【芝居】「セパレート・テーブルズ」自転車キンクリートSTORE
2005.12.17 19:00
自転車キンクリートSTOREの企画公演、英国の作家、テレンズ・ラディガンの作品を3本連続上演の最後。劇場がかわり広くなっていますし、3時間25分という時間もどうかしてる気もしますが、観て納得のクオリティ。あたしはブラウニング・バージョンの密度に軍配を上げますが、それでもなお、水準よりはるか上のすごさ。23日まで、スペースゼロ。e+の得チケも出ていますし、前作の半券があれば最大1500円引き。
海辺の小さなホテル。客の半分はリタイアした老人たちの長期滞在。ディナーのテーブルはそれぞれに、騒々しいウエイトレスにも慣れている。
(一幕) そんなホテルにやってきた一人の美しい女性。およそこのホテルには似つかわしくないのだけど。でも、もっと驚いたのは、彼女はホテルの厄介者、のんだくれのジャーナリストを追ってきたということなのだ。
(二幕) 数年後。長期滞在の夫人の娘、33にもなって社会に順応することができない。彼女と仲のいい退役軍人とはずいぶん歳が離れているのだが。しかし、地方の小さな新聞の小さな記事に書かれた彼のことは、ホテルを大騒ぎに巻き込む。
ゼロという劇場も天井が高く、どうも寒々しい感じになってしまうのです。舞台奥から客席5列目の両端に向かってカーテンのように釣られた布。印象的で、舞台と客席を一体とする効果、高さのありすぎる劇場の巧い使い方だと思います。
二つの芝居はゆるやかには繋がっているものの、全く別の話。
一本目。互いに心の底から愛しているのに、どうしても傷つけあってしまう二人。へとへとになりながら、傷だらけになりながらも、愛さずには居られないという業のように惹かれ合うのです。およそディナーのテーブルとは思えない寒々しい、一人づつに分かれたテーブルが、彼ら二人を含む宿泊客全員のどうしようもない閉塞感を見せます。終幕のウエイトレス、無邪気にしかし「ランチからそうしておいてあげる」というセリフがいいなぁ。
二本目。ゴシップには目がない住人たちにさらし者になるようなことをしでかしてしまった退役軍人。が、彼に惹かれてしまう、世間と交われない女。女が歩み出した親からの独立。彼女の独立を後押ししようということが、自分自身の強さをはぐくむのだなぁとおもうのです。
自転車キンクリートSTOREテレンス・ラディガン3作連続公演(3) 「セパレート・テーブルズ」
2005.12.15 - 12.23 スペースゼロ
作 テレンス・ラディガン 訳・演出 マキノノゾミ
出演 久世星佳 神野三鈴 山田まりや 菅原大吉 坂手洋二 歌川椎子 南谷朝子(青年座) 林英世(劇団M.O.P.) 大家仁志(青年座) 奥田達士 (劇団M.O.P.) 小飯塚貴世江(俳優座) 秋山エリサ 木下智恵(北区つかこうへい劇団)
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