【芝居】「岸辺の亀とクラゲ」明日図鑑
2006.4.29 14:00
日常に潜む悪意を描く明日図鑑の新作。笑いこそ少しですが、悪意の現場をどっぷりと濃く100分強。30日までTHEATER/TOPS。
結婚を控えた女性教師の部屋に酔って部屋を間違えて入ってきた中年男は上の階の住人だったが、その同居する女は教師のかつての教え子だった。教師は教え子のことを覚えて居なかったが、行きがかり上話を聞いたりするうちに同居する中年男まで、こちらにおかまいなしに出入りするようになって。同僚のストーカー男性教師や、これも覚えてなかった大学時代の友人までもが押しかけてきて...
日常、とはいいながら異常なほど繰り出してくる、歯車が狂った人々。部屋というごくプライベートな空間にこれだけ「入り込んでしまう」というのは普通はあり得ないはずの出来事。
いくつかの小さな有り得なさを積みかさねた物語は中盤になって階上の女の出発の段になって少々無茶な飛躍をしながらも、たどりつくのは随分大きな綻びになっているのに愕然とするのです。
(ネタバレあります)
描かれるのは教え子が持ち続けてきた「悪意が事件に変わる現場」なのだけれども、同時に そのプロトタイプとしての、何かに怯え疑う弱さを細かく執拗に描くのです。それだけでは終わらず、歯車が狂った人間の再生産が観客の恐怖を持続させたまま芝居が終わるのです。
実に巧くて満腹感があります。気持がどんより、沈んだまま観客は放り出されるわけでかなりの疲労感もあるのですが。
明日図鑑 「岸辺の亀とクラゲ」
2006.4.26 - 4.30 THEATER/TOPS
作・演出 牧田明宏
出演 中込佐知子 大久保佳代子 山口奈緒子 牧田明宏 野中隆光(THE SHAMPOO HAT) 谷川昭一朗
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