【芝居】「ポスト労苦の終わり」チェルフィッチュ
2005.3.20 14:00
全く新しいスタイル、行きつ戻りつ繰り返される普通のはなしコトバを操るチェルフィッチュの新作。岸田國士戯曲賞受賞後初の公演は前作の改訂版。プロポーズされた女、ルームシェアするその先輩、別居してるその夫を描く、ラブストーリー、だとあたしは思う。このスタイルの中ではすっきり整理されていて見やすいのです。23日まで横浜STスポット。
プロポーズされて帰ってきた女、同居する先輩に話すと実は彼女も結婚してて別居中。夜を撤して話すうち、結婚が不安になって。
いきつもどりつ、時間軸もばらばら、会話も断片。しかしやがて、頭の中のフラッシュバックやリフレインのように感じてくるのです。 どこかか弱いような優しいような感覚は本作のような女性側からの語り口に合うんだろうなあと感じます。 チェルフィッチュの「半笑い」の語りが気になるあたしなのですが、最初の女二人のシーンにそれがないのが、アタシには好感なのです。そのことをのぞいても、本作はわりとシンプルな関係をしっかりと描いている感じで、解釈しやすく、彼らの代表的な一本になるのではないかと思います。
岸田戯曲賞取ったってことで、新たな観客も多いのでしょう。とまどいの声もちらほら。あたしもよくわかります。最初観たときはやっぱ面食らいましたもの。たしかに通常の会話の姿により近いってのはわかる。わかるけどそれを舞台に乗せることに何の価値があるかわからなかったのですね。だって、なんかひどく情報量が薄い会話なのだもの。それがふつうの会話だといわれればそうだけど、その情報の薄さに価値があるとは思えなかったもの。友人がすごいすごいというから、数本続けて観て、面白さがわかってきた気がするのです。情報量は薄いのだけど、それが積み重なっていくうちに、なんか別の情報を生み出しているって感じが、うっすらするのです。それでも、題材があたし向きな、「女性側からの語り口」を主体にしたモノでないと、まだちょっととまどいます。
チェルフィッチュ「ポスト*労苦の終わり」
2005.3.18 - 3.23 横浜STスポット
作・演出 岡田利規
出演 山崎ルキノ 山縣太一 松村翔子 トチアキタイヨウ 増田理
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