2006.3.12 15:30
第49回の岸田國士戯曲賞受賞作品(amazon
)、2004年2月初演作のはじめての再演。アメリカのイラク空爆直前の2003年3月の5日間の出来事をつづる代表作。100分(休憩20分込み)、21日まで六本木Super Deluxe。
六本木のとあるクラブ、パフォーマンスを見に来て出会った男と女がそのまま夜の渋谷のラブホテルに直行し、そしてそのまま5日間をセックス三昧で過ごす。渋谷の街にもデモの列が出てくるような、アメリカがイラク空爆をする2003年の3月。
作家が2003年の3月に本当にパフォーマンスを観て着想した、まさにその場所であるSuper Deluxe(SDLX)での再演。キャストもほとんどそのままで、しかし絞り込んで見やすくなっているように感じます。
そもそもが飲食の出来るスペースですから、チェルフィッチュが時々やる「ビールでも呑んでリラックスして観てほしい」という意味ではいい環境。コの字型にしつらえられた客席もゆったりと配置はされています。もっとも、プラブロックを座席にしたりと、かならずしもいい環境の席ばかりではありませんが。芝居という意味では正面をオススメしますが、座席がいいのはサイド側なんだよなぁ。ビールをはじめとしたアルコール類やフードもそれなりにありますので、開場が開演1時間前でもありますから、のんびり呑んだり食べたりしながら観るのが吉。webを見る限りは、「おしゃれでパフォーマンスに寄ったセレクションをするロフトプラスワン」、という印象。
初演の時も、あたし自身がやっと、このチェルフィッチュのスタイルに慣れ始め、やっと面白くなってきた時期でした。行きつ戻りつの会話はさっぱり進まないように感じるのだけど、終わってみれば、その5日のあれこれを描写して見せてるし、人物の感情を切り取ったりしてるところもあって面白かったのです。してみれば、セックスが微妙に絡んだり、あるいは女側から観た恋愛ネタがからむ芝居というのがそもそも好きなあたしなわけですが。数あるチェルフィッチュの作品の中でも、あたしは相変わらず本作が一番好きなのです。
松村翔子(ミッフィーちゃん)の飛びっぷりは健在。映画館での会話から、挙動不審な自分を見つめ、惚れてはみたけどあっさり玉砕、という「ひとり上手」なシーンは、あたし的には本作における一番のシーンと断言してしまいます。
終幕の強い光(日差し)は今回の再演での変化点かもしれません。全体に薄暗いような照明が多いので、この「太陽のもと」のシーンは実に印象的です。
慣れなければ決して見やすい芝居とは云えません。そもそも、はじめてアタシがこのスタイルに触れた時もよくわからなかったのですね。芝居を観た満腹感が得られないというのも事実だと思います。が、こうして再演をみてみると洗練されていってることを感じるし、気楽に笑えるようになってきている自分に気づくのです。もし、チェルフィッチュを初めてご覧になるなら、入門編としてもオススメなのです。(でも、見やすくは、ないかも、ですが)
先行するレビュー→「しのぶの演劇レビュー」では詳細な説明、12日夜のアフターパフォーマンストークの模様も。
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