【芝居】「グランバザールX」JAM BAL JAN JANパイレート
2005.5.8 17:30
スピード感溢れる台詞、スタイリッシュでパワフルなダンス、センスのいい衣装や装置、加えて笑いも結構あったりする、清水恵利奈さんのユニットJBJJPの新作。公演は終了。
物語を追って行こうとすると、おそらく失敗します。つぎつぎと浴びせられかける言葉、見た目の美しさに身をゆだねるのです。一昔まえの小劇場っぽい感じとも言えるかもしれません。そのスピード感で、 作家の思索の断片が、めまぐるしく提示されるのです。何人もいる役者なのに、なぜか友人はこれを称して「ひとりぼやき漫談」。言い得て妙だけど、実にぴったりの賛辞。
その、すさまじい量の断片は、とてもとても覚えられるようなものじゃあありません。たとえば
「証明1。タバコを一本吸ったからといって死ぬわけではない。タバコを吸っている人が一本よけいに吸ったからといって死ぬことはない。∴(ゆえに)数学的帰納法によりタバコを吸ったからといって死ぬことはない」
「世の中は競馬好きと、競馬が好きじゃないものと、馬、に分けられる」
「トップブリーダーも推奨するDH○ヴァージンオリーブオイル」
本筋とは全く関係ない、こういう断片が楽しい。惜しむらくは、作家も含めて、実力以上のスピードで喋っているために、じつは台詞が非常に聞きづらかったりすることなのですが。
そんな中に見え隠れする軸は、「ノアの箱船」でしょうか。壁一面に並んだドラム式洗濯機のようなものは、終盤船の窓のように見えます。もしかしたら「洗濯=選択」かもしれない。ここを捨てて次の場所に行く人々、何を乗せて、何を乗せないかという選択。ボーマン君ってのは、あれですか、2001年ですか。
JAM BAL JAN JANパイレート vol.15「グラン・バザールX」
2005.5.6 - 5.8 ウエストエンドスタジオ
作・演出 清水恵利奈
出演 清水エリナ metan 桜井翔子 阿保聖子 清滝美保 鈴木裕美子 水野恵美 榎本真弓
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コメント
ボーマン君と晴夜ハルの会話はまんま2○○1年宇宙の旅でしたな。
投稿: きいちゃん | 2005.05.09 16:24
て、的確な分析。その通りです。
>実力以上のスピードで喋っているため
わははは。そう、そうなんですよね〜って、私、JBJJPの関係者なんですが、笑っていていいのでしょうか??
ダンスってものが(観て)面白いものだと気付かせてくれたのが実は、ジャンバルの公演だったりします。
投稿: けーこ | 2005.05.11 01:58
●きいちゃんさま:
をー、ハルかぁ、そうかー。でも会話覚えてないのです(駄目人間
●けーこさま:
はじめまして、なのですが予約のメールでは、こちらは一方的に存じ上げております。
実力以上のスピード、というのは言い過ぎって気もしますが、(自分で云ってるのになんですが)
今回の芝居側の役者さんそれぞれに力あるなぁとは想いながらも、清水さんのパワーがそれを上回るパワフルさで、なかなかバランスは難しいですね。小劇場の世界には共演させたいと思う人が勝手に思い浮かんだりもしますが、しがらみありそうだしなぁ。
投稿: かわひ_ | 2005.05.11 02:11
JBJJPの者です。おじゃまします。ろれつが回らなかった者です。猛反省中です。もう1回あったら今度は完璧に喋れる気がします。だが。今は反省しています。おどります。ふしぎなおどりを。
投稿: SHIMIZU | 2005.05.27 20:37
●SHIMIZUさま:
コメントありがとうございます。というか、お出まし、嬉しいです。
あー、なんか厳しいこと書いててすみません...短い時間に情報を詰め込むってこと自体は好きだし、喋ってることも面白いと思うのです。これをゆっくりやたらいいのかというと、違う気もしてるのです。
...なんて、観客は気楽なものです。(^^;)
また拝見するのを楽しみにしています。
投稿: かわひ_ | 2005.05.28 03:06