【芝居】「最初の晩餐」P.E.C.T.
2005.5.29 14:00
湘南に本拠を置き東京との両面展開を続けるP.E.C.T.の最近作は、潰れかけの洋食屋を舞台に、あるカップルと夫婦の暖かくほろ苦い味わいの素敵な一本。30日まで渋谷スペースエッジ。 (2012.4.27、動画が公開されました。)
前回の「はるまちろまん」の十数年後日談と位置づけられるものの、何人かの背景に使われてるだけで、今作だけ視ても大丈夫なつくり。
美味しいのに何故か流行らない洋食屋。味に惚れ込んで住み込みコックが3人。ジャガイモを剥き続けて腕が上がると「跳ぶ」と云われ長年の修行をしている。今のコックもかつて。しかし景気は容赦なく、2階を貸すことにして越してくるカップル。それでも解決せずに、根本的解決を。
少し贅沢な食事の高揚感とあくまで真面目なコックたち。時間や景気や経済的なことに流されるカップルや夫婦の姿は、いろんな観客にリーチする幅広さがあります。
「ジャガイモが跳ぶ」という、歯の浮くようなファンタジーを物語世界の核に据えても大丈夫な説得力。 空間をうまく使った演出は、扉の向こうも広がりに使うような面白さ。ランチタイムの音楽に乗せたシーンの楽しさはかつての遊◎機械のようでもあり。夫婦やカップルの会話の苦さなど、芝居の振り幅の大きさがずっしり面白いのです。
終盤、自分が企てたことの影響の大きさに凹む広告屋へのセリフ、「お前は給料のために動いたんだから、そのために誰かが傷ついたとしても、そんなことでいちいち怯えてるのは、ケツの青い証拠だ」ってセリフ。このあとに広告屋は、みんなを引き連れて、経費で呑みに繰り出すのです。今の世の中、これを正面切って描くのは時代の空気からは少々ずれている感じがしないでもありません。が、あたしはちょっと泣くのです。誰の心にも波風立てないままで進められる仕事なんて、ないのだなぁと今更思うし、会社のありかたの懐かしさが、かいま見えたりもして。
P.E.C.T.「最初の晩餐」
2005.5.28 - 5.30 渋谷SPECE EDGE
脚色構成:日々野克己 構成演出:中嶋比呂嗣
出演 山崎いさお 山本亜希([7]の椅子) 瀧川英次(七里ガ浜オールスターズ) 山縣太一 東宮南北 難波幸太 佐々木覚
井上つぐみ 和田和馬 つつみその子 鴨川恵
大江謙次郎
松本美香 中嶋比呂嗣
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