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2006.03.31

暖かくはなったけど

もうすこし足踏みという予感もしつつ。でも、出会った人々とゆっくりと融合していける感じを受けるのは、働く場がイヤにならないという意味で重要で。それでも仕事大好きっというわけにはいかないのは、まあ遊んだり呑んだりの方がより楽しいからで←世間では駄目人間といいます。

日曜夕方に、氣志團@横浜アリーナ、チケット余らせて途方に暮れたら、売り先を探してくれた人がいて、感謝かんしゃ。CD は持ってるけど、聞き込んでないなぁ。前のほどは聴きこんでないなぁ。

週末の注目公演。もう溢れるの決定だけど。 ■ あさかめ@ギャラリtray、(1) またもダブルキャスト構成の三人芝居。どちらかを選ぶとしたらどっちかなぁ。 ■ マンションマンション@OFF OFFシアター、(1)、注目女優めじろ押し公演なのだけど。 ■ ミナモザ@サンモールスタジオ(12)町中の風景を切り取るような。 ■ a落花生MOON(1)、手慣れてしかも女優が山盛りで。 ■サマカトポロジ@ウエストエンドスタジオ、 タテヨコ企画@駅前、 @スタジオSAI。

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2006.03.29

【稽古場】「砂漠の音階」風琴工房

2006.3.28

風琴工房の新作「砂漠の音階」の公演を間近に控え、通し稽古公開を拝見する機会がありました。時間を作ることができましたので、伺いましたので、簡単に。芝居の感想は改めて。(公演は4月5日から12日まで、ザ・スズナリ、約100分。)

太平洋戦争の少し前、北海道大学の研究室を舞台に雪の結晶を人工的に作る研究を重ねていた中谷宇吉郎と研究者たちの話。すくなくとも人物達の多くは史実に基づいているようです。科学と家族の、実に優しい話なのです。

科学者たち、それも日本の戦前を舞台にしたものというといくつもの名作があって、「フユヒコ」や「東京原子核クラブ」、時代はちょっと違うけど「法王庁の避妊法」など。それを支える女性達、という構図も類型的ではありますが、時代背景を考えれば、こうなるのは自明ともいえます。

実に真面目に、科学者というものに向かって取材を重ね、そこから得たモノで舞台に「科学者の生き様」を再現しようとしていると感じます。

話をまっすぐに進め、登場人物全てに優しい視線を投げかける作家の視線は、ときに平板を感じさせるかも知れません。米国帰りの学者の気持ちの動きのあたり、終盤の研究者のあたりの下りが好きです。反面、主役となるべき中谷の描かれ方が少々真っ直ぐに過ぎて、もっと葛藤が見たいところ。

限られたリソースの中での稽古場ですから、まだ声量や「はしゃぎかた」のバランス調整(いや、若手のはっちゃけ具合は、あたしは大好きですが)をしている最中というところも、あたしが見た時点では感じます。劇場に合わせるべきものでしょうし、いつ調整されるべきものかもわかってないので、きっと初日では問題にならないという気もします。

これが舞台ではどうなるのか、公演を拝見したいと思っています。さて、どこに押し込もう...

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2006.03.27

無事終了>3/28 ココログメンテナンス

さすがに、前回の轍はふまず、無事に終了したようです。多少レイアウト乱れることがあるようですが、データさえ無事なら、あたしゃのんびり待ちますとも。

右下、一番下のところに、ココログからのお知らせが表示されるようになりました。コメントが付けられないなどの不具合が出たときには、ここに表示されるようです。

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明日3月28日はcocologのメンテナンスのため、 コメント・トラックバックの登録ができな くなります。(3/28 07:00-13:00)

いちおう午後には復旧するとの予定ですが、 このまえの例もありますからねぇ。 閲覧はできますが、コメント欄に文章書いて、送信しよう としてもエラーになるってことなので、何とぞご注意ください。

もし、障害が起きているときは こちらでお知らせがでますので、お手数ですがご確認ください。

臨時対応用の 掲示板も別サーバで運用していますのでご利用ください。

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2006.03.26

【芝居】「テングメン」チーム発砲B-ZIN

2006.3.26 18:00

「大人が笑って泣けるヒーローもの」というキャッチフレーズも定着を越えて違う方向に進むかと思われた発砲の新作は、「女をイカせてお代を頂く裏稼業」を描く時代劇。発砲の新作は、という不安を払拭するクオリティ。井上晴美を客演に。約2時間弱。2日まで本多劇場。そのあと神戸。

江戸の世。女の依頼で一夜の伴と快楽を提供する裏稼業。太平の世ゆえに職にあぶれた忍者の食いぶちだが真の目的も別にあった。そのひとり、「天狗メン」、実は、「勃たない」ゆえに腰に天狗をつけているのだった。通いつめる遊郭に実は…

しつこいようだけど、発砲の新作は不安一杯なのです。ワンアイデアを話に昇華しきれない感じがもどかしいことが多いのですが、ジンクス破るように楽しめます。

ありていに言えば、セックスそのものというよりは、勃つだの大小だのの男の側の子供のようなプライドや見栄、悩みをテーマにしてはいます。が、「仮面の姿と真の姿」のあいだに悩む姿と、「まんまの自分」であればよいのだという発砲節をもっと切実に見せます。

小劇場の時代物には合わないことの多いあたしですが、このテーマを生々しくしないためには最良の選択をしているようにもおもいます。シンプルな装置も話の嘘臭さを欠点にしない正解なのです。

井上晴美の出番は少ないものの、立ち姿の美しさと、舞台上の共演者に素で笑顔になる瞬間に目を奪われたり。コミカルな部分を引き受ける武藤・田口のデフォルメが楽しい。近作ではかっこいい役も多い森貞文則は硬軟とりまぜて主役の貫禄が。一瞬、新感線かと思ったよ。一瞬だけど。

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【芝居】「河豚」御曹子ニャンコフ

2006.3.26 14:00

上智大学系の劇団、ニャンコフの1年以上ぶり新作。久しぶりに再開した同級生たちの「詰まっていたこと」をめぐる話、女性であることをからめて。90分。26日夜まで、アートスペース・プロット。

ある出来事でふさぎこみがちになっていた妻を心配して夫が呼び寄せて、昔の同級生の女三人で別荘にやってきた。昔話と酒で盛り上がるが…

ごく短い話の中に三人の今の姿と対比を巧みに見せながら、あの時から言い出せなかった気持ちを吐露する過程のドキドキ。実はシンプルな気持ちと時間の話なのだと思うのです。

冒頭いきなりのサービスカット、飛び道具のように合いの手を入れる特異なキャラクタ、ナプキンをめぐるあれこれなど刺激を与えるシーンもふんだんに肉付けしていますが、過剰だったり下品に過ぎたりしないギリギリのバランスが絶妙で、少人数の役者とあいまって見応えがあります。

吐き出す気持ちを生理に例える話運びも、ありがちとはいえますが、登場人物の仕事に繋いで扱っており、とってつけた感じがしないのです。

終幕の意味が今ひとつわからなかったり、八つ又しているお笑い芸人志望の彼氏が固執するネタの理由がふに落ちないなど粗削り感は確かにありますが、あたしはこの物語の根っこが好きだなあと思うのです。

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2006.03.25

速報→「裸眼ナイト」Webやぎの目

200603251930

デイリーポータルZやWebやぎの目の林雄司さんのネタで盛り上がるトークイベント。新宿ロフトプラスワン。

目が悪い人が裸眼になると世界はどうなるかな趣向。料理を色だけで判断したり、ボーリングしたり、カラオケ行ったりな写真でプレゼン。

左右の視力を申告して同じ視力をカップリングしたり、あれこれ。お土産は魔法のピンホールカードや恒例マラカス、バッチ。

楽しい時間はいつもの通りで、また来たくなって。

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【芝居】「石川のことはよく知らない」東京ネジ

2006.3.25 14:00

横浜・山下公園のガラス張りのレストハウスで港の風景を借りた昼公演。石川啄木の詩を引きながらの、でも彼女たちの等身大。45分。26日まで、山下公園レストハウス特設ステージ。

小さな風呂敷包みを抱えて来る男、ついてくる妻。死んだ「啄木」を見送りに、元妻もやってくる。何も問題はない夫婦だが、いまひとつしっくり来ない妻…

東京ネジは女性三人(うち二人は双子だ)を核とした劇団。どちらかというとファンタジーに寄った印象がある彼女たちなのですが、わかりあえない男女、という等身大に近い話があたしは楽しいのです。

ガラス張りのレストハウスはベイブリッジ、大桟橋を借景する圧倒的なロケーション。船で横浜に来た啄木につながりはないことはないものの、まだ寒い東北の話とするには少々景色に負けてしまう可能性があるのです。

長く暮らしていても話せなかったこと、話しそびれていたことがゆっくり溶けていくように合わさる瞬間。女性作家にあたしが求めてしまう物語のひとつ。いいのでせす。

舞台奥で座り続ける赤い服の役者が弾ける終盤も楽しいのです。

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本谷ANN。

思えば、ちょうど一年前、演劇界からは鴻上さんのあと、一身に期待を背負って出発したオールナイトニッポン金曜日、「本谷有希子」。あと2回、3月いっぱいで終了です。

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2006.03.24

【イベント】RTC vol.10 「ウェブ進化論」

梅田望夫さんの「ウェブ進化論(amazon)」( 私の感想)をベースに開場参加型のディスカッションをしようという イベント。RTCは毎月、ネット周りの話題を扱っているイベントのようです。 あたしは初参加。学生の時の学外有志による勉強会みたいで楽しいのです。

上記の本を読んでるがゆえに、本文中の独特のことば(「チープ革命」とか「群衆の叡知」 とか「富の再分配」とか)が通じる上で議論できることが単純に嬉しい。 何かテーマを持っているときに議論できる相手が居ることの幸せ。 インターネットもいいけど、こういうリアルな場というのはやはりダイナミックです。

ただ、参加者はやはりネットに近い人がほとんどであり、しかもblogなどの 発信をする「喋りたがり」が中心であることは自分も含めて(;-)否めません。 だから、世間がどうか、ということの指標にはなりません。「自分の思考を進めるため」 というのが目的ですから、はき違えなければ大丈夫。

ネットに近いことから、リアルなモノへの繋がりという点では、amazonの議論以外には あまりなかった、というのも醒めた視点としては必要なことでしょう。

フレームトークに関しては、御手洗さんの分析が的確で、議論の流れの中で 適切にしかし簡潔にお話しされるのは実に聞きやすくて参考になりました。 話の内容としては4人ともある意味「自立している」職業であるという点から 少しばかりエスタブリッシュ層に寄った議論だった気はします。

ただし、こういう議論は実にエキサイティングだというのは、それでも変わりません。

※以下のメモは、私が個人で記録したモノです。従って聞き違い・ミスタイプ・勘違いに起因する間違いを含む可能性があります。お気づきの点があればご指摘いただければ幸いです。

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あからさまに潜行する

意味不明ですね(^^) まあ、そういう感じの出社3日間。いいすねぇ、カラダが数段楽です。

昨日は、社外の勉強会というかmtgに。いろいろ思うところあったりして。でも同じホンを読んで、多分同じ傾向の意見を持ってる人との会話は頭の中をかき回す意味で、時々やるのは魅力的です。それ自身だけでは、多分お金は儲からないのだけど(^^)

週末の予定。芝居じゃないけど、デイリーポータルZの林さんのイベント、「裸眼ナイト」。前回のピエロナイトの強烈なグルーブを超えられるか。でもヌルい感じも好きなんですが。

東京ネジ@山下公園レストハウス「アウェイ箱庭」(前回)、AAPAイベント公演の一環、少人数の小さな公演で。■御曹子ニャンコフ@アートスペースプロット(あたしが前回観た公演)、このまえ観た時は外しちゃったけど、今度は期待して。■TEAM発砲B-ZIN@本多劇場(前回)、新作公演ではあと一歩という印象が強い劇団なのだけど、1年2ヶ月ぶりの公演はさて。■スロウライダー@アゴラ劇場(あたしの観た前回)も楽しみ。

少年社中@青山円形、燐光群@笹塚ファクトリー、シュワルツネガー@OFF OFF(未見)、うずめ劇場@森下スタジオ(未見)。

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2006.03.22

【芝居】「短編集vol.1」イキウメ番外公演

2006.3.21 18:00

最近わりとオススメの評を聞くことが増えた気がするイキウメの短編5本の企画公演。あたしは劇団自体も初見です。サンモールスタジオでの公演は終了。

突然見知らぬ部屋に座っていた私、目の前の男は私をなぜか知っていて「図書館的人生」。投薬ボランティアで偶然に集まった男女、突然の地震に襲われて収まってみると部屋の外は全く別の場所で、生まれ変わりの通過点なのだという男が...「青の記憶」。寺の住職が開発した機械は輪廻の先が見えるという「輪廻TM 」。投身自殺寸前の女の前に現れた二人の男は、止めるでもなく『回収』に来たのだという「ゴッド セーブ ザ クイーン」。意識不明のまま、息を引き取った女の葬式で夫の前に現れたのは、最後の三年をともに過ごしたという男だった「トロイメライ」。(当日パンフからあらすじの一部を引いています)

輪廻や前世にまつわるSFっぽい作品群。かっちり作られていて、阿刀田高(2006.3.22修正)ぽいようなショートSFの趣は観ていて気持ちがいいのです。中でも「ゴッドセーブザクイーン」は自殺しようという女と自殺を勧めながらも結果として人助けになってるような丁々発止の会話が絶妙で面白いのです。

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2006.03.21

【芝居】「恋の片道切符」THE SHAMPOOHAT

2006.3.21 14:00

10周年を迎える劇団の新作。真夏の狭い事務所に何となく集まる人々の定まらない会話。120分。26日までザ・スズナリ。

パチンコ屋の二階、停電で灼熱の部屋。壁に指導者の写真。ワケアリでアルバイトに応募してきた男と明日の草野球の話に来た人々、謎のワイドショーは戦争だと騒ぎたててるといい…

シアターガイド誌のインタビュー記事によれば、戦争がテーマなのだといいます。2008年の近未来を設定し、そこかしこに無茶な戦争の影を描いているのですが、会話は無駄と思えるほどに行き来し、焦点が定まりません。作家の力量の問題というわけではなく、そんな定まらない会話を、ひたすら丁寧に描いているように思うのです。

あたしが勝手に軸だと思っていた話も終盤であっさり決着し、別の手に汗握りそうな物語の種もばっさり切り捨てられてしまいます。

正直な話、どこに引っ掛かりをもって物語に乗ればいいかがわからず、戸惑いましたし、いまでもどう解釈したらいいか計りかねています。 一筋縄では行かない作家なのだなあとおもうのです。

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【芝居】「気持よくさよならを言おうとする」(三兄弟版)play_unit-fulful

2006.3.20 19:30

ダブルキャストのもう一つ、男女をほぼ完全に入れ替えて「三兄弟」版。同じく21日まで。OFF OFF。月曜は昼夜とも満員、楽日は祝日なので多分覚悟して。

話もほとんど変わりません。セリフも骨子は変わっていません。それでも、昼夜通して観ると見えてくるものもあるのです。

基本的には男女総入れ替えで同じ話。でも立場が違うことで同じセリフが違う意味をもってしまうということも計算の上なのでしょう。男女版ですこしねじってあるところがあります。憧れのひとを奪おうとするのは常に男だし、匂いに執着し、そこに安心するのは常に女なのです。作家の視線がそこにあるのではないかと妄想します。

おかげで、兄弟版では匂いのシーンの収まりを付けるのに無理をしているところがありますし、男同士という無茶を恋人側に造る羽目になっています。ちょっと厳しいところ。

喫茶店の店員を演じたザンヨウコがきちんと場面と背景を作るのは巧い。作家・ヒロセエリの久し振りの舞台も楽しく。こぼれたしぶきを拭く(ハプニング)のために、紙ナプキンで拭くのは演出の視点のアドリブ。

が、あたしが目を奪われたのは、林真也なのです。遊気舎vol.27(世界で一番速い女)で出演していた、西日本俳優協会とクレジットされている彼は、福岡(博多駅前信用金庫)から大阪、そして東京で。知り合いではありませんが。優しい男の姿が凛々しく格好良く、しかし疲れている姿もサマになるのです。惚れるよなぁ、ああなりたいものですが、そうもいかず(^^;;)

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2006.03.20

【芝居】「気持よくさよならを言おうとする」(三姉妹版)play_unit-fulful

2006.3.20 15:00

フルフルの新作公演は男女を入れ替えた完全ダブルキャスト。その「三姉妹」版。21日まで、OFFOFFシアター。

病院内の喫茶室。毎日のようにタムロする二組。長く入院している母親を看病する姉妹は母親が会いたいという長女の捜索や入院費に追われ、神にもすがりたい。先の見えない男を見舞う女や友人たちは仲間の結婚もあって微妙なバランスが陰を落とす。…

ともかく、死に向かうことは確定している二人の患者。その別れが何時になるかわからないゆえに疲れや逃避をうむあれこれ。その見えない「別れの時」までの時間を、ともかく「気持ちよくさよならを言おうと」日々暮らしている周りの人々。

わりと極端に走る姉妹の話はコミカルでデフォルメが強い。こうなると強い新井友香は短時間で雰囲気をかっさらう。行き詰まってるからどうみても怪しいものに走る姿はある話、なんでしょう。

恋人たちの方はずっと美しい。男を演じ坂本和彦が静かさ、優しさを巧く演じています。両方を繋ぐマスターは過剰に自由なのが可笑しいのです。

「いつ別れてもいいように、喧嘩しない」とか、「病院こなくていい、居なくなるまで誰とも付き合わないで欲しい」とかちょっといいセリフが、悲しくてでもロマンチック。

フルフルが必ずしもハッピーエンドで終わらないのは承知しつつ、終幕は少々唐突な印象も。その唐突ゆえに、努力してきた、積み重ねてきた日々が突然、しかも後味悪く終わりを迎えるというのは、少々ハードな展開ではあります。

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【芝居】「ル坂の三兄弟」ピンズ・ログ

2006.3.19 18:00

作家・平林亜季子を中心としたプロデュースユニット、 旗揚げ作の書き込まれ具合も印象に残るピンズ・ログの新作は、地方の小さな教会を舞台に、信仰と綺麗ごとではない暮らしの話。140分、神楽坂die pratzeの公演は終了。

地方の小さな教会。牧師の父親と会社員の長男と妻、高校生の三男が住む。切り盛りしていた母親の亡きあと、心から信仰しかない父親で家はギクシャクしている。ある日、従姉妹がカナダから久しぶりに戻り、寄りつかなかった次男がやってきて、久し振りにそろう面々。ストーカー被害に合って避難してきた長男の妻は、しかし家族に何かを隠していて…

心底から神と信仰に捧げる暖かで物静かな牧師、それはだけでは食えないから苦労する周囲、さらにその外側の人々を実に丁寧に、ゆっくりゆっくりと描きます。引っかかりそうな小さな穴を埋めるように、あるいは絵本のテキストのように、観客が迷うことなく進めるように懇切丁寧な話を運ぶのです。しかしこの懇切丁寧、時に冗長を感じさせてしまいます。大きな問題というわけではありませんが、時間の長さとのバランスが難しく、観客をもっと信じてもいいのではないかとも思います。主軸となる兄弟と妻の話に加えて、三男の同級生たちや、キャバクラの従業員たち、近所の女性達と、それぞれに隙なく物語を作ろうとしているのも長さの点では不利です。

結果として、登場人物全員を裏切り、終幕直前に物語から退場してしまう妻の行動があたしには最後まで腑に落ちないのです。夫と浮気相手、実はストーカーまでも、皆好きで選べないばかりか、じつは困ったひと(自殺願望があったりと劇中で語られています)というヒール役を一身に背負うのです。誰か一人を選べないというのは、この登場人物の本心なのではないかと思いますし、実世界に照らしてみればもっともリアルな人物造形という気もします。あたしは芝居のあいだ中、彼女の救いがどこかに軟着陸するのを、それこそずっとずっと祈っていたのです。が、(あたしの全く個人的な)祈りはあっさり裏切られ、離婚という形で、ごくあっさりと決着します。しでかしたことの大きさを考えれば仕方ないことだけど、その教会は彼女にとっての救いの場所ではなかった、というのが、あたしには悲しくて。

背景を説明させるために、久し振りに帰国した人物を置くことで巧く聞き出せたり、関係のミッシングリンクを一瞬でつなぐために近所のおしゃべり好きなおばさん、というキャラクタを配置させるなど、不自然でなく観客に必要な情報を伝えることには成功しています。もっともナレーションで語ってしまっている部分があれだけ あるのならば、そちらに統合してしまうということもないことはないと思うのですが。

牧師を演じた森川佳紀の落ち着き包み込むような、しかし朴訥とした空気がいいのです。反対の俗っぽさを代表する次男を演じた迫田圭司もアクセントとなって違う空気を作り出します。

千秋楽となった日曜夜も超満員。劇団webの情報を併せると、全体に満員で続いていたようで、何よりなのです。

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2006.03.19

【芝居】「パレード」ONEOR8

2006.3.19 14:30

ONEOR8の新作は様々にバリエーションした家族を描く話。三鷹市芸術文化センター星のホールでの公演は終了。110分。

初老の男、娘とお手伝いが一緒に暮らしている。男は身体の調子も悪く退院したばかり。通院している病院には、入院が長引いている男、喧嘩ばかりしているその妻などが居るが、通院している男が気になっているのは、若い女の入院患者とその兄で、親子ほども歳は離れているが、実は異母兄弟なのだ。かつて遺産相続でもめて以来、没交渉になっていた。初老の男の実の娘は幼くして死んでおり、同居している「娘」は契約している他人なのだ..

親子にしか見えない関係の「家族」が実は薄っぺらな契約に基づくものであり、でも、互いの想いは時間の蓄積とともに絆になっている二人。しかし、「娘」は現在の状況を断ち切り、遠く実家に戻ります。初老の男にとってもう一つの、そして真の肉親も関係を修復しかけたものの、こちらもあっさりと断ち切られます。絶望にさいなまれた男の逃避した先は頭の中で巡るパレード、というのはあまりに悲しい話なのです。

話や関係は濃密を越えて過剰なほどですが、広い舞台全体に巧く分散させながら話を紡ぎます。一つひとつのシーンは小さな空間を使い、それを舞台上のあちこちで見せるやり方は、舞台の広さと芝居の濃密さの折り合いをつけるいい着地点だと思うのです。

物語の中では完全にサイドストーリーなのですが、入院している夫と心底心配している妻が実にいい味。また、妊娠した女を内心愛するチンピラの話もいいキャラです。深刻な病気の話を観客に伝えるのは医者の役なのですが、極端につくったキャラクタのおかげで、病気の情報だけが伝わり、人間の心を描いた本編にわるい影響が出ないようになっているのはちょっと巧い。

なによりびっくりしたのは、「ニューハーフ家政婦」を演じた高山のえみ。見るからにニューハーフな声なのだけどしばらく説明なし。おかげで最初のシーンで当日パンフを見て情報を確認しようとする観客がたくさん。あたしもその一人ですが。異形なるものは小劇場においては圧倒的な力を持ちますが、彼女もその例にもれません。

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【芝居】R.U.P 月影十番勝負「約束〜SASORIIX」

2006.3.18 18:00

劇団新☆感線の看板女優、高田聖子が気になる作家・演出家や役者と立ち上げるプロデュース公演のシリーズ。十番勝負と銘打ち、十一年目にしてその十番目・ファイナル。150分。26日まで、新宿スペースゼロ。

のどかな漁村で暮らしていた一人の女を名指しした怪文書。やっと人目を避けて暮らしを始めたところなのに、かつてその女を陥れた男の魔の手。かつては女囚だったが、更正して歌手となり慰問のために刑務所にやってきた女は、事件を起こして再び女囚となる。精神鑑定のために移送される途中事故で止まる列車、列車の座席で隣り合った男と移送中の職員と、女は..

予備知識なしで観てしまって、微妙にぬるい序盤の展開、ことわりなく突然挿入される回想シーン、奇妙なロードムービー風の展開にあれれどうしたことだと感じたのです。が、よくよく調べれば千葉雅子作。「猫のホテル」でよくあるテイストだという気はします。反面、猫ホテでは特異なキャラクタの役者たちで不思議なグルーブ感がある物語世界を展開するには、この役者たちは少々特性が違うのではないかと思ったりします。 これは巧い下手ではなくて。

だから、技術に裏打ちされた上で強烈なキャラクタ勝負のできる池谷のぶえがダントツで印象に残るのです。他の役者だって、主役を張れるような人たちですから、確実に巧いのだけど、普通は一本筋の通ったメインを張る人々ですから、ちょい役も含めたひとり多役が巧く回ってないのではないか、と感じます。

いろいろ読んでいけば、女囚モノをやりたかったという高田聖子の最初の発想から、千葉雅子のホン、という展開までは正しいのです。もうこればかりは、会う会わないというレベルの話という気もします。役者そのものが舞台で動き・話すところを観ると言う意味では、本作はコスプレ的でもあって、役者のさまざまな面が見られて堪能できます。

もっとも、月影十番勝負自体が、あたしに取ってはあまり印象に残ってないものでもあるのです。記録をひっくり返してみれば、実は全部見てるのだけど、タイトル以外の印象が薄いのは、あたしが役者より物語で芝居を記憶するタイプで、月影は役者指向の芝居だったからじゃないかと思ったりもします。

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2006.03.18

【芝居】「ジョシ」ひょっとこ乱舞

2006.3.18 14:00

去年の演出家コンクールで最優秀賞に輝いた広田淳一率いる、ひょっとこ乱舞の受賞記念公演は三本立てで過去作品を改訂して。その一本。女優二人の走り回る二人芝居。60分。19日まで「劇」小劇場。他2本と交互に。

夜勤明けの朝、溜まりにたまった洗濯物を片付けるべくコインランドリーに行った女。アイスクリームを口に待っていると、慣れ慣れしい女が突然現れて、幼なじみだと告げる。

歯切れいい言葉の洪水、走り回る役者。特に冒頭の台詞回しでは、野田秀樹的、と云われても仕方ない類似。「幻の二人芝居」と銘うつのだけど、どれくらい前のものなのだろう、と思います。最近の作品しか知らないとスタイルの違いが面白い気もします。

竹を立て、自転車の車輪をならべた簡素な舞台に椅子二つ。コインランドリーでもあり、自転車そのものも表して素敵なつくり。

冒頭に見せる、「向こう側の私」のような、妄想に近い想いは「ジョシ」的だなあと思うのです。(いや、それこそがアタシの妄想かもしれませんが(^_^;))

話は自由に飛び回るよう、若い役者が走り回るような舞台はテンポも良く魅力的です。女優ふたりという構成ならなおさらだとおもうアタシもアレですが。

自由に飛び回るゆえに、観ていて少々の混乱を生じる気もしますが、そういうかき回しも、想定のうち、という気もします。

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怒濤の週末

久し振り、前の職場の同年代たちと呑みまくり。ガスを抜き、近況を聞き、元気だということ、彼らが居るということで安心する。いいね、こういうの。

金曜の夜のお楽しみ、「本谷有希子のオールナイトニッポン」がいよいよ、3月で終了。思えば去年の4月の放送の拙さはどこへやら。ちゃんと普通に聞けるようになって、しかも葉書(メールか)もぼちぼち。もとより、声はいいのですから。

週末のコマを考えてみます。土曜昼にひょっとこ乱舞かなぁ。日曜昼はONEOR8@三鷹間に合うかなぁ、夜はピンズログ@神楽坂。月曜は休んでしまって芝居を。(full full) 火曜はSHAMPOOHAT@スズナリに行こう。

なぜか物欲の一週間でした。サンコーレアものショップでW-ZERO3用クレードル(PSE法はどこへやら)を買い、デイリーポータルZTシャツを買い。残る物欲はカメラかなと。今使っているDSC-W1は結構気に入ってるけど、赤目が出がちなのが辛いので、Caplio GX8か、PENTAX *ist DS2か。あとねあとね、スーパーカー消しゴムの原風景、三菱BOXYの復刻版だって。

そうだ、交通博物館(万世橋駅遺構)も行きたいのだった。

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2006.03.17

みつかりました。【譲】月影十番勝負「約束」18日夜

えー、お譲りする先の方がみつかりました。ありがとうございました。

えー、まいどまいどで余らせのチケットです。 当日、あたしも観ますので、当日渡しにさせてください。右端の「メール送信」からご連絡ください。

■月影十番勝負「約束」 3/18(土) 18:00 @スペースゼロ (12列一桁)
高田聖子・木野花・千葉雅子・伊勢志摩・池谷のぶえ・加藤啓・池田成志
★半額(2500円)にてよろしくです。
http://www.rup.co.jp/20051116_yakusoku/index.html
http://eee.eplus.co.jp/theatrix/special/yakusoku.html

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2006.03.15

さてさて。

どちらの方向に進むのか、そろそろタイムリミットだなぁ。

それにしてもこの週末から来週にかけて、小劇場は注目公演目白押しで、芝居好きの仲間の間ではため息すら出てくる昨今であります。

土曜夜に月影十番勝負(前回)@スペースゼロを確定。高田聖子の十番勝負いよいよの大詰め。

play unit - fullfull(前回)@OFF OFFシアター、病院での別れの話を男版・女版の完全ダブルキャストで。 ■ピンズ・ログ(前回)@神楽坂 die pratze、映研部室での自分たちの先行きの話が印象的だった旗揚げ、その第二回公演。

取り急ぎ、未だ決めてないけど、注目公演メモ→ひょっとこ乱舞@「劇」小劇場、夢*彩色@アートスペースプロット、リトルスクエア@上智小劇場、パパ・タラフマラ@スタジオSAI、ONEOR8@三鷹市芸術文化センター、SHAMPOOHAT@スズナリ、ヨーロッパ企画@TOPS、十二夜@新国立劇場小劇場、イキウメ(未見)@サンモールS、弘前劇場@ザムザ阿佐谷、開店花火(未見)@グリーン171、演劇雑貨店(未見)@ウエストエンド...などなど。

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2006.03.13

【芝居】「悲劇の終演I」第七劇場

2006.3.12 18:00

早稲田大学出身の演出・鳴海康平のカンパニー、第七劇場による「古今東西の悲劇と呼ばれる作品を再構成して上演するシリーズ」の第一弾。A. ミラー「るつぼ」とB.ブレヒト「ガリレイの生涯 」を再構成しながら、「強力な圧力によって押しつぶされた存在」を描き出します。早稲田どらま館での公演は終了。55分。

森で悪魔を呼び出す儀式をした二人の少女が魔女狩りを逃れるために町の女性を次々と魔女として告発した結果投獄されたエリザベス。夫は彼女を救うために..(るつぼ)

自らも隠していないようですが、鈴木忠夫鈴木忠志(誤記訂正 3.14)の強い影響を受けたスタイル。東京でよく観られるものでいうと、ク・ナウカに似ている気もします。身体を訓練し独特の発声というのは、実に早稲田らしい芝居だと思います。が、それは決してまねとかチルドレンというわけではなく、この方法論で役者を訓練していくのはいいことだと思いますし、成果は出ているように思います。

惜しむらくは、先達となる劇団のスタイルとの決定的な差が、今作に関していえばあまり感じられなかったところなのですが、どんなテキストを用意し、どんな意図を見せていけるかがポイントなのだろうなぁと思います。

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【芝居】「三月の5日間」チェルフィッチュ

2006.3.12 15:30

第49回の岸田國士戯曲賞受賞作品(amazon )、2004年2月初演作のはじめての再演。アメリカのイラク空爆直前の2003年3月の5日間の出来事をつづる代表作。100分(休憩20分込み)、21日まで六本木Super Deluxe。

六本木のとあるクラブ、パフォーマンスを見に来て出会った男と女がそのまま夜の渋谷のラブホテルに直行し、そしてそのまま5日間をセックス三昧で過ごす。渋谷の街にもデモの列が出てくるような、アメリカがイラク空爆をする2003年の3月。

作家が2003年の3月に本当にパフォーマンスを観て着想した、まさにその場所であるSuper Deluxe(SDLX)での再演。キャストもほとんどそのままで、しかし絞り込んで見やすくなっているように感じます。

そもそもが飲食の出来るスペースですから、チェルフィッチュが時々やる「ビールでも呑んでリラックスして観てほしい」という意味ではいい環境。コの字型にしつらえられた客席もゆったりと配置はされています。もっとも、プラブロックを座席にしたりと、かならずしもいい環境の席ばかりではありませんが。芝居という意味では正面をオススメしますが、座席がいいのはサイド側なんだよなぁ。ビールをはじめとしたアルコール類やフードもそれなりにありますので、開場が開演1時間前でもありますから、のんびり呑んだり食べたりしながら観るのが吉。webを見る限りは、「おしゃれでパフォーマンスに寄ったセレクションをするロフトプラスワン」、という印象。

初演の時も、あたし自身がやっと、このチェルフィッチュのスタイルに慣れ始め、やっと面白くなってきた時期でした。行きつ戻りつの会話はさっぱり進まないように感じるのだけど、終わってみれば、その5日のあれこれを描写して見せてるし、人物の感情を切り取ったりしてるところもあって面白かったのです。してみれば、セックスが微妙に絡んだり、あるいは女側から観た恋愛ネタがからむ芝居というのがそもそも好きなあたしなわけですが。数あるチェルフィッチュの作品の中でも、あたしは相変わらず本作が一番好きなのです。

松村翔子(ミッフィーちゃん)の飛びっぷりは健在。映画館での会話から、挙動不審な自分を見つめ、惚れてはみたけどあっさり玉砕、という「ひとり上手」なシーンは、あたし的には本作における一番のシーンと断言してしまいます。

終幕の強い光(日差し)は今回の再演での変化点かもしれません。全体に薄暗いような照明が多いので、この「太陽のもと」のシーンは実に印象的です。

慣れなければ決して見やすい芝居とは云えません。そもそも、はじめてアタシがこのスタイルに触れた時もよくわからなかったのですね。芝居を観た満腹感が得られないというのも事実だと思います。が、こうして再演をみてみると洗練されていってることを感じるし、気楽に笑えるようになってきている自分に気づくのです。もし、チェルフィッチュを初めてご覧になるなら、入門編としてもオススメなのです。(でも、見やすくは、ないかも、ですが)

先行するレビュー→「しのぶの演劇レビュー」では詳細な説明、12日夜のアフターパフォーマンストークの模様も。

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2006.03.12

【芝居】「火男の火」不消者(けされず)

2006.3.11 18:00

アタシは初見ですが、11回公演をむかえる不消者。8年ぶり、旗揚げ作品の再演は、原田宗典作で山賊の集落を舞台にした時代物120分をキャスト演出を一新して。12日までアイピット目白。

都の屋敷に押し入っては、金品を強奪する山賊たち。長も一目置く優秀な男。顔の半分を覆う醜いアザから「火男」と呼ばれている。ある日都から人質として連れてこられた美しい女が彼のものになるが、女は心を開かない。長の命の先がないことがわかり、山賊たちの仲に軋みが生じてくる…

もと東京壱組座付き、原田宗典作による代表作のひとつ(東京壱組初演1993.4)で実はあちこちで上演されている芝居らしいのですが、アタシは初見。 個人的には芝居での時代物(つか時代劇でも同じなのですが)はどうしてもリアルの感じとれなさの違和感が残ります。だから、本作においても序盤から物語世界を作るまでにモタツキを感じたのは、全くもってアタシの個人的な感覚かもしれません。

が、世界が出来た中盤から、特に長のクスリにまつわる策略が頭をもたげるあたりからはなかなか魅せます。山賊たちの内部で軋んだ歯車はバランスオブパワーをがらがらと崩しはじめ、悪意の連鎖で一気に見せる熱い芝居になっています。

策略のゆえに起こる悲劇、なわけですからそこには説得力が必要。伊万里を演じた山本亜希は前半でその策略を感じさせるポジション。八郎太を演じる多根周作は性格の豹変が難しい役どころで重要。

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2006.03.11

【芝居】「パンゲア」inner child

2006.3.11.1400

青山円形劇場が若手劇団と「出会う」企画公演、aoyama first actのシリーズ。数多くの客演で知られる小手伸也の劇団、初の再演作140分。13日まで青山円形劇場。

独りの女性の多重な人格。心の中を表すような島に集う人格たち。心理カウンセラーがその世界に入り込んで…

客席をドーナツ半円に、中央に砂を敷きつめ、残りの半分はほぼ素舞台、舞台奥中央に球状のジャングルジム。舞台奥の壁をスクリーンに白い衣装、薄い青色の衣装もごくシンプル。心象世界のように、モノトーンでかっこいい。

分裂した人格が出てくれば、集約に向かうのはこの手の話の常套だけれど、トラップのようにあちこちにエピソードを潜ませて大きな物語を紡ぎます。多い登場人物それぞれに意味を持たせるため、という側面はあるのでしょう。個人的な好みでいえば半分ぐらいのキャストで90分ぐらいな濃密さが欲しいところですが大きな問題ではない気もします。時間が長い割に、飽きずに観られるところがあります。

トラウマ、が何段にも底が抜けるところは息を呑む感じがあります。あくまで善意のキャラクタ、悪人のキャラクタすべてが登場している頭の中、人間の複雑さを描く感じもあります。 最初は一つの超大陸だと云われていたパンゲア、海の側を司るパンタラッサなど大きな歴史の風呂敷を広げますが、無理しない範囲できちんと話を着地させます。

全体に見やすい劇場ではあるのですが、タッパも高く、実は使いこなすのは結構難しい劇場。巧く使っているとは思いますし、見えないということはないのですが、スクリーンと立ち位置の関係から、正面から観るのとほぼ側面(あたしがそうです)から観るのとでは印象が異なるという気はします。正面からみると芝居もスクリーンも直線上に一度に観られるから、ずいぶん楽な筈です。

EVE(なぜかスクリーンではEVA)を演じた太田緑、ヱビスを演じた杉浦理史、色気の化身たる竜神を演じた町田カナの個人技。ウズメを演じた冨樫舞は可愛らしく目を引きます。 キャストそれぞれの個性が生きています。もっとも個人技頼りな面も多いのですが。

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2006.03.10

[障害復旧] ココログのメンテナンスと障害が起きてました。

昨晩から、閲覧は出来てたのですが、トラックバックやコメントが出来なかったようです。もし、コメントつけてやろうと思って失敗してしまった人はごめんなさい。今は一応復旧してますが、ちょっと重いようですので、手元で別のメモ帳に貼り付けてからコピペするなど、ご注意くださいませ。

3/9 10:00-15:00で行われたメンテナンスは延長に延長を重ねて21:00に一度サービス再開したのですが、その夜から激重状態で、今日3/10の夕方までほぼ更新出来ない状態になっていました。詳しくはこちら

blogでは珍しい有料版ということと、ココログでも無料版のココログフリーは別サーバなので全く問題がなかったことと、ココログのスタッフ用のブログも軒並み更新できなくなってたために情報がほとんどなかったことが拍車をかけて、かなり2ちゃんや上記ブログが炎上状態。たしかに商売にしてたりすると文句つけたいよなぁ。あたし的には一番更新が多い週末はなんとかなりそうなのでひと安心。

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2006.03.08

惰行中。

右や左へダコウしてるわけではなくて、惰性というか慣性で巡航すること。もともとは電車の用語でマスコンを戻してパワーもブレーキもかけずにおくこと、なんて無駄なプチ鉄知識が思い浮かぶ今週の仕事場。

週末のことを思い描きます。チェルフィッチュ@SuperDeluxを日曜昼に予定。彼らのなかでは一番好きな作品。ちょっとエッチだしね。(←おやじ)

■安心できそうなのは、十二夜@新国立劇場小劇場、「子どものためのシェイクスピア」カンパニーの面々が新国立初見参。■なぜか横浜でパディハウスP@相鉄本多、坂上二郎芸能生活50周年記念で。■おもしろいのかなぁ、ハゲレット@紀伊國屋ホール。

未見の劇団もたくさん。■不消者(けされず)@アイピット目白、盗賊の恋のものがたり、とか。■第七劇場@早稲田どらまかん、サイトを見る限り、ちょっと小難しい感じが敷居高いのですが。アマネク@明石スタジオ。オキュパイ@サンモール、双数姉妹の名作だけど、野口かおる抜きで面白く見られるのか。インナーチャイルド@円形劇場も気になる。

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2006.03.05

【芝居】「つの隠し」空間ゼリー

2006.3.5 18:00

女性ばかりで「女性のために、演劇」を掲げて旗揚げ。体制が変わった今でも女性のどこか隠鬱な視点の芝居を続ける空間ゼリーの新作。父親が亡くなった日、母親と三姉妹になった家族や周囲。終盤の会話や光景が圧巻。7日までシアターグリーン小劇場。

家のリビングルーム。亡くなった父親、ばたばたする娘や母親や親戚。やがて生前帰って来なかった父親と母親の関係、その影響でどこか歪んだ娘の生き方が浮かび上がり。

葬儀の日のばたばた。葬儀屋の営業攻勢や、訳のわからない宗教にはまりこんだ親戚のあれこれから世界をつくりますが、あくまで主眼は母親と娘たちの生き方にあります。作家は女性なのだけど、美しくない感情の醜さをそれぞれのキャストに与え、単なるイイ話にはしない薄気味悪さがあります。特に骨子となる姉妹はそれぞれが母親のどこかのマイナスを受け継ぐ書き分けが凄いという、あたしの友人の声は的確です。今作の物語の骨太さは2時間、かなり幅の狭いパイプ椅子でも一気に見せる凄みがあります。

作家が女性という劇団は数あれど、家族に根ざした、しかしどこか醜悪さのある芝居というのはそうはないのではないかと想うのです。美術や話の運び、見せ方など劇団史上もっとも完成度は高いと思うのです。(全部見てる訳ではありませんが) 母親と客の女の対峙するシーンの静かでしかし火花散る感情。終盤の着付けながらのうららかな日差しのような会話。が。

女優のルックス売りだった出発点は、しかしいい方向に進化しています。なにより、劇場を出るときにキャストが元気良く客出しし、明るくグッズを売り、賑わう劇場前という場所に身を置くのは何より、知り合いなど居なくても、アタシが楽しいのです。

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【芝居】「ここでキスして。」シベリア少女鉄道

2006.3.5 14:00

作りあげた世界を終盤、ひっくり返すようなメタ世界に変えてしまう手法で人気のシベリア少女鉄道 の新作。90分。紀伊國屋サザンシアターでの公演は終了。じつはなかなか面白かったのです。

(ネタバレあり)

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2006.03.04

【芝居】「夢の城」ポツドール

2006.3.4 19:30

岸田國士戯曲賞受賞後初の新作は、受賞に喧嘩を売るような無言劇。性的描写多く90分。12日までTHEATER/TOPS。

女のアパートの一室にたむろする若者たち。ゲームとセックスと漫画と食べ物の繰り返し、数時間おきの約24時間。

過激なセミドキュメント手法から、最近はセックスや暴力を描きながらも細かく書き込んだ芝居にシフトしてきてるポツドール、あたしはこの方向になってからは初めてです。

一室に半裸状態でタムロする若者たち。やりたいことをやりたいようにするだけで、「生きているだけ」状態。「言葉を廃した無言劇」というよりは、「言葉をなくした現代人という動物を描く芝居」という方向で作られているように思います。

正直に白状すると、あたしは裸やセックスがあることで飽きずに見られてるという側面を否定できずにいます。その前提の上で、結構面白くみた気はします。人物それぞれの関係を浮かび上がって見えてくると芝居を見たな、という充足感があったりするのですが、そこを描こうという気は本作に限れはさらさら無い気はします。なんせ「動物」ですから。

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【芝居】「ふたりいる景色」五反田団

2006.3.4 15:30

ぱっとしないどちらかというと貧乏くさい日常から、うつつの中に浮かびあがる想いは彼らの得意技な新作90分。13日までアゴラ劇場。

万年床の布団ふたつ、散乱する撮影済みフィルム。外にまったく出ない男、同居し生活を支える女。男は胡麻だけを食べ続け、即身仏になるのだという。女や友人たちの忠告も頑として聞かず…

コミカルといえばコミカルな序盤。しかし終盤にかけて、どこか夢を観てるような、うつつな空気になっていきます。五反田団の得意なバリエーションの一つであり、磐石、という言葉が浮かびます。 独りになりたい、と思い、実行する男に見えていない「二人でいることの意味」を丁寧に丁寧に描くうち「二人でいていい理由」に着地していくところは好きなのですが、あまりもあっさり。実は買いこんだ戯曲で気付いたあたしはあまりに迂濶ではありました。

気恥ずかしいほどの直球な恋心。五反田団では友人や家族の想いはあっても、恋人というのは珍しい設定な気もします。

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2006.03.03

【芝居】「WHITE PHASE」リュカ.

2006.3.2 19:30

劇団旗揚げから10年目。その間に9本目というのは寡作ですが、劇団では10年ぶりの再演。6日(月)まで王子小劇場。120分。

人里離れた研究所。温室や実験室のある中で植物や薬を研究するコミュニティ。先生の教え子、今は作家の男が久しぶりに訪ねてくる。

ある意味閉塞しているコミュニティ。息がつまりそうになっている人や、家族や、同僚や。いろんな関係が示され、展開。あたしの体感としては、90分ぐらいにまとまる方がいい気もしますが、提示する関係のそれぞれを考えれば納得かとも思います。

丁寧に描く人物たち、しかしどこか、切り離されている気持ち(ディスコミュニケーション)を感じさせます。10年前でこれは凄いとも思うのです。去年の後半のリュカ.が今の作家や役者の等身大だとするならば、彼らが学生の頃に見えていた世界なのだと思うのです。

薬学と製薬会社の男女はクールなドラマのよう。沈みがちな芝居のテンションを作るのは植物学の男女の同僚。終盤の二人のシーンがとても好きだし、助けに行くために走り出す男の顔のかっこいいこと。劇中の作家は芝居の中心となり、本作の作家の視点らしきモノがかいま見えます。所長らしい彼は少し癖のある芝居ですが、終盤効いてきます。

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2006.03.01

月末になって

いろいろ動きがあるので、それに合わせて組織を変えるフェイズが到来。まだ手放しではないけれど、前に進んだ感じなのです。別れもあるけど、チームは前へ。進まなきゃ。

空間ゼリー@グリーン小を日曜夜に確定。オンラインで詳細な取材記事が読める時代、いいですねぇ。

リュカ.@王子小劇場、あたしの去年のベストテン、リュカ.の10年前の旗揚げ作の劇団再演。 五反田団@アゴラ劇場、これが五反田団かと見まごうばかりのカラーのチラシ。楽しみです。 シベリア少女鉄道@サザンシアター、前回を見逃してますが、面白くなるかなぁ。 ポツドール@TOPS、ずいぶん長い間があいてしまったうちに、あたしが最後に見たときからかなり変わっているとのこと、前回のニセS高原で気持ちに引っかかったので。

未見のもの、たぶんまた落ちてしまうのですが...山の手事情社研修生発表@シアターバビロン、津田記念日P@アイピット目白、三年物語@MOMO、マジェッタマジェンダ@ザムザ阿佐谷、北京蝶々@劇研アトリエ、のむらんぷ@仙川パンカルチャースタジオ

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