【芝居】R.U.P 月影十番勝負「約束〜SASORIIX」
2006.3.18 18:00
劇団新☆感線の看板女優、高田聖子が気になる作家・演出家や役者と立ち上げるプロデュース公演のシリーズ。十番勝負と銘打ち、十一年目にしてその十番目・ファイナル。150分。26日まで、新宿スペースゼロ。
のどかな漁村で暮らしていた一人の女を名指しした怪文書。やっと人目を避けて暮らしを始めたところなのに、かつてその女を陥れた男の魔の手。かつては女囚だったが、更正して歌手となり慰問のために刑務所にやってきた女は、事件を起こして再び女囚となる。精神鑑定のために移送される途中事故で止まる列車、列車の座席で隣り合った男と移送中の職員と、女は..
予備知識なしで観てしまって、微妙にぬるい序盤の展開、ことわりなく突然挿入される回想シーン、奇妙なロードムービー風の展開にあれれどうしたことだと感じたのです。が、よくよく調べれば千葉雅子作。「猫のホテル」でよくあるテイストだという気はします。反面、猫ホテでは特異なキャラクタの役者たちで不思議なグルーブ感がある物語世界を展開するには、この役者たちは少々特性が違うのではないかと思ったりします。 これは巧い下手ではなくて。
だから、技術に裏打ちされた上で強烈なキャラクタ勝負のできる池谷のぶえがダントツで印象に残るのです。他の役者だって、主役を張れるような人たちですから、確実に巧いのだけど、普通は一本筋の通ったメインを張る人々ですから、ちょい役も含めたひとり多役が巧く回ってないのではないか、と感じます。
いろいろ読んでいけば、女囚モノをやりたかったという高田聖子の最初の発想から、千葉雅子のホン、という展開までは正しいのです。もうこればかりは、会う会わないというレベルの話という気もします。役者そのものが舞台で動き・話すところを観ると言う意味では、本作はコスプレ的でもあって、役者のさまざまな面が見られて堪能できます。
もっとも、月影十番勝負自体が、あたしに取ってはあまり印象に残ってないものでもあるのです。記録をひっくり返してみれば、実は全部見てるのだけど、タイトル以外の印象が薄いのは、あたしが役者より物語で芝居を記憶するタイプで、月影は役者指向の芝居だったからじゃないかと思ったりもします。
参考→
- 第壱番「ねえ、キスしてよ!」 1995.7
- 第弐番 「月の輝く夜に」 1996.6
- 第参番「河童」 1997.5
- 第四番「唇からナイフ」 1998.7
- 第五番「僕の美しい人だから」 1999.5
- 第六番「世にも素敵なネバーエンディングストーリー」 2001.9
- 第七番「愛の嵐」 2002.9
- 第八番「ダブルアルバム」 2003.11
- 第九番「猫と庄造と二人のおんな」 2005.4
※感想がないあたりは、感想の記録を残してないからです。
R.U.P 月影十番勝負第十番 「約束」
2006.3.10 - 3.12 大阪 松下IMPホール
2006.3.15 - 3.26 スペースゼロ
作 千葉雅子 演出 池田成志
出演 高田聖子 千葉雅子 伊勢志摩 池谷のぶえ 池田成志 加藤啓 木野花
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コメント
>役者より物語で芝居を記憶するタイプで、月影は役者指向の芝居だったからじゃないかと思ったりもします
この辺の感想は私も同感です。今回は好きな役者さんばかりだったので、どこを観ていいのか目移りしました。その間に話が進んで、結局池谷さんのいい声と高田さんの熱唱しか覚えてなかったです。TBさせて頂きました。
投稿: ドラ | 2006.03.20 10:36
ドラさん、トラックバックありがとございます。
物語を追わなくていい芝居なのだということなんですよね。毎回忘れて芝居が半分すぎてから思い出すのですが。 (^^;;)
投稿: かわひ_ | 2006.03.21 02:08