【芝居】「ゼロの柩」風琴工房
2005.10.2 17:00
命、ということに深く立脚しつつ、家族の姿を鮮明に見せる再演。公演は終了。劇団は若手公演のあと年末から来年にかけての京都での企画公演。
死刑囚とその被害者(妻と愛人)、独房を中心に。その娘が両親を探し求める現在、執行人と家族のすがたの現在も並行して描きます。声高に非難するのではなく、淡々と姿を描くのは、事実を劇作とする辛さとはいえ、想像を絶する作業なのだと思います。
広く、高さのある劇場を生かした成果は十分にでています。X字の交点に独房と現場、上手奥に執行人の家庭を固定して分けるのは観ている側にも分かりやすく、しかも何より、ため息のでるほど美しい装置です。光を仕込んだ効果も高いのです。
高さを生かして、ハングするさまざまは、物語の進行に合わせて大道具や小道具になります。終盤に至り印象的に再びつり下げられる向日葵。ひまわりの花が、人の顔を想像させ、物語全体を一気に反芻させる強力な力があります。反面、終幕に向かい、舞台をクリアにするために片付ける作業が見えてしまうのは、意図はわかるもののもったいない感じもします。
風琴工房「ゼロの柩」
2005.9.29 - 10.2 シアタートラム
作・演出 詩森ろば
出演 宮嶋美子(風琴工房) 小高仁(第三エロチカ) 松岡洋子(風琴工房) 篠塚祥司 羽場睦子 笹野鈴々音(風琴工房) 椎葉貴子(風琴工房) 好宮温太郎(タテヨコ企画) 明樹油化(La Compagnie A-n)
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