【稽古場】「砂漠の音階」風琴工房
2006.3.28
風琴工房の新作「砂漠の音階」の公演を間近に控え、通し稽古公開を拝見する機会がありました。時間を作ることができましたので、伺いましたので、簡単に。芝居の感想は改めて。(公演は4月5日から12日まで、ザ・スズナリ、約100分。)
太平洋戦争の少し前、北海道大学の研究室を舞台に雪の結晶を人工的に作る研究を重ねていた中谷宇吉郎と研究者たちの話。すくなくとも人物達の多くは史実に基づいているようです。科学と家族の、実に優しい話なのです。
科学者たち、それも日本の戦前を舞台にしたものというといくつもの名作があって、「フユヒコ」や「東京原子核クラブ」、時代はちょっと違うけど「法王庁の避妊法」など。それを支える女性達、という構図も類型的ではありますが、時代背景を考えれば、こうなるのは自明ともいえます。
実に真面目に、科学者というものに向かって取材を重ね、そこから得たモノで舞台に「科学者の生き様」を再現しようとしていると感じます。
話をまっすぐに進め、登場人物全てに優しい視線を投げかける作家の視線は、ときに平板を感じさせるかも知れません。米国帰りの学者の気持ちの動きのあたり、終盤の研究者のあたりの下りが好きです。反面、主役となるべき中谷の描かれ方が少々真っ直ぐに過ぎて、もっと葛藤が見たいところ。
限られたリソースの中での稽古場ですから、まだ声量や「はしゃぎかた」のバランス調整(いや、若手のはっちゃけ具合は、あたしは大好きですが)をしている最中というところも、あたしが見た時点では感じます。劇場に合わせるべきものでしょうし、いつ調整されるべきものかもわかってないので、きっと初日では問題にならないという気もします。
これが舞台ではどうなるのか、公演を拝見したいと思っています。さて、どこに押し込もう...
| 固定リンク
「演劇・芝居」カテゴリの記事
- 【芝居】「日記」カリンカ(2023.03.19)
- 【芝居】「15 Minutes Made in本多劇場」Mrs.fictions(2023.03.18)
- 【芝居】「Bug」serial number(2023.03.12)
- 【芝居】「Auld Lang Syne」渡辺源四郎商店(2023.03.05)
- 【芝居】「嵐風呂滑郎一座」おのまさしあたあ(2023.03.05)
コメント