【芝居】「ラフカット2005」
2005.11.27 14:00
オーディションで選ばれた役者(荒削り=ラフカット)たちだけで30分の短編を4本、比較的名の通った小劇場の作家の書き下ろしで見せる企画。公演は終了。
深夜の番組企画会議、深夜の小さな番組なのに張り切る困ったD「震度2」。コインランドリーに居る人々、慣れない洗濯始める人、ワケアリの酔っ払いなど、それぞれのワガママと我慢と「コインランドリーマン」。昭和、工場の二階の部屋に入り浸る少年の友達たち、学校サボって考えることは「バカ少年」。ショボいレディース向けテニススクールとコート借りてるこちらもショボい男ばかりのテニスサークル。秘かにつけねらったり、想ったり「晩秋にほえろ」。
30分という短い時間、役者も巧い人ばかりではなく、人数も少なくはありません。観客も友人関係多く小劇場を見慣れない観客多数。その中でいかに話を素早く立ち上げるか、展開するかは基本。その上で、役者やホンの魅力をどうみせるか、の勝負なのです。
「震度2」シチュエーションは、ラフカットでは見慣れた感じ。客席が暖まっていない最初というハンデがあるとはいえ、物語がどうしてこう流れるか、地震の前後で何が変わったかを提示しないのは、わかりにくく感じます。反面、大物女優役、若いAD役、アイドル役、TK役など女優が輝くように作られているのです。
「コインランドリーマンズ」日常に見えるわずかなエアポケットを描くために、幾重にも張り巡らせたものがたり。ごみごみしがちなのだけど、そう感じさせないのが巧いなぁと思います。すべての役者にきちんと役割を持たせ、単なるちょい役を作らないのも劇団主宰っぽいのですが、それが単なる順番にならないのです。高円寺のミック、洗濯のできない女、上手側に視点としているリーマン、誕生日のオンナノコなど、印象的な役を当てたかのように描くのは、作家が役者を見ているのだなとおもいます。
「バカ少年。」昭和を描くと巧い作家なのだけど、最近の昭和ブームゆえにアンチテーゼとして、「あのころは懐かしいけどいいことばかりじゃなかった」話しとして作っている感じがします。がさつな感じもそれゆえかと思うのです。
「晩秋に吠えろ」堤泰之という人は、作家よりも演出なのだと思っているアタシで、作では波が激しい気がしますが、本作は面白かったなと思うのです。あり得ない感じ、どこかファンタジーな感じも、今回の4作の中では面白くて、もっとも芝居らしい仕上がりだったと思うのです。飛び道具のようなキャラクタや、恋人商法を織り込んだり、老いらくの恋もあったり。テニスに模して男の取り合いを勝負させる中盤が、アタシは好きなんですが。はい。
ラフカット2005
2005.11.23 - 11.27 全労済ホール/スペースゼロ
演出 堤泰之
■「震度2」
作 樫田正剛
出演 五十嵐富子 日下部千太郎 工藤良輔 熊野善啓 榊原健一 鈴木那奈 中川智咲子 福井利之 松本永倫子 吉田真琴 渡辺裕樹■「コインランドリーマンズ」
作 桑原裕子
出演 荒木秀行 岡戸三樹 奥田直樹 窪田道聡 小堀友里絵 野辺富三 濱田龍司 星野友紀 三浦知之 横山真弓■「バカ少年。」
作 中島淳彦
出演 赤星アメ 秋山夏美 おがわじゅんや 落合孝裕 加古臨王 北野ジン 鈴木穣 長尾健太郎 東川清文 村岡奈緒美 吉村公佑■「晩秋に吠えろ」
作 堤泰之 出演 石田誠二 尾上康代 片山重滝 河合咲 白神允 津乃村真子 西村理沙 蛭田真知子 田村義晃 山本東
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