【芝居】「まとまったお金の唄」大人計画
2006.5.11 19:00
気がつけばかなりのプラチナチケット状態。やっとの思いで入手した大人計画の新作。前回の薄味さを払拭するような、濃くて媚びない130分。28日まで本多劇場、31日から来月7日まで大阪厚生年金会館芸術ホール。
1970年人類の進歩と調和を歌った「オオチャカ万博」に浮かれるオオチャカ。父親が居なくなり、高校生の姉妹と母親で暮らし、離れには学生運動に染まりきった女と排泄物を哲学してしまう男が住み、乞食と大書された乞食が乱入し。それを見つめる若い女の語りと。
人数も少なめ、笑いも仕掛けも愛情もメッセージも、てんこ盛りというよりは圧縮して詰め込んだような濃さ。万博の浮ついた人々の感じ、学生運動などを背景に置き、女であることの面倒くささと強さ、トランスジェンダーと気づけないことの辛さ、個人の信仰とそれを十把一絡げにまつってしまう国家、博士の愛した数式的忘却することの辛さ。わずかな時間、しかも基本的には一本のストーリーの中でこれだけを溢れんばかりに詰め込む脚本と、それをおもしろ可笑しく見せる演出、それに応える役者など、実にレベルの高い結実で楽しめます。
吊りやテグスなどの仕掛けに関して云うと少々ぎこちない感じが抜けません。映像は圧倒的と言うほどではないけれど丁寧に作られていて舞台を盛りあげます。
終幕の力強いブルースの「前進する力」。すとんと終わらせてしまうのは、どこか食い足りない感じもしますが、潔いとも思います。
語り部となる若い女もしくは子どもを演じた平岩紙の声と表情の豊かさ、関西弁との相性の良さにやられるアタシ。実に悲しい役どころをコミカルにしかし深く演じる荒川良々や阿部サダヲの凄さ。伊勢志摩の突っ走り、市川三和子の吹っ切ったコミカルも楽しい。
有料のパンフは今回なし。戯曲を販売しているのだけど、読み進んでいくと舞台が鮮やかによみがえるのです。
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コメント
まとまったお金があればなにがなんでも行きたいところです。まとまったお金があれば・・・
投稿: k.アンドレ | 2006.05.12 09:54
k.アンドレさま
まとまったお金があれば、あんなことやこんなことができるなー。
って、妄想するのが好きなあたしです。
←駄目人間
投稿: かわひ_ | 2006.05.18 01:50