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2006.01.29

【芝居】「時計屋の恋」青☆組

2006.1.29 14:00

青年団演出部所属の吉田小夏の主宰するユニット、「青☆組」の新作は、地方の小さな商店街の時計屋を閉めたばかりの男と同居する息子の嫁を軸にした人々の話。第10回日本劇作家協会新人戯曲賞の入賞作を自らの演出で。29日までこまばアゴラ劇場。

東京からすこし離れた小さな街の一軒屋。商店街にあった小さな時計屋を閉店したばかりの中年の男。同居するのは単身東京に出ている息子の嫁。彼岸、商店街の秋祭りのころ、戻ってくる人、顔を出す親戚たちだったが、息子は帰って来ない。

静かに流れる時間を淡々と描き、いくつかの夫婦や男女の物語を提示してみせるやりかたは巧いというより、安定ということばがぴったりするぐらい。どこか小津映画的だったり、青年団の「東京ノート」的だなと感じるよう。これを残念と見るか、フォロアーと見るかは人それぞれだろうと思います。写真を撮るところや、突然泣き出すところ、来年のお節は作れないかも、というあたりなど、直接ではないのだけど、東京ノート的なものをそこかしこに感じさせるのは偶然なのかどうなのか。若い破たんは微塵もなく、予想したようにおさまっていく感じすらします。

ただ、終幕にみせた時計屋と嫁の会話が印象的。表面の会話も演出も、なにごともない淡い恋心を描いているとしか見えないのに、あたしの心が感じるのははるかに情欲的で燃え上がる感覚。このギャップにあたしは戸惑います。そう感じるのはあたしだけかもしれませんが、この色っぽさは小津や平田が描く世界よりずっと直接的な情欲を感じます。

嫁を演じた松本享子は役どころもあって優しく、美しく目が離せません。弟を演じた足立誠の緩急が巧い。

毎度参考にさせていただいている、「小劇場系」さんのことば、「松本享子の、ある世代より上の男性たちを「萌え」させるであろう端麗かつ清楚な容姿と身振り(の役作り)」という指摘。30代後半のあたしには確かに印象的なのです。おっしゃるとおり、「現実離れしあもの、とうか作為的なもの」というのもたしかに仰るとおり。でも、あたし個人の印象は「萌える(=好意はあるのに、近寄れない、触れない感じ、とあたしは理解しています)」とは違って、もっと色気に近いモノ、なのですが。いえ、あたし、が、ということですが。(^^;;)

青☆組vol.5「時計屋の恋」
2006.1.25 - 1.29 こまばアゴラ劇場
作・演出 吉田小夏(青年団演出部)
出演 足立誠(青年団) 小笠原大 藤原進一朗 木下祐子 松本享子
     藤川修二 黒木朋子 関大輔(渡辺センター) 福寿奈央

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