【芝居】「ダブリンの鐘つきカビ人間」
2005.10.29 18:00
後藤ひろひとが主宰だった遊気舎の初演、パルコのG2演出体制になった再演、に続いての三演目。脇を固める役者はそのままに、中心となる若い男女4人を入れ替えて。ケルト風の世界に笑いと哀しさの入り交じる2時間。来月13日までル・テアトル銀座。そのあと大阪、名古屋、福岡、広島、松本。
古い民家に泊まることになった若い男女。主人は、かつてここには村があって人がたくさんくらしていたのだという。主人が語るそのものがたり。ひとそれぞれの奇病に襲われた村、封鎖された村。特に不幸な二人の若者。外見は醜く、内面が美しい鐘つきの男と、思っていることと反対の意志の言葉しかしゃべれない女。醜い男が近づいてくるのを拒絶しようとしても、「来て」と云ってしまう女。奇病を救う道はただひとつ、魔法の剣を手に入れ、奇跡を起こすことしかない、のだという。
片桐仁+中越典子の向こうに見えてしまう再演の大倉孝二+水野真紀。まだ二日目だからまだまだ芝居は変わっていくのだと思います。もちろん水準には達しています。ものがたりの力が強く、注意深く作られたキャラクタは、役者が舞台に不慣れでも力が何倍にもなるようになっています。二日目の段階では、まだ強さを感じない二人ですが、だいじょうぶ、きっとうまくいくと感じさせます。
現在の二人の若者も少々弱い感じはします。が、再演の遠藤久美子とは、まったく違う新たな方向を感じさせるは土屋アンナなのです。けっして好きなタイプの女優ではありませんし、巧くはないと思うのですが、やくのありようがまったくあたらしく、新鮮なのです。しかも実はけっこうカッコイイ。
反面、脇を固める役者たちがこれだけ芸達者を揃えたのに、ほんの少ししか使われないようなもったいなさも感じます。再演に比べても3人も増やしてしまったがために、薄くなってる感じがするのです。広い劇場を埋められるように、キャストを増やしたのかもしれませんが、それはうまくいっていません。もっとも初演は23人なので、それに比べたら圧倒的に少ないのですが。
とはいえ、ものがたりの持つ圧倒的な力。それを確実にものにしてて、気持ちよく、そして安心して観られる仕上げになっています。文句これだけいってても、じつは結構泣いたりしてるし。
G2プロデュース「ダブリンの鐘つきカビ人間」
2005.10.28 - 11.13 ル・テアトル銀座
2005.11.15 愛知厚生年金会館
2005.11.17 - 11.20 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
2005.11.23 メルパルクFUKUOKA
2005.11.25 広島・アステールプラザ大ホール
2005.11.27 松本文化会館
作・演出 後藤ひろひと
出演 片桐仁(ラーメンズ) 中越典子 橋本さとし 山内圭哉 中山祐一朗 及川健 八十田勇一 田尻茂一 山中崇 トロイ 平田敦子 土屋アンナ 姜暢雄 池田成志 若松武史
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