【芝居】「The Loving」なぎさにゆこう
2005.11.13 17:00/19:00
P.E.C.T.の中嶋比呂嗣が劇団とは別の作家と組む企画公演、Project ONE&ONLYの白土硯哉を作家に迎え、坪内逍遥がシェイクスピア翻訳を始める頃、幻の女との濃密な数日間の話。10月11月は藤沢の拠点、レストランシアター、クラジャで。12月は七里ヶ浜と鎌倉で1日づつ公演の予定。
あたしが見た日曜日、早めに到着したので、17時と19時、組み合わせの違う二人芝居を二本見ることができました。17時は三木佳世子×中嶋比呂嗣、19時はつつみその子×佐藤拓道。基本的な構成は同じです。むしろ役者そのものの差が強く、中嶋×三木ではか細く凜とした色気、佐藤×つつみでは、よりふくよかで情欲に近い色気を感じます。シェイクスピア翻訳を始めたばかりの坪内逍遥と出会った、謎の女性。行きずりの愛欲の中に、シェイクスピア文学での、「愛」の位置づけが理解できなかった逍遥を導くかのように見え隠れするのです。史実というよりは、おそらくはフィクション。こういうことを夢想する楽しさ。
和服姿の女、赤い糸のあやとり。あやとりを情交の象徴として効果的に使うことで、色気の側面が強く意識される演出になっています。どちらのバージョンでもほとんど変わりません。物語に過不足はないのですが、二人芝居で、照明や音響に凝ることができない環境もあって、90分の尺は少々長く感じたのも事実。(調子に乗ってあけたビールのせい、かもしれませんが)。
クラジャという場所は、P.E.C.T.にとっては孵卵器のような場所で、地元の継続してみている観客たち、良くも悪くもアットホームな雰囲気。外へはここで育てた芝居をもっていけるわけで、実験的なことも試せるという強みはあります。週末の終演後に設定されている15分の"Theater After9"は、そんな実験的な試みなのですが、あたしの行った日の講談もどきは、芝居としては成立しておらず、内輪受けな感じを強く受けてしまうのです。同様のことが、当日行って「だれからの紹介か」ということを何度か聞かれるというありかたでも感じます。(いや、こちらはずいぶん拝見してますが、ご挨拶なんて、とてもとても。)客と繋がりたいという意志は感じるものの、一見の観客には逆効果というのも事実なわけで。
12月の七里ヶ浜は、すてきなフォトスタジオが舞台。鎌倉の方は旧家を借りての公演なのだそうで、この話にはとてもマッチする空間になるのでしょう。
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コメント
初めまして。
一人目のサエを演じました、三木佳世子です。
ご来場誠にありがとうございました。
12月の七里ガ浜でも、また違った空気をまとって、The Lovingをやりますので、宜しければ是非いらして下さい。
本当に沢山の舞台を観ていらっしゃるのですね。他の記事も楽しく読ませて頂きました。
これからもどうぞ宜しくお願い致します。
日に日に寒くなって参りますので、お風邪などを引かれませぬよう。
投稿: 三木佳世子 | 2005.11.17 00:42
三木佳世子さま:
ありがとございます。一組目は、互いのキャリアも年齢もいくまわりも違う組み合わせなのに、それを感じさせない「しっくり」来る感じが面白かったです(二組目との比較の問題ではなくて)。
まだ公演続くようで、寒い日も続きますが、ご自愛をば。
投稿: かわひ_ | 2005.11.17 08:35