【芝居】「おやすみ、おじさん」桃唄309
2006.8.4 19:30
細かなシーンの緻密な組み合わせで構成されているのに、どこか懐かしいフォクロアな肌触り。約130分。6日までスタジオ劇研。(4日時点では風琴工房も含め土曜夜が空いてるようです)
駅から離れた下町の商店街。街道沿いのスーパーなどに客を取られ徐々に店をたたむ所もあるが、生活している人々。雑貨屋の長男「僕」の家に長いこといなかった「おじさん」が帰って来たのは、街道に繋がる道路の計画が決まった頃で…
作家が書き貯めた「僕」と「おじさん」と妖怪についてのストーリーから二つを選んで一本の話に。他の組み合わせで続編が作れるようになっていて、奥行のある世界が作られています。アタシはなぜかシリーズ初見。
全国どこでも平均化されるように変わっていく町の姿の便利さを受け入れながらも、その土地にある「何か」に対する想い。 あるいは居なくなる友達への想いや。 それは 居ないはずなのにいつの間にか居る妖怪なんて形で語られるのだけど、その「個体」の話ではなく、そういう気持ちにさせる町の「空気」とでもいうようなものを語りたいのだと思います。
緩やかな時間の物語世界に対して、細かくカット割された断片のシーンを次々と見せていく手法はスピーディーでテンポがあります。例えばかつての惑星ピスタチオはそれを役者の肉体だけで周囲の装置にあたるところまで表現する試みだったのですが、桃唄309におけるISIS(Impossible Standing ItSelf-自立不能舞台装置)は、同じようなスピード感を(主にカキワリの)装置を次々と展開して見せています。動かしている俳優たちの姿自身がコメディ的に見えることもあって、初日の客席は序盤から素直にウケていて、その中でアタシはいつの間にか物語の世界に取り込まれていた気がします。
初日後のトークショーは作演の長谷基弘と風琴工房の詩森ろばによるもの。町の変化への戸惑いと便利になることの間の気持ちのズレというような展開で進んでいたところに、観客からは「そうではない町もある」と少々強い語調での持論展開。確かに商店街を懐かしく感じるのは少々「ステロタイプな感情」かもしれない、と自分を振り返ったりもしました。
桃唄309(TOKYOSCAPE) 「おやすみ、おじさん」
2006.8.4 - 8.6 アトリエ劇研
作・演出 長谷基弘
出演 楠木朝子 森宮なつめ 山口柚香 吉原清司 バビィ 吉田晩秋 にうさとみ 藤本昌子 佐藤 達 貝塚 建 鈴木ゆきを 坂本和彦 小林さくら
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コメント
130分じゃないですね。110分ぐらいです。間違えました。
投稿: かわひ | 2006.08.05 15:49