【芝居】「海賊」グリング
2005.12.10 15:00
静かに暮らす等身大の人々の中の想いや痛みを描くグリングの新作。結果的にタイムリーな話題を扱いながらも細かなに書きこまれた物語は深みがあってずっしり重いフルボディ。18日までザ・スズナリ。大阪公演も予定。
近郊ながらひなびた駅前、冬の祭の準備に少しばかり慌ただしく。実家の理髪店を継いでいる弟夫婦のところに兄がふらりと帰ってきた。同じくして起きた小さな町にはにつかわしくない事件。ろくに帰ってきたことなどない兄の事情が…
兄弟の微妙な距離、地方の伝説を背景に、なにかうまくいかない鬱な感覚。女性に微妙な距離な姿の描き方は、ときにコミカルでときにロマンチック。なのに話はドップリという不思議な取り合わせ。昨今の時世を物語に使っていて、物語が振り回されたり着地点に苦労しそうだと勝手に思っていると、物語はしっかりと「その話」を飲み込み、咀嚼しねじ伏せるのです。
この劇団、いわゆる呑み屋の会話ではここ数ヶ月、よく名前が上がる印象があります。 力強いストーリーラインは注目を集めるのもわかる気がします。
グリング常連陣の安心感はいうまでもなく。峯村リエの「普通」の会話がよく、特に兄と二人で話す抑えたシーンは印象的で気持ちに響きます。笹野鈴々音との対比はいったい。いや、芝居とは関係ないのですが。
グリング 「海賊」
2005.12.9 - 12.18 ザ・スズナリ
2005.12.21 - 12.24 大阪・芸術創造館
作・演出 青木豪
出演 中野英樹 永滝元太郎(劇団M.O.P.) 杉山文雄 鈴木歩己 萩原利映 内田慈 黒川薫(010534J) 笹野鈴々音(風琴工房)
谷川昭一朗 峯村リエ(ナイロン100℃)
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