【芝居】「パーマネント・ウェイ」燐光群
2005.11.20 19:00
海外戯曲の紹介も精力的に行っている燐光群の新作は、英国の作家、デイヴィッド・ヘアーの作による、ドキュメンタリータッチの一本。英国で起こった4つの列車事故の関係者のインタビューを積み重ねて描く130分。来月4日まで、シアタートラム
イギリス国鉄は、1994年、サービスとインフラを上下分離で民営化された。そのあと97年から02年までの間に起きた大きな列車事故4つの関係者のインタビュー。
度肝を抜くのは装置(加藤ちか)。シアタートラムを左右から挟む客席に分け、中央に線路。語られる舞台は必ずしも線路の上の話じゃありませんが、象徴的で、なにより印象に残ります。
ほとんどの芝居は、作家に対して語っている関係者、という形で進みます。CBSのドキュメンタリー番組みたいな作り。作家自身は登場せず、語りだけを積み重ね、結果、会話はほとんどないという不思議な形式になっています。全体に平板に感じてしまうところもあって、このスタイルは難しいのだと思います。
ドキュメンタリータッチの燐光群の作品はけっこう数があって、クオリティは高いと思います。「CVR」がひたすら事件の現場を描いているのに対して、本作はその後の人々の証言がもとになります。どちらかというと「ときはなたれて」がスタイルとしては近く、情報も多いので少々気合いを入れないと、ついて行き損なう感じもします。
語られる中で見えてくる、「責任の所在をあきらかにしないための組織構成」が、あたし的には一つめのツボ。本作のような大きな話に限らず、たとえば会社での些細なことにも、こういう芽はあるのかと思ったり。二つめのツボは、プチ鉄ちゃんのアタシには、割と好きな内容ってことなのですが。
燐光群デイヴィッド・ヘアー新作連続上演「パーマネント・ウェイ」
2005.11.20 - 12.4 シアタートラム
作 デイヴィッド・ヘアー 訳 常田景子 演出 坂手洋二
出演 渡辺美佐子 中山マリ 川中健次郎 猪熊恒和 大西孝洋 鴨川てんし 江口敦子 樋尾麻衣子 内海常葉 向井孝成 裴優宇 久保島隆 杉山英之 小金井篤 工藤清美 桐畑理佳
阿諏訪麻子 安仁屋美峰 市川実令 尾形聡子 坂田恵 椙本貴子 塚田弥与以 中川稔朗 樋口史 樋口美恵 松山美雪 亀田ヨウコ
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