【芝居】「ウェッジソール・ヴァルキリー」神様プロデュース
200510301900
スタイリッシュ、ビートの効いたリズム。全体で2時間を超えて超満員な追加公演。31日まで王子小劇場。
漫画家の仕事場ゆっくりと話し始めた話「Only place I can cry」。高校の教室での甘酸っぱいいくつかの話「まるで恋することしか出来ないみたいに。」。祖国を再建するために追われたものたちの冒険の物語「イニシャライズ・ラグナロク」。フリーターがふとしたきっかけで戦場に送られる「エイヂ」。
ひとはなぜ一人ではいられず、相手を探して、物語を共有しようとするのか、そして、言葉にしたとたんにその共有は記号となり本当には共有し得ないのはどんなに悲しいことか。誰にも知られないまま消えていく人や国は、存在していないのと同じだから、誰かに自分のことを知ってほしいし伝えてほしいと思うのも物語の本質。語られずには居られないあふれる想いは、作家の宣言だと思うのです。
神話や学園ドラマ風のシチュエーションを引きながら、物語への想いを断片的に置いていく前半。後半、 その断片を一気に編み上げられるのです。洪水のようにたくさんのテキストをきちんと語る、飽きさせないように緩急をつける技術とテンション。遊び心を満載。結果、2時間15分ぐらい。あと少し、削って(圧縮でなく)いければ。と思うのです。
語られている物語自信はそう、オリジナルなものではない気もします。どこかで聞いた話ばかりですが、それを編み上げる編集のチカラと、その一段上のメタなところが今作の視点ですから、あまり大きな問題はないのだと思います。
物語に対する作家としての思いの深さ、それをあまりにまっすぐに語る手法を見ているうち、鴻上節が頭から離れません。似ているといえば似ている気もします。もちろん、若い彼らには第三舞台ほどのチカラが備わっているわけではないのですが、ともすればこっ恥ずかしくなる、ストレートな想いの宣言を正面切って舞台に載せようっていう心意気は、あたしゃ買いたいのですが。
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