【芝居】「密室彼女」本谷有希子

2006.5.3 19:00

本谷有希子のアウェイと銘打つ番外新作。ミステリー作家・乙一の二本のプロットから。120分ぐらいでしょうか。9日までザ・スズナリ。

ビルの谷間、壁で囲まれて出られないところにビルの上から降ってきた女と自転車。下には男が勝手な暮らしをしていた。水も食べ物も最低限は揃っていて暮らしていける。女は大声で助けを求めるが、届かない。男と女の距離感のつかめない同居が始まる。
男二人が運ぶトランクを見てしまったがために、マンションの一室に引きずり込まれた女。男二人と女一人が同居していたらしい部屋だが、前の女は居ない。男二人は引きずり込まれた女のことを前の女の名前で呼ぶ。やがて前の女の痕跡をたどりながら入れ替わりを始めて....

当日パンフ、カラー小冊子で小さく折りたたまれ。テープで留められているところの中には原作となったプロットが小説形式で記載されており、開演前は読まないようにとの注意。

どちらも、閉塞された空間に居続けなければいけない女の話。本谷有希子の得意なパターンです。多分話は違うのだけどファイナルファンタジー(2001.10)や石川県伍参市に似てる気もします。そのなかで女がしたたかに生きていくために、この閉塞したコミュニティの中でどうしていくかが見もので、吉本菜穂子の魅力が全開なのです。

少々平坦なところはあって、盛り上がりに欠ける感じはあります。二人の静かな会話というシーンが多くて、きっちり睡眠を取ってからいかないと、勿体ないことになりそう。(あたしも時折うつらと。)

劇団、本谷有希子アウェー公演 「密室彼女」
2006.5.3 - 5.9　ザ・スズナリ
原案　乙一
脚本・演出　本谷有希子
出演　加藤啓（拙者ムニエル）　吉本菜穂子　杉山彦々