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2006.04.29

【芝居】「あした あなた あいたい」キャラメルボックス

2006.4.28 21:00

ミス・ダンデライオン」と同じく、クロノス・ジョウンター物語のうちの一本。最初は緩やかに始まるのに終盤急速に追い込まれ、泣かされる感じの一本。3日までシアターアプル。

(以下ねたばれあり)

試験中の「過去に飛ぶキカイ」クロノス・ジョウンター。一定時間後には元の時代よりはるか未来へ揺り戻し、飛ばされてしまうという致命的な副作用があって、実験もままならない。開発元の社員の男、友人も家族も居ないために、一目見たかった古い建築物を写真に納める、という軽い気持ちで実験の参加を承諾する。タイムトラベル後、ゴミ捨て場で気を失っていた彼を助けたのは、通りがかった一人の女性だった。

時間軸で観ると、古い方から「クロノス」→「あした〜」→「〜ダンデライオン」となっていて、その真ん中に位置します。一本目である「クロノス」との繋がりも強くて登場人物も多くだぶっていますが、クロノスを観てないと楽しめないということはありません。去年のハーフタイムシアターで感じたような、他の物語への依存は最小限に抑えられているのは好感が持てます。

他の二本に比べると、時間を飛ぶための動機が非常に薄いというのが特徴です。過去への強い思い故に未来に飛ばされるリスクを負ってでも過去に行きたいとおもう強い気持ちがこのシリーズの特徴だと想うのだけど、本作は、その気持ちがごく薄くて「あれれ、どうやって泣かせてくれるんだ」と思っていたら、ああ、こう来ますか、ダー(涙ね)、という急展開。これも少々ご都合に過ぎるといえばそうなのだけど、短い芝居のテンポ良さと相まって、一気に「受け入れさせる」嘘の強さがあります。

このシリーズはタイムトラベルものに強いという劇団の特性に良く合っているのと、クロノスのセットや照明の派手さも、アプルクラスの劇場では良く映えます。何より、揺り戻しで過去に飛ばされる瞬間に「人が消える」演出はごくシンプルな方法なのだけど残された人物の視線と探し回る動きを巧く使っていて三作を通して、この大切なシーンを最高潮に盛り上げます。このシーンの発明が、あたしを泣かせてる根本なのだなぁと思ったりもするのです。

ほぼ主役という役どころは初めてだろうと思われる温井摩耶のひたむきさがよく、大内・坂口らベテランの役者もよく支えています。三浦剛・畑中智行という若手が育っていてこのあたりも楽しい。

演劇集団キャラメルボックスタイムトラベルシアター Vol.3・ハーフタイムシアター2本立て 「あしたあなたあいたい」
2006.3.23 - 3.27 シアターBRAVA!
2006.4.1 - 4.2 メルパルクホールFUKUOKA
2006.4.7 - 5.3 シアターアプル
原作 梶尾真治「新編クロノス・ジョウンターの伝説」(朝日ソノラマ刊)
脚本・演出 成井豊+隈部雅則
出演 大内厚雄 温井摩耶 西川浩幸 坂口理恵 岡内美喜子 畑中智行 三浦剛 大木初枝 阿部祐介

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