【芝居】「ラジコン少年」マグネシウムリボン
2006.7.9 17:00
あたしは初見の劇団です。おすすめしたいところなのだけど、アルシェでの公演は終了。約120分。
なくなったラジコンを探し続ける男の子・ラジ男。アパートの3階から操作していたのを見付かり怒られて戻ってみるとなくなっていて、プロポを両手で抱えて探し続ける。同級生達が大人になり、日常を送っているのに彼は成長を止めたまま。ある日現れた女の子。「さっき」と名乗る彼女はラジ男の同級生だと名乗るが、ラジ男には覚えがない。「さっき」は自分が幽霊みたいなものだといい、思い出してくれないと困るというのだが...
ねたばれあります
「さっき」は、今見せている元気さとは裏腹に、本当は病弱で欠席がちな女の子だった。ラジ男も彼女が天井を見つめながら「お話」を作り上げた男の子の名前だった。彼女のアパートはある日火事で焼けてしまう。ラジ男の話はみんながお話として語り継いでいたが、彼女は語り継がれることもなく、火事のあと更地だったところにビルが建ってしまえば、彼女のことをみんなきっと忘れてしまう...
成長しないまま無くなったラジコンを追い求める小学生の男の子とその同級生らしい女の子を軸にしたファンタジーっぽい仕上がり。 導入部のあと、走り回る小学生たちの元気の良さ、学校の教師達もどこかコミカルで漫画のよう。子どもの視点のような断片を沢山積み上げながら、ラジ男が「お話」の上での登場人物でしかない、というところでも十分話としては成立しているのです。
彼らは更にその外側にもう一皮かぶせるのです。 「さっき」は忘れ去られてしまうだろうカゲの薄い娘だったのだけど、その彼女を物語の中の人物でしかなかったラジ男が探しに行くというひとひねりが閉じかけた物語を、大きく開け放つのです。この巧さを2時間弱にちゃんと納めるちから。密度も濃いのです。
小学生の男の子、ファンタジーというと遊◎機械全自動シアターの名作群があるのですが、「ひと」や「想い」や「ものがたり」や「いのち」を軸に発想しているところは近いテイストで、あたしは好きです。コミカルをふんだんに散りばめるのも、いわゆる「小劇場の芝居っぽさ」で、古いと云えば古いのかもしれないけど、あたしは見やすくて好きです。
マグネシウムリボン第13回公演 「ラジコン少年」
2006.7.6 - 7.9 阿佐ヶ谷アルシェ
作・演出 塚本健一
出演 鶴田マミ 前田彩香 豊田崇史 土田直 須藤真澄 片桐喜芳 久保田勇一 松本健 萩原志乃 坂上善樹 玉山悟 塚本健一 渡辺宣明
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