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2005.10.31

【芝居】「ウェッジソール・ヴァルキリー」神様プロデュース

200510301900

スタイリッシュ、ビートの効いたリズム。全体で2時間を超えて超満員な追加公演。31日まで王子小劇場。

漫画家の仕事場ゆっくりと話し始めた話「Only place I can cry」。高校の教室での甘酸っぱいいくつかの話「まるで恋することしか出来ないみたいに。」。祖国を再建するために追われたものたちの冒険の物語「イニシャライズ・ラグナロク」。フリーターがふとしたきっかけで戦場に送られる「エイヂ」。

ひとはなぜ一人ではいられず、相手を探して、物語を共有しようとするのか、そして、言葉にしたとたんにその共有は記号となり本当には共有し得ないのはどんなに悲しいことか。誰にも知られないまま消えていく人や国は、存在していないのと同じだから、誰かに自分のことを知ってほしいし伝えてほしいと思うのも物語の本質。語られずには居られないあふれる想いは、作家の宣言だと思うのです。

神話や学園ドラマ風のシチュエーションを引きながら、物語への想いを断片的に置いていく前半。後半、 その断片を一気に編み上げられるのです。洪水のようにたくさんのテキストをきちんと語る、飽きさせないように緩急をつける技術とテンション。遊び心を満載。結果、2時間15分ぐらい。あと少し、削って(圧縮でなく)いければ。と思うのです。

語られている物語自信はそう、オリジナルなものではない気もします。どこかで聞いた話ばかりですが、それを編み上げる編集のチカラと、その一段上のメタなところが今作の視点ですから、あまり大きな問題はないのだと思います。

物語に対する作家としての思いの深さ、それをあまりにまっすぐに語る手法を見ているうち、鴻上節が頭から離れません。似ているといえば似ている気もします。もちろん、若い彼らには第三舞台ほどのチカラが備わっているわけではないのですが、ともすればこっ恥ずかしくなる、ストレートな想いの宣言を正面切って舞台に載せようっていう心意気は、あたしゃ買いたいのですが。

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2005.10.30

【芝居】「ZOKKY」

2005.10.30 17:00

くぎられた小部屋で演じられる3分ほどの芝居を、一人もしくは二、三人で覗き穴から見る形態の公演。マダムゴールドデュオ(MGD)でも行われる形態ですが、女優と色気を(実はストレートなエロとも違う)前面に置いたスタイル。ルデコでの公演は終了。

MGDの「原宿物語」に参加し可能性を感じた小林タクシーによる、「のぞき部屋演劇専門団体」ZOKKYの旗揚げ公演。この形態の修行が足りないアタシは、最終日の終わり近くの時間に参戦、してしまったので時間足りず。(涙)

漫画家の動かすペン先に魅せられたアシスタント「11PM」。待ち続ける行列、ふと誘惑する女「絶頂集」。みられなかったけど「ダッチ」「ZOKKY'S ANNGEL」。

今回見られたのは「11PM」と「絶頂集」だけでしたが、ホントは4本。一つの舞台で回しているために、時間帯によっては待ち時間が長くなってしまうのが弱点で、早め早めに訪れて、消化しなくちゃいけないのね。(T_T)知り合いが居たら果敢に声かけて本数を稼がなきゃいけないのかもしれません。開場直後は結構空いてるも聞きますので、時間配分をもっと考えなきゃいけません。

ともかく、近くて、ほんとにドアップの芝居、全体的に色気を全面に押しだして、女優をフィーチャー(族鬼娘-zokky girls)。でも、単なるストレートなエロにはもっていかずに踏みとどまるは正しい。声だけ聞いてると、大きな喘ぎ声満載ですから、あれですが。11PMはアイディアがいいよなぁ。

受付で300円払い、みたい話を選ぶと、番号札を渡されて。待合室のように椅子とテーブルがあって、友達とでもきてれば話をしながら時間をつぶすもよし。声はまる聞こえなので、ヘッドホンステレオでも持ち込んで聞いているのも吉。しかし、番号札もって、呼び出されてピンクのカーテンの向こうに消えてって微妙ににやけながらでてくるって姿はあれですか、風俗店のメタファーですか。知らないけど。

しかし、多少の休憩はあるとはいえ、役者たちはほぼ出ずっぱりで、しかも同じことを6時間も繰り返しているわけで、肉体的には相当に過酷なのではないかと想像します。この効率の悪さ、壮大な無駄こそが、実はライブをやってるってことに根底で繋がるわけですが。

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【芝居】「JUMP」ハッスルマニア

2005.10.30 14:30

いわゆるブゲイ(舞台芸術学院)系のパワフル芝居、4本目にして初のオムニバス、つうかコント集。完全に独立しているし、後腐れのない笑い中心。すぐ脱ぐし。

趣味で集う男たち、死んでしまった同好の士を悼みながら、女王様を待つ「ドエス=ドエムスキー」。チンピラ風の男二人、待ち伏せ、準備にどれだけかかったか思えば、失敗は絶対に許せない「ターゲット」。アイドルのアイちゃんを応援する親衛隊の男4人「We Love Aichan」。旅の僧侶を狙う姉妹風の物の怪が「もののけ姉妹」。高所の工事現場、鉄骨の間に落ちた弁当の海老フライを捕まえようとして、腕立て伏せ状態になってしまった「トビます!トビます!〜なんでこうなるの!!」。なぞなぞを間違えるとどんどん重くなっていくという「実録!!妖怪に憑かれた男」。男5人のアイドル風、楽屋、大ヒットはなく昔の微妙に売れた曲でバラエティの待ち時間「アイドル哀歌」。

7本組で分量はそれなり。SM風の1本目、ワンアイディアの2本目、ともかく踊り続けるおもしろさの3本目、女優二人もパワフルな4本目、腕立て伏せの力わざの5本目、よくある妖怪ネタだけど、オチのもう一組がポイントの6本目、芝居っぽさが少しある7本目。

物語らしい物語はほとんどなく、女優も含めひたすらパワフルに押しまくる。ここまで押しまくれるのは、これはこれで何かの瞬発力なわけで、アリなんじゃないかと思えてきたりします。でも、これはやっぱ芝居ではない、のだなぁと思ったりします。後腐れのないコントとしてはなかなか盛りだくさん。

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【芝居】「ダブリンの鐘つきカビ人間」

2005.10.29 18:00

後藤ひろひとが主宰だった遊気舎の初演、パルコのG2演出体制になった再演、に続いての三演目。脇を固める役者はそのままに、中心となる若い男女4人を入れ替えて。ケルト風の世界に笑いと哀しさの入り交じる2時間。来月13日までル・テアトル銀座。そのあと大阪、名古屋、福岡、広島、松本。

古い民家に泊まることになった若い男女。主人は、かつてここには村があって人がたくさんくらしていたのだという。主人が語るそのものがたり。ひとそれぞれの奇病に襲われた村、封鎖された村。特に不幸な二人の若者。外見は醜く、内面が美しい鐘つきの男と、思っていることと反対の意志の言葉しかしゃべれない女。醜い男が近づいてくるのを拒絶しようとしても、「来て」と云ってしまう女。奇病を救う道はただひとつ、魔法の剣を手に入れ、奇跡を起こすことしかない、のだという。

片桐仁+中越典子の向こうに見えてしまう再演の大倉孝二+水野真紀。まだ二日目だからまだまだ芝居は変わっていくのだと思います。もちろん水準には達しています。ものがたりの力が強く、注意深く作られたキャラクタは、役者が舞台に不慣れでも力が何倍にもなるようになっています。二日目の段階では、まだ強さを感じない二人ですが、だいじょうぶ、きっとうまくいくと感じさせます。

現在の二人の若者も少々弱い感じはします。が、再演の遠藤久美子とは、まったく違う新たな方向を感じさせるは土屋アンナなのです。けっして好きなタイプの女優ではありませんし、巧くはないと思うのですが、やくのありようがまったくあたらしく、新鮮なのです。しかも実はけっこうカッコイイ。

反面、脇を固める役者たちがこれだけ芸達者を揃えたのに、ほんの少ししか使われないようなもったいなさも感じます。再演に比べても3人も増やしてしまったがために、薄くなってる感じがするのです。広い劇場を埋められるように、キャストを増やしたのかもしれませんが、それはうまくいっていません。もっとも初演は23人なので、それに比べたら圧倒的に少ないのですが。

とはいえ、ものがたりの持つ圧倒的な力。それを確実にものにしてて、気持ちよく、そして安心して観られる仕上げになっています。文句これだけいってても、じつは結構泣いたりしてるし。

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2005.10.29

【芝居】「ホントに?」女豹プロデュース

200510291430

西田シャトナー作、ピスタチオ時代に上演された異色の女の子4人芝居。わりとテキストそのまま、シャトナー演出ですが過剰な動きとテキストに苦戦も伺えます。が、あたしゃ好きだ。30日まで劇場MOMO。

ピスタチオが好きだったという人は数々あれど、本作が好きだって人にはお目にかかったことはありません。普通ピスタチオに求められてたものとはやっぱり異質。が、あたしゃ、この無茶苦茶な夢想話が好きでした。

同じ英会話学校で偶然意気投合した4人。勢いで買った4枚の宝くじの抽選をテレビで見ようと約束し、久しぶりに集まった4人。家族、仕事などの行き詰まり感じる4人は、当たったら何をしたいかを夢想する。島を買う、英語身につける、職人に弟子入りする、温泉を掘る。それぞれの夢が立ち上がり…。

柔らかい素材で作られた直方体のフレーム4つと段ボール製の奇妙な仮面だけのシンプルな舞台。説明セリフが挟まり、群唱があるのは少々時代を感じないこともありません。それだけで恥ずかしいと切り捨てる昨今の風潮もどうかと思いますが。

それに加えて過剰なほどつけられた動きは、役者には少々荷が重い気もします。思えばピスタチオの役者はこれを息も切らさずやってたわけですが。そこを苛めるのは筋違いって気もします。むしろ、微妙にアテガキされた役を別の役者がやる難しさ。向こう側にあの時の4人が透け見えてしまうのは、ま、あたしだけでしょうが。

役者も演出もそれぞれ異なるようですが、12月には名古屋大阪でも本作の上演だとか。み、観たい。(^_^;)

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2005.10.26

壮行会

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直接の上司じゃないけど、人間的にとってもお世話になった人の壮行会。くじけそうになる会議で、適切なことを、ちゃんと言ってくれる人ってのは、とてもありがたいのです。チームが回り始めた今、異動していくのです。不安が無いと云えば嘘になるけど、でも、先に、先に進んでいかなくちゃ、なのです。

週末。土曜日夜にダブリンの鐘つきカビ人間@ル・テアトル銀座(売り先見つけなきゃ)、物語のクオリティは証明済み、広い劇場が少し不安。

ハッスルマニア@パンプルムス、男臭さの芝居だった前回、今回はどうなる。女豹@MOMO、惑星ピスタチオ時代の異色な女優4人芝居、あたしはとても大好きな一本で、それをオリジナルと同じ西田シャトナーの演出で。(名古屋でも別プロジェクトが)。青年団+PARK@アゴラ劇場、東京ノートを下敷きにした「ソウウルノート」、売り切れもでているとかで日曜夜も追加公演。神様プロデュース@王子小劇場、スタイリッシュでパワフルで。ZOKKY@ギャラリールデコ1、小劇場の女優たちをラインナップ、一本300円で見られる5本組をのぞき穴から見る、気軽に見られる色仕掛けエンタテインメント。

都電荒川線でのENDLESS LANE(はらぺこペンギン+クロカミショウネン18+Swanky Rider+JACROW)も今週末まで。プレイメイト@TOPSは実力派、これも今週末まで。二兎社はもう少し先まであるかな。猫のホテル@スズナリ。イキウメ@サンモールスタジオ、幹生@OFF OFF。黒テント@iwatoは、ク・ナウカのあの芝居「作者を探す6人の登場人物」。

うわ。もりだくさん。

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2005.10.23

【芝居】「7の椅子2」7の椅子

200510231800

少ない人数、笑いも恐怖も緻密な7の椅子の第二回公演。コントのようだけどテレビでは出来ないのが芝居というもので。公演は終了。

婚約者が式の前日に婚約を破棄。彼女が云うには、夫たちはみんな死んでしまうのだと。それは一回目の結婚の時の「祈りビースト」。振った男の結婚式に呼ばれた女、口惜しさのあまり、逆上して新婦を、カバンに「black bag sideA」。結婚式場で取引しようとする怪しげな男たちあのカバンの中には「black back sideB」。缶詰になってる作家を待ってる編集者、書いては捨て、しているのは、秘書?「あなたが探している彼は。」。

一本目はかなり怖いホラー、なのに笑いもたくさん。最初に読む童話が効く。二本目三本目は同じ場所で起きている事件を表裏から。四本目はわりとドタバタ、コントのようなわかりやすさ。秘書があんなだとは(^_^;)

役者みんなが個性的で達者。別人かと思うメイクもレベルが高いのです。装置のスタイリッシュも。気楽に2時間であれこれ笑うのもいいなあ。

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【芝居】「胎内」青山円形劇場

2005.10.23 14:00

阿佐ヶ谷スパイダースの二人に奥菜恵の組み合わせに、戦後すぐの時代を舞台にした古い戯曲の組み合わせの舞台は、言葉は古くとっつきにくいのですが、実は今に通じるなかなかの普遍性。30日まで青山円形劇場。

戦後すぐ、逃げるようにして旅を続ける男と女。立ち寄った岩場の洞窟には生きる希望を失ったかのような、みすぼらしい男。

岩場ではあるのだけれど、胎内を連想させる造形の舞台。円形のステージはそこかしこが半液状のようにしつらえられ、不安定と柔らかさ。

戦後すぐな感じの言葉。実感としてはわかりませんが、当時の口語よりは遥かに堅い、戯曲文体なのだろうと想像します。聞く側も注意深く、体力が必要です。心にしみこんで来ないというか。わりと大上段に構えてメタに概念で議論しようとするのも時代を感じさせます。

が、語られている内容は決してその時代だけに限られたものではありません。指揮するものの混迷が自分の責任だと感じることはないのだとか、先が見えることや社会との繋がりがバイタルになる人とその反対の人の姿など、サラリーマンのアタシにも染みるのです。

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2005.10.22

【芝居】「ラブストリームス・ノートブック」オールツーステップスクール

2005.10.22 19:00

スキップして行きたくなる、というコンセプトと聞いた気もするけど良く覚えてないです。ちょっとショボい観光ホテル、エロ会話盛りだくさんなあれこれ。30日まで三鷹市芸術文化センター星のホール。

山中のリゾートホテル、女3人のサークルっぽい団体、近所の幼なじみっぽい男たち、従業員、影ある女。関係のあるようなないような。

数日の出来事なのですが、会話は不自然なほどエロ会話ばかりで溢れています。狙いをつかみかねる感じもするのですが、何故か「したくて」しょうがない、溢れる気持ちと、それが叶えられたり、られなかったりという、鬱屈したもやもやした気持ちは強く感じます。(←共感、とも言う、かもしれない(^_^;))

ホールの席、後ろ側だけを残して大きく張り出した舞台。ただでさえ埋めるのが難しい空間の舞台、さらに奥行きを加えてハードルをあげている気がします。重要な会話は、舞台の奥で行われるのは、かえって損をしている気もします。生演奏を舞台においているのは、彼らのアイデンティティなのだろうけれども、芝居にとけ込まず、分離してしまっている気がします。

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【芝居】「ブラウニング・バージョン」自転車キンクリートSTORE

2005.10.22 14:00

鈴木裕美が惚れ込んだ、テレンズラディガンの翻訳劇を連続上演する「社運を賭けた」(当日パンフによれば)シリーズの第二弾。複雑で細かな感情が描かれた抜群に面白い一本になっています。e+の得チケもでています。30日まで俳優座劇場。

パブリックスクールの教職員宿舎、心臓病で学校を去ることになっている老教師。妻とも生徒たちともうまくいってはいない彼が学校を去る前日、生徒の一人を呼び出して補習するという。

笑いは多いとは言えません。全体に静かな会話で進む舞台は華やかさには欠けています。が、そんなことはどうでもいいと感じるぐらい、目が離せないのは、幾重にも重ねられた複雑な人間の感情が、圧倒的な力で見せられるからだと思うのです。

教師と生徒の心が交叉しあう瞬間のシーンがあります。アタシの泣き所でもあるのだけど、そのイイ話では終わらないのが戯曲の厚み。これが2時間弱だってんだから密度が凄い。

老教師を演じた浅野和之、同僚を演じた今井朋彦がしっかりと枠組みを支えます。妻を演じた内田春菊は決して巧い役者ではありませんが、役の年齢なりの色んな意味の嫌らしさをこんなにも包み隠さず舞台に載せるのは、かえって女優という人々には難しい役を効果的に演じています。

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2005.10.21

ひと区切り、またはイバラの道の第一歩。

ともすれば、沈んでしまいそうになる気持ちなのだけど、あれ、これもしかしたら行けるんじゃないかと思うこと、ぽつり、ぽつり見えてる感じがする今日この頃。こういう涼しくなりつつある季節が、あたしは大好きです。 洗濯物を風呂場に干してもすぐ乾くし。←それかい

無理矢理に水曜日に一本見たので、なんとか回せる予感の週末。

珍しく前売りを持っているのは、胎内@青山円形を日曜昼、自転車キンクリートSTORE(ブラウニング・バージョン、なんとe+では得チケが)@俳優座を土曜昼。どちらも楽しみなのです。

7の椅子@OFF OFFシアター、短編4話、スタイリッシュなチラシが印象的、旗揚げも面白かったし。オールツーステップスクール@三鷹、こっちもスタイリッシュだよなぁ。結局三鷹のフェスティバルはこれ一本か。たぶん、見るのはここまで。

チェリーボンバー@笹塚ファクトリー、前回はずいぶん前で、パワフルな女優たちで笑いいっぱいで面白かったなぁ。青年団若手@春風舎、うあ、観られないのが惜しい予感。ククルカン@萬スタジオ。三年物語@ストアハウス。いわたかプロデュース@神楽坂 die pratze、プレイメイト@TOPS、鹿殺し@ゴールデン街劇場、二兎社ももう半分すぎたか。

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2005.10.20

【芝居】「だんなさまと私」にんじんボーン

2005.10.19 19:30

様々なスタイルを続けてきた、にんじんボーンの最終公演。最後だからと取り立てて賑やかにすることもなく、淡々と確かな力。23日昼までスズナリ。

飼い猫「オヅくん」を軸にした自伝的シリーズの最終作。吉祥寺に引越してから、にんじんボーンの二作目(い・い・ひ・と)の後のあれこれ。公演後、渡米するという旗揚げメンバー、芝居を観てやってくる若者、プライベート。

潔い、という言葉がぴったり来る感じがします。他のどこの劇団にもない空気感といいましょうか。それを手放すことに、みじんも感傷を挟まないのです。

芝居は、効率が悪いとわかっていても、無駄と思われることをする意味がある瞬間ってのがある気がしてなりません。おうおうにして、それが力を持つのは、ニンゲンの持つ力なのだとも思います。今作では、毎ステージごとに役者が生で演じる、猫の鳴き声がそれにあたります。甲斐あって、そこには説得力があります。

そういえば、あたしが最初に此処の芝居を観たのは「い・い・ひ・と」初演でした。あの時感じた違和感は緻密な洞察の上に成り立っていたのだと、今更ながら思ったり懐かしかったり。

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2005.10.17

【芝居】「七人の恋人」ウーマンリブ

2005.10.16 19:00

テレビ的にも大成功している宮藤官九郎のユニット。その9回公演。日曜日夜もぎっしりと埋まる客席、ヤフオクあたりでもチケットあるけど、最初から定価越えで出してる奴にはなぜか入札がないのは、観客も馬鹿じゃない証拠。来月12日まで本多劇場、そのあと大阪。

七人の役者、七本の芝居からなる、ゆるやかに繋がるコントオムニバス。もう、気楽にただただ楽しめる舞台に仕上がっているのは、さすがだなぁと思います。音楽室の放課後に居る尾美くんと田辺くんの目的は「FIRST KISS」。歌舞伎町で一番のホストが刺さっている巨大な「ナンバーワン・イン・ザ・UNKO」。マタニティ向けのエアロクラスのインストラクターは「マタニティ堀内」。等身大のヒーローの連続活劇「ほとんどX三宅マン」。ストリートで練習してる若者、目指してるダンスの大会なのだけど、彼女だと云って連れてきた女は「SHOWZ-Z.com」。大学のサークルの合宿、メンバーの田舎の家に行くことになってしまったのだけど一人電車で行ったら最初に着いてしまって、気まずいような「むねさん」。夢のような妄想のような語りで「七人の恋人」。

いい歳した男たち、オトコノコのやんちゃさと馬鹿馬鹿しさを大まじめにやるおもしろさ。確かな力もあるし、キャラクターも立ってるので、刺激的です。

尾美としのり、という役者は「タイガー&ドラゴン」で人気だったのだとか。あたし見てないのでわからないのですが、あたしにとっては「転校生」(映画ですな)のひと。それをしつこく使うネタもあるのだけど、若い人たちはわかるのかなぁと。そこに薬師丸ひろ子の語りといえば、あれですね、角川っぽくて、あたしのどセンターに来てて、それも楽しい。

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2005.10.16

【芝居】「ゼブラ」ONEOR8

2005.10.16 14:30

これでもかとおこるさまざま、ヒトにの深い気持ちのつながりを、四人姉妹の現在と記憶で描く新作。17日までTOPS。

女の子ばかり4人姉妹女手ひとつで育てられ。年月は過ぎ、徐々に嫁にいく歳。しかしそこには母親の姿はなく、想いも少しずつずれはじめている。それでも、子供の頃からの姉妹。喧嘩も便秘の話もなんでも出来るし、いろんなことが次々に起こるし。

多分みんないい歳の女優たち。何かのプレイかと思うぐらい、着替えの多い芝居なのです。ものすごくたくさんのエピソードを過剰に詰め込んで物語を進めるのです。

まだ両親健在(な筈)なのでリアルには感じとれないシチュエーション。騒がしく、貧乏だった頃がリフレインするのです。

重苦しい瞬間もありますが、全体に笑い多く、楽しくみられます。

普通なら終わるべきシーンの後にまだ続く物語は、いい話で終らせないという信念なのかもしれません。ピリオドでは終らずその向こうに行こう、ってことなのかなとも思いますが、本編のいい話を超えなきゃ。

あたしの観た回は16時頃に地震で揺れました。さすがに芝居は一瞬とまります。客席の照明も点きましたが、おさまったあとに数分で元の芝居に引き戻すのは、役者の確かなちから。

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2005.10.14

おめでと。

blogに弱音だったり風邪ひいたなんてかくと、お見舞いの言葉もらえたりして、ちょっと嬉しかったり。いろんなことがあっても、あたしは、まあ元気です、はい。ありがとございます。

土曜日は一日ぜんぶを、友人の結婚式に。礼服は大丈夫かな、準備し忘れてないかな。不安だ。ともかく、お幸せに、という気持ちで。まあ、人のこと祝ってる場合じゃないのですが(汗

で、日曜夜はウーマンリブ@本多劇場(一枚余らせ中。絶賛募集ちう>メールにて)。なので、実は一こましかないのですが。

ほとんど観られないのですが...はらぺこペンギンクロカミショウネン18+スワンキーライダー+くろいぬパレード@都電荒川線、走る路面電車の中での企画公演。CARAROCK FESTIVAL@サンシャイン劇場、キャラメルボックスの劇中曲の生演奏コンサート。ONEOR8@TOPS、しっかりしたものがたり。天然スパイラル@シアターグリーン171。なぎさにゆこう@藤沢クラジャ、PECTの演出・中嶋比呂嗣が外部のメンバーとの企画公演。二人芝居の連続公演。もう観ちゃったけど回転OZORA@「劇」小劇場。弘前劇場@パンプルムス、メンバーが大きく変ってどうなっていくか。桜美林大学パフォーミングアーツ@プルヌスホール、バルカン動物園を、平田オリザの演出で。鹿殺し@ゴールデン街劇場、小さな劇場での長期公演、ゆんぼ@千本桜ホール、いい予感のする女優二人芝居。シベリア少女鉄道@サンモール、アタシ的には、あとがないぞ、シベリアという気持ちで。

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2005.10.12

【芝居】「Nightbird」回転OZORA

2005.10.12 19:30

しっかりと「想い」を描くのを得意とするOZORAの新作は、深夜の病院の急患受付の待合室での一夜の物語。16日まで「劇」小劇場。

深夜の待合室。急性アルコール中毒や急患の身内、運びこまれたり、やってくる人々。その中から浮かび上がるのは。

バタバタと入れ替わりたちかわりな人々。前半を観る限りはERのような点描を重ねたいのかと思ったりしますが、じつは背景を丁寧に描いているのです。ヒトの生き死にで背景ってのもあれですが。やがて、舞台上では語られない、いくつかのの力強いモノガタリが立ち上がります。

幸いにして、いまのところは自分も家族も健康だし、いままでも大した病気てのもしてません。風邪なんかはしょっちゅうですが。緊迫感ありながら、しかししんと静まった冷たい待合室という空間は、あたしにとっては未知の領域なのです。それでも少しばかりホロリとしてしまうのは愚直に想いを描き続ける劇団と、そういう話に弱いあたしの相性、って気もするのですが。

少々は恋心の話や、少し怖い世間も描かれますが、全体としては安心な一本です。 いくつかの軸のうちとりわけ強い一本が、役者の圧倒的な技量で早々に見えてしまうのは弱点と云えるかもしれません。が、それが大きな問題にならない気もします。 鎌倉康太郎の淡い恋心が巧い。今藤洋子のコメディエンヌ楽しく、しかし、何気なく放心しながら煎餅かじるシーンがなぜか心に残ります。

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会社を休む。

月曜は、パルコ劇場を断念して結局テント公演を見に行く。観客ほんのわずかだけど、芝居作成の断片が観られるってのは、あたしのような素人には嬉しい企画。夕方早い時間だったので、そのまま宴会も誘っていただく。秋葉原をぐるりと半周して電気街の真ん中にある飲み屋であれこれ。早めに帰宅。

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2005.10.11

【芝居】「空き地でおやつの時間堂」

2005.10.10 16:00

都心に点在する「空き物件」を利用した複合型フェスティバル、CET05(Central East Tokyo)の中で、時間堂が開催していた演劇ワークショップのまとめとなる公演。実は結構豪華なメンバーしかも無料。しかし、直前の告知だったこともあって、観客は5名?まあ、それもまたよし。全体で45分ほど。

マンションの建築地らしい空き地。砂利が敷かれた状態のところに、非常に大きなイベントテントを建て、そこでワークショップをやってきたらしい。雨でも大丈夫な場所。実は小劇場なら公演が打ててしまうぐらいの規模。

まず、アップから。名前を呼びながら鬼が移動して行く鬼ごっこ「名前おに」、円陣になり、あらかじめ決めた色や動物の名前を呼びながらボールをパスするようなゲーム。(旨く説明できないけど)

男と女の出会い会話劇を、動く役者と声を出す役者に分けて即興させる「言動不一致」。フォーム材をひいて、3カ所に分かれた役者、動きだけをあらかじめ決めておき、台詞は役者の即興に任せる「避難所」。ひきこもりの姉と彼氏のできた妹、喫茶店はじめた兄の会話「第四話」(おそらくは「つめきり」の過去公演の断片。)をキャスト変えて2本。

結果として、時間堂の周辺の役者たちが集まる結果となり、新しい出会いという意味では薄く感じたのは、純粋な観客の立場のあたしでも。でも、いわゆるゲームや即興の課程が観られるのは、結構楽しかったりして。役者というのはある程度訓練によってつくられるということが感じられるのがおもしろいのです。

台本があったのは最後のやつだけのようですが、これはこれで「つめきり節」満載のシチュエーション。単純に嬉しい。役者と演出を変えての2本で、雰囲気がずいぶん変わるのもおもしろいのです。 一本目は、黒澤演出+渡辺(妹)+境(姉)+池田(恋人)+足立(兄)。二本目は三谷演出+稲村(妹)+中村(姉)+根津(恋人)+関村(兄)。何もかもうまくいってない姉の立場がポイントになるのですが、一本目は静か目の組み合わせ、なぜか妙に色っぽい。二本目は姉にも増して妹がきゃんきゃんと騒がしくパワフル。

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2005.10.10

そんな連休。

芝居の隙間であたしがやったこと。

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2005.10.09

【芝居】「ナナイロノ」ハイバイ+ELITE

200510091900

日常の会話劇を得意とするハイバイの、え。ミュージカル?。小劇場的でも、ミュージカル的でも、静かな芝居的でもありますが、全体ではそのどれとも違うのです。10日夜まで明石スタジオ。

▼筋書きの端ですらネタバレの可能性あり

ロボットと人間の積年にわたる抗争。その境界線の星、許さない愛に目覚める二人。
…は、とある戯曲講座で素人の男が書いた物語。職人などに混じって、生徒の人妻に恋をした。書いた物語を面白がって読んでくれて、やがてひかれあい。

生のバンドも交え、ダンサブルな音楽。身体も自然に動いてしまう(桟敷席なのに)のだけど、どこかケチャな感じ(維新派のあれだ)。深夜の駅でガラスを前に練習してるようなストリート感ある(しかしプロの)ダンサーたちの活躍するシーンは決して多くはありません。が、贅沢です。

物語はやがて悲惨な話をおりまぜながら静かでリアルな会話に落としこまれていきます。「静かな演劇」よりは新しく、チェルほど旧来の芝居のスタイルから乖離していない会話と反応のリアルさはアタシの感覚によくあいます。

全てが手放しではありません。痛々しい感じに役者を使う意味はあたしには必然が感じられなかったりもします。その違和感は最後までアタシからは拭えませんでしたが、それでも、面白かった、と思えます。賛否ある気もしますが。

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【芝居】「リドル」少年社中

200510091400

「大人になってしまったかつての少年・少女」をテーマにした三部作公演を始めた少年社中の一作目。ルイス・キャロルとアリスに端を発しながら、過ぎ去りし時間を思わせる一本。9日夜まで青山円形劇場。

ルイス・キャロルが導かれて行った世界は、遊園地だけでなりたつ不思議な国、「リドル」だった。天上界に棲む化物たちはリドルと微妙なバランスで住み分かれていたが、魔王復活を願うようになり、王室は危機に陥る。三人の娘たちはそれぞれに避難を始めるが。

正直、ファンタジーはあんまり好きではないし、アリスやキャロルの話も得意じゃありません。キャロルを影ある人物として描くのも目新しい訳ではありませ。飽きずに見られるのは、スピード感と賑やかしのおかげですが、あたしが評価するのは、「リドル」という国の成り立ちの一点。これもありきたりと云われるかもしれないけど、あたしにとっては泣きどころ。

人数も多く、物語の運びも最初ばたつく感じは否めませんが、後半ではわかりやすく、以前の社中よりはすっきりしてる気がします。話も役者も演出も全く違いますが、アタシの中では☆新感線に見えたりもします。もう少し役者に色気が、と思わないことはありませんが、彼らの描きたいことはそこではないのかもしれません。

▼以下ネタバレあり--------

幼い日のアリスと、ドジスン。あの時の幼女趣味まがいの出来事。「僕を泣かせたら、食べないであげる」という、「化け物」の言葉にコダワリ続けた想いというより執念。それこそか、リドルを作っていた、というのが軸。

しかし、女王の気持ちは晴れない。1年一緒に暮らした(しかも最初の場面で、ごく小さな声でベッドに誘うような台詞もある)のに、「あなたが好きなのは、私ではなくて、「あの時あの歳の私」なのだ」というところ、アタシの泣きどころ。少年じゃなく、少女の想いの話としたところが、社中としては意外な気もします。

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2005.10.08

【芝居】「仮」メタリック農家

200510081900

どこかが微妙に歪む世界を描くメタ農の新作。劇場の騒音は相変わらずです。本作は全体に静かめですが、まあ大勢に影響ない気もします。10日までウエストエンドスタジオ。

画家の男、仕事のできる妻、知恵遅れの女。男が何故か持っていた携帯電話にかかってくる謎の女は男を全く身に覚えのない別人と勘違いしているらしく。

一軒家のリビングらしき場所で進む家族や客人たちの会話。知恵遅れの女の演技があまりに痛々しく(迫真、ともいう)アタシは正視できないのです。物語を進め、骨組みを作るためには必要なのはわかりますが、もっと軽いシーンを挟んだほうが、あたしは好きです。どうも、前半がもたつく気がしてなりません。 それは、役者の配分を、本筋より傍筋の役者に厚く配したため、という気もします。 ここに観れば、決して下手な訳でも魅力に劣る訳でもないのですが。

中盤あたりになり、バラバラのピースが一気に集まり、終盤できっちり片を付ける感じがします。

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【パフォーマンス】「ポタライブ・源」

2005.10.8 15:00

街を散歩しながら、案内人の語りと、街に点在しているパフォーマーたちを観るという趣向の公演。このシリーズの原点となった「源」の最終公演。本来予定していた広尾編の8日9日が上演できず、代替として復活。評判がよかったので(たとえば、Wonderland)、あたしには朗報でした。9日まで。三鷹駅出発。

玉川上水沿いに浄水場までの散歩をしながら、街の成り立ち、片隅に見えるものを散歩しながら。ところどこにはパフォーマーが居て、何か言いたげにたたずんで居たり、踊っていたり。街の何かを語りつつ、風景の中に溶け込むのは、ポタライブの共通。

その街の中に見つけたものに、チカラのあるものがどれだけあるかが、成否を握る気がします。街の順路を決めたり、パフォーマンスを作る部分はあるにせよ、基本的には、街の魅力をいかに引き出し、伝えるかにかかっています。その点、玉川上水のなりたち、廃線跡、水、樹などと、きえゆく風景のノスタルジーは確かに強力で、力があります。今作は重要な風景が開発によって消えてしまうために、明日が最終。何度も来てはいる三鷹という街に、こんな顔があったということを発見させられたのも魅力なのです。(ネタバレっぽいので具体的には書きませんが)

ただし、谷中編で感じたように、ガイドツアーとの違いをどこに見いだせるかという気はします。ダンスの一種だとは思いますが、あたしの考える「芝居」というのとは少し違う気がします。あたしはもっともっと、具体的な物語がほしい。あたしの気持ち、の問題なのですが。いろんな作品があるようなので、気持ちが合うモノもあるかもしれません。あたしがあまり得意でないパフォーマンスやダンスを観る環境としては、むしろ劇場で観るモノよりも、カジュアルで、あたしは楽しく観られました。

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【映画】メゾン・ド・ヒミコ

200510072100

男にモテず、生活も地味、とある理由で借金も抱えている女。幼いころに離婚した父親は、ゲイバーのママで、ずっと会うこともなかった。突然、若い男が訪ねてきて、余命幾ばくもない父親の看病を頼む。若い男は父親の恋人で、父親はゲイのための老人ホームを作っていた。父親は許せない女だが破格の報酬に釣られて。

全体にはゆっくりとした時間の流れ、いくつか、華やかな場面を折り込み、飽きずに見られるようになっています。

老いてゆくゲイの小さなコミュニティを軸に描いてるのかと思うと、それは背景に過ぎず、女の気持と現実と体験を描くことに軸足があるのだと思います。現実のゲイコミュニティからはリアリティの無さを指摘されることもあるようですが、それも仕方ないのだと思います。だって描く側がそこに重点置いてない。

それでも、こういう、疑問や批判を消さずに置いてある公式サイトの掲示板は、立派だと思う。荒れ寸前まで行ってもギリギリで踏み留まるのもたいしたもの。

アタシは結構面白かったなあ。

[DVD-メゾン・ド・ヒミコ 通常版]

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2005.10.06

やっとこさ。

二転三転、ひっくりかえったりしながら、それでもまた始められそうな雰囲気に。そう楽な道ではないと思いますが。

気持ちがいっぱいいっぱいになってしまったので、早めに帰宅、近所の中華料理屋のうち、いったことのない店に。生ビールサーバ故障とかで瓶ビールが悲しい。あたしの定番麻婆丼も、旨みは濃厚だけど、辛くない..がっくし。スーパーによって赤だし味噌購入、これで来週からはまた合わせ味噌でみそ汁が作れて嬉しい。吾妻ひでおの「失踪日記」にある、100円ブリックパック日本酒「鬼ころし」調子に乗って買ったけどこんばんは止めておこう。

三連休。年末にかけて休日って多い気がします。

二兎社@ベニサンピット、日本では当たり前の卒業式の光景が、提携するはずだった海外からは、いつの時代の問題なのだ、と信じてもらえなかったという話で、長期公演だけど、観なきゃ。メタリック農家@ウエストエンドスタジオ、着実に公演を重ねる女性作演の劇団。ギンギラ太陽's@パルコ、福岡で長く公演している「かぶりもの劇団」なので楽しみなのだけど、パルコ劇場の規模ははたしてどうなんだ。X-Quest@東京芸術劇場小ホール1、Ninten dogsみたいに可愛らしいチラシ、ひげ太夫も友情出演とか。シグナルズ@あくとれ、なんか青春物語っぽい雰囲気を醸し出すチラシ。少年社中@円形。はえぎわ@スズナリ。花歌マジックトラベラー@駅前、お下劣ハードファンタジーっていったい、だいぶ昔に観たはずだけど。恋愛ホテル@アートスフィア、関係ないけどホリプロが買ったのね、劇場。鳥人間コンテスト@パンプルムス、男性ばかり、旗揚げ公演とか。NON GATE THEATER@目黒区民センターホール、「ねずぶり」は熱い一人芝居、名作。ランニングシアターダッシュ@サンモールスタジオ、年末が最終公演という案内が。花組芝居二本立て@トラム。衝突安全ボディー×地下鉄環状線@モリエール。

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2005.10.03

【芝居】「ゼロの柩」風琴工房

2005.10.2 17:00

命、ということに深く立脚しつつ、家族の姿を鮮明に見せる再演。公演は終了。劇団は若手公演のあと年末から来年にかけての京都での企画公演。

死刑囚とその被害者(妻と愛人)、独房を中心に。その娘が両親を探し求める現在、執行人と家族のすがたの現在も並行して描きます。声高に非難するのではなく、淡々と姿を描くのは、事実を劇作とする辛さとはいえ、想像を絶する作業なのだと思います。

広く、高さのある劇場を生かした成果は十分にでています。X字の交点に独房と現場、上手奥に執行人の家庭を固定して分けるのは観ている側にも分かりやすく、しかも何より、ため息のでるほど美しい装置です。光を仕込んだ効果も高いのです。

高さを生かして、ハングするさまざまは、物語の進行に合わせて大道具や小道具になります。終盤に至り印象的に再びつり下げられる向日葵。ひまわりの花が、人の顔を想像させ、物語全体を一気に反芻させる強力な力があります。反面、終幕に向かい、舞台をクリアにするために片付ける作業が見えてしまうのは、意図はわかるもののもったいない感じもします。

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2005.10.02

【芝居】「S高原から」青年団

2005.10.2 14:00

四人の若手演出家版を経て、本家が新キャストにて。5日までアゴラ劇場。

高原のサナトリウム。夏になり比較的若い患者たちのもとに、友人や恋人たちが見舞い客としてやってくる。

平田オリザ氏自身が当日パンフに書いているように、若手たちが自分たちの立場に引き寄せたための違和感は、このサナトリウムの患者たちが皆裕福なのだというのを再確認。

一方で若手の手によるいくつかのあからさまな解釈を経たアタシ自身も、どんどん没入していく快感はこの短期間ゆえとも思います。

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2005.10.01

【芝居】「LIFE IN THE BOX」MCR

2005.10.1 19:30

アタシは初見です。シュールめの笑いを断片で見せるタイプだと思っていると、やがてするすると繋がっていきます。3日までモリエール。

ビデオ制作会社の特殊なビデオの売上貢献策、バイト先で重ねた彼氏の嘘を上塗りをする羽目になった女、看板女優が抜けると言い出し破滅の危機の劇団、友達に昔のロックを暑苦しく語る男たち。ほぼ4つぐらいのシーンから始まる断片。劇団が打ち合わせる喫茶店に上塗り女やビデオ制作会社の面々が来たりと、互いの登場人物が登場し、つながっているのだとわかります。

ナンセンスなコントから始まり、一人語りのようなスライドをシーンの合間に挟みながら、終幕が男二人の語りに入るようなエモーショナルさは、荒削りながらどこかナイロン100℃のような不思議な手触りはあります。衣装もそれっぽい感じだし、菱形の舞台を囲うように上下するスクリーンもそんな印象を与えます。

こちらも当日パンフに役名の記載がない、と思っていたらほぼ本名のままでの芝居。リファレンスしずらいからまあ、記憶に残りにくいのは変わりません。

嘘の上塗りを重ね「させられる」女のシーン、女(黒岩三佳)さんの逆ギレ気味のつっこみがおもしろい。関西弁でロックを暑苦しく語る小堀浩之は、全体からみると違和感はあるのですがそれを補うような構成になっているし、さすがに一枚上手な感じはします。結果的にこの二人が軸になってはいるのですが、この二人は物語上はほとんど接点がなく、それぞれが頑張っている感じを受けます。

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【芝居】「本の庭、暮れの丘」リュカ.

2005.10.1 18:00

11月に予定している再演作品のサイドストーリーの小品をごく小さな会場で描くシリーズの2本目。とはいえ、独立してもちゃんと楽しめる60分。ストーリーにもからむ絵(小宮晶)作品展も併設して2日まで新宿眼科画廊。

7月公演(「緋色の屋根」)の時点からは2年後、酒に強い画家(イラストレータ?)の姉の個展会場を舞台に物語は進みます。兄弟たち、友人たちが入れ替わりたちかわり。早くに亡くしてあまり知らない、母親の姿がうっすらと舞台に浮かびます。

7月公演にくらべると、姉の奔放かつ快活なキャラクターが軸になっていて、ちょっとした事件らしいものが起こったりするので、観客からは見やすい芝居になっていると思います。なんかですね、「芝居をみた」って実感が残るのです。

手慣れたキャラクターは役者の魅力を引き出します。くるくると変わる表情、騒ぐことなくしっかりとコミカルを作りだす確かな力なのです。姉を演じた境宏子はほんとに自由な感じで愛おしい、編集者を演じた小林タクシーは、センセイに振り回される姿、泳ぐ目が困り具合を印象づけます。

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【芝居】「ある日、森の中」R.S.H.B.

2005.10.1 14:00

2年ぶり、7回公演目にして初のプロデュース公演だとか。あたしは初見。ごくまっすぐな愛の話を、昨今の社会の病巣を下敷きに。2日まで王子小劇場。

森の不法投棄場に住む男の前に突然現れた女。ろくに会話もできない女に男は一目惚れしてしまったが、女がそこに来た訳は。

愛するだの、別れるだの、惚れるだのという、よくあるといえばよくある愛憎の話。不法投棄を、ひと同士の捨てる、になぞりながら進める話は、この背景だからこそ語れる終幕につながります。序盤の印象はどこかNODA MAP的でもあります。それは悪いことではないのではないかと思います。

芝居は、産業廃棄物処理業者の事務所と、どこかの森の中という二つのシーンを交互に進みます。話の背景を語るために説明がちになりがちな事務所のシーンは少々もたつく感。仕方ないとはいえますが。対する森のシーンでは役者たちが「生きている」感じを受けるのは、話ゆえの印象なのかもしれませんが、こちらの役者陣の方が印象に残ります。

当日パンフは、役者の名前は載っているものの、どの役が誰かがわからず勿体ないのです。ましてや役者を募ってのプロデュース公演ならなおさらです。劇団のwebでは、写真があるので手がかりにはなりますが、パンフで触れられるべきです。

突然現れる女役の内海絢さんは、二つのシーンでの落差がわかりやすい作りとはいえ、見事。森の女を演じる内海詩野さんは、緩急のコントラストがよく、観客の集中力の持続を助けます。

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