。

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【芝居】「手を離したとき目をつむっていたのかそれとも最初から目はつぶれていたのか」ころがす

2006.8.20 17:00

ポタライブ( 1, 2) でつながる二人の劇作家の「師弟ユニット」の弟子側がわ。COLLOLの田口アヤコの手による「女中たち(ジャン・ジュネ)のコラージュ。21日まで王子小劇場。90分。

主人の奥様が外出の間の女中たちのなぐさみの遊び、

日曜夕方の割に満員の客席。油断してしまって出遅れたアタシは椅子三列目。ヒップポイントの高低差が少ない割に、舞台に平台もなく、それなのに寝たり座ったりする芝居多く。簡単に云うと見えません。いわゆる、演出席の位置がわかる芝居。 これからご覧になるなら、ともかく早め入り、前の席、影にならない席を狙うべし。

基本的な流れはコロールのそれに近いのです。原作のいくつかの印象的なシーンを抜き出し、同じシーンを重ねたりしながら、空気を作るのです。

前回は、いくつか挟まった「普通の会話」の点描がむしろ印象に残りました。今作においても、電車に乗って海水浴や、話は「女中〜」だけど関西言葉で組み立てるシーン、恋人たちのさえずる断片が印象に残るのは、視界がなかったから、なのかもしれません。

作家が自分で編み上げた言葉をもっと聞きたい、のは女性の言葉を聞くのが好きなアタシだからかもしれません、が。

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2006.08.20

【芝居】「おもちゃの一生」企画室ブルート

2006.8.20 14:00

クロム舎の俳優たちを中心としたユニット公演(か?)。マリッジブルーの女優、千葉おもちゃをフィーチャーした105分。22日までOFFOFFシアター。

開演間近の「おもちゃの一生」の楽屋。ヌル過ぎるテンションの役者たちの中でひとり、ピリピリとしている女優・千葉おもちゃ。が、開演直後に事故で死んでしまう。現れた奴が云うには、ぐずぐずせず次へ生まれ変われと…

細くて長身の姿でキレテンションの凄みと暴れっぷりが魅力の女優をフィーチャー。あることないことイジリ倒す趣向。 細かく分断されたひとつひとつは、女子高生風だったり、恋人との喫茶店だったり、人ではなかったりとさまざまに生まれ変わるのは、短いコント集的です。

長身の体をカクンと折り、崩れおちる(ズッコケる、意味で)さまや、キレるさまなど、この女優そのものを少し知っていると楽しめます。半面、そこに依存したわりには女優への執念だけに終始してるわけで、せっかく「ナマの女優」引っ張りだしたのだからもう少し、と欲張りたい気持ちもあります。

気合いの入ったテンションの強さはクロム舎・武藤心平の真骨頂。少々卑怯だし、荒らしかねないというバランスは微妙ですが、ここまで出来るというのは大したものなのです。

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【芝居】「さよならマリー」空間ゼリー

2006.8.19 19:00

女優ばかり、作家が女性のために演劇、と語る空間ゼリーの新作。キャバレー(キャバクラに非ず)に働くホステスたちの間に働く下働きのマリーは夢見がち、小説を応募しているが。そんな日にやってきた男装の麗人に

女の園たる夜の蝶の舞う空間。足の引っ張りあい、喧嘩、泡に沈められる(あれ、風呂に沈める、っていうんだと思ってた)寸前に踏み止まる空間の緊張が生み出す悲劇なのです。

いつまでも夢見る娘ではいられないという現実、がマリーを押し潰していくのです。精一杯に押し戻そうという力が、恋心になり、そして金を目にしてしまったがために。

マリーの終盤の凄み、アロエのニュートラル、椿も蘭子も負けず劣らず凄み。女優達には頭が下がります。ダンスもみていて楽しい。中劇場の規模ではかなり贅沢な使い方。物語の運びをやっていけるのは、オーナーの役者なのだろうと思います。

「鍬形つぼみ」なる女の子が出てきますが、多分こっちからの連想かと。これはこれで楽しいが、物語に必要だったかはよくわかりません。

昭和な時代の空間だし話もそうなのだけど時代考証が薄いのは弱味。ゴミ袋とか言葉とか。

もう一つの弱点は観客をきちんとコントロールできないこと。最前列に座って、喋り続けるひとたち。

それでも次回も見ようと思わせる感じ。凄み、病的さをもっと。(あ、これが刺激か←劇中の言葉)

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2006.08.19

【速報】「かりあげてみた」散歩道楽

2006.8.19 14:00

再演作連続上演企画の折り返し。客演陣と若手中心に。120分、21日までサンモールスタジオ。

海辺にある家の「倉」を海の家風にしつらえた部屋。勤務先のアルバイトを連れた兄夫妻の帰省、弟の少しドキドキする花火の夜とか。

軸となるストーリーはチラシにもある「不器用な兄弟」の話なのでしょう。見ていた側の印象としては、その大きな流れの話は細分化されすぎており、印象に残りにくい感じがします。

加えて、少々うるさいようなばたつくような感じは夏休みらしい空気や弟のキャラクタを明確にするためだと想像しますが、発散気味を感じたアタシには少々落ち着かない。

見たのは下手端に近い席。飛び出したアクティングエリアはあるのですが、芝居の多くは中央よりもやや上手に向けて作られており、これからご覧になる方はそちらを。

作家が得意なのはむしろ、ごく細かく、そよぐような気持ちの揺れだと思っているのです。当日パンフでも触れられている「夫の指を口に含む妻と見ている女」の瞬間だったり、「花火デートがあっさり恋破れる前後」あたりの弟や女友達、兄の幼なじみの関係だったりします。アルバイトの女性がヘソを曲げるくだりにも何かありそうですが、アタシは何かを見逃してしまったようです。

いとこを演じた二人の女優は確実な力で脇を固め安心感。三谷智子の落語的独り語りはスムーズで見やすい。椿真由美のかっこよさ。なつらしく、水着も。 妻を演じた野澤爽子が静かな妻、瞬間のちから。

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【芝居】「I KILL 〜イキル〜」少年王者館

2006.8.18 19:30

少年王者館は、強烈に作り込んだリピートが凄いと思いつつも、あたしは苦手な感じが否めなかったのです。名古屋・大阪をへて東京がラストになる安心感も含め、約2時間。今回もリピートはあるものの、回数少なめ、わかりやすい感じ、夕沈ダンスも交えて楽しい。20日までザ・スズナリ。

門の前で立ちすくむ男、自分が誰か、ここが何処かもわからない。両脇の二人が語りかける。蝉の声のうるさい季節、母親や父親、家族の姿が見えたりして...

少年王者館という劇団が凄いことはわかっていても、リピートが不得意でついつい足が遠のいてしまっていたのですが、横浜のリーディングをきっかけに続けて見ています。文法というか、様式がわかると面白くなってきます。

ここに居ない人、居なくなってしまった私についての話。そこら中に偏在する(つまり、ユビキタス、ってことですね)「イチロー」という人について行きつ戻りつしながら語っていくのです。更に映像と音響の凄さ、(いわゆる)キッカケも山盛り、役者たちも照明もきちんと作り込んでいることがよくわかります。タイミングの細かさは、何かでずれてしまうと成立しないぐらい、緻密さと同時に危うさ(というより儚さそう)な感じがします。

挟まれるダンス。子供の三等身のような身体で、トランスからケチャ(見損なった維新派を思い出しつつ)など、リズムに舞台の上に載っている凄い人数の役者がちゃんとハマルのです。普通は生でこういう光景はあるわけがなく、CGかアニメかってぐらいなのですが、ちゃんと完成しているのです。

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2006.08.18

【ドラマ】下北サンデーズ#6

2006.8.17 21:00 テレビ朝日系

週刊誌のグラビアにブルマ姿で載り、カルトな人気が出始めた主人公(里中ゆいか)。 劇団員の劇団内恋愛が揉めそうだったりムズ痒かったり。 そんな日常のなか、制作にかかってきた電話。スズナリ(下北沢小劇場スゴロクの3番目)の平日公演の空きのオファーと、演劇祭へのエントリの誘い。 更に事務所(芸能プロダクション)からのオファーまで。劇団ごと事務所に所属させるという破格。が、脚本のチェックと里中ゆいかを一任することが条件。その交渉風景を見ていたのが、こっそり上京していた里中ゆいかの祖父だった。かつて、売れてしまったがために駄目になってしまった自分の劇団(本多劇場の、こけら落としだった、という設定らしい--ホントはS.57.11.6唐十郎・秘密の花園..らしい)を悔いる気持ちが、サンデーズを解散させようとする。

祖父、牛乳おじさん、ケラリーノ・サンドロヴィッチなど前の世代の人々の過去の種明かしを徐々に。その対比として若いサンデーズの面々が続けたいと思う強烈な気持ち。

小劇場ってのは誰がやってもいいし、止めさせることは誰にも出来ないのが基本なのだけど、祖父という無茶な設定を持ち出して、「やらせてもらう」場面を演出し、若者達の想いとそれを見守ることを決めた前の世代を見せるのです。売れると云うことと、それゆえに無くしてしまうものがあるという小劇場のある意味ジレンマは次回にも続くのです。

いくら昇り調子だとはいっても、10年のOFF OFFのあと、→駅前→スズナリを数ヶ月で駆け上っていくというのは、小劇場の現場(いや、客だけど。単なる)を知ってる人間にとっては、あり得ない展開なのです。 広告宣伝の広がりで急激に伸びる可能性のある音楽の業界とはそこが違うのです。

それでも、ドラマ全体がTRICK( amazon)的 な嘘くささを持ってるからこれはこれで楽しいし、芝居を見慣れない普通の視聴者にとってはこれぐらいのスピード感の方が生理的なリズムに合ってる気がするのです。

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2006.08.16

お盆休み

2週間連続で週末に休んでしまったから、お盆休みをちゃんと取らず。でも、明日は一日だけ休みの予定です。ええ。

ちょっと夏疲れ気味かなぁと思ったりもするけど、食欲がまったく落ちないのはどういうことだ、説得力ゼロ。困ったものです。ちゃんと遊んで、ちゃんと休んで。前に進みたい。

  • 少年王者館@スズナリ( 1, 2)。 独特な音楽、リズムが特色の劇団。名古屋大阪を巡って東京がラスト。
  • 散歩道楽@サンモールスタジオ( 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7)。 再演作7本の連続上演企画、折り返しの4本目、もうこうなったらとことん付き合いますか。
  • 空間ゼリー@シアターグリーンエリア171( 1, 2, 3) 。前作が凄いことになった空ゼ期待の新作。チラシを見る限りはかなり色っぽそうですが。
  • ころがす@王子小劇場。 ポタライブ( 1, 2) の劇作家二人・岸井大輔田口アヤコ( 1) の「劇作家師弟ユニット」、二本立て。
  • Piper@サザンシアター( 1) 芸達者を揃えたPiper、後藤ひろひとの再演作。
  • 企画室プルート@OFF OFFシアター、クロム舎 (1, 2, 3) 所属俳優が核になる盛りだくさん公演になる予感。
  • 燐光群@雑遊 (1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8 9, 10) 、「二十世紀の孤独」と題した三本の連続上演企画の二本目。

少年社中@トラム、三部作連続上演の完結編。 ■こまつ座@紀伊國屋。

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2006.08.13

【芝居】「みちかける」SPIRAL MOON

2006.8.13 18:00

SPIRAL_MOONが愛知県の演劇フェスティバルでグランプリを獲得しての凱旋。「劇」小劇場での公演は終了。90分。

旅館の広い一室。突然の事故で死んでしまった社長が眠る向こうの部屋、通夜の夜。長女・長男・次男の兄弟、跡継ぎも決まらず親族会議もしなくてはいけない。突然の大雨、帰れなくなった葬儀屋、加害者の父、謎の女。

居なくなったひとを想う気持ちを基本にしつつ、姉弟や血縁などに向き合う時間。愉快ではないし、重苦しいこともあるけれど、必要だし、確かにある筈の風景なのです。

今作に限らず、SPIRAL MOONという劇団の持ち味は、誠実さと真っ直ぐな真面目さなのだと思います。もう、作家も演出も役者も制作もすべて。ことさら声高に喧伝したり、数バージョン作ってかさあげしたりはしないのに、連日ちゃんと前売りが完売し、席が埋まるのはそんな力なのだと思います。

頑固に真っ直ぐすぎる物語の運びは、ともすれば退屈したりもするのですが、そうはならないのは底力。頑固と言えば、長女を演じた演出の姿なぜか、役に重なる気がするのです。

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【芝居】「アカシア」アンドロギュノス(神様プロデュース)

2006.8.13 16:00

神様プロデュースの中の実験的役割を持つらしい公演。SFな枠組み、濃密な60分の二人芝居。13日夜まで遊空間がざぴい。

密室に閉じ込められた男女。厳しい制約の中、クイズを交互に出し合い敗者は処刑される。何人か勝ち抜いて出会った二人は、このシステム自体に疑問を持ち…

選ばれた二人が脱出していく、という話の流れ自体はSF的枠組みではよくあるものといえばそう。かなり大風呂敷に話を広げながら、その結果がクイズかよ、とか最後の鍵となる暗号がそれかよ、とか突っ込みどころはあるでしょう。

でも60分の上演時間中、役者がかっこいい瞬間や、ドキドキさせる時間、音楽や構成などで空間を作り出し、飽きさせずグイグイと見せつけるのです。

クイズ自体には物語世界が与えた多くのルール。ドンドン答えさせることを意識してとは思いますが、言い直し禁止や回答時間10秒のルールは役者にもプレッシャーでしょう。今作においては、それがいい方向に働いていて、濃密に楽しめる時間なのです。

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【芝居】「噂の男」パルコ

2006.8.12 19:00

福島三郎の原作をケラリーノ・サンドロヴィッチの潤色・演出で作り上げる160分。笑い盛りだくさんなのに悪意にまみれた仕上がりは骨太でずっしり重いのですが唸らせるのです。来月3日までパルコ劇場、そのあと大阪(ドラマシティ)、福岡(メルパルクホール)、名古屋(市民会館中ホール)をまわって9月下旬まで。

大阪にあるお笑いの小屋、舞台袖の半地下、ボイラー室と呼ばれる部屋は少し広く、楽屋とは別に稽古したり雑談したりする芸人たち。中堅の夫婦漫才やピンのインパクト芸人、支配人。古いボイラーを毎年メンテナンスする日。馴染みが休みのため、違うボイラーの点検技師が呼ばれる。かつて人気があった漫才コンビ・パンストキッチンのひとり、アキラが事故にあってから12年目の夏。

福島三郎といえば涙目銀座のようなウェルメイド、大泣きの芝居。ケラリーノ・サンドロヴィッチといえばナンセンスな笑い。役者もテレビでもみかけるような笑わせる力が確かな人気者5人(+2人)。そんな成り立ちからは想像も付かないしあがり。ケラさんが時折つくる、乾いた笑いと憎悪と悪意との話、たとえば「消失」にテイストが似ている気がします。笑いが少なかった「消失」に比べると、お笑いの小屋のバックステージという事情を差し引いてすら笑いも沢山。二つの相反する感情が心に溢れるのです。

かつての時代と現在を自在に往復しながら、「笑いを生業にする」人々のシャレにならない競争する気持ち、悪意、でも笑ってる人々。ストレスのはけ口はさまざまな形、性的なものや暴力、謀略などに現れるかたち。それでも物語の世界の大前提として、きれい事ではすまない、プロフェッショナルの世界にはある鬼気せまる迫力ゆえの人気というのがあることを認められないと、描かれている世界は受け入れられない気もします。

こちらの気持ちを乗せる役が一人もいない異常な空間。こんな怖い世界を一瞬たりともだれることなく見せ続けるのは、作家、演出、役者、スタッフワークもどれひとつ欠けることなくきちんと作っているからなのだろうかと思うのです。

細かく見れば見るほどいろんなことが出てくる気がします。若いマネージャーが自分の行く末をなぜ知ったのかのヒントはそこら中に隠れているし、リピートでご覧になる方はこれも楽しい。あたし的には「喜怒哀楽をすべて笑顔で表現する〜」ってのがツボ。つうか客席から拍手まで。あたしの周囲の界隈だけで云われてるのだと思ってたけど、これは共通認識なのか?

もともとクレジットされていた5人の役者は何れも見応えがあります。橋本じゅんと堺雅人の今昔切り替えの凄さ。橋本さとしの人のよさそうな表情。八嶋智人の悪意の表情、山内圭哉はファンキーに見えて、実は一番マトモな役。加えて夫婦漫才のコンビとしてクレジットされた2人、猪岐英人、水野顕子( アーノルドシュワルツネッガー)もかなり見応え。紅一点というのを別にしても、水野顕子は対等にやりあってます。ほんと。

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2006.08.12

【芝居】「miyaoko」つよしとひでき[trf]

2006.8.12 15:00

二人の俳優のユニット、つよひでの新作。無機王の渡辺純一郎の作演で、細やかな話。 あなざーわーくすの演出・わたなべなおこを、ほぼ主演に迎えて。13日まで、阿佐ヶ谷アルスノーヴァ。

引っ越してきた夫婦。口うるさくて無遠慮なご近所さん。2階には謎の荷物。妻がふと気がつくと無言て座りこむ男の子が座りこんでいて…

結構芝居を見てても縁がなくて初めていく劇場ってのは時々あって、アルスノーヴァも今回初。不思議な階段やら棚やら梯子やらのある不思議な構造。そこを二階だての家にみたて、ほぼ素舞台。

ない筈のものが見える話はままあれど、それを妻の病気だけに帰着させず、そこにある想いの話に広げるひと味。

つよひでには珍しい、笑いのほとんどない物語。にもかかわらず、彼らの持ち味の微妙なヌルさと作家の繊細な世界、劇場の微妙な広さの接点を探っている感じがします。

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2006.08.11

【ドラマ】下北サンデーズ#5

2006.8.10 21:00 テレビ朝日系列

初の駅前劇場公演は無事千秋楽を迎える。観客も多く、テレビやCMへの誘いが劇団に舞い込む。テレビ深夜枠の小劇場演劇原作ドラマが決まり、インパクトのあるCMで人気者になった役者たちの中で、その波に乗れない劇団員。一方ではバイト先で社員にならないかと誘われたり、バイト先の社長に冗談めかして結婚くどかれたり。彼女は決心して...

下がり続ける視聴率、今回はアタシ的には少し持ち直している気はするので、これで上向いてくれるといいなぁ。#2以来、堤演出に戻った体制で。

それまでは仲間で、すべてが一緒で、芝居の巧い下手だけで優劣が付いていたのに、外部の仕事が舞い込んできて劇団員の中で生まれる格差。 まして、自分の才能を信じ切れず、年齢を重ねていく行く末に一抹の不安、別の、自分を必要としてくれるところに、もうそろそろ移っていいのではないかと想う気持ち。会社員だって思うぐらいですから、ここに描かれているような小劇場役者の設定では、日々がその自問自答なのでしょう。ある程度年数を重ねたカンパニーならまちがいくある、そんな役者。

合わせて、「過去から足を洗った」人々がカットバック。あの牛乳屋店主がバンドメンバーだったり、座長だった男がいたり。それぞれの世代で「足を洗った」人を描くことで行く末が見えた気をもたせるのです。

どうでもいいようなものですが、何かと言えば「劇団のため」ということであれも、これも、あろうことかあんなことまでしてしまう主人公は、真っ直ぐだというキャラクタはあるけれど、どこかセミナー系のような危ない雰囲気すら感じたりして。まあ、そういう意図でないのは明らかですが。

深夜枠の演劇原作といえば「演技者。」ですが、あきらかにそれを意識した「人ステ」なる番組。下北沢の風景もまた多く。いつもの南口商店街エリアだったり、代田の交差点ちかくにあるカフェから外とか。好きな町の風景が楽しい。

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2006.08.10

【芝居】「サヨナラとさようならをする(潮騒編)」play unit-fullfull

2006.8.9 19:30

ヒロセエリの戯曲を、本人と、ナイロン100℃の大山鎬則が演出の2バージョン公演。本作は「潮騒編」と題されたヒロセエリ演出版。交互上演で16日まで、OFFOFFシアター。127分ぐらい。

潮騒が聞こえる洞窟をコモンハウスに寝泊まりする人々。夫婦や姉妹や男たち。大雨の日に飛びこんで来た美しい女は記憶を無くしていて…

ホラーっぽいスパイスはありますが、基本的には分かりあえない部分がどこまでも残るさまざまな男女の話。妻に相談なく会社を辞める男や、執拗に過保護な兄妹や、憧れる気持ちの暴走やら。2バージョンあるのは、演出家の性別の差もあって、男性目線・女性目線ということのようですが、たぶんこっちしか見られない..

コモンハウスというのが、アタシには耳慣れず、ここがどういう場所なのかがしばらくつかみづらく。独立した居住エリアのほかに、数家族が共有するスペースを持つ形態の居住空間なのだとか。見ていればおおよそはわかりますが。でも、アタシの感覚としては、長期逗留しながら共同生活を営む人々、湯治場をイマ風にした感じ。が腑に落ちます。外の世界とは少し距離があって、「閉じた空間で暮らしている人々」を描きたかったのだろうと思います。

いくつもの男女の関係が示されますが、どれも「男の勝手で女のキャラクタを決め、無理に押し込もうとする」ということと、「それが嫌だと思う女」(当然ですね..)との齟齬や、「変わろうとする時の軋轢」が変奏しながら描かれるのです。 「キャラクタ」まではいかなくても、日常のほんの些細なことの違いが、違ったまま、相談されないままになっていることが女性の側にとって耐えられないことだという風景もいくつかあって、これも「頭では理解できる」んですよね、あたしも。はい。なかなかうまくいかないものです...(泣)

初日時点では、この幾重にも重なる関係が、どちらかというと全部フラットな感じに見えてしまい全体に少々長いと感じました。ひとつひとつの関係や、考えていることを反芻すると、作家の闇の部分が感じられて奥行きが見えてくる気もするのですが、もう少しシンプルに整理されていたほうがありがたい気も。

ほぼ主役といってもいいM.O.P.からの客演・勝平ともこが演じる「失踪していた妻」は臆病さと奔放さのコントラストが鮮やかで魅惑的。特に奔放の側がとてもいいのだけど、終盤近くにならないとみられないのが勿体ない(というか、あたしが見たいだけですね)。従業員を演じた遠藤友美賀のポジションは本作においてはほぼ唯一のコミカルさを持つ役で、全体に沈みがちなテンションを支えます。

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2006.08.09

お天道様が。

web2.0がロングテールで群集の英知な昨今(でたらめです)、ネットの向こう側のことを書いた「ウェブ進化論」に陶酔してて、それが今でも(多少は落ち着きながらも)あたしを突き動かしているのです。ネットのこっち側の出来事を、向こう側にどうやって移していくか。芝居の感想をともかく書くのも、そこら中で撮りちらかした写真を載せるのも、その気持ちゆえなのです。反面テレビや出版物やCDをコピーしてネットに置くのは興味ないのね。メディアに載ったモノは、あたしが載せなくてもと思うので。

ネットの向こう側に出来事を置く、というのはつまり「出来事をみんなでシェアする」ということ。自分がやったこと、感じたこと、行ったところ、見たもの、歩いたところ...ぜんぶネットに置いて、シェアしたい。個人を特定する情報は時節柄慎重になりますし、プライベートな行動はさすがにやりませんが、そうでない「行動」をネットに乗せる(ホントは「載せる」だけど、ネットでびゅんと飛んでいく感じで「乗せる」がぴんとくる)のは躊躇がないのです。

なぜ、あたしはそうしたいんだろうと思うのです。自分がどうしてるか、人がどうしてるか、見ていたいし感じていたい。そうすると、あんまり悲しいこと、あんまりひどいことが起こらない気がするのです。あたしの中では、「ネットでみんなが見てる」=「お天道様が見てる」という感覚が実にぴったりくるのだけど、同意してくれる人は少ないだろうなぁ。

わ、長くなった。週末に向けて。芝居的には夏枯れ?って声も聞こえたりしますが。

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2006.08.07

【芝居】「Prism Cue」

2006.8.6 19:30

山の手事情社の水寄真弓の企画公演の9本目。中野、カンナでの公演は終了120分。

徐々に出勤してくる店員たち、ヒエラルキが四すくみでオーナーを「追放」。今日集まった四人がぽつりぽつりと(通販、ヨーグルト、床屋、バス停)「おはなし」。トークショー番組、ゲストはSMO(セクシー・マジック・オーケストラ)「へや」。ヘボい芝居、略して「ヘボ劇」(桜坂(宅配便)、粉雪(パン職人)、真夏の果実(バカップル)、やさしい悪魔(ネコババしても)、ディア・ウーマン(ようこそ日本)、ヘッドライト・テールライト(戦い))。名作の超短縮、メーテルリンクの「印象・青い鳥」。テーマパークの中の店の普通の風景に、客に書かせた紙4枚(人に言えない自分の楽しみ=足の爪〜、見たくない映画のタイトル=鼻炎〜、絶対やりたくないこと=ホフク前進ほか、特別な日にしてあげたいこと=裸エプロン)をその場で開いてツジツマを役者が「カフェ・サンダー」。 トークショー番組のその2のゲストは、マユタリン(水寄真弓のギャグ的当たり役)

わりと山の手事情社(系)の達者な役者でやってきた印象のプリズムなのだけど、より若く新しい役者を交えての今回。関係するかわからないけれど客席も少し若くなってたり(オヤジも多数←アタシだ)。

カフェレストランで飲み物片手に気楽にみられる芝居のような断片。PECTが拠点にしていたクラジャに比べたら数分の一の広さで濃密に。前回までよりは、役者の入れ替わりもあるので(胸焼けするほどの)濃密さは減ってるのですが、よくついていってますし、年齢差ゆえに出てくる広がりもあるのです。

作りこまれているし、たぶんアドリブな部分は二つほど(推測)。それなのに全体にライブ感で一杯につくりあげる役者の力。7つのユニットの間で観客も共犯に巻き込んでいくのも役者の力なのです。

「青い鳥」で携帯を開いて暗い舞台に青い光が美しいのです。「鼻炎」の話で嫌な話にしながらもちゃんと行列の理由を作る瞬発力。

夜の公演後の「呑み会」で「ぐっとくるしぐさ」というエキストラもあり、多少不発気味も含めつつ、カジュアルなワークショップのようでもあるのです。

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2006.08.06

【芝居】「ゆめとうつつとまぼろしと」高澤プロデュース

2006.8.6 14:00

シアターグリーンが三つの劇場の体制になってから一年。記念公演的な意味づけで二本立てのプロデュース公演。6日までシアターグリーンメインホール。120分。

田舎のバス停前にある野菜の無人販売所。百円玉を入れて野菜を一つ持っていこうとすると、突然現れた店員は、全部持っていってほしいと…「百円野菜」。
机が並ぶオフィス、電話を使って代行秘書や出会い系サイトのフォロー処理をする会社。なかなか出社して来ない主任は…「おいていかれようぜ」

「百円〜」は、全編を貫く素朴。子供を想う親の気持ち、そんなことがもしかしたらありそうな、おとぎ話的なもの。男の現実の世界に重なりあうことで、一歩踏み込んでやろう、と思わせる動きを無料なく。アタシ的には好みとは少し違うけど、誠実に語っていることはよくわかります。

「ハロプロエッグ」ってのがどういう位置付けされるタレントかはよくわからないのですが、確かに可愛らしく脳を溶かすオヤジが友人にいても不思議なく。

「おいて〜」は、電話通販のコールセンターの子会社、出会い系サクラが仕事のほとんどをしめている少々いかがわしい感じのオフィスの女たち、なのだけど仕事は実にさっぱり。出社してこない「主任」に対する想いやすれ違いが物語の骨格。

出会い系サクラって仕事の説明には必要以上に周りを旋回しながら中核になかなか行かないもどかしさ。半面、以内主任に対する想いが、女たち同士の関係をダイナミックにうごかさず、最初に設定した想いのまま、独白のように交互に語るだけになるのが勿体無い気がするのです。「OL役」が役の上でのキャラクタとはいえ、最初にイタい感じなのも厳しい。「田舎からの新人」は、ボケパートと、説明を聞くためだけという感じがして、バランスがこれも勿体無い。

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2006.08.05

【芝居】「蝶のやうな私の郷愁(改訂版)」燐光群+グッドフェローズ

2006.8.5 19:00

二十世紀の孤独と題した三連作を上演する企画。第一段は松田正隆の戯曲を鈴木裕美演出で坂手洋二と占部房子の二人芝居は濃密な70分。10日までSPACE雑遊(こけら落とし)。

夫婦の暮らすアパート、台風の近づく夜。近所の工事などとりとめのない話をしていると、突然の停電...

当日パンフで述べられているように、「淡々と会話しているように見えて、句読点の前と後では」気持ちがまるでかわってしまうような松田戯曲は相当に手ごわいのです。淡々とすればするほど、アタシがテンションを維持するのは難しく、物語の行方を見失ってしまいがちになるのでついつい、足が遠のいてしまうのです。

今作は、そんな苦手なアタシにとってもみやすく、濃密に二人との時間を共有できた気がします。時間が短めで、全体にテンポがいいということはあるかもしれません。 どこまでが戯曲の指定か、どこからが演出の裁量かはわかりませんが、序盤にはすこしコミカルに夫婦の微妙な距離を描き、停電になってからも単に静かに淡々と描くだけではなく時折り出される変化球のおかげで、テンションが維持できるのです。

夫婦は当然知っている二人の間のさまざまは、当然観客は知るよしもありません。それが徐々に明かされるプロセスはスリリングなのです。雨漏りのようにぽつりぽつりと示される点描が、大きな流れをつくるのは松田戯曲にたいするアタシの印象そのものですが、今作もその流れ。

ネタばれになるので詳しくは書けませんが、終幕の美しさはとてもサプライズかつ印象的で、そこに絵のようにはまる占部房子の表情が実にいいのです。

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【芝居】「パンセ2006」resetN

P>20060.8.5 13:00

「パンセ」と銘打った公演は何回かあったのですが、アタシは初見。作家渡仏前の演劇作品としては最後、か。再演作を基本としてラインナップしたTOKYOSCAPE中では(新作ではないにせよ)異色の改訂新版としての上演。6日までARTCOMPLEX1928

ショールームに車で突っ込み炎上して死んだ男女。所持品から男の職場の同僚たちが呼ばれ、質問を受ける。編集者の彼は退院後に新雑誌を創刊したいといい、世の中の小さな怒りを取材し裏付ける(売れそうもない)誌面にしたいという。

観客の同意や理解が欲しいかどうかわからないのです。序盤の照明は雰囲気はあるものの、必要以上に暗く、開演前にあれだけあった音は少なく。

スタッフのチーム(massigra lab.)を作り、スタイルではなく、表現したい物を作るチームなのだと当日パンフで演出家は云うのですが、アタシには、これはスタイルなのだと感じます。

深く静かな怒りが地の底で鳴っている感じの物語の運びは見応えがあります。居なくなってしまった人に対する想いや果たせなかったことへの無念もきちんと刻まれます。

陳腐な言葉でしかあたしは表現できないのだけれど、どうしようもない孤独と絶望、が作りだす陰鬱は間違いなく、作家のリアルを感じさせるのです。

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【芝居】「おやすみ、おじさん」桃唄309

2006.8.4 19:30

細かなシーンの緻密な組み合わせで構成されているのに、どこか懐かしいフォクロアな肌触り。約130分。6日までスタジオ劇研。(4日時点では風琴工房も含め土曜夜が空いてるようです)

駅から離れた下町の商店街。街道沿いのスーパーなどに客を取られ徐々に店をたたむ所もあるが、生活している人々。雑貨屋の長男「僕」の家に長いこといなかった「おじさん」が帰って来たのは、街道に繋がる道路の計画が決まった頃で…

作家が書き貯めた「僕」と「おじさん」と妖怪についてのストーリーから二つを選んで一本の話に。他の組み合わせで続編が作れるようになっていて、奥行のある世界が作られています。アタシはなぜかシリーズ初見。

全国どこでも平均化されるように変わっていく町の姿の便利さを受け入れながらも、その土地にある「何か」に対する想い。 あるいは居なくなる友達への想いや。 それは 居ないはずなのにいつの間にか居る妖怪なんて形で語られるのだけど、その「個体」の話ではなく、そういう気持ちにさせる町の「空気」とでもいうようなものを語りたいのだと思います。

緩やかな時間の物語世界に対して、細かくカット割された断片のシーンを次々と見せていく手法はスピーディーでテンポがあります。例えばかつての惑星ピスタチオはそれを役者の肉体だけで周囲の装置にあたるところまで表現する試みだったのですが、桃唄309におけるISIS(Impossible Standing ItSelf-自立不能舞台装置)は、同じようなスピード感を(主にカキワリの)装置を次々と展開して見せています。動かしている俳優たちの姿自身がコメディ的に見えることもあって、初日の客席は序盤から素直にウケていて、その中でアタシはいつの間にか物語の世界に取り込まれていた気がします。

初日後のトークショーは作演の長谷基弘と風琴工房の詩森ろばによるもの。町の変化への戸惑いと便利になることの間の気持ちのズレというような展開で進んでいたところに、観客からは「そうではない町もある」と少々強い語調での持論展開。確かに商店街を懐かしく感じるのは少々「ステロタイプな感情」かもしれない、と自分を振り返ったりもしました。

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2006.08.04

【芝居】「子供の領分」風琴工房

2006.8.4 15:00

京都で開催中のTOKYOSCAPEの2週目。若い役者と愛おしい物語とエロかわいい凶悪さとが魅力な60分。6日まで人間座スタジオ。

マンションに暮らす二人の男、部屋の持ち主が持ち込んだのはネットで買ったペット…なのだけど、どうみても、若い人間の女。

初演は若手公演と位置付けられ、門前仲町という東京の下町にあるビルの最上階での公演で、窓も借景に使いました。話は東京のまま、美味いらしい実在するピザ屋の名前もそのまま。窓はないのだけど、広さといい、劇場らしからぬ白い壁といい、実にマッチしています。

男であるアタシには、破壊的なエロかわいさ炸裂の序盤にやられ、脳が溶けるよう。初演もみているおかげで、少しは冷静に見られたようで、3人の深すぎる断絶にどこか絶望的な気持ちにすら、なるのです。今頃気付くな、オレてなもんですが。

男女の(同性愛も含めて)愛情ってのはごく、自分自身のもののはずなのだけど、望まれて与えるものだったり、出し惜しみしたり、取り替えのきくものだったりと、ひとそれぞれに違うのです。違うのは当たり前なのだけど、二人きりでは見ないようにしていた関係が一人加わることで「あからさま」になる瞬間はスリリングです。が、観てるコチラ側も何かをえぐり取られるような痛みを感じます。

初演でも感じたのですが、若者全開な人物たちの考えるロジックも言葉の膨大さも、物事わかりすぎることも、人物にはそぐわない感じはあります。見た目は20代なのに中身は30代(しかも後半だ)みたいなチグハグさなのです。

テキストの膨大さは後半でどんどん抽象的に、テキストの応酬になるために見た目には平板で一回では理解が追いつかないのも初演の印象と変わりません。

が、あたしはこの話も役者たち(幸いなことに初演と同じだ)も、いとおしくてたまりません。 間を開けて何回も、役者が歳を重ねても観ていきたいし、このテキストを次々とバトンのように若い役者に手渡してほしいと思うのです。

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【ドラマ】下北サンデーズ#4

2006.8.3 21:00 テレビ朝日系

ステップアップの第一歩、駅前劇場公演。芝居のできばえも完璧。だが、ただひとり浮かない顔の劇団員。田舎の母親に主宰で順調に売れていると嘘をついていたが、明日の初日を観に上京するという。劇団員みんなで、一日その嘘に付き合おうと...

劇団なんてやってりゃ出てくるだろう(いや、出てる側の人のことは知らないんだけど)をベースにしながら、親の気持ちのはなし。「いい加減足洗わせよう」とするのも、一生懸命さに揺さぶられ、周りの気持ちの深さに感謝し、それを許すのも親心。親すらも知らない個性が生きる場所でもあるのは小劇場の良さなのかも知れません。

夏休みゆえか、どのドラマも親とか家族とかに大きくシフト(「結婚できない男」も「PS羅生門」もだ)。まあ、それにのっかる気持ちもまたよし。

で、その注目の駅前劇場公演は、やはりストーリーはわからないのだけど、ストリッパー役の主人公と、その鏡のような喋らない少女の合わせ鏡、なんて感じ。終幕の上戸彩はすごくいい表情で、もしかしたらこの芝居は面白いんじゃないかと思わせたりする演出。

毎度の楽しみ下北沢の風景。南口商店街を降りきったあたり、餃子の王将手前の路地や正面の八百屋(だっけか、あそこ)は見慣れた風景。ランチの店の外観は見覚えなし。中はどこだろうなぁ、まだ入ったことのないあの和風建築の洋食屋かなぁ。こちらもお楽しみ「下北沢の神様(んなわきゃない)」、ケラリーノサンドロビッチは先週の「有頂天って知ってる?」という抜群のねたの反動か、写真のみ...って

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2006.08.03

【芝居】「Zeller Schwarze Katz[論文編]」小指値

2006.8.3 19:00

身体の表現にテキストを載せる魅力に不思議な味。中野や渋谷は見てないアタシですが、楽しめます。8日まで王子小劇場。60分。

トリを飼ってる、エアコンのない部屋、友達が来たり、ゴハン食べたり。

頭で少しビックリしたあと、もしかしたらワケワカラナイ身体表現かと思いかけた所、自動改札、トウモロコシ、坂道のあたりからクスリ、クスリと笑い、徐々に上がるテンション。3人の人物と様々を5人の役者が演じるのですが、最初は戸惑います。まわりの様々が「見えて」からは俄然おもしろくなってきます。

語られている物語は不思議なほど静かで何も起こらない日常の無駄な会話。語り口はチェルフィッチュほど過剰ではなく自然体。周囲を描く身体はピスタチオ的でもあります。何処が似てるかわからないけれど山の手事情社のかんじもどこかに。

動く身体だけに頼らず、セリフを載せているのがダンスが苦手なアタシには魅力です。 中盤の買い物はパワフルだし雰囲気変わって楽しい。ケーキ作りにわくわく。 時間が短いこともあって、実に楽しい時間。

ホウキや扇風機などベタな表現もままありますが好き。首を傾げるようなのもあるけれど、作家にはああ見えてるんだろうなあ。

序盤と最後、鳴き声を繰り返すのは、アタシの感覚では少し長い。しかし、これが日常を繰り返す退屈、って意味なら凄いなあ、と勝手に勘ぐってみたりして。

中野や渋谷での「コミック編」からは役者も作演もずいぶん入れ替わっているようです。そのあたりは、きっと公演期間中に設定されていたトークショーで語られたんだろうなぁ。ちょっと聞きたかったなぁ。(ミーハー)

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また京都へ

仕事場は回ってるし、違う回転で実は結構充実してる感覚。なんかかみ合ってる感じなのだけど、遊撃手というか、独立した感じで。

お休みもう一日貰って、TOKYOSCAPEの二週目にも伺うことにしました。新幹線はともかく、宿の方は大激戦で、やっとこさ空きを押さえました。

  • 桃唄309@劇研アトリエ (1, 2, 3)。 10のストーリーからなる短編集。←初演みてなくて、チラシで誤解してました。いくつものシーンで構成されたテキストを独特に編み上げる味。あたしも初めての劇場に行くのが楽しみで。フェスティバル中もっとも低年齢でも見られるR-7指定。◆金曜夜
  • 風琴工房@人間座スタジオ( 1, 2, 3 4) TOKYOSCAPE唯一の、一劇団で二本。劇団の若手公演、キュートでポップで、エッチなのだけどR-12指定って..◆金曜昼
  • PRISM Cue@中野CANNA( 1, 2, 3)。 山の手事情社の水寄真弓企画、客席10強。小さな空間で濃密に少人数、気楽に呑みながら笑えて凄い。◆日曜夜
  • シアターグリーンリニューアル1周年記念@シアターグリーンメインホール。「百円野菜」と「おいてかれようぜ」の二本立て。ハロプロエッグ、ってのはあたしよくわかりませんが、力のある役者とスタッフの実は豪華な。
  • 小指値@王子小劇場( 1)。 三ヶ月連続公演を予定しながら、途中で劇場を変え、中途で中止することになってしまった公演の復活戦。月曜夜には「何があったか」と題したトークショーも。

■燐光群@SPACE雑遊、新宿にあらたに出来たスペースのこけら落としに、3本の連続公演を持ってきて。■playing unit4989@MOMO。■こまつ座@紀伊國屋ホール。■猫のホテル@本多劇場。■B-amiru@OFF OFFシアター。■こちら葛飾区亀有公園前派出所・舞台版@スペースZERO、連載30周年のスペシャル公演。

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