【芝居】「熊」メタリック農家

2006.1.22 14:00

彼らの3年前の旗揚げ作のパワーアップ再演。多層に紡がれる話のひらめきに唸ります。うまくできていて、これが旗揚げってのが凄いし、面白いと思うのです。下手に説明してネタバレが怖い(色んな意味で)100分。29日までOFFOFFシアター。

小さな喫茶店で赤字を抱えたまま一人で夜逃げした父親。慣れない仕事を健気に頑張る母親。娘は友達の持ってた、「願いの叶う木像」に願いをかける。 その小さな喫茶店に突然現れたのは、管理された生活に嫌気がさして逃亡してきた…

序盤こそ少々手間取りますが、物語が転がってからは実にスムーズ。安心して見られる感じです。ワンアイデアのみに頼ることなく、いくつかの話を多重したおかげで、淡い恋心だの、付随した話も少し面白かったと思うのです。

(ねたばれあります)

あのキャラクター群をパロディ的に取り上げる芝居数々あれど、蜂蜜好きで赤シャツの、「あのクマ」をこう位置させるアイディアの勝利という面はあります。物語を追ううち、まるで北朝鮮の拉致の話かとおもってしまうような展開。話の主軸ではなくて、「悪の帝国」的、象徴的な扱いではありますが。

逃げてきた彼女を演じた古市が印象的な大きな目と併せて実に当たり役。少女、を演じた役者もいいなぁ。当日パンフにキャストの名前を載せているのは当然として、役名がないのは勿体ない。もちろんこの構成ですから、役名載せただけでネタバレやら怖いリスクをおかすわけにはいかないわけですが。なんか巧い方法ないものでしょうかね。というわけで、著作権に関してはもっともタチが悪いやくざ並(とアタシは個人的に思っている)の彼らなので、この奥歯のモノが挟まった言い方、失礼しました。

メタリック農家「熊[Kuma]」
2006.1.20 - 1.29 下北沢 OFF OFFシアター
作・演出　葛木英
出演　古市海見子　伊藤一将　中島徹　岩田裕耳　葛木英
酒井杏菜　田中あつこ（バジリコ・F・バジオ）　大関貴弘　
草野イニ（ロリータ男爵）　亀岡孝洋（カムカムミニキーナ）