【芝居】「桜飛沫」阿佐ヶ谷スパイダース
2006.2.18 19:00
チケットを売れば即日完売、人気の阿佐スパの新作時代劇。過去で繋がった男二人を描く、まるで二本の作品のような二幕、190分(休憩15分)。19日まで、世田谷パブリックシアター。
第一部「蟒蛇如」(うわばみのごとく)、貧しい村と悪徳役人。多すぎる子供は重罪という悪法から民を救うために堕胎と避妊を引き受ける男と若い産婆。男が居なくなってしまうことをおそれる産婆、そんなそぶりは微塵も見せない男。しかし、ある侍の願いが、男の想いに火をつけた。
第二部「桜飛沫」寂れた旅篭町。お尋ね者が拾ってしまった頭の弱い女とその妹。卑怯な男達、隠れている町人たち。大きな桜の下、何かが狂って..
二人の男が緩やかに繋がる二つの話。二人が対峙するほんの一瞬は、第二部の最後の一瞬。この一瞬の風景が実に美しく、この一瞬を作りたくて、この長い話を作った、といわれたら信じてしまいそう。が、世界全体がゆるやかに狂っている(あるいは何か見えない力で狂わされている)という世界なのだけど、どうしてもその中に没入できないアタシなのです。書きたい世界が、どうしても見えてこない感じなのです。
厳しめの感想を抱いてしまった、もうひとつの理由。譲っていただいたチケットはF列。かなり前の方、しかも、どセンター。感謝感謝なのです。しかし、最前列から真っ平らのまま広がってくる、平らな客席の一番後ろ。舞台の上、地面に寝そべったり座ったりする芝居が実に多く、しかもそれは重要なシーンばかり。そのシーンはまったく見えないのです。ほんの少しだけ、桜の木の根もととか、上手奥の草藪のところをかさ上げしてくれるだけでも段違いだと思うのですが、そこに気が回らないということは、この人気があるだけに、演出の限界でないといいな、と思うのですが。
阿佐ヶ谷スパイダース「桜飛沫」
2006.2.10 - 2.19 世田谷パブリックブラザース
2006.2.25 - 2.26 新潟 りゅーとぴあ劇場
2006.3.4 - 3.5 大阪 シアターBRAVA!
作・演出 長塚圭史
出演 山本 亨 橋本じゅん 水野美紀 峯村リエ 山内圭哉 猫背椿 市川しんぺー 真木よう子 吉本菜穂子 富岡晃一郎 川原正嗣 前田悟 横山一敏 大林勝 中山祐一朗 伊達暁 長塚圭史
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コメント
TBさせて頂きました。席って大事ですよね?あの劇場は特に席によって見え方が違うので評価が左右させれますね。私の2階席の端で落ちそうでした。「書きたい世界が、どうしても見えてこない感じなのです」同感です。私は真木よう子さんの大ファンなのでそれだけで星二つ増やしました。今回は女優陣(猫背&峯村&真木)が好きな人ばかりで良かったです。
投稿: ドラ | 2006.02.20 08:55
ドラさま
コメントありがとございます。
劇場は、まあ仕方ないと思うのですね。改造はそうそうできませんから。
演出で補えることがいくらでもあるのに、それをしていない、という姿勢にちょっとカチンと来てしまいました(笑)
投稿: かわひ_ | 2006.02.22 01:43